専門家のコラム
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Column 3.ドナー休暇制度を導入する意義 ―各社の状況に合わせた形での導入を―
白血病などの治療のためには、骨髄・末梢血幹細胞移植が有効とされています。
骨髄・末梢血幹細胞移植を希望する患者さんは年間で2千人(*1)近くいらっしゃいますが、実際に移植に至る件数は、このうち約半数程度にとどまっています。
これは、骨髄等を提供してくれるドナーとの調整がつかないことが大きな要因となっています。
ドナーに選ばれると、事前検査から実際に提供に至るまでに約8~10日程度、平日の日中に医療施設を訪れていただく必要があります。ドナー候補者との調整がつかなかった理由の約2割が「(仕事等の)都合つかず」(*1)であることからも分かるように、ドナーとして協力したいという思いがあっても、お仕事などの都合によって実現しづらい場合があるのが実情です。また、入社年次が浅い社員や転職直後など、年次有給休暇では必要な休暇が足りない場合も考えられます。
企業の皆様には、ドナー休暇制度の導入などを通じ、ドナーとして登録されている社員の皆様をご支援いただければ幸いです。会社でドナー休暇制度が導入されていれば、検査・提供などのために休暇を取りやすくなるだけではなく、「ドナーとしての活動を応援する」という会社からのメッセージが伝わり、社員の安心にもつながります。
新たな休暇制度の導入は、企業にとってはやや大変なことのように感じられるかもしれません。しかし、例えばボランティア休暇制度など、既存の特別休暇の取得事由に「ドナーとしての活動」を位置付ける方法もあります。必要な日数の全てを特別休暇として付与することが難しければ、年次有給休暇を併用する前提で付与日数は3~4日程度とするなど、自社の状況に応じて部分的に導入することも考えられます。
また、患者さんとドナー候補者のマッチング件数を踏まえると、もしドナー休暇制度を導入しても、利用件数は数千人規模の企業で数年に1~2人程度と見込まれます。制度導入後に利用者が頻出する可能性は低いと考えられ、業務への影響は限定的といえます。
ドナー休暇制度を導入すると、社会貢献の姿勢が社外から評価されたり、自治体のホームページやメディアなどで紹介される場合があったりするといったメリットもあります。また、新規のドナー登録者は10代~20代で増えており(*1)、若い世代でドナーとしての活動に関心が高まっていることを踏まえると、社員の活動を尊重しようという企業の前向きな姿勢が伝わって、人材の確保・定着などへの効果も期待できるのではないでしょうか。
日本骨髄バンクでは、ドナー休暇制度の導入に関して、企業の皆様からのご相談を受け付けています。骨髄等の提供に関する基本的なご質問から、具体的な制度設計に関するご相談まで幅広く受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。(*2)
また、日本骨髄バンクのドナーとして提供した方や健康を取り戻した移植患者さんによる語りべ講演会も実施しています。プログラムは柔軟に調整可能で、企業の新人研修に取り入れていただくといったことも可能です。
ドナーとして登録されている社員の皆様を企業の立場から支援してくださることが、骨髄バンクを介した移植を待つ多くの患者さんの命を救うことになります。ぜひ、ドナー休暇制度の導入の意義をご理解いただき、ご検討をお願いする次第です。
- 出典:公益財団法人日本骨髄バンク調べ。
- 詳細は、公益財団法人日本骨髄バンク ホームページをご参照ください。