特に配慮を必要とする労働者とは
特に配慮を必要とする労働者とは
「特に配慮を必要とする労働者」とは、様々な事情により事業主の配慮を必要としている働く方々であって、例えば、次のような方が該当します。 事業主には、働く方々各人の抱える多様な事情や業務の態様に対応した労働時間等を設定することが求められます。
特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者
事業主には、
- 病気休暇を導入するとともに、病気休暇から復帰する労働者については、短時間勤務から始め、徐々に通常の勤務時間に戻すなど、円滑な職場復帰を支援するような労働時間等の設定を行う
- 残業の多い労働者については、代休やまとまった休暇の付与等を行い、疲労の回復を図らせる
- 恒常的に所定外労働が多い部署については、業務の見直しや配置転換を行う
などにより、労働者各人ごとの労働時間の削減を行うことが求められます。
子の養育又は家族の介護を行う労働者
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)等を遵守し、時間外労働や深夜業の制限、勤務時間の短縮等の措置等の労働時間等の設定の改善を行うとともに、その内容を労働者に積極的に周知するなどして、制度を利用しやすい環境の整備を図ることが求められます。
さらに、子どもの出生時における父親の休暇制度の整備や男性の育児休業の取得促進等男性が育児等に参加しやすい環境づくり、より利用しやすい育児休業制度の実施(法定の期間、回数等を上回る措置や休業期間中の経済的援助)などの措置を講じるように努めることが重要です。
妊娠中及び出産後の女性労働者
事業主は、労働基準法により、産前産後の女性労働者に休業を取得させることなどが求められるとともに、妊娠中及び産後1年を経過しない女性が請求した場合においては、時間外労働、休日労働、深夜業等をさせてはいけません。
また、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律を遵守し、女性労働者が、母子保健法の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにするとともに、保健指導や健康診査に基づく指導事項を守れるように、勤務時間の短縮、休業などの措置を講じることが求められます。
公民権の行使又は公の職務の執行をする労働者
事業主は、労働基準法第7条において、労働者が公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならないこととされていることを踏まえ、公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行する労働者のための休暇制度等を設けることについて検討することが求められます。
なお、労働者が裁判員の職務を行う場合については、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年法律第63号)第100条において、労働者が当該職務を行うために休暇を取得したこと等を理由として、解雇その他不利益な取り扱いをしてはならないこととされていることに留意する必要があります。
単身赴任者
単身赴任者については、心身の健康保持、家族の絆の維持、子の健全な育成等のため、休日は家族の元に戻って、共に過ごすことが極めて重要です。このため事業主には、
- 休日の前日の終業時刻の繰り上げや休日の翌日の始業時刻の繰り下げ
- 労働者の希望を前提とした休日前後の年次有給休暇の半日単位の付与
- 家族の誕生日、記念日など、家族にとって特別な日に対する休暇の付与
などを検討することが求められます。
自発的な職業能力開発を図る労働者
労働者の職業生活が長期化する中で、大学、大学院への通学など、労働者が主体的に行う職業能力開発を支援することの重要性も増してきています。このため事業主には、有給教育訓練休暇、長期教育訓練休暇その他の特別な休暇の付与や、始業・終業時刻の変更、勤務時間の短縮、時間外労働の制限など、労働者が自発的な職業能力開発を図ることができるような労働時間等の設定を行うことが求められます。
地域活動等を行う労働者
事業主は、地域活動、ボランティア活動などに参加する労働者に対して、その参加を可能とするよう、特別な休暇や労働者の希望を前提とした年次有給休暇の半日単位の付与などについて検討することが求められます。