制度の導入・運用に向けて
目次
制度の導入・運用方法について、本ページでは概要を紹介しています。
詳細は、勤務間インターバル制度導入・運用マニュアルをご参照下さい。
制度の導入・運用に向けた全体像
事業主が勤務間インターバル制度を導入し、運用するためには、労使による話し合いを土台とした上で、次の4つのフェーズ及び、フェーズごとのステップに沿って、PDCAサイクルを回しながら進めることが重要です。
下図の手順をしっかりと踏むことにより、勤務間インターバル制度の着実な導入・運用が進みます。
労使による話し合い
- フェーズ1
-
- 制度導入を
検討する -
- 具体的な検討を始める前に、労働時間等に関わる現状把握と課題抽出を行います。
- 制度導入の経営意義を確認のうえ、導入目的を設定します。
- 経営層がコミットメントする姿勢を明確にします。
- 制度導入を
- フェーズ2
-
- 制度を
設計する -
- 制度の適用対象やインターバル時間数の設定などについて検討し、具体的に制度を設計します。
- 制度の根拠規定を整備します(就業規則の改定、労働協約の締結等)。
- 制度を
- フェーズ3
-
- 制度を導入・
運用する -
- 管理職や従業員に、制度内容等を周知します。
- 顧客や取引先へ、制度を導入したこと等を説明します。
- インターバル時間を確保しやすい環境づくりを進めます。
- 制度を導入・
- フェーズ4
-
- 制度内容・
運用方法を見直す -
- 制度導入後、効果検証や課題等の洗い出しを行います。
- 課題が明らかになった場合には、制度内容・運用方法の見直しを行います。
- 制度内容・
詳細は、勤務間インターバル制度導入・運用マニュアルをご参照下さい。
制度を設計するにあたって
- 休息時間(インターバル時間)を設定するに当たっては、
- 1)労働者の生活時間、
- 2)労働者の睡眠時間、
- 3)労働者の通勤時間、
- 4)交代制勤務等の勤務形態や勤務実態
- 等を十分に考慮し、仕事と生活の両立が可能な実効性ある休息が確保されるよう配慮することが求められます。
- 時間数の設定に当たっては、一律に設定している例、職種によって分けている例、義務とする時間数と健康管理のための努力義務とする時間数を分けている例などがあります。
- EU指令では、EU加盟国のすべての労働者に、24時間ごとに、最低でも連続11時間のインターバル時間を確保するために必要な措置を設けることとされています。
勤務間インターバル制度について、特別な事情が生じた場合などを適用除外とすることも可能です。対象としては、次のようなものが考えられます。
- 重大なクレーム(品質問題・納入不良等)に対する業務
- 納期の逼迫、取引先の事情による納期前倒しに対応する業務
- 突発的な設備のトラブルに対応する業務
- 予算、決算、資金調達等の業務
- 海外事案の現地時間に対応するための電話会議、テレビ会議
- 労働基準法第 33 条の規定に基づき、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合
制度を導入している企業の例
インターバル時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合の取り扱いについては、以下の方法が考えられます(就業規則の規定例については「就業規則の規定例」に記載しています)。
例1インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複する部分を動いたものとみなす場合
例2インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複した時、勤務開始時刻を繰り下げる場合
就業規則の規定例
勤務間インターバル制度の導入に関する規定例をご紹介します。
下記に記載した内容のほか、必要に応じ、勤務間インターバル制度に関する申請手続きや労働時間の取扱い等についても、就業規則等の規定の整備を行う必要があります。
インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複する部分を動いたものとみなす場合【例1】
- (勤務間インターバル)
- 第○条 いかなる場合も、従業員ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。
- 2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、当該始業時刻から満了時刻までの時間は労働したものとみなす。
インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複した時、勤務開始時刻を繰り下げる場合【例2】
- (勤務間インターバル)
- 第○条 いかなる場合も、従業員ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。
- 2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、翌日の始業時刻は、前項の休息時間の満了時刻まで繰り下げる。
災害その他避けることができない場合に対応するため、除外を設ける場合、上記1又は2の第1項に次の規定を追加します。
ただし、災害その他避けることができない場合は、この限りではない。
労働条件通知書の記載例
勤務間インターバル制度に関する労働条件通知書の記載例をご紹介します。
労働基準法第15条では、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して一定の労働条件を明示しなければならないこととされていますが、「終業から始業までの時間」については、この明示する必要がある労働条件とはされていません(以下の記載例2のように翌日の始業時刻を繰り下げる制度を設ける場合は、労働基準法第15条に基づき「始業及び終業の時刻」に関する労働条件として書面等で明示する必要があります。)。
一方で、勤務間インターバル制度の適切な運用の観点からは、労働者自身が終業から一定のインターバル時間を確保する必要があることを十分に認識していることが重要ですので、例えば、労働条件通知書に勤務間インターバル制度の適用対象となっていることが明らかとなる文言を追記することが望ましいです。
インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複する部分を働いたものとみなす場合【例1】
勤務間インターバル時間;終業から次の始業まで○時間の継続した休息時間
休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、当該始業時刻から満了時刻までの時間は労働したものとみなす。
インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複した時、勤務開始時刻を繰り下げる場合【例2】
勤務間インターバル時間;終業から次の始業まで○時間の継続した休息時間
休息時間の満了時刻が、次の所定始業時刻以降に及ぶ場合、翌日の始業時刻は、休息時間の満了時刻まで繰り下げる。