伊藤忠商事株式会社
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
企業情報

企業名 |
伊藤忠商事株式会社
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所在地 |
東京都/大阪府
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社員数 |
4,098人
(時点:2024年3月31日) |
業種 |
卸売業
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事業内容 |
繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、住生活、情報、金融の各分野において、国内、輸出入および三国間取引を行うほか、国内外における事業投資など、幅広いビジネスを展開。
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働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い
・同業他社と比べ、単体社員数が少ないからこそ、効率的な働き方を目指している。
・「厳しくとも働きがいのある会社」というメッセージを出しており、高い成果を出すことと働き方改革の両立を図っている。また、働きがいに関する取組にも注力している。
主な取組内容
朝型勤務制度の導入
・2013年度に朝型勤務制度を導入した。22:00~5:00の深夜勤務を「禁止」、20:00~22:00における勤務を「原則禁止」としたうえで、20:00以降の勤務が必要な場合は、翌営業日朝9:00前に出社して効率的に業務を推進することとした。
・インセンティブとして、早朝勤務時間(5:00~8:00)は、深夜勤務と同様の割増賃金(一般社員150%、管理監督者など25%)を支給している。また、7:50以前始業の場合、同様の割増率を8:00~9:00の時間帯にも適用している。さらに、8:00前に始業する社員に対し、軽食を無料配布している。
働き方改革第2ステージとして、朝型勤務制度を朝型フレックスタイム制度に刷新
・2021年度のエンゲージメントサーベイの結果を受けて、「朝型勤務」の精神を引き継ぎ、現場主義の徹底を前提とした上で、個々の社員の業務・生活の状況に応じた「効率的な働き方」を更に強化する制度の導入を検討した。
・検討の結果、トライアル実施を踏まえ、2022年度に働き方改革第2ステージとして朝型フレックスタイム制度を導入した。従来の朝型勤務制度における早朝勤務の推奨に加え、9:00~15:00をコアタイムとして設定し、早帰りも可能とした。
・2024年7月から早帰りを促進し、ポスター掲示や人事・総務部からの声掛けにより定着に取り組んでおり、早帰り率も増加傾向。朝型フレックスタイム制度の対象は全社員であり、8:00以前に勤務開始している社員は全社員の約55%。
・早朝勤務に対する割増賃金支給も、定着のための重要なメッセージとして継続している。また、朝の軽食無料配布も続けており、2024年8月には専用会場を新設し、定期的に商品を見直して魅力的にすることで、朝早く出勤したいと思えるよう工夫している。

在宅勤務制度も導入
・2020年4月以降のコロナ禍においては、政府・東京都からの要請や感染状況に応じて出社率を調整し、在宅勤務の体制を整えてきた。その後も在宅勤務を継続したいという社員からの声や、様々な社員が活躍できる働き方の実現という観点を踏まえ、2022年度に正式に在宅勤務制度を導入した。全社員が週2回まで、事由に関わらず自宅での勤務が可能である。
・在宅勤務は週2回までとなっており、週3日は出社とすることで、対面のコミュニケーションの機会を確保したうえで、半日出社・半日在宅勤務という働き方も可能としている。
・在宅勤務に関するルールとして、①始業・終業時刻に連絡をすること、②在宅勤務時の残業は18:30まで、ということを定めている。上司に事前申請することで20時までは残業ができる。②については、在宅で仕事をしていると仕事の終わりを決めるのが難しいこともあり、メリハリをつけるために設定している。
・社員の業務や家庭の事情によってベストな働き方を選択できる環境を整備しており、評価者にも働き方に関わらずパフォーマンスに対して評価するように伝えている。
社員の健康に着目した取組も実施
・2013年度より、会食を1次会までとし、午後10時には帰宅を推進する110運動を行っている。約10年間継続してきたことで、深夜まで飲酒しないことが定着している。
・近年は朝型勤務と親和性のある睡眠に注目しており、社員を対象に調査を行ったところ、十分に睡眠がとれていない社員が一定数いることが可視化された。結果を受けて、社員の行動変容につなげる施策に取り組んでいる。
取組の成果・展望
【年次有給休暇取得率の推移】
<2020年度>年間平均取得率:約53%
<2023年度>年間平均取得率:約65%
・改善した理由:ポスター掲示や声掛けにより取得を推進した。
朝型フレックスタイム制度の成果
・朝型フレックスタイム制度の導入により、2020年度から2023年度にかけて、所定外労働時間が3時間程度減少した。
・夜に会議を行うことがなくなったため、育児中の社員から助かるという声が聞かれる。
在宅勤務制度の成果
・トライアル開始時は日本で在宅勤務が定着しておらず、不安の声もあったが、現在は各々が自分に合った働き方として選択し、利用している。特に育児・介護中の社員が活用しているほか、通勤時間が無くなることで、睡眠や家事、リスキリングに充てる時間、家族と過ごす時間が増えたという声が上がっている。
今後の展望
・今後は組織の縦割り文化を見直し、組織の壁を越えたアイデア・リソースの共有・連携をより容易にしていきたい。組織の縦割りについては、意思決定の速さという利点がある一方で、顧客の課題解決のためのマーケットインの考え方に沿うためにも、見直しが必要であると考えている。組織横断案件を推進するための施策として、1週間に5時間まで新規事業に取り組むことのできる「バーチャルオフィス」を設けている。
・主体的なキャリア形成支援も推進しており、社員一人ひとりの主体的な学びやチャレンジングな経験の機会創出、多様な能力・適性に応じた人材育成の取組を進めていく。
別事例一覧
No. | 企業名 | 公開日 | 詳細 |
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1 | 伊藤忠商事株式会社 | 2025/04/18 |
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