アステラス製薬株式会社

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

アステラス製薬株式会社
企業名
アステラス製薬株式会社
PDF
所在地
東京都
社員数
4193人
(時点:2024年6月)
業種
製造業
事業内容
医薬品の製造・販売および輸出入

働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い

・当社における働き方改革とは、生産性と創造性の高い働き方を定着させ『企業価値の向上』と『個人の豊かな人生』を目指す取り組みである。「働き方改革」では、仕事に対する意識やモチベーションを高め、社員一人ひとりが高い生産性と創造性を発揮し、多様な人材がイキイキと働くことができる職場環境を醸成することを目的に、働き方・休み方の改善に取り組む。

主な取組内容

働き方・休み方改善(特に休暇取得促進)に関する方針・推進体制

・仕事に対するモチベーションを高め、生産性と創造性の高い働き方を定着させ、多様な人材がイキイキと働く組織を構築することを目的に2015年より“働き方改革”に取り組んでいる。2020年には働き方改革E-bookを作成して部門毎に展開している。

職務評価

・2005年に職務給制度を導入して以降、Pay for Jobの考えのもと、会社が設定したポジションの成果責任と期待職務の大きさにより、「役割に基づく公正な評価」の考えに基づいて、職務評価を実施している。現在、グローバル競争力を意識して更に一歩進め、グローバル共通の職務グレード体系の整備も進めている。採用・配置については、人がいてポジションが生まれる「適材適所」ではなく、ポジションがあって最適な人を選ぶ「適所適材」という考え方で運用している。

裁量労働制度

・専門業務型裁量労働制・企画業務型裁量労働制を導入し、職務グレードと業務内容から対象者を選定し、本人同意の下で適用する。適用者は、業務遂行の手段や時間配分が大幅に委ねられ、執務時間に関係なく成果に対する評価に重きを置いている。

スーパーフレックス制度

・働き方改革の観点から、これまで以上に一人ひとりが時間意識を高く持ち、生産性と創造性の高い働き方の実現が重要になってきており、従業員自身が、労働時間と成果に対する意識を持つ必要が高まってきていることから、2020年に営業職とスタッフ職の多くでコアタイムのないスーパーフレックス制度を導入した。

在宅勤務制度

・2009年に在宅勤務制度を導入した。育児・介護等を抱える社員への配慮を主眼に置いてスタートしたが、業務のグローバル化や政府による働き方改革の推進といった社内外の情勢変化を踏まえ、2016年に制度を大幅に改定。利用回数の制限撤廃、執務場所および執務時間等の制限緩和に踏み切った。在宅勤務を社員の権利ではなく、会社と社員個人の「WIN-WIN」の関係で、かつ成果発揮の維持・向上につなげる手段と位置付けており、会社は、業務内容・職種・業務遂行能力を勘案し適用/非適用を判断している。

サテライトオフィス

・社員には適切な執務環境の確保、情報セキュリティの担保等を適用要件とするとともに事前申請と実施報告を求めている。2018年8月には東京都中央区の本社および茨城県つくば市の研究所に企業内サテライトオフィスを新設。周辺に居住する社員が利用することで通勤時間削減により新たな時間を創出することに加えて、サテライトオフィスでの他部門との情報・人材交流を通じた創造性の発揮を狙いとしている。

My Workplace制度

・従来、勤務地からの距離が120km以内で片道2時間圏内に居住することを求めていたが、2024年4月より、テレワークが可能な職種については国内のどこに居住していても勤務できる制度を導入。介護や配偶者の転勤による離職を防ぐとともに、社員の柔軟な働き方とキャリアについて支援することで、社員のパフォーマンス向上と、多様な人材の獲得・維持を狙いとしている。

兼業制度

・社員の自律的な成長・進化、多様な人材が働く職場環境の醸成を後押しすることを目的とし、2020年度より兼業の対象範囲を大幅に拡大した。社員には、アステラスで本業に専念しつつ、兼業を通してスキルや能力を活かし、更なる成長とキャリア構築を進めてもらう。また、この兼業を促進することにより、働き方改革にもある多様な人材が働く職場環境の構築にも繋げていく。

FFデー(Family Friday)

・家族で夕食がとれる、英会話など自己啓発の時間に活用などを目的として「毎週」金曜日は、それぞれの事業場の終業時刻を1時間45分繰り上げるFFデー(Family Friday)を実施(一部例外あり)。早い事業場では15時30分に、遅い事業場でも16時には終業する。

健康管理時間による労働時間のチェック

・長時間労働の発生を防止するため、勤怠・入退館・出張の各時間データを用いた会社独自の時間管理指標である「健康管理時間」を創設。上司も部下も同じデータで勤務状況を把握し、部下に働き方を変え所定外労働時間を減らすよう注意喚起、場合によっては業務内容や要員数の見直しなど長時間労働が懸念される社員を上長がタイムリーに把握・対応できる仕組みを設けている。

労使で協力して長時間労働撲滅に取り組む

・FFデーに繰り上げた終業時刻に退社できない社員の確認、健康管理時間の実績や裁量労働の運用状況、年次有給休暇の取得状況や長時間労働の発生状況など事業場安全衛生委員会において労使で状況を確認している。

「心理的安全性」を高める取り組み

・ワークショップの開催など社員同士が互いの価値観を共有し、会社に自分の居場所があると感じられる「心理的安全性」を高める取り組みを推進し、社員の自己実現と会社の創造性を両立させられる組織の実現を図っている。

取組の成果・展望

【所定外労働時間の推移】
<2023年度>(月平均)6.78時間

【年次有給休暇取得率の推移】
<2015年度>年間平均取得率:59.0%
<2023年度>年間平均取得率:85.6%
・改善した理由:定期的な注意喚起の実施。

今後の展望

・長時間労働の撲滅に向けて、働き方をより生産性を意識したものに変えていく必要があり、そのためにも有給休暇の取得率を現在よりも高める取り組みを行っていく。その一施策として、ポジティブ・オフ運動に賛同して、休暇を利用して家族との時間を有効に活用する、自身の見聞を広げる等、どのように休暇取得するかという観点からの取組を労使で協力して考えていきたい。

(R7.3)

以下の事例も是非ご覧ください。

事例を評価する