UBE株式会社

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

UBE株式会社
企業名
UBE株式会社
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所在地
東京都
社員数
7,882人(連結)
(時点:2024年3月)
業種
製造業
事業内容
機能品事業、樹脂・化成品事業、機械事業などを手掛け、基礎化学品から先端分野の高機能品まで展開している

働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い

・UBEグループの2030年の目指す姿を「地球環境と人々の健康、そして豊かな未来社会に貢献するスペシャリティ化学を中核とする企業グループ」とし、その実現に向けた、経営戦略の一つとして「人的資本の充実」を掲げ、社員のライフワークバランスに注力した働き方改革を優先して取り組み、施策・制度の拡充を進めている。

主な取組内容

総実労働時間短縮

・月の時間外労働が一定時間を超過するごとに本人および上司へアラートメールを発信し、過重労働の未然防止を図ると同時に、全社的なDX化を含めた業務の効率化を進めている。また、月々の個人別実績を各担当役員へ報告し、時間短縮への取組を強化している。
・事業所毎に労使協議会を設置し、各事業所の時間外労働の状況並びに年休取得状況等について協議している。2019年度からは総実労働時間短縮に向けて労使で管理目標値を設定し取り組んでいる。

業務時間外の連絡に関するルールの設定

・緊急時を除いて19時以降および休日のメール送信は原則自粛を呼び掛けている。

フレックスタイム勤務制度

・業務の繁閑に合わせた働き方ができるようフレックスタイム勤務制度を導入している。2020年1月にコアタイムを廃止、2020年11月からフレキシブルタイムの拡大等を行い、柔軟な働き方が定着しつつある。

テレワーク勤務制度

・2019年にテレワーク勤務制度を導入。社員の自宅等でオフィスと同様に業務を行うことを可能にしている。
・コロナ禍後もテレワークやフレックス勤務を継続活用し、社員のパフォーマンスを発揮しやすい効率的で柔軟な働き方を推奨している。一方で、オンラインが普及するにつれ、コミュニケーション上の課題対策として、出社を推奨する職場づくりや、オンライン会議でのカメラ利用の推奨など、心理的安全性を確保しつつ生産性向上につながる職場環境整備に努めている。また、オフィスではフリーアドレス制を導入している。

短時間勤務制度

・疾病治療、通学以外のほかの事由による短時間勤務制度の新設。(2018年7月)
・育児短時間勤務制度の対象となる子を小学校6年生修了までへ拡充。(2019年7月)
・育児・介護短時間フレックス勤務制度を2021年8月から導入している。

年次有給休暇の取得促進

・年次有給休暇の取得促進のために年休奨励日を定めている。(ゴールデンウィーク、夏期休日の前後、年末年始、飛び石連休の狭間の出勤日に設定。)
・本人の取得希望日を踏まえた上で、年4日間の年次有給休暇の計画的な取得を実施している。
・年次有給休暇付与日数について、初年度付与日数17日へ引上げ、勤続3年で20日付与とした。
・2019年7月に年次有給休暇の時間単位での取得(年40時間まで)を制度化し、取得回数に制限のない半日年次有給休暇と併せ、休暇を取得しやすくした。2024年7月には交替勤務者にも時間年次有給休暇制度の適用を拡大した。
・一般職と管理職に年休取得目標値を各々設定し、取得日数が少ない場合、本人および職制へ取得勧奨メールを発信することを継続している。

年次有給休暇、積立休暇以外の休暇

・育児休職の最初の15日間を有給としている。
・子の出生を届け出た男性社員に出生休暇として、配偶者の出産を契機とした4日間の休暇を制度化。
・子の出生を届け出た男性社員(出生予定者を含む)並びに上司に対して育児休業制度の内容を通知し、平均15日以上の育児休業取得を目標としている。
・満50歳に達した社員に連続5日間のリフレッシュ休暇を付与している。
・2023年4月に「ライフサポート休暇」を導入した。年次有給休暇とは別に付与される有給休暇であり、私傷病・介護・看護・育児・ボランティア・不妊治療のほか、社員・家族の記念日やライフイベント等に使用可能であり、ワークライフバランスを重視した休暇取得理由の多様化に対応した制度として導入した。ライフサポート休暇は、いざという時に利用できるセーフティネットとなるため、安心して年次有給休暇を取得できる。

生理休暇等のワークフロー化

・個人のプライバシーに配慮し、生理休暇が取得しやすくなる環境整備を行い、2021年9月に休務届ワークフローで申請できるように変更した。申請後に承認者へ承認依頼メールが届き、メール内のリンクより承認画面に移行できるようになっている。

年間休日の増加

・交替勤務者の年間休日数を、2019年4月に10日、2023年4月にはさらに2日増やした。

キャリア形成支援

・年1回「キャリア開発シート」を作成し、上司との面談を通じて社員一人ひとりが自律的にキャリアプランを考える風土を醸成している。2023年4月にキャリア相談室を開設、また社内公募制を導入し、社員一人ひとりが自らのキャリア形成を積極的に考えるキャリアオーナーシップの醸成に取組んでいる。

<今後の課題・取組>

意識改革
・UBEは、スペシャリティ化学を中核とする企業グループへの転換に向けた事業構造改革に取り組んでいる。今後スペシャリティ化学の会社として成長していくためには、イノベーティブな職場環境の整備や、モノカルチャーではない企業風土の醸成が必要である。DX化による業務革新と効率化・行動変容、多様な人財が個々のワークライフバランスに合った多様な働き方を実現する施策、それら施策がすべての社員に遠慮なく活用できる職場の雰囲気の醸成、こうした取り組みを徹底し社員一人ひとりの更なる意識改革を実現していく。

業務の見直し
・UBEのDX化はデジタル技術をツールとして活動しながら、あらゆる業務を見直し、価値創造につなげる全社的業務改革・価値創造推進活動となっている。この活動を継続して進め、実現された業務効率化が社員のワークライフバランスを重視した働き方改革につながり、結果としてワークエンゲージメントの向上要因の一つになることを目指す。

多様な人材の活躍
・多様な働き方の一つとして育児・介護等を抱える社員の制度充実を図ってきたが、誰もが職場に遠慮せず制度を利用できる雰囲気の更なる醸成を目指す。また、職務・勤務地・所定労働時間を限定した限定社員制度の導入を検討し、多様な人財が活躍できる職場環境の実現を進めていく。

・UBEでは、多様な働き方を推進する勤務・休暇制度を整えており、2025年度までに総実労働時間を1,900時間とする目標を、2023年度に前倒しで達成した。引き続き、毎月の労働時間実績を全社員に共有して更なる削減の働きかけを行い、取り組みを強化している。
・これまでの取り組みにより、制度は充実し、働きやすい環境は整いつつある。従業員一人ひとりが利用しやすい職場の雰囲気づくりを推進し、今後は働きがいとワークエンゲージメント向上を重視した取り組みを推進する。

取組の成果・展望

【所定外労働時間の推移】
<2023年度>(月平均)15.9時間
・2022年4月に所定労働時間を8時間から7時間45分に15分短縮し、また、年休取得日数が年間平均2日増加しているにもかかわらず、所定外労働時間の長さの増加を月平均0.8時間に抑えられた。その理由としては、状況をモニタリングし、所定時間外労働が一定の時間を超えるたびに本人および職場の管理職へアラートメールを発信し、業務の見直しを勧奨している。

【年次有給休暇取得率の推移】
<2019年度>年間平均取得日数:15.4日/取得率:81%
<2023年度>年間平均取得日数:17.4日/取得率:88%(いずれも単独)
・改善した理由:管理職、一般職の年休取得目標値を設定し、取得日数が少ない場合、本人および職制へ取得勧奨メールを発信することを継続している。また、ライフサポート休暇(年5日付与、40日まで積立)の導入も有効であった。

業務効率・生産性
・働きやすさだけでなく、それが成果・生産性の向上につながることが必要であるという意識を共有するため、業績連動型賞与の指標に「1人当たり連結経常利益」を用いている。労働時間短縮と1人当たり連結経常利益の2つの指標の向上が持続的な成長につながると考え、取り組みを進めている。
・一人当たり総実労働時間1,960時間一人当たり連結経常利益4.81百万円(2019年度)
一人当たり総実労働時間1,900時間一人当たり連結経常利益5.33百万円(2023年度)

男性の育児休職の取得
・性別や属性にかかわらず、ライフイベント(出産、育児、介護等)を踏まえた各種両立支援制度の拡充を進めるとともに、男性の育児休職の取得も積極的に推進しており、UBE単独の男性の育児休職の取得率は107.2%に達している

キャリア再開制度登録者数
・結婚、出産、育児、介護、配偶者の転勤など、やむを得ない事情で退職した社員に復職の機会を提供する導入しており、登録者数は以下のとおり増加傾向にある。
・2019年度8人→2023年度15人に増加

定年退職者の再雇用率
・85.7%(2019年度)→93%(2023年度)に増加。
・シニア社員制度を2023年度に透明性を重視した改訂を実施。

外国人採用の実施
・複数名採用を継続実施中

新卒総合職の3年後定着率
・定期的なベースアップの実施等より、2019年度以降、90%以上の定着を維持。

社内公募制
・自らが自発的にキャリア形成する意識の醸成のため、社内公募制を継続して実施。また、社内副業制度の導入を検討中。

柔軟な働き方(時間・場所)
・テレワーク546人(2019年度)⇒1,341人(2023年度)
・短時間勤務(育児ほか)24人(2019年度)⇒26人(2023年度)

多様な人材の活躍
・女性社員比率:6.7%(2016年3月)⇒8.1%(2020年3月)⇒10.7%(2024年3月)
・女性管理職比率:1.1%(2016年3月)⇒2.6%(2020年3月)⇒4.8%(2024年3月)
・定年後の再雇用率:85.7%(2019年度)⇒93%(2023年度)
・障がい者雇用率:2.12%(2015年6月)⇒2.34%(2020年6月)⇒3.06%(2023年度平均)
・外国籍社員数:6人(2016年3月)⇒8人(2020年3月)⇒8人(2024年3月)

(R7.3)

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