アサヒテクノフォート株式会社

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
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  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

アサヒテクノフォート株式会社
企業名
アサヒテクノフォート株式会社
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所在地
福井県
社員数
61人
(時点:2024年7月)
業種
建設業
事業内容
機械エンジニア、環境事業、その他

働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い

・アサヒテクノフォート株式会社は、社員が顧客企業に常駐し、工場のメンテナンスを行っている。工場メンテナンスの業務において、会社全体で年に数回程度ではあるが、事故・火災への緊急対応のような突発的な作業が発生し、日を跨ぐ長時間の残業が必要となることがある。そういった際に、以前は、深夜残業後の作業員を、短時間のインターバルで翌日朝からの業務に従事させるか、もしくは翌日は休ませるかといった判断に明確な基準がなく、現場監督が都度決定していたため、十分とは言えないインターバルで業務に従事してもらうことがあった。
・十分な休息時間を設けずに勤務することについて、作業員の健康と安全の観点から改善課題と考えており、また、改善によって離職の抑制や企業イメージ向上に向けた対策ともなることから、社会保険労務士からの提案をきっかけに勤務間インターバルをテーマとした研修に参加し、対応方策の検討を進めた。
・また、働き方改革関連法の制定を受け、残業時間の縮減や、年次有給休暇の取得向上に、トップダウンで取り組んできた。

主な取組内容

日をまたいでの深夜作業発生時の翌日を休みとするルールを導入

・インターバル時間を決めるのではなく、日勤の勤務者が日を跨いで(午前0時以降)仕事をした場合は、交代の作業者を手配して、翌日は休みにするという方法を採用した。社員(特に突発作業にあたる者)に意見を聴取したところ、翌日は休みにしてほしい、勤務時間が短くなるのであれば給与も少なくなるのでわざわざ出勤したくない、という意見が大勢を占めたので、思い切って休日(希望に応じて年次有給休暇を取得することも可能)とすることとした。ルールを外注先にも周知し、当社の社員に本件が該当する場合には現場そのものを休みにして外注先の個人事業主等にも勤務間インターバルを適用しており、健全な労働環境を確保することで、外注先の人材流失も防ぎたいと考えている。外注先に対して独自の規定を受け入れてもらうことへの理解促進や、深夜残業後の翌日を休みにするにあたっての休業補償に関する検討が課題となるが、長時間労働の翌日は事故が起こりやすい傾向にあると言われている中で、作業者の安全に配慮することは元請の責務と考えている。
・必要な資格を所有する交代要員が手配できないなどの理由により、ルールを適用できない事態も想定され、そういった場合には、上長が作業員の負担に配慮するように、総務や各部署の部長からの注意喚起を行っている。ただし、2024年現在、ルール通りに適用できなかったケースは発生していない。
・2018年から、まずは運用ベースで取組を開始した。現場監督に対して指導を行い、現場ごとに実行していった。その後、徐々に顧客に対して方針の説明を進め、2021年5月にすべての顧客から承認を得た段階で、全社的なルールとして定めて全社にアナウンスした。
・ルールを現場に適用していくにあたっては、各顧客企業に対して個別に説明を行った。その中では、顧客企業が先行して勤務間インターバルを導入しており、それに合わせる形で適用した現場もあった。一方で、作業員が日によって変わる可能性があることについて、なかなか承諾が得られない顧客企業もあったが、現場レベルでの説明に加えて、社長、専務、部長からも説明を重ねるなど、理解を得るために努めた。顧客企業にも安全意識が高まり始め、顧客企業の要請で行った突発作業の翌日について作業員を減員することを少しずつ認めていただけるようになっていった。

ルールを安定的に運用するための交代要員の配置と育成

・交代要員が手配できないと適切な運用の確保が困難となってしまうため、様々な業務に対応できる多能工者を交代要員として配置する体制を作っている。
・その手段の一つとして、交代要員となる多能工の社員が、安全管理パトロールのような他の業務に移行しやすい業務を担当するようにして、突発的に交代要員が必要となった現場に即座に入れる体制にしている。また、そのためには、自社社員のシフトに余裕を持たせることが必要となるため、外注スタッフ(特に専属の外注スタッフ)を増員した。
・また、社員の資格取得は、ルールを安定的に運用するために必要な交代要員の育成につながるため、会社として推奨しており、チームごとに資格取得を目指してメンバー間で教え合う社内研修会を実施している。資格の受験費用、交通費、テキスト代等の経費は会社が負担する。社員が取得する資格は、必須の資格を除いては、会社からは定めることなく個人の希望に対応して取得を支援している。社員には、所有資格に応じて手当が発生するため、社員は資格取得には意欲的で、担当業務の必要資格とは異なる種類の資格にも積極的にチャレンジしている。

時間単位の年次有給休暇の導入

・社員から、所用での短時間の外出や通院への対処を図ってほしいとの声があり、会社にとっても繁忙期における他の社員への負荷を軽減できるなどのメリットがあることから、年次有給休暇の時間単位の付与を2016年に制度化した。
・2021年では、社員54人のうち、時間単位の年次有給休暇を取得した者は28人であり、51%程度の者が利用している。

ウェブ会議システムの導入と活用

・社内会議や顧客との打ち合わせのために使えるテレビ会議システムを、タイにある子会社との連絡用に、2013年に試験的に導入した。試行錯誤を繰り返しつつ、2016年に国内での社内システムとして構築した。その後、利用の範囲を広げるために、ウェブ会議システムを広く利用している。各拠点から集まって実施していた会議に遠隔参加できるようになるなど、社員に好評で、業務の効率化にもつながった。

取組の成果・展望

取組の成果

・残業時間の削減や年次有給休暇の取得促進を全社的に進めるため、上記のような取組を進めるとともに、社員1人1人の勤務状況を総務部で毎月モニタリングし、残業規定を上回る懸念がある場合などは、管理者に対応を依頼して法規制の遵守を徹底している。
【所定外労働時間の推移】
<2021年度>(月平均)17時間
<2023年度>(月平均)12時間

【年次有給休暇取得率の推移】
<2021年度>年間平均取得日数:8.0日/取得率:51%
<2023年度>年間平均取得日数:11.0日/取得率:70%

今後の展望

・年間休日を増やす方法についても検討を進めている。

(R7.3)

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