エンカレッジ・テクノロジ株式会社

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

エンカレッジ・テクノロジ株式会社
企業名
エンカレッジ・テクノロジ株式会社
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所在地
東京都
社員数
128人
(時点:2024年6月)
業種
情報通信業
事業内容
コンピュータシステムソフトウェアの開発、保守ならびに販売、コンピュータ運用管理に関するコンサルティング、コンピュータ運用管理に関するBPOサービス

働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い

・コロナ禍において、出勤機会を減らして社員の安全を確保しながらも、業務を滞りなく継続させるための全体の総労働時間は減らすことなく確保する目的で、出勤日を減らす代わりに1日当たりの労働時間を増やすなど、社員個々に勤務形態を選択できる変形労働時間制を導入した。
・変形労働時間制の導入以前にも、育児や介護、私傷病等を抱える社員の働きやすさ改善を目的とした在宅勤務制度や、東京オリンピック期間中の交通混雑対策をきっかけとした時差出勤制度といった、勤務形態に柔軟性を持たせる制度がすでに導入されており、それらに加えて変形労働時間制が導入された形となった。
・当初はフレックスタイム制も検討俎上に挙がったが、社内に中途採用者が多く、前職経験等によりそれぞれで「フレックス」の認識が異なり、新制度に対する意識共有が困難であることや、金融機関やシステム管理運用者等を顧客とする業務の性質上、各社員の就業時間帯が偏り過ぎないように一定の管理をせざるを得ないといった事情から、採用が難しいと判断して見送られた。
・新制度導入にあたっては、勤務形態の仕組みだけではなく、在宅勤務の増加など新しい業務環境に対応して人事評価制度を再整備し、公平性の向上を図った。

主な取組内容

変形労働時間制を採用し、社員個々の希望に応じた多様な勤務形態を実現

・社員個々の希望に応じて、出勤日と労働時間を調整することで、週休3日や、半日勤務を組み合わせた週6日勤務など、柔軟な勤務形態が選択可能となっている。
・勤務予定は月単位で作成するシフト表で管理しており、毎月、社員個々が、月単位の所定労働時間を満たすようにして翌月の勤務予定希望を提出し、部門ごとの上長が調整する。調整は部門ごとに行われ、1名の管理者につき最大で10名程度の勤務予定を管理する。
・社員個々が作成する勤務予定希望は、独自に開発した専用のツール上で、予め定められた業務時間および日数のパターンを組み合わせることで作成できる。
・所定労働時間は、制度導入以前から変わっておらず、37.5時間/週が目安となる。また、制度導入による給与の不利益はない。
・変形労働時間制の対象者は、2021年4月からの新入社員を除く全社員とした。制度導入前は、入社3年以内の重点育成期間に該当する社員は、適切な業務計画を立てるための経験がまだ十分ではないという理由から、変形労働制の適用を見送る方針であったが、制度導入に先行してコロナ禍で在宅勤務を経験することになったことから、新たに導入された変形労働制についても、上長が承認すれば適用できることにした。
・2023年度には約20人が利用している。
・社員からのニーズに応えるとともに、生産性および品質の向上に向けた効果が期待できることから、さらなる選択肢の拡充を検討している。具体的には、①4.5日/週(週休2.5日)、②短時間勤務との組み合わせを制度に織り込むことである。

新たな勤務形態に対応した公平な評価制度の整備

・在宅勤務の増加や勤務時間の柔軟化によって、上司から部下の業務プロセスが見えづらくなったことを背景に、勤務形態によらない公平な評価と適正な賃金配分を実現することを目的として、「ジョブディスクリプション(職務記述書)」を新たに導入し、社員の役割や成果への期待値を明確にした。
・従来は全資格とも同じ評価軸で評価していたが、ジョブディスクリプション導入によって資格別に求められる役割が明確になったことにともない、資格別に個別の評価軸を新たに定めた。また、資格の階層自体についても細分化する形で再整理し、スキルや経験に基づいたより適切な評価を行えるようにした。資格と賃金の関係性も見直し、向上心ある社員のモチベーションが高まるように昇格が賃金増につながりやすい仕組みにした。

柔軟な働き方に関する制度に関する工夫

・制度利用時の運用ルールの周知徹底を行っている。また、勤怠管理データ確認作業の自動化・ツール化により、管理職の管理業務負荷軽減策改善を図っている。

取組の成果・展望

【所定外労働時間の推移】
<2022年度>(月平均)33.47時間
<2023年度>(月平均)29.19時間
・改善した理由:仕事の再分配により、所定外労働時間の多い特定社員への業務集中状況が改善したため。

【年次有給休暇取得率の推移】
<2022年度>年間平均取得日数:11.5日/取得率:59.9%
<2023年度>年間平均取得日数:13.2日/取得率:67.3%

取組の成果

・変形労働時間制は新たに全社的に導入した制度となるが、制度導入以前から、部門ごとにメンバー間で話し合いながら部門全体としての業務予定を計画して管理する慣習があったため、それを下地として、新制度はスムーズに浸透した。
・部門ごとに、月ごとの業務予定を調整する仕組みを導入したことで、計画的に働くことの意識が高まった。
・育児世帯では、決まった時間に子どもの送迎が必要な場合や、学校行事の都合に応じて、変形労働時間制を活用することで、給与の控除なく、就業時間を調整しながら働くことができるようになったという声が聞かれる。
・2023年度には、約20人が従前の週5日勤務と異なる勤務形態を活用しており、活用者数の変動は今後もモニタリングしていきたい。
・また、ジョブディスクリプションの整備により、会社がどんな役割、成果を求め期待しているか、どう評価するかを明確にし、社員と会社の認識の共通化を図ることができ、勤務形態の差によらない公平な評価につながっている。

今後の展望

・変形労働時間制が導入されて勤務形態が変化した結果、労働者の選択肢が広がるとともに、特定の社員に業務が集中するという状況にも改善がみられたが、まだ不十分である。また、事前に業務予定を立てるうえで、余裕なく仕事を詰め込んだ予定を組んでしまうといったケースもみられ、仕事の再分配が会社としての検討課題となっている。
・2021年度上期に、制度改善のための従業員アンケートを実施したところ、働き方の選択肢が増えることについては全体的に賛同が得られた。一方で、要望としては、選択できる時間や日数のパターンを増やしたり、パターン制自体を廃止して自由に希望を作成させてほしいといった意見がみられたことを受けて、在宅勤務での時差出勤など、より柔軟な形態を選択できるような仕組みを検討している。
・また、部門ごとの上長が、従業員の業務予定管理、評価のための負荷を軽減する方法も、検討課題となっている。
・管理職の定例管理業務(勤怠管理等)の負担軽減、管理職の年次有給休暇取得目標の設定について検討中である。

(R7.3)

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