株式会社U-NEXT HOLDINGS
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
- ワークエンゲージメント
企業情報
| 企業名 |
株式会社U-NEXT HOLDINGS
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|---|---|
| 所在地 |
東京都
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| 社員数 |
5,418人
※グループ全体(非連結含) (時点:2024年8月) |
| 業種 |
情報通信業
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| 事業内容 |
コンテンツ配信、店舗・施設ソリューション、通信・エネルギー、金融・不動産・グローバル
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働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い
・2017年の経営統合に伴いグループのビジョン・ミッションを策定。これを実現するために社員一人ひとりの働き方が本質的にどうあるべきかを考え、働き方改革に着手した。経営統合の際に、性善説に基づいたマネジメントをすることに考え方を転換した。「管理しなければ社員は働かない」という思考から脱却し、社員を信頼し自由を与えて自律的に働いてもらうことで、膨大な管理コストも削減ができると考えた。
・そこで、「働く人たちにとっての正しい自由」をテーマとし、「働く時間と場所からの解放」を検討した。「正しい自由」とはあくまで成果を出すための自由であり、自分がどう働いたら最大の成果を出せるのかを個々が考え、その成果が評価されることでキャリア形成ができるサイクルを回すことを重視し、2018年より「かっこよく、働こう。」をスローガンとして、新人事プロジェクトである「Work Style Innovation」を推進した。「①既成概念にとらわれず、結果を出すための最適な方法を追求するため」「②時間・場所の概念を捨て、効率と結果を追求するため」「③イキイキとエネルギッシュに働けるコミュニティをつくるため」の3つを目的として、スーパーフレックスタイム制度、リモートワーク制度を2018年から導入し、併せて後述する「3R Program」により業務の効率化も図っていった。
・働き方改革の推進にあたっては、「働き方改革=マネジメント改革」と捉え、マネジメントが方針を理解し実行することが働き方改革であるとの考えの下、トップダウンでマネージャーを説得しながら進めていった。
主な取組内容
スーパーフレックスタイム制度による「時間」に縛られない働き方の推進
・2018年には、グループ全体の社員を対象に、コアタイムを設けないスーパーフレックスタイム制度を導入した。社員がより柔軟に生産性を高めながら働くためには、各々が自律的に働く時間を決めることが最適であると考えた。
・1か月の総時間数の枠の中で働く時間を調整し、成果を出すという考え方の下、「非稼働日」を設定することも可能にしており、結果的に週休を3日にすることもできる。週休3日にしている社員は多数派ではないが、仕事のペース配分や自身の生活スタイルを重視して、仕事の時間を調整している社員は多い。スケジュールはグループウェアのカレンダー機能で管理・共有している。
・なお、フレックスタイム制の導入に向けた検討の中で、コアタイムを設定するかどうかという議論があった。その際、代表が「導入するのであれば思い切った制度にしよう」と決断したことで、コアタイムのないスーパーフレックスタイム制度の導入に至った。この経験から、思い切った決断が功を奏すると感じている。
リモートワークの導入による「場所」に縛られない働き方の推進
・スーパーフレックスタイム制度と併せて、グループ全体の社員を対象に、リモートワーク制度も導入した。現実問題として、リモートワーク中のアイドルタイムの増加は、誰にでも起こり得ることであると考えている。一方で、在席状況のモニタリングは、社員の自律性に委ねるという本来的な意義と相反するため、実施しないこととした。実際に、2020年4月の緊急事態宣言発出の際には、全社員がリモートワークに移行したが、コミュニケーションの機会減少に加えて、通信環境や家庭環境(小さい子どもがいるなど)の事情等により、生産性の向上に工夫が必要となった。
・具体的には、デジタルツールやコミュニケーションツールの充実による生産性の向上を図った。PC、スマートフォンやチャットツールなど、これまでのオフラインでのコミュニケーションに代替する手段を効率的に活用することを重視し、全社員にノートPC・スマートフォンを支給するとともに、グループウェアを通じたコミュニケーションにより、どこにいても業務が進められるような環境を構築した。加えて、全ての部署を対象に、業務の見直しを指示し、無駄な業務を削減しつつ、必要な業務のクオリティは担保できる状態にした。
・2020年11月には、希望する社員がリモートワークをより活用しやすくするため、「Workers Location制度」を導入した。これは、原則週3日以上リモートワークをする社員を、会社が「Remote Worker」として認定する制度である。リモートワーク導入時、リモートワークができる仕事であるにもかかわらず、上司によって実施しやすさに差があるという課題があった。そこで、本人の希望により、リモートワークをする社員を会社が認定することで、上司の考え方を問わずリモートワークがしやすい環境を整えた。
・2025年現在も、「Workers Location制度」は継続している。出社・リモートワークの日数はあくまで目安であり、出社比率の変化に応じて認定区分を切り替えることができる。また、「Remote Worker」と「Office Worker」は、前者が通信環境や在宅勤務環境の整備のためのRemote Worker手当、後者が通勤手当を受け取る点にも違いがある。例えば「Office Worker」であった社員のリモートワーク比率が上昇した場合、通勤手当の支給をやめてRemote Worker手当の支給に切り替えるという手続きを行う。
・さらに、2022年以降は、「Full Remote Worker」、「Satellite Worker」という区分が追加された。「Full Remote Worker」は完全リモートワークの社員、「Satellite Worker」は所属部門の拠点とは異なる地域のオフィスに出社する社員である。「Satellite Worker」になると、例えば本社を拠点とする部署に所属する社員が遠方の実家で親族の介護をする必要がある場合に、実家の近くの自社のオフィスに勤務することができる。2025年現在、グループ全体の社員のうち、「Remote Worker」が20%程度、「Full Remote Worker」が3.5%程度を占めている。
リモートワークの課題への対応
・リモートワークが定着し、仕事の効率も上がってきた。会社としてリモートワークを推奨する一方で、コミュニケーションの量と質の担保は課題だと感じている。
・会社が出社を強制したり、出社頻度を指示したりするのではなく、フルリモートワークをしてもよいという前提のもと、コミュニケーションの取り方を各マネージャーの差配に任せている。例えば、コーポレート部門は他部署との連携が多く、迅速な対応が求められることがあるため、全員が同じタイミングで出社する必要はないが、誰か1人は出社している状況を維持しようと独自に工夫している部門もある。
・「Work Style Innovation」の、働く場所・時間に制限されず、自律的判断により各々に適した働き方をするという考えは変わっていないが、これまでの取組を振り返りながら何が最適な働き方かを模索している。
・コロナ禍の最中には、一時的に離職者が増加したこともあった。リモートワークで転職活動がしやすい環境であったこと、リモートワークに不慣れなマネージャーもいる中、社員間のコミュニケーションが不足してしまったことが原因の一つではないかと考えている。コロナ禍後に離職者は減少したが、コミュニケーションの質の担保は引き続き課題である。
・また、社員間のコミュニケーションは頻度が大切であると考え、1on1についても、1時間の1on1を月1回実施するよりも、20分程度でも良いので週1回程度実施しながら頻度を増やすことを大切にしたり、日常的に部下に声をかけることを習慣にしてほしいとマネージャーに伝えたりしている。
・近年は、社員一人一人の悩みが多様化しており、画一的な施策ではカバーしづらくなっていると感じている。そのため、メンター制度に力を入れようと考えている。短時間でも高頻度でコミュニケーションをとり、気にかけてもらえていると感じてもらい、その中で明らかになった問題について、1対1対応で解消するのがよいのではないかと考えている。
・また、社員間のコミュニケーション強化の施策として社内部活制度を開始した。グループ会社間や部署間で約20の部活が活動している。
・また、オフィス環境の整備も行っている。特に札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡などの比較的大規模で若手社員が集まる主要な拠点を中心にスタイリッシュなオフィス環境を整備している。一方で、新オフィスに移転し、フリーアドレスを導入した2017年よりも社員数が増加しており、オフィスの収容人数の上限が迫っている。現在は、小規模のオープンな会議スペースを新設するなどの工夫により席数を確保している。
「3R Program」による生産性の向上
・費用削減(Cost Reduction)、業務削減(Work Reduction)、時間削減(Time Reduction)による生産性向上を図る「3R Program」を2019年から推進した。無駄だと思っている業務等の削減について、社員が上司を通さずに直接意見できるようにし、出された意見について経営陣が廃止・改善・継続等の仕分けを行い、トップダウンで各部門に指示をする形で取り組んだ。「3R Program」のこれまでの応募総数は約335件にのぼる。コンテスト形式で実施し、受賞した際には賞金も用意していた。
・「3R Program」の提案内容は様々であり、電子化、ペーパーレス化の提案のほか、業務効率化のためのチームの立ち上げなど、推進体制に関わる提案もあった。メールの冒頭に「お疲れさまです」と書くのをやめようというものもあり、規模の大小を問わず様々な提案が出た。大規模な取組については、会社で方針や詳細を決め、それを事業会社に下ろす形で進めた。
・「3R Program」は、5回のコンテストが開催された後の2023年に廃止された。優れたアイデアが出なくなってきたり、似たようなアイデア増えてきたりと、内容が飽和してきていたことが理由である。当時、報酬水準の見直しや、シニア社員の活躍や女性活躍推進、若手抜擢、次世代幹部育成などの新たなテーマに注力するようになったこともあり、業務改善・効率化のテーマからこれらの新たなテーマにシフトしていった。
・少し期間を空けた2025年1月に、新規サービス・新規事業の提案、既存サービスのアップデートやピボット、ならびに業務改善に関するアイデアを募集するといった形で改めてコンテストを開催した。その結果、サービスアイデアは約250件、業務改善アイデアは約200件が集まった。現在も業務改善による生産性向上に向けた取り組みはグループ全体で継続している。
営業部門の働き方の見直し
・営業部門では従来の営業方法を改善しなければならないと感じ、働き方を見直した。現在は、テレマーケティング担当チームが見込み案件を収集した後で、直接販売の営業に引き継ぐなど、業務の本質を捉えたオペレーションの分業化も取り入れ、顧客アプローチの効率化が進んでいる。
・近年はAIなども活用しながら、業務改善を図っている。一方で、働き方の見直しを進める中でも、やりがいを維持することが重要だと考えている。
取組の成果・展望
【時間外労働時間】
<2024年8月期>(月平均)14.3時間
【年次有給休暇取得率】
<2024年8月期>年間取得率:54.5%
・スーパーフレックスタイム制度の導入により、意識と行動が劇的に変わった社員が多い。効率的に働く、時間内にパフォーマンスを出し切るという意識と行動が浸透し、取組を続ける中で残業時間は減少した。スーパーフレックスタイム制度の導入前は、短時間勤務を選択するしかなかった社員も、16時に退社して保育園に子どもを迎えに行き、必要であれば育児をした後にリモートで働くことも可能になったため、フルタイムで勤務できるようになった。また、急な病気や学校行事の際にも、勤務途中でリモートワークに切り替えることができるなど、ライフステージや生活環境に応じてリモートワークを選択できることに対する社員の満足度は非常に高い。顧客訪問後に事務所に戻らなくても仕事ができるようになったことから、営業職社員の満足度も向上している。
・マネジメント層においては、スーパーフレックスタイム制度やリモートワーク制度の導入により、部下が目の前にいない状況下でマネジメントを求められることになったため、当初は戸惑いも大きかった。しかし、社員の意識と行動が変わる中、マネジメント層も新たなマネジメントの在り方を模索するようになり、意識やマネジメントの変革を実現することができた。
・これらの制度は採用活動におけるアピール効果も非常に高く、特に新卒の学生は、スーパーフレックスタイム制度やリモートワーク制度に対する関心が非常に高い。
・このほか、業務効率化の一環で承認プロセスを極めて簡略化することで、業務の実施スピードが速くなったり、平均在席率が7割を下回っていることでオフィスコストが削減されたりする等、管理コストも大きく削減できている。
・働く環境を整備することで、生産性や業務効率が向上したからこそ、現在も取組を継続している。会社には、やり切る意思と実行力が必要であり、それこそが働き方改革推進のポイントであると考えている。今後も、社員がどう考えるか、何を望むかを把握しつつ、望む選択肢に適合する制度を増やしていくことを構想している。正しい自由を社員が享受することで、会社全体の生産性が向上することも目指し、働き方の選択肢も多様化していきたいと考えている。