損害保険ジャパン株式会社
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
- ワークエンゲージメント
企業情報
| 企業名 |
損害保険ジャパン株式会社
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|---|---|
| 所在地 |
東京都
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| 社員数 |
20,767人
(時点:2024年4月) |
| 業種 |
金融業、保険業
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| 事業内容 |
損害保険事業
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働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い
・少子高齢化による国内のマーケットの縮小を見据え、海外に目を向けるにあたり、グローバルプレーヤーに伍して戦える保険会社を目指し、多様な人材が能力を最大限に発揮するために、時間や場所にとらわれない生産性の高い働き方を実現できるよう、ワークスタイルイノベーション(働き方改革)の取組を推進している。
・働き方改革を始めた2015年は、合併直後であり、働き方についても両社の良いところを集めて取り組んでいくという根本の思想があった。現在は、さらに生産性高く働き、お客さまや代理店から「損保ジャパンでよかった。SOMPOでよかった。」と言っていただけるようなアウトプットを出していくことを目指している。
主な取組内容
ゼロベースの仕事の棚卸
・全社をあげた業務の見直しを、「ゼロベースの仕事の棚卸」として2018年から2021年にかけて複数回実施した。「お客さま重視・現場主義」「一律・前例踏襲の打破」の視点で、経営企画部と業務改革推進部を中心に、トップダウンで進めたものである。本社部門は、ルールの廃止・見直しや新たなシステム・ツールの提供、行動変革につながる仕組みの構築など、部門横断で改革を行った。また、営業部門・保険金サービス部門では、独自ルールや代理店・お客さま対応方法の見直し、情報共有による業務効率アップなど、職場でできる対策を実行した。
・業務の見直しにあたっては、各部門で業務を洗い出したうえで、見直しが可能かどうか、いつであれば見直しができるか、阻害要因は何かを聞き、優先順位を付けた。結果として、多くの業務の見直しが進んだ。見直しが進んだ背景としては、システムの導入・活用ができたことが大きかった。経費処理システムの導入や、オンライン会議システムの導入、決裁ルールの簡素化のほか、ファイルの共同編集が可能なツールの導入も行った。
・「他部署の影響で自部署の業務が削減されない」といった課題については、該当部署に内容を共有し、その部署におけるルールや業務は今すぐに止められるものなのか、システムにより長期的に変えていけるのか、あるいは法定要件により止められないものなのか、といった点を話し合いながら見直しを進めた。
・当時、613件の見直し対象業務があり、そのうち見送りや一部実施にとどまった業務は45件のみであった。45件の中には、社外宛ファイル送付時のパスワード設定のように、セキュリティ上致し方ないものもあったが、オンライン会議システムや経費システム導入等により解決できた業務もある。棚卸し後の残存業務は、お客さま対応上必要なものだと考えており、それらをいかに効率化できるかが、今後のポイントである。
・なお、以前にはゼロベースの仕事の棚卸から派生して、会議を30分以内にするルールや、経営会議の資料を2ページや4ページ以内にまとめるというルールを徹底していたこともあった。資料の分量が多くなるほど読む人の時間を奪い、作成者の労力も増えるため、資料のページ数を制限することで、簡潔にポイントを理解しやすくするというのが当時のコンセプトであった。しかし、資料を短くすることが目的化してしまうと、言葉足らずで分かりにくい資料になってしまったり、そぎ落とすべきでない情報を削除してしまい、ミスリーディングにつながったりすることもあった。また、作成者も、短くかつ誤解のない資料にするために、より時間がかかってしまうことがあった。現在は、目的に照らし合わせて最適な手段をとることを目指し、会議時間や資料について特段の制限や徹底は行わず、簡潔にしていこうと呼びかけている。
更なる生産性向上に向けたテクノロジーの活用
・お客さまからのお問い合わせは、電話対応を主とし、オペレーターが対応することを当社の伝統としてきたが、お客さまが求めているのはオペレーターとの会話ではなく、ご自身が抱えている疑問や不満の解消であることに着目し、IVR(音声自動応答システム)を導入した。当社の窓口には、本来は代理店が対応するほうが望ましい内容についてのご連絡やお問合せが来ることも多い。かつては当社のオペレーターが受け、他部署を通じて代理店につなぎ手続きを案内するなど、お客さまをお待たせし、当社としても手間がかかっていたところ、IVRの導入により、しかるべき問合せ先にすぐにつながるようになった。
・さらに、当社ではこれまで、保険について誤った説明をしてはいけないという思いが強く、生成AIの活用は慎重に考えてきた。AIの精度の向上を受けて、代理店からの問い合わせに対して生成AIを活用してクイックに回答するというトライアルを実施したところ、上手く行ったため、社員の確認を前提としつつも、2025年に生成AIを活用した照会回答システムの全国展開を開始し、従来に比べ効率的かつ迅速に問合せへの回答を行っている。
働く場所についての考え方の共有
・生産性の高い働き方は必ずしもオフィスでなくてもできるのではないかという仮説に基づき、2014年にテレワークを導入した。利用対象者および1か月の利用回数に制限を設けず、「いつでも・どこでも」社員が柔軟な働き方を選択できるようにしていたが、当初は利用者が少なく、管理職に月1回テレワークをしてもらったこともある。管理職が職場にいなければ問題が生じるという意見も多かったが、トライアルを実施したことで、そのようなことはないと示せた。介護や育児があり、ワーク・ライフ・バランスの観点でテレワークのほうが効率よく働けるという社員もいれば、オフィスでは気が散ってしまうため、テレワークがよいという社員もおり、テレワークが活用されるようになった。
・また、テレワークの形態の1つとして、移動中や外出先等におけるすきま時間の有効活用を目的としてモバイルワークも推進した。2016年にはBYOD(Bring Your Own Device)を導入し、社員が自身のスマートフォンでメール、スケジュール、社内向けの動画視聴等を可能としていたが、通信料が社員の負担になるため、2022年に廃止した。営業担当者にはスマートフォンを貸与し、営業活動に役立つさまざまなアプリを使用できる環境を整えている。
・コロナ禍では感染を抑えるため、出社率を3割までとし、オフィスも本社勤務者の7割しか席がない設計にした。テレワークの制度は整っていたが、Web会議システムや電子署名を導入したり、全社員にスマートフォンを貸与したりと、テレワークでも仕事が回るような仕組み作りを加速させた。コロナ禍後の2023年には、郵便物の仕分けのために出社する必要がなくなるように、一部の部門において、郵便物BPOを開始した。
・コロナ禍が収束した後もテレワークを続ける中で、プライベートの充実や心身の健康向上などの効果もみられたが、出社する人と出社しない人の間での不公平感や、お客さま対応上の支障、コミュニケーションの難しさといった面での課題もみられるようになった。例えば、アウトプットを出すためには出社のほうが望ましい場合でも、育児や介護を理由としてテレワークしている人がいると、周囲のメンバーに「なぜあの人ばかりテレワークをしているのだろう」、「アウトプットが見えない」といった不満が生じることもあった。
・そこで、会社として、場面ごとに出社かリモートワークのどちらが望ましいか、といった考え方を整理し、2025年に社内向けの指針「SOMPOの働き方・働く場所の原則」として打ち出した。
・考え方として、単純に出社に揺り戻すということではなく、その価値を考え直すことが重要だと考えている。「テレワークのほうが楽だから」、「出社のほうが都合がよいから」という個人の都合ではなく、「お客さまの立場で考え、何が最適か」を職場単位で考えていこうとしている。例えば、お客さまからの事故のご連絡が多い月曜日に、保険金支払い部門で多くの社員がテレワークすると、適切な受電や、お客さまのお困りごとに対するエスカレーション対応が難しくなるため、出社のほうが適切かもしれない。それぞれの働き方の特徴を考えて組み合わせてほしいというメッセージである。社員一人ひとりがテレワークと出社の意義を改めて考え、行動することを促し、職場単位でのコミュニケーションを推奨している。
シフト勤務制度
・全職場で、個人別・労働日単位でシフト勤務を可能としており、22種類のパターンから、日毎に勤務時間帯を選ぶことができる。育児・介護等の事由がなくても利用可能である。例えば、「明日は7時~15時のシフトにします」と申告し、上長が了承すればよい。
・30分刻みのパターンから選択でき、勤怠登録上もシステムで選択するだけで反映されるため利用しやすく、育児や介護抱える社員等に対しても両立支援を目指した柔軟な働き方の後押しとなっている。
休暇取得推進の取組
・年次有給休暇について、特別連続休暇(年5日)、指定休暇(年5日)、法定必須休暇(年5日)の計15日を取得必須の休暇として案内している。15日を必須とすることは、労働協約で定められており、取得の時期やタイミングは各社員に委ねている。法定必須休暇は働き方改革関連法を受けて2019年度から設けたものである。この取組により、年次有給休暇取得率は82%となっている。
取組の成果・展望
【法定外労働時間の推移】
<2019年度>(月平均)10.1時間
<2024年度>(月平均)10.3時間
・社員数が減少しているが、過度に法定外労働時間数が増えることなく、生産性が高い働き方ができている。
【年次有給休暇取得率の推移】
<2019年度>年間平均取得率:64.4%
<2024年度>年間平均取得率:82.0%
取組の成果
・AIの活用について、事故に遭ったお客さまから送られた写真をAIで査定できるようになったことで、簡易的に処理できるものは迅速に支払い手続きに回すことができ、しっかり対応すべきことに時間を割けるようになった。そうすることで、また、お客さまをお待たせしていた場面でも、素早く対応できるようになった。生産性を向上させることで、より付加価値の高いサービスの提供につながっている。
・人手不足と言われる中、人手不足だからこそ働き方改革をして生産性を向上していかなければならないと考えている。当社としては、お客さまに適切にサービスを提供することを重視しており、それに資する生産性の向上や、必要な要員の確保が重要だと考えている。
今後の展望
・今後は、自律的な働き方を進めつつ、会社がマネジメントすべきところとのバランスを図ることが重要になると考えている。フレックスタイム制の導入などを通じて、時間にこだわった働き方改革に注力していきたい。
・また、労働時間に見合うアウトプットを求める方向に舵を切っており、アウトプットをしっかり出せるのであれば労働時間は短いほうがよいと考えて、より生産性を高められるよう、AIの活用に注力を始めている。
・AIの活用により対応の標準化が可能になっているが、それを上回る対応を志向する社員にとっては、真にお客さまに寄り添った対応なのかと悩むことがあるかもしれない。多くのお客さまに適切なサービスを提供し続けることが大切であると考え、社員ともコミュニケーションをとりながら取組を進めていく。