テクノス三原株式会社
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
- ワークエンゲージメント
企業情報
| 企業名 |
テクノス三原株式会社
|
|---|---|
| 所在地 |
広島県
|
| 社員数 |
154人
(時点:2025年4月) |
| 業種 |
学術研究、専門・技術サービス業
|
| 事業内容 |
非破壊検査、船体板厚計測、超音波ハッチカバー気密テスト、消防設備関連整備事業、救命艇、進水装置および負荷リリースギアーの定期的点検、鋼・コンクリート構造物調査業務、各種図面製作・加工
|
働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い
・働き方改革に取り組む以前は、特定の資格を有する専門職や技術職の労働時間が長くなる傾向にあった。また、船舶の非破壊検査という業務の性質上、寄港中に検査を行うなど、顧客からの要請に応じて労働時間が長くなりやすかった。
・働き方改革に取り組んだきっかけは、社長が「人口オーナス期」という考え方を知ったことである。投下した労働時間に応じて利益が得られるというモデルから転換する必要性を認識し、中小企業として採用・育成の問題に対応していくうえでも、自社の働き方を見直す必要性があるとの課題意識を持った。
主な取組内容
働き方改革に関する方針・推進体制
・2018年7月より働き方改革に取り組んでいる。当初は、多能工化の推進、働き方改革によって削減された残業時間分の給与を還元すること、全社員が5日間の連続休暇(土日を含む)を取得することから取り組んだ。
・前年と比べて削減された残業時間については、生産性向上の指標と捉えている。また、全社員対象に特別手当や賞与で還元した。なお、残業時間を削減した個人ごとに還元するのではなく、全社員に一定額を還元する形式とし、全社的に取組を進めるようにした。
・働き方・休み方改革を推進するにあたり、社長が社員全員に対して、取組を通じて達成したい目標を発信した。社長が本気で取り組むのだという姿勢を示したことが、取組を進めるうえで有効だった。なお、実現に向けての具体的な取組は、各部門やチームで主体的に検討することとした。
・「働き方改革実行委員会」を設置し、年度ごとの取組目標を定めている。毎月の定例会議にはグループ長も参加し、成果実績の報告や結果の分析を行った。他部門の取組や進捗状況を把握することで、自部門の反省につなげることもできた。
・また、職場単位の小規模な改善活動のため、部門横断的な「横串委員会」を設置している。職場環境の整備や部門間の問題の共有、情報伝達等を行っている。
・さらに、2019年度より「改善チーム」を設置。改善してほしい事案の吸い上げや、社内において問題がないかの協議・検討を行っている。
導入している休暇関連の制度及び取組内容
・5日間の連続休暇(土日を含む)取得をルールとしたうえで、取組にあたった。具体的には、部門やチームで「連続休暇取得予定表」を作成し、人員の調整を図っている。
・さらに、社員に対しては年次有給休暇の取得状況を毎月通知し、休暇取得を促している。
・取組以前は、「休暇を取得しづらい」風土があった。そこで、連続休暇中に「面白い過ごし方」をした人を表彰するようにし、風土改善に取り組んだ。
休暇取得促進に係る課題及び改善に向けた工夫
・ベテラン層の中には、働き方・休み方改革に理解を示さない社員もいた。個別に丁寧な説明をするだけでなく、削減された残業時間分の給与を還元する、連続休暇の取得を促すといった取組をしたことで、会社側が本気で取り組んでいるのだと伝わり、徐々に理解を広めていくことができた。
・特別休暇として慶弔休暇を取得できる。また、子の看護等休暇については、子が小学校4年生になるまで、一人あたり年間7日まで取得することができる。
社員の休暇の質を高める取組
・上記の「連続休暇取得予定表」を作成することで、部門やチーム内で業務を調整できるようにしている。
多能工化の推進、人材育成
・多能工化の推進のため、個人の力量や、事業所ごとの業務量の把握、スキル教育などを行った。具体的には、技術職一人ひとりが検査スキルの強化項目を設定する、業務マニュアルの見直しを通じて作業効率化を図る、実務を通じて継承を図っていた専門技術について文書化し、教育・引継ぎに活用できるようにするなどの取組を行った。また、「業務内容評価表」によって作業別の習熟度を把握し、技術習得を促すだけでなく、人事考課表や個別面談を通じた意識改革を促すことにも留意した。
・人材育成を進めるため、管理職の評価において、加点評価の一つとして部下の昇格者割合を設け、評価に加味している。
働きがい改革定例会、インナーブランディング活動会
・働き方・休み方改革をより根付かせるために、単なる制度面の整備にとどまらず、社員一人ひとりの価値観や行動を経営理念の方向性へ揃えることに注力している。その一環として、月1回の「働きがい改革定例会」と「インナーブランディング活動会」を設置し、全社横断で議論と振り返りを行う場を継続的に運営している。
・この定例会では、経営理念である
「私達は仕事を通じてみずから成長し、社員と社員の見えない家族を守り、お客様からの期待を信頼に変え、企業の発展で社会に貢献します。」
を中心に置き、「お客様からの期待を信頼に変えるための働き方」「社員とその家族を守るための休み方」について部門を横断して議論。社員自身が自らの業務と理念を結びつけて考えることで、制度改革と意識改革を両輪で進めている。
・さらに、インナーブランディング活動として「気持ちの良い挨拶」「清潔な身だしなみ」といった日常の行動習慣を全員で確認・実践する取組を継続中である。これにより、休暇制度や残業削減策を「単なるルール」ではなく、「会社全体の価値観に基づく行動」として捉える文化の定着を目指している。
・これらの取組を通じ、社員からは「理念が身近になり、休暇を取ることや業務改善の提案がしやすくなった」との声が上がっており、働き方改革を“現場発”で進める風土の醸成につながっている。
取組の成果・展望
労働時間や生産性における効果
・働き方改革に取り組んでからは、多能工化やチームでの業務対応を行うようになったことで、仕事の属人化が解消され、労働時間は短縮されてきている。
・時間あたりの生産性(限界利益÷(総工数×8時間))は昨年対比113.6%に改善した。
休暇取得促進による効果(職場における変化や、社員満足度への貢献等)
・働き方改革に取り組む以前は、特定の社員に業務負荷が偏ることや、顧客対応に伴う休日出勤が多くみられた。取組開始後は、連続休暇取得等を推進したことで、年次有給休暇の取得率は向上している。
・2018年度以降、年次有給休暇が残っている社員全員が、5日間の連続休暇(土日を含む)を取得することができている。
・従業員満足度が向上した。
・社員の主体性が増した。権限委譲を進めたことも奏功している。なお、権限委譲によって社員が委縮しないようにするため、責任の所在は社員に求めないようにしている。
今後の展望
・介護や病気などの事情を経ても、職場復帰できるような態勢を整えたいと考えている。最終的には、定年退職時に「この会社で働いてよかった」と思えるような職場としていきたい。
・ITの活用等、作業効率化をいっそう推進していく。業務プロセスを見直すことが優先であり、その中で人間が労力をかけなくても良いものがあれば、ITの活用等で対応していくことになる。
・土日を含めて9日間の連続休暇を取得できるよう、取組を進めていく予定である。