TOPPANグループ
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
- ワークエンゲージメント
企業情報
| 企業名 |
TOPPANグループ
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|---|---|
| 所在地 |
東京都
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| 社員数 |
13,735人(準従業員、パート含む)(2025年11月現在)
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| 業種 |
製造業
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取組事例
| 取組の目的 |
○働きがいの把握や向上施策を開始したきっかけ・目的
・TOPPANグループとしては、前身となる凸版印刷時代より、「人を大切にする経営」を継続して企業経営の中核にしてきた。2025年で創業126年となるが、創業以来一貫してそのような経営を進めてきている。 ・「創造力」と「想像力」は人によって生まれるものであり、価値の源泉と考えている。人を大事にすることは企業の価値に直結し、かつ、人的資本経営とも連動している。 ・人への投資のなかでも、働きがいを向上することは企業成長に不可欠という認識で取組を進めている。 ○働きがい(エンゲージメント)に関する指標活用の有無、当該指標を活用する理由 ・2021年からエンゲージメントサーベイを開始。「期待値」と「実感値」の差の大きさで課題を特定することと、翌年度の改善状況を把握してPDCAサイクルを回すことを目的に、外部ツールを導入した。 ・エンゲージメントサーベイの結果は、毎年経営会議で報告している。部門別の結果を示すことで、「なぜ自部門は低いのか」と役員層が本腰を入れるようになるため、役員のコミットを促す意味で重要であると考えている。 ・期待値と実感値のギャップが大きいのはキャリアや目標設定、職の魅力等の項目である。 ・サーベイの結果は部門に持ち帰って従業員と共有する機会もある。組織別のレポートは各事業部に落とし込んだ詳細なものを作成し、各部門に提供しており、部門別の詳細の結果を踏まえて各事業部が施策につなげている。各事業部のどの職層に課題があるのかわかるようにヒートマップを作りこんでいるので、事業部ごとに追加の独自分析や施策検討を行っている。アクションプランの提出等は事業部制を敷いていることもあって本社に対しては求めておらず、各事業部門にある総務部が取りまとめている。 ・2025年からはグローバル対応のため、海外現地法人を含むTOPPANグループ全体で別のサーベイに切り替えた。ヒアリング実施時点では第1回の実査中にあたる。(詳細後述) |
|---|---|
| 取組の概要 |
○働きがい向上のための取組として実施する内容
<働きがい向上のための取組の体系化> ・2023年に、従業員のウェルビーイングと会社の価値創造が連動して向上していく「価値創造を創出する人財の好循環サイクル」を目指す姿として定義。これを実現するための要素として「挑戦するカルチャーの醸成」を位置づけ、具体的な取組として大別して①挑戦できる風土・環境、②多様性のある人財/多様な働き方、③安心安全な職場環境の3種類を実施する、という取組の体系化を行った。 ・当時の人事労政本部側の課題意識として、従業員の働き方や働きがいに関する取組を多数行っているものの、それが従業員に十分にリーチできていないということと、制度趣旨が適切に伝わっていないということがあった。ストーリー立てて体系的に示すことで、取組に関する会社の意図を従業員に伝え、理解してもらいたいと考えた。 ・なお、「挑戦するカルチャーの醸成」については、サーベイで数値が低い項目に着目したというよりは、自社のおかれている外部環境に出発点がある。凸版印刷時代からの中核事業であった「紙への印刷」が市場として縮小していくなかで、新しい事業への挑戦を促していきたいという気持ちもあり、重要な点として位置づけた。 <①挑戦できる風土・環境に関する取組> ・キャリア自律の推進により社内における自己実現を追求する環境を整備するというねらいのもと、チャレンジングジョブ制度、お仕事図鑑、ジョブチャレンジ制度を実施している。このキャリアに関する施策は、エンゲージメントサーベイで期待値と実感値の乖離が大きかった「キャリア」「目標設定」「職の魅力」に関する取組でもある。 ・取組を始めた背景として、若手の退職時に退職理由を聞くと「やりたい仕事があり、その仕事がある会社に転職することにした」と言われるが、実はその仕事は自社でも可能である、ということが何度もあった。社外には求人情報を通して仕事内容を伝えているが、社内には伝わっていなかったということである。 ・そこで、「お仕事図鑑」を作成・運用開始した。これは社内向けの求人票のイメージであり、自社で選択しうる「キャリア」を見せることにつながっている。お仕事図鑑でオープンにされている社内求人に対して応募でき、合格すれば応募した部署に異動できるのが「ジョブチャレンジ制度」である。 ・お仕事図鑑の個別の作成については、人事労政本部は関与していない。記載項目は人事労政本部で指定するが、部門長や同僚からのメッセージ、個別の仕事内容に関する記載は各部署に任せている。そのため、作成部署では資料を駆使して従業員に「いかにふりむいてもらうか」という発想で作ってもらっている。人財の確保に直結するため、各部署で努力して作成されている。 ・ジョブチャレンジ制度も人事労政本部は運用には関与しておらず、応募は従業員起点であり、面接は募集部署にて実施される。例えば10人応募したら、その10人との面接は募集した部署が直接行い、人事労政本部には誰が異動することになったか、という結果の報告だけがなされる。該当する合格者は報告が来たところで合格先の部署への異動が決定する。なお、平均して1ポストに5人程度の応募がある。 ・お仕事図鑑では毎期150人程度の募集はあるが、実際に異動が成立するのは100人程度に留まっている。募集可能なポジションは社長が指定した「重点成長事業」のみに限定しており、求人としてハイレベルな人材が募集されることが多く、募集された人財要件を満たすのが難しいことが作用している。次年度以降は重点成長事業以外にも対象を広げることを予定している。 ・ジョブチャレンジ制度に応募して合格しなかった人へのアクション(フィードバック)は実施の有無含めて募集部署に委ねている。一方で、エントリーに関する制限はないため、何回も応募することも可能である。 <②多様性のある人財/多様な働き方に関する取組> ・DE&Iの推進と多様な働き方の実現を両輪として取組を進めている。 ・女性活躍推進も進めており、「Torch Light」と社内で呼ぶ女性管理職育成プログラムも開始した。 ・仕事と育児・介護の両立支援として育児休業の拡充や介護に関する支援を強化したほか、働き方に関する勤務制度を拡充。スマートワーク制度と呼ばれる、コアタイムなしで、1日最短3時間、中抜け可能なフレックスタイム勤務制度を導入して、柔軟な働き方を実現できるようにしている。勤務場所についても、オフィス改革を実施して、「どこでも働ける」を実現した。 <③安全・安心な職場環境に関する取組> ・大きく労働安全衛生、健康経営と、職場における心理的な安全性の実現に取り組んでいる。健康経営、安全衛生の強化(労災ゼロを目指して安全道場という場を設定)、従業員コンディションの向上に向けた取組を進めているほか、マネジメント力の向上に取り組んでいる。 ・マネジメント力の向上については、心理的安全性の確保の観点で部下を持つ課長を対象に「対話力向上ワークショップ」を行っている。また、管理職に対する360度評価を実施しており、結果は管理職本人にフィードバックしている。 <2025年以降のエンゲージメントサーベイについて> ・2025年からはグローバル対応のため、海外現地法人を含むTOPPANグループ全体で別のサーベイに切り替えた。ヒアリング実施時点では第1回の実査中にあたる。選定の際は、言語対応の範囲の広さ、集計ダッシュボードの便利さ、ユーザーサポートの手厚さの3点を評価して選定した。設問は25問が固定であり、5問程度各拠点で自由に追加できる。 ・現在のツールを利用することとした大きな理由として、調査後に組織長がダッシュボード上で自部署の課題を明確に把握でき、それに対して自部署がどう取り組むかを入力できる設計になっている点がある。事務局は各部署が入力した取組の内容と進捗を把握することができる。このダッシュボードを活用することで、事務局である人事労政本部側で、「どの部署が、どのような課題に対して、どのような施策を打ったか」を把握することができる点が今後の施策との関係で有用と判断した。 <エンゲージメント以外のアンケート> ・エンゲージメントサーベイとは別に、人財開発に関するアンケートも2012年から実施しており、100頁超のレポートを経営会議に提示している。12,000人程度が対象で9割程度の回答率がある。人事労政本部にある人財開発センターが担当しており、10人程度が対応している。 ○働きがい向上のための取組の設計・運用にあたり苦労した点や、その克服に向けて行った工夫 ・ジョブチャレンジ制度については、制度の設計上、どうしても「人を獲得する部署」「人をとられる部署」が生まれてしまうが、社内に対しては「当該合格者が退職するよりは、社内に留まるほうがよい」という説明をしている。また、お仕事図鑑に掲載される募集職種は社長決裁のため、「社長がこの求人で社内募集しても良い」と判断していることも、社内で納得を得やすくすることにつながっていると考えられる。 |
| 現状とこれまでの取組の効果 |
○働きがいに関する施策の導入による効果
・エンゲージメントサーベイで「キャリア」の項目の実感値は上昇傾向にある。その観点で、お仕事図鑑やジョブチャレンジ制度によるキャリア自律推進が、ある程度エンゲージメントに寄与していると考えられる。 |
(R7.11)