東宝株式会社

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企業情報

東宝株式会社
企業名
東宝株式会社
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所在地
東京都
社員数
680人(社外出向、契約社員含む)(2025年9月時点)
業種
サービス業

取組事例

取組の目的
○自社で実施する働きがい(エンゲージメント)に関する取組の経緯
・2021年7月から「Eサーベイ」というエンゲージメントサーベイを実施している。
・月に一度、パルスサーベイの形式で実施しており、設問数(1回16問)を抑えるなど回答者の負荷に配慮した形で実施している。

○働きがいの把握や向上施策を開始したきっかけ・目的
・2019年11月に、人事部内の若手従業員が開催していた情報交換会の中で「エンゲージメント」について勉強し、それ以来社内でエンゲージメントについての研究は実施していた。エンゲージメントサーベイ導入の本格的な検討が開始するきっかけとなったのは、2020年3月のコロナ禍である。
・不要不急の外出自粛や、映画館・劇場の感染対策に配慮した運営などにより、これまで経験したことのない経営上の負のインパクトが生じた。また、在宅勤務など働き方も大きく変化を強いられる中で、「仕事ができない、進まない」といった閉塞感から、会社の雰囲気が「東宝は大丈夫なのか?」といった不安や焦燥感に飲み込まれていた。
・そうした状況下で、現場から「人事部は何もしてくれない」といった声が上がり、人事部として閉塞感の打破のために何か施策を打たなければならないと感じていた。
・人事部の若手従業員が、人事部内でエンゲージメントサーベイの導入を提案したところ、管理職から好反応が返ってきた。そこで、正式にサーベイ導入を経営層に上申すべく検討を開始した。

○働きがい(エンゲージメント)に関する指標活用の有無、当該指標を活用する理由
・民間のエンゲージメントサーベイツールを活用し、同社が提供する測定項目に沿って分析している。導入当初は「挑戦する風土」についてのスコアが全社的に低いことが判明したが、改善策を展開した結果、現在では大きく改善している。
・ワークエンゲージメント、従業員エンゲージメントの双方を測定し、両者の傾向や改善策などを検討している。
取組の概要
○働きがい向上のための取組として実施する内容
<サーベイの導入まで>
・コロナ禍をきっかけに2020年7月からエンゲージメントサーベイの導入に向けて取組を開始。同年10月には、サーベイ事業者と打ち合わせを実施し、11月に経営層に導入を提案した。閉塞的な会社の雰囲気を打破するためには「働きがい」の現状を把握することが欠かせず、そのためにはサーベイを実施し、実態を定量的に把握の上、施策を展開していくことが重要であると提案した。
・働きがいの把握には従業員との1on1など、他の方法もあることは承知していたが、これまで社内アンケート等により定量的に働きがいの把握をしたことがなかったこと、普段従業員同士の関係が密だからこそ、対面では言いにくいことでも匿名アンケートなら本音を「言える化」「見える化」できると考えたことから、サーベイの導入を進めることに決定した。
・2020年11月に経営層に上申したが、「すでに労働組合で従業員の声を集約しているのに、新たに会社がサーベイを実施する意味はあるのか」「匿名のアンケートでは、一方的に会社への不満を言われてしまうのでは」「そもそも従業員の声は人事が足を使って集約するべきなのでは」との指摘が上がり、一度見送りとなった。
・一方で、同時期に経営層が健康経営について関心を示していたことから、2回目の上申ではこころの健康やメンタルヘルスとエンゲージメントは密接に関連しており、健康経営にも欠かせない取組であること、また会社が厳しい状況の中でサーベイを実施するということ自体が、「会社は従業員と対話しようとしている」というメッセージを伝えることになるということを伝え、説得した。2021年2月には社長の承認を得て、本格的に実施に向けて動き出した。

<サーベイの実施>
・導入に先立ち、2021年6月に全従業員に向けて、サーベイを実施する目的、匿名運用で実施する旨などを説明する説明会を複数回実施した。サーベイ事業者からも従業員の理解と納得を得て進めるために、丁寧な説明は重要だと伝えられていた。
・2021年7月から、人事部を中心としたEサーベイ事務局で「Eサーベイ」を毎月実施している。導入初年度は、会社の現状を把握するべくデータの収集に注力し、Eサーベイ事務局が各部署にヒアリングを実施してスコアの要因を探索した。事務局から人事部長・次長が、各部門長宛にスコア報告を実施していた。
・1年間実施したタイミングで「1年検証レポート」をサーベイ事業者とともに作成し、経営層に報告した。役員からは、スコアは従業員が感じていることが率直に表れることや、正直に答えてくれていることについて、驚きの声や評価する声が上がった。
・また、2022年の6月には同社の人材戦略内で「エンゲージメントを高める環境の整備」が掲げられた。これは社内の取組に加えて、世間でエンゲージメントや人的資本経営が注目を集めるようになったことが要因である。
・2年目以降は現場へのスコア開示と対話を重視し、まず2022年8月に1年検証レポートに経営層からのコメントを付したレポートを全社に開示した。
・従業員に対して、自分たちの声は適切に経営層まで届けられている、会社は動こうとしているという対話の姿勢を示すことができ、従業員側にもリアリティを感じてもらえる良いきっかけになった。
・2022年11月からは現場の管理職も自身が管理する組織のスコアを確認することができるようにした。現場主導で対話をし、改善施策を展開するよう呼びかけている。スコアの分析方法がわからない、取組を進めてもスコア改善になかなかつながらないなどの場合に、Eサーベイ事務局が他部署の好事例を紹介するなど、伴走支援を行っている。
・従業員の声を可視化することを重要視していたため、他社スコアとの比較は検討したことがない。また、導入時の背景などから、一方的に従業員が不満を吐き出すツールとして位置づけたくないとの思いから、自由記述欄は使用していない。
・実施に当たっては、スコアの上がり下がりにとらわれ成績表的な扱いとするのではなく、従業員の本音が収集できる環境を整え、トライ&エラーで施策を展開していきたいと考えていた。スコアは、その時点での組織の状態を示していると捉え、数値の背景に何があるのかを現場と共に検討することに主眼を置いている。

<チャレンジアワード>
・Eサーベイの結果、「挑戦する風土」のスコアが低いことが判明した。ちょうどそのタイミングで現社長が就任し、こまめに「チャレンジ」を推奨するメッセージを発信していた。そうした背景のなかで、全社で挑戦することを承認し、称賛し合うために2023年から「TOHO CHALLENGE AWARD」を実施している。各部門より選出されたエントリーから、社長・副社長による審査と従業員投票を経て受賞チャレンジを選出している。従業員の小さな挑戦にも光を当て、挑戦する風土の醸成を進めている。

○働きがい向上のための取組にあたる体制の構築(担当部署や関係者の巻き込み)
・エンゲージメントサーベイの導入については、人事部の若手従業員が主導となりボトムアップで進めた。一方で、2022年にエンゲージメントに全社で取り組むことを決定してからは「現場・人事・経営」の三位一体で取組を進めていくことを統合報告書にも記載し、横断的に取り組んでいる。

○働きがい向上のための取組の設計・運用にあたり苦労した点や、その克服に向けて行った工夫
・最初に経営層に提案した際には一度却下されてしまったが、導入を検討していたサーベイ事業者とも相談しつつ、当時経営層が関心を示していた健康経営などの文脈で導入許可を得た。
・その後は、当時反対した役員は、今ではエンゲージメントサーベイを導入して本当に良かったと発言するなど、適切にレポートの報告などを実施することで、経営層もサーベイの意義を理解してくれている。
・経営層が健康経営に関心を示した背景は、長時間労働になりがちな業務が社内に多くある中で、「健康経営優良法人」の認定を目指し、社内状況を改善しようとしたという点である。
現状とこれまでの取組の効果
○働きがいに関する施策の導入による効果
・サーベイ開始時に課題を抱えていた「挑戦する風土」については4年間で10ポイントスコアが改善した。ポイント上昇との関係では、各職場での取り組みに加え、前述のTOHO CHALLENGE AWARDや社長によるチャレンジの推進メッセージは効果的だったのではないかと考える。
・ある部署で、サーベイ結果を分析して課題を特定し、改善に向け取り組んだところ、劇的にスコアが上がった。明らかに部署の雰囲気も変わり、「実際に雰囲気を変えることができるんだ」という実感を事務局も現場の従業員も持つことができた。
・これまで「できて当たり前」というスタンスでそこまで褒めることが多くない社風だった気がするが、気軽に「いいね」と褒めあう社風に変化してきているように感じている。
(R7.10)

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