株式会社橋本組

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企業情報

株式会社橋本組
企業名
株式会社橋本組
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所在地
静岡県
社員数
280人(単体)(2025年4月時点)
業種
建設業

取組事例

取組の目的
○自社で実施する働きがい(エンゲージメント)に関する取組の経緯
・創業から100年を超える企業であり、昔から「従業員が長く働ける職場づくり」を重視してきた。例えば女性活躍の観点からは、「女性は結婚したら退職するのが当たり前」という風潮の時代からダイバーシティ経営に取り組み、産育休をとりながら勤務を継続できる環境を作ってきた。
・「従業員の働きがい」を意識して施策を検討するようになったのは、8年ほど前からである。定期的にまとまった人数の採用を行って規模が拡大してきたころから、社内コミュニケーションの不足や職場の人間関係を理由に退職する者が出始めた。退職者の退職理由を把握するなかで、「働きがい」、特に社内コミュニケーションが課題になってきた。経営側としては、ずっと昔から職場に課題としてはあったのだが、規模拡大とそれに伴う従業員の価値観の多様化を契機に表面化、退職理由として指摘されるようになったと考えた。今後も企業が継続的に拡大成長していくためには優秀な従業員の採用・定着が重要であると判断し、取組を開始した。

○働きがい(エンゲージメント)に関する指標活用の有無、当該指標を活用する理由
・従業員全体を対象とした定期的な調査は行っていない。経営の参考指標として、1年間の離職者数を観測しているが、経営判断の影響が出る数字でもあるため、あくまで参考として位置づけている。
・従業員一人ひとりの声を聴いて会社の現状を把握することは継続して行っており、社長と従業員全員が年に1回行う1on1と退職者の退職理由把握を通して意見を吸い上げている。
取組の概要
○長く働ける職場を支える多様な働き方
・「従業員がそれぞれのライフステージに合わせて長く働ける職場」を目指して、勤務時間の調整(短時間勤務)と勤務地限定の働き方を導入している。
・短時間勤務については、平成27年10月から導入した。子育て中の従業員に限らず、治療と職業の両立や高齢による労働量の調整も含めて、目的と調整方法は柔軟に対応している。子育て中の従業員の場合は、始業時間の繰り下げや所定労働時間の短縮を行っているが、高齢による調整の場合には、それに加えて週のうちの休日を増やして1週間の労働時間を減らすような調整を行っている。
・2025年現在、子育て中の女性従業員が4人、病気療養中の従業員が1人、高齢による調整が2人適用されている。
・勤務地限定に関する取組は平成28年6月から導入した。当初は「全員全国勤務(勤務地無限定)」を前提として、勤務地を限定したい方について限定を行う仕組みだった。従業員間の公平性の観点から、異動や昇格に関して、限定をした人に一定の上限を設ける形で処遇も整理していた。令和5年からは発想を180度転換して、「全員勤務地限定(原則転勤無)」とした。その上で、遠隔地での勤務を担当する従業員に追加で手当てを支給する仕組みに変えた。
・こういった働き方に関する制度変更や対応を行う仕組みとして、同社では役員会議での検討が重要となっている。人事部という組織がなく、人事制度も含めた経営に関する施策は全て、経営陣が集まる会議(執行役員が毎週集まる)と、月1回の人事システム会議にて検討・決定している。
・執行役員による会議は、橋本組に限らず橋本ホールディングス全体の執行役員とグループ全体の会長が集まってグループ全体での意思決定を行っている。月1回の人事システム会議にはグループ全体の執行役員に加えて、人事制度検討について外部委託している人事コンサルタントが出席して実施している。共に1回の会議の参加者は13人程度である。両会議で制度変更や大方針について決定がなされた後、具体的な作業は役員と人事コンサルタント、そして本社の総務が連携しながら実行まで導いている。既にグループ内で人事制度を完全に統一した企業がいくつかあるが、最近は新規に導入する制度や施策はグループ全社で共通して適用するようにしており、「一番良い制度」に合わせている段階である。将来的には、グループ全体で人事制度を統一した上で、会社を超えた異動や配置転換などを行い、グループ全体での人事管理を行っていく予定である。

○社内SNSと1on1を活用した全社コミュニケーション
・社内コミュニケーション不調が取組のきっかけとなったこともあり、全社での風通しのよさ、意見を言い合える風土づくりについてはこだわって取組を行っている。具体的には①日報と連動した社内SNSの展開と②社長と行う1on1の2つである。
・日報と連動した社内SNSは、全従業員が作成する日報の作成フォーマットを、地元のソフト会社と共同でSNSとして開発したシステムと連動させたものである。
・従来、毎日の業務量やその日の実施内容を報告するための手段として日報を全従業員に提出してもらっていたが、現在は従業員が感じたことを書いて全社に公開するもの、として位置づけを変えて継続している。プラットフォームは2011年から導入。入力は社給のスマートフォンからSNSに行う。項目は固定された指定項目があるわけではなく、それぞれが「今日実施した内容」「最近思ったこと」「会社にお願いしたいこと」等のような大きなくくりで入力・公表できるようにしている。毎日入力・公表が可能かつ義務となっており、基本は終業前に内容を入力・公表することが習慣となっている。
・各人が入力した日報は社内全体に公開される。従業員同士で感想のリアクションボタンをつける機能や相互にコメントする機能があるため、日報を起点とした従業員間のコミュニケーションが可能である。また、会社への要望や不満、仕事上での問題点を書いた従業員については、なるべく早く本社から直接コミュニケーションして詳細を把握した上で、必要に応じて対応をするという運用を徹底している。
・社長との1on1は現社長が工務部長時代に導入し、20年程度継続している。当時は従業員70人程度の規模であったため、全員に対して実施しても負担感も大きくなく、従業員の意見を聞ける機会という認識で開始した。
・開始当初は社長自らが日程調整等を全て行っていたが、現在はグループ会社も含めて400人に対して実施しているため、日程調整等の事務は総務が担当し、当日の対話を社長と従業員1人の1対1で実施する、という運用になっている。1人につき20分の1on1を1年間に1回実施する。
・話題について指定は行っていないため、従業員が話したい話をする、社長はそれを聞く、という運用を徹底している。取組開始当初は雰囲気づくり等も兼ねて、話題を社長側から設定したこともあったが、実施が定着した現在は完全に自由設定としている。キャリア入社の方や新卒入社の方は、初めて1on1に参加するとき等は、職場の同僚に「他の人は社長面談でどういったことを話しているのか」ということを聞いておき、テーマを用意してくることが多い。事前に整理しておくことで1on1の20分間を効果的に使いたいという社員側の意識があるのではないかと推察している。

○働きがい向上のための取組の設計・運用にあたり苦労した点や、その克服に向けて行った工夫
・社内SNSへの投稿は、もともと作業日報から発展させたものであるため、業務報告という観点で基本的に全員が書くものとして位置づけている。そのうえで、投稿内容は業務報告よりも自由度を持たせ、社内コミュニケーションツールとして活用している。本来的には業務当日に入力してほしいが、翌日の朝に入力するなど個人にとっての作成しやすさを許容しながら、作成しない人はいない、という状態にしている。
・社内SNSは全社で閲覧が可能ということで、ここに不満や不安、困りごとを入力すると、それを全員が見られるようになる。従業員の困りごとを放置しない、という意味で、発信に対しては社長自らの対応も含めて、すぐに反応・対応するようにしている。「放置しない」ことで、より建設的な提案の書き込みも増えてくるような好循環を目指している。
・社内SNSでは全社に対して発信する一方で、1on1では経営層と直接対話できるという特徴の違いがある。決裁権限のある社長が1on1を実施することで、1on1で把握した課題に対してもスピード感のある対応が可能となっている。
・1on1開始当初は、やはり従業員側も緊張があったため、社長側が冒頭で趣旨をきちんと説明するような進め方を徹底していた。現在も新入社員やキャリア入社の方の初めての面談時には同様の案内をして、従業員がリラックスして臨めるようにしている。
現状とこれまでの取組の効果
○働きがいに関する施策の導入による効果
・最大の効果は離職率が低下したことと、従業員側からの前向きな改善提案が増えたことである。コミュニケーションの活性化を通して取組開始時の目的を達成できたことは大きな効果である。
・採用、定着との関係では、一度離職した元従業員が再度入社するケースが増えている。戻ってきてくれた従業員に聞いてみると、「他社に入ってみて、橋本組の風通しのよさを理解した」というようなコメントが多い。
・新卒採用にも良い影響が出ている。従業員が辞めない、規模が拡大して安定成長している企業という評価を頂き、現在まで採用予定数を上回る応募が続いている。
(R7.9)

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