ブラザー工業株式会社
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
- ワークエンゲージメント
企業情報
| 企業名 |
ブラザー工業株式会社
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| 所在地 |
愛知県
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| 社員数 |
単体:3,903人(2025年3月31日時点)
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| 業種 |
製造業
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取組事例
| 取組の目的 |
○自社で実施する働きがい(エンゲージメント)に関する取組の概要
・全従業員が年に1回受けるストレスチェックの結果を基に、部門ごとに結果を集団分析し、 部門ごとの分析結果を部門長に対してフィードバックする。フィードバックの結果を基に、部門長を対象としたワークショップの開催、部門ごとのアクションプランの策定や実施という一連の施策を実施している。 ・ストレスチェックは80項目版のものを基に同社独自の調査項目を追加し、計116項目の設問から成る。 ・部門長へのストレスチェックのフィードバックの際には、昨年度の結果を参考として付けつつ今年度の結果を伝えている。フィードバックの資料には、他部門の結果や2年以上前の結果(推移)は掲載していない。これは、各部門が様々な事情(業務の多忙さ、人員不足等)を抱える中で、他部門や過去の結果との比較よりも、それぞれの部門の強みを伸ばすことを重視してほしいと考えるためである。 ・同社では、個人のいきいき(ワークエンゲージメント)を縦軸、職場のいきいき(職場の一体感)を横軸として4つの象限に分類する「いきいきメンバー図」を活用し、部門のメンバーが4象限の中でどのように分布するか、ストレスチェックの結果を基に全社や部門単位で分析している。部門長へのフィードバックにはこうした分析も含まれており、個人のいきいきと職場のいきいきの双方が高い従業員を増やすことを目指している。 ○働きがいの把握や向上施策を開始したきっかけ・目的 ・2017年に57項目の設問から成るストレスチェックを導入した際、ストレスチェック結果の集団分析を開始した。2017年度~2018年度は、ストレスチェック制度の浸透と高ストレス部門の減少を主な目的として活動していた。具体的な取組内容としては、部門ごとにストレスチェックの結果に関するアセスメントシート(分析結果を記載した資料)を作成し、健康管理センターから各部門長に対してアセスメントシートを渡すこととあわせて、フィードバックや対話を実施していた。 ・2019年度には人事施策として従業員エンゲージメントに関する活動が開始したことを踏まえ、エンゲージメントに関する概念の浸透を目的として、ワークショップを人事部と健康管理センターとで共同開催した。 ・2021年度からは健康管理センターが中心となり、ワークエンゲージメントの向上やポジティブメンタルヘルス推進を目的として、ストレスチェックの実施や結果の分析、部門長を対象としたワークショップの開催、部門ごとのアクションプラン作成、アクションの実施といった活動を展開している。 ○働きがい(ワークエンゲージメント)に関する指標活用の有無、当該指標を活用する理由 ・同社では、健康管理センターの産業保健職の方が中心となってワークエンゲージメントに関する取組(ストレスチェックの実施及び結果の集団分析、部門長を対象としたワークショップ、各部門でのアクションプランの策定や実施など)を展開している。 ・一方、従業員エンゲージメントに関する取組は人事部門が中心となって展開している。同社では、2022年に策定した中期戦略に「従業員のエンゲージメントの向上」を盛り込んだことを契機に、エンゲージメント調査やその結果を踏まえた施策の展開など従業員エンゲージメント向上につながる取組が本格化している。 ・健康管理センターが推進するワークエンゲージメントに関する取組は、ブラザー工業のほか、基本的には日本国内のグループ会社を対象としている。一方、人事部門が主導する従業員エンゲージメントに関する取組は、グローバルを含むグループ全体を対象としている。過去には両者が連携してワークショップ等を実施することもあったが、現在は対象や目的の違いから、それぞれ別々に取組を行っている。 |
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| 取組の概要 |
○ストレスチェックを起点とするワークエンゲージメント向上に向けたサイクル
・同社では、ストレスチェック、部門ごとの結果分析、部門長へのフィードバック、部門長を対象としたワークショップ、部門ごとのアクションプランの策定や実施を、ココカラ活動(心と体の支援活動の略)として、1年で1サイクル実施している。 <結果のフィードバック> ・ストレスチェックの集団分析の結果は、各部門長に対してアセスメントシートが返却されることによりフィードバックがなされる。同社では数年にわたり継続して取組を実施してきたことにより、アセスメントシートの読み方や活用方法は部門長にかなり浸透しているため、部門長全員を対象とした個別のフィードバックは、現在は実施していない。アセスメントシートの読み方や活用方法に関する動画を作成しており、詳しく知りたい部門長には動画を見るように案内している。 <ワークショップ> ・部門長を対象とした90分間のワークショップを開催している。職場改善活動の必要性の理解や、他の部門長と交流して自部門での活動を検討してもらうことを目的としている。 ・ワークショップでは、まず産業医から「仕事の要求度-資源モデル」に沿って、ワークエンゲージメントの向上につながる要素や、職場改善活動における取組例を示す。学術的なモデルに沿って「ワークエンゲージメントを高めるためには仕事の要求度(仕事量の多さや難しさ)を下げるのではなく、個人の資源(自己効力感や組織での自尊心など)と仕事の資源(上司・同僚のサポートや仕事の裁量権など)を増やすことが重要であること」などを伝えている。理論に沿って伝えることで、部門長に重要性や取組方法を正しく理解してもらっていると考える。 ・職場改善活動に関する好事例の共有や、参加者間のグループワークなどを実施して、各部門におけるアクションプラン(職場改善活動の計画)を検討する手がかりとしてもらっている。 <アクションプランの策定、実行> ・部門ごとに、部門長を実行責任者としてアクションプランを策定してもらっている。アクションプランを記載する資料のフォーマットは健康管理センターが作成している。各部門がフォーマットに沿って、着目する個人の資源・仕事の資源(仕事の意義、成長機会、上司のサポートなど)、狙い、アクションプランの名称、実施計画、実行メンバー、ストレスチェックの結果に関する数値目標を記入する。アクション実行後には、中間報告や最終評価を記入する。また、アクションの確実な実施を図るため、実施計画の段階、中間報告および最終評価の各段階で、健康管理センターが確認・コメントを行っている。 ・「着目する資源」は、健康管理センターが設定した選択肢から各部門が選ぶ形としている。背景として、以前はアクションプランとして仕事の要求度を下げる内容を挙げる部門長が多かったことがある。仕事の要求度-資源モデルによれば、ワークエンゲージメントの向上には仕事の要求度を下げることよりも個人の資源と仕事の資源を増やすことが重要である。そこで、各部門において個人の資源や仕事の資源を増やすことに資するアクションプランを検討できるようなフォーマットを作成した。 ・アクションプランの作成は、各部門がそれぞれ主体的に実施している。例えば部門内でワークショップを開催する事例、1on1の質向上のために勉強会を開く事例などがある。 ・アクションプランの好事例をまとめた冊子を健康管理センターが作成し、各部門への展開も行っている。 <アクションの例:CREWプログラム> ・部門長から「どんなアクションをすればよいか」と聞かれることがあり、2024年度から、応募があった部門に対して健康管理センターがCREWプログラムの実施を支援し始めた。 ・CREWプログラムとは、職場の人間関係にアプローチし、お互いを知り、お互いに丁寧に敬意をもって接するような関係性の構築をはかり、よりいきいきと働きやすい職場風土の醸成を目指すプログラムである。「仕事で大切にしていること」、「この職場で働いてよかったとおもうとき」、「職場で大切にされていると感じるとき」などのテーマに沿って、定期的に職場のメンバーで対話を積み重ねる。トレーニングを受けた方が対話でのファシリテーターを務める。 ・ファシリテーターの育成を健康管理センターが行った。部門における対話は各部門が主導した。 ・プログラムの開始前と開始後に参加者に対してアンケートを実施し、「職場の一体感」と「ワークエンゲージメント」にそれぞれどのような効果があったか測定した。「職場の一体感」は統計的に有意に平均点が上昇した。「ワークエンゲージメント」についても平均点は上昇したものの、統計的には明確な差は認められなかった。こうした結果も活かして、2025年度も継続してCREWプログラムを実施している。 ○エンゲージメントに関する社内の体制 ・ワークエンゲージメントに関する取組は、健康管理センターに所属する産業保健職の方が企画・主導している。部門長に対して結果のフィードバックを行い、部門長が各部門でのアクションプランの責任者となる。 ・ストレスチェックの結果を確実に職場環境改善につなげるために、部門長を取組推進のキーパーソンとして考え、ワークショップの対象や職場改善活動の責任者を部門長としている。 ・アクションプラン作成の際に、各部門でアクションプランの実行メンバーを決める。実行メンバーは手あげで決まる部門もあれば、部門長からの声かけにより決まる場合もある。人数や職位も様々である。 ○働きがい向上のための取組の設計・運用にあたり苦労した点、克服のための工夫 ・現在ではすべての部門からアクションプランの提出があり、各部門が前向きに取り組んでいるが、取組開始当初は提出や取組を行わない部門もあった。一連の取組に対して前向きでない部門長に対しては、健康管理センターから「最終的なゴールは会社の成長である」と伝えつつ、粘り強く対話を行った。 |
| 現状とこれまでの取組の効果 |
○働きがいに関する施策の導入による効果
・ストレスチェックの結果の集団分析に関する取組を開始した2017年は、高ストレス部門が多く、まずはこうした高ストレス部門を減らすことを目的として取組を実施していた。 ・取組の成果もあり高ストレス部門は徐々に減少したため、従業員全員を対象としてポジティブメンタルヘルスの推進を行うことに舵を切ってきた。 ・取組を長期にわたり実施する中で、ポジティブメンタルヘルスの考え方や必要性が部門長をはじめとして社内に広がり、アクションプランの策定・実施など、取組の自走化に成功していることも効果として挙げられる。当初は部門長への負担が軽くなるよう、アクションプランに関する記載項目を少なくするなどの工夫をしていたが、考え方や取組の必要性が広がるにつれて、取組の効果を高めるために、部門長同士の交流も意識したワークショップの開催などを行うようになった。 ・一連の取組を通じて短期間で効果を出すことは難しく、長期的な取組を通じて効果を得ることを目的としている。部門長の中には「短期間で成果を出したい」と考える人もいるが、ワークショップや各部門によるアクションプランの実施を通じて長期目線で取り組むことの必要性を伝えている。 ○効果検証の実施 ・アクションプランを記載する資料は、取組の開始以来アップデートを続けている。当初はアクションプランを中心に記載してもらうフォーマットだったが、途中から、ストレスチェックの結果に関する数値目標も記載してもらうよう変更した。これにより、各部門によるアクションの振り返りや次のアクションの検討が進んでいる。 ・アクションプランを記載する資料は、同社で業務上活用しているKPIシートに類似した形式である。これにより、アクションプランの作成や資料の作成についても「仕事である」との認識を持って取り組んでもらえている。 |
(R7.9)