株式会社メルカリ
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
- ワークエンゲージメント
企業情報
| 企業名 |
株式会社メルカリ
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|---|---|
| 所在地 |
東京都
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| 社員数 |
2,156人(連結)(2025年9月時点)
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| 業種 |
情報通信業
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取組事例
| 取組の目的 |
○自社で実施する働きがい(エンゲージメント)に関する取組の経緯
・上場後、グループ全体としてのミッションを2023年に整理した。グループが事業を通して提供する価値や行動原則として、①Go Bold(大胆な挑戦)②All for One(メンバー一丸となって成功を目指す)③Be a Pro(プロフェッショナルであれ)の3つのバリューに加え、2024年10月に④Move fast(スピード重視)を追加し、バリューの実現の加速を社内外に明示した。 ・企業のミッションとして「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」を定めているが、企業活動を通して循環型社会の実現を目指す上で、ESGマテリアリティを以下の5項目に定めて社内外に公表している。 ①個人と社会のエンパワーメント ②あらゆる価値が循環する社会の実現 ③テクノロジーを活用した新しいお客様体験の創造 ④中長期にわたる社会的な信頼の構築 ⑤世界中の多様なタレントの可能性を解き放つ組織の体現 このうち、④は企業としてのミッションやバリュー実現の為に求められる企業としての基盤、⑤は社内で働く従業員の活躍に着目したものであり、企業成長の基盤かつドライバーとして位置づけている。 ・上記のようなグループミッションの実現の為に、従業員がエンゲージメント高く働ける環境を作ることが創業時から企業経営に組み込まれており、現在までの制度設計や組織運営の基礎的な理念となっている。 ○働きがい(エンゲージメント)に関する指標活用の有無、当該指標を活用する理由 ・従業員の働きがいを測る上では、組織への貢献意欲と仕事そのものへの熱意両方を重視しており、従業員エンゲージメントとワークエンゲージメント、両方の概念を取り入れている。 ・従業員に対する調査は2種類。1つが、年に2回働きがい等について調査を行うもので、もう1つが人事評価に関する評価のための年1回の調査である。 ・どちらの調査も社内で独自に設計、実施をしているが、目的が異なっている。働きがいの方については、一般にいうエンゲージメント調査に近いもので、組織ごとの状況や経年の変化、会社理念の浸透や施策への満足度を測るために実施している。「従業員が簡単に答えられること」を重視しているので、1回5分程度で回答が完了するような設問数と回答システム設計にしている。 ・「人事評価に関する評価」については、その年に行った目標設定、その目標達成に向けた上長からのフィードバック、期末の人事評価といった、一連の人事評価の仕組みに関する達成度や満足度を把握するために実施している。目標管理による人事評価を行っているが、会社理念の実現との関係では従業員一人ひとりが会社理念やその年の経営方針を踏まえた目標設定・達成を実現できているかが何より重要と考えている。そのため、1年間の人事評価制度の運用状況に対する評価を把握することで、結果的に従業員の会社理念や経営方針の理解度、浸透度を把握することにつながっている。 ・年2回の調査は全社の人事企画部署が主導で検討を行い、人事評価に関する調査は人材育成を所管する別の部署が企画している。人事企画部署にデータアナリストが在籍しているため、集まった回答の集計分析は企画部署にてまとめて実施している。 ・月1回のペースで従業員の状況をコンパクトに把握するいわゆるパルスサーベイのような調査は全社では実施していない。新規事業を開発している部署のような事業立ち上げ段階の部署が従業員の変化をこまめに把握するために実施していることはあると思うが、継続的にずっとしていることは少なく、会社全体として導入の予定もない。 |
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| 取組の概要 |
○経営理念を実現するための人事制度
・人事制度を設計する際の基本理念を4つ設定している。 ①Bold Challenge(挑戦する) ②Pay for Values/Performance(価値の発揮や成果に対して給与を払う) ③Embrace Diversity(多様性の促進) ④Grow as a Pro(プロフェッショナルとしての成長) この4つの基本理念を実現できるための人事制度、評価制度を設計している。 ・1つ目が、フラットな階層と役割による任命の徹底である。社内は経営層(役員)を除いて、メンバー、マネジャー、ディレクター、VP(ヴァイスプレジデント)の4階層のみとなっている。マネジャーは組織単位としては、チームをまとめる立場であり、所属するメンバークラスの一次評価を行う立場。1チームは数人程度が一般的である。マネジャーをまとめるのがディレクター職になるが、この役割であってもとりまとめるのは20人以下が一般的である。VPは事業や部門を統括する役割で、全社で20人ほど存在する。この階層は「地位」ではなく「役割」のため、一度当該ポジションについたら固定ということもなく、下がることもある。 ・人事評価制度と処遇についても、基本理念を踏まえた設計と運用を徹底している。人事評価については、成果評価と行動評価の2つで実施している。成果評価は自身のポジション(役割)に期待される成果を出しているか、という視点での評価になり、評価結果が半年に1回支給される賞与に反映される。行動評価は、従業員として理念やミッション・バリューに則った行動ができているか、という視点での評価となっている。行動評価と成果評価の総合評価が年1回の昇給に反映される設計である。 ・人事評価に向けては、まずは従業員が1年間の目標を設定。目標の達成状況について、四半期に1回上長(直属のマネジャー)からフィードバックを受けつつ、最終的な達成を目指す。達成に関する評価を半年に1回実施している。 ・評価を2本立てにしたのは従業員に対して、「メルカリの従業員として求められる行動をしながら成果を出す」ことを求めているメッセージを出すためでもある。また、極端な成果主義に陥らないためにも行動評価を行うようにしている。 ・人事評価の実施においては、①報酬と切り離す②マネジャークラスでの対話を通した調整の2つを徹底している。評価を行う際にどうしても、「この人の報酬はxx円で、それに対して貢献が物足りない/頑張っている…」というような形で報酬とのバランスを意識してしまうことがあるが、あくまで「求められている役割に対しての貢献」を評価するように徹底している。また、メンバークラスの一次評価者はマネジャーになるが、自分の担当メンバーの評価が終わった後で、複数のマネジャークラスと評価結果について対話する会議を設定している。その際には、他チームの評価結果を確認し当該マネジャーの評価方針を聞きながら「自分の評価軸に問題がなかったか」を確認する。この会議を行うことで、評価が属人的にならず全社で複数の目を通して決まっていく。また、マネジャー側にとっては、自身の評価スキルの見直し・向上の場であると共に同じ職責のメンバーへの相談機会として機能している。 ・グループが定めるミッションの浸透との関係では、全社での表彰イベントを実施している。人事評価を通して、バリューを体現した人材を選定。VPが経営会議に対して候補者を推薦する。その後経営会議で表彰者を決定。表彰される方については、各部門で実施される全体会議の中で周知・表彰される。必ずしも「成果をあげている部署」「成果をあげている人」だけが表彰されるわけではない。会社を支えている基盤部署にいる方やコーポ―レート部門も表彰の対象になるため、全社でのモチベーション向上につながっている。 ○働きがい向上のための取組の設計・運用にあたり苦労した点や、その克服に向けて行った工夫 ・人事制度や毎年の運用も含めて、「従業員との対話」「自分事化」を徹底するようにしている。そのために活用しているのが、社内ではオープンドアと呼ばれる対話の機会である。 ・例えば、現在の人事制度は2021年に抜本的な変革を実施したが、その変革までの準備に1年半を要した。2018年の上場を機に見直しを行う中で、半年を目安に検討の進捗状況について人事と従業員が報告、対話する機会を設定。1回1時間の会議の中で、人事側からの説明は15分程度に留めて、残りの時間は出席した従業員からの質疑を受け、対話をする時間としていた。この時間の中で出た質問や意見はその後の人事部での検討に反映することもあり、従業員参加型で制度を見直していった。オープンドアを通して、自分の意見が会社に反映されるという感覚を従業員が持つことにもつながっている。 ・現在でも、1年間の人事評価に影響する、その年のミッションや評価方針については毎年少しずつ変更がある。そのため、毎年の変更についても従業員への説明を行い、対話や疑問解消の場としてオープンドアを活用している。従業員側にとっても、自分の目標設定に関わることであるため真剣に考えるし、かつ、自身の意見が反映される可能性があるという感覚を持って臨むため、質疑はかなり活発である。 |
| 現状とこれまでの取組の効果 |
○働きがいに関する施策の導入による効果
・従業員一人ひとりが会社を作っていく、変えていくという感覚は社内全体で共有されている。特に対話重視や組織のフラットさの効果により、若手やメンバークラスからの提案が活発である。2024年に公表した社内の男女賃金格差に関する分析とその提言についても、主導したのはメンバークラスの従業員であった。 |
(R7.7)