広島会場における開催状況について
(2018年度)

平成30年12月18日(火)、TKPガーデンシティPREMIUM広島駅前において、働き方・休み方改革シンポジウムを開催しました。広島労働局雇用環境・均等室長 松永 涼子の挨拶を皮切りに、本シンポジウムが始まりました。

【第1部】基調講演

「働き方改革と生活改革の好循環を メリハリワークで『平日のゆとり』の実現を」

  • 第1部
  • はじめに、働き方改革の目的について説明。長時間労働の削減そのものが目的ではなく、「多様な人材が活躍できる働き方の実現」と「安易な残業依存体質の解消」が目的であり、残業のない職場であっても取り組む必要がある、と述べられました。
  • 続いて、働き方改革の進め方について、「時間意識」の高い働き方へ転換するため、①顧客と密なコミュニケーションをとり、スケジュールの交渉を行うこと、②業務の優先順位を考えること、③時間ではなく付加価値を高めることにより生産性をあげることの3点が必要であると提案されました。
  • さらに、こうした取組を進める上では、上司が部下の育成や評価を行う際に、業務にかけた時間ではなく、効率性を重視するよう価値観を転換していく必要がある、とコメントされました。

【第2部】事例紹介 働き方・休み方改革の取組事例紹介

「休暇取得促進と時間外労働削減へ向けた取り組み」

  • 三洋製紙株式会社 総務部 経理課
  • 課長代理
  • 小谷 和義 氏
  • 第2部
  • 2014年の鳥取労働局トライアルチャレンジへの参加をきっかけとして、①年次有給休暇の取得奨励日設定、②従業員の多能職化・マルチスキル化の推進、③時間外労働時間総量が一定水準を超えた従業員とその上司に対する通知といった取組を開始。その結果、年次有給休暇取得率の上昇と時間外労働時間の削減が実現できたとのお話がありました。
  • 取組のポイントとして、新規事業の立ち上げ段階に働き方の見直しに取り組んだことで、かえって業務のスリム化が進めやすかったこと、時間外労働削減と休暇取得促進を同時に進めるために、マルチスキル化による業務補完体制の構築が効果的であったことのご説明がありました。また、従業員の主体性を重視するため、ノー残業デーや一定時間以降の残業禁止といった取組は行わなかったとのことでした。
  • 今後の取組としては、AI・RPAの活用とナレッジワーカーの育成を進め、さらなる生産性向上を目指していきたいと述べられました。

「東急電鉄流 働き方・休み方改革 ~『スマートチョイス』の推進~」

  • 東京急行電鉄株式会社 人材戦略室 労務厚生部
  • 統括部長
  • 下田 雄一郎 氏
  • 配布資料を見る
  • 第2部
  • 同社の「ワークスタイル&ワークスタイル・イノベーション」の考え方について説明。働きがいがある仕事と働きやすい環境の整備、生産性向上とイノベーションの創出を柱として、「日本一働き続けたい会社」を実現することが目指す姿であると述べられました。
  • これまでに、①勤務時間の柔軟化、②勤務場所の柔軟化、③休暇取得の風土醸成等に着手。年間を通じて自身の職務・環境に合わせたスタイルを自ら選択することにより、従来の働き方に捉われず、創造性発揮や業務の効率化を考え、従業員が主体的に働き方を選択することを目的としている、とご説明がありました。また、こうした柔軟化を円滑に進めるため、上司と部下のコミュニケーション促進のための取組も行っているとのことでした。
  • 最後に、交通事業者として、従業員のオフピーク通勤を促進するためのキャンペーンを実施するなど、社会的な働き方の変革に向けた取組についてもご紹介がありました。

【第3部】パネルディスカッション

  • 第3部
    第3部
  • 【ファシリテーター】
    • 中央大学大学院 戦略経営研究科
    • 教授
    • 佐藤 博樹 氏
    【パネリスト】
    • 三洋製紙株式会社 総務部 経理課
    • 課長代理
    • 小谷 和義 氏
    • 東京急行電鉄株式会社 人材戦略室 労務厚生部
    • 統括部長
    • 下田 雄一郎 氏
働き方改革の取組の進め方について
  • 三洋製紙株式会社の小谷氏からは、経営層が現場の課題やその原因を把握しやすいという中小企業の強みを生かして、トップダウンで取組を進めているというお話がありました。
  • 東京急行電鉄株式会社の下田氏からは、大企業で組織が細分化されているため、人事、ダイバーシティ、総務など複数の部門からなる社内横断的な組織を立ち上げ、取組を進めているというご説明がありました。
製造業において残業時間の削減を進める上でのポイントについて
  • 三洋製紙株式会社の小谷氏から、投入時間ではなく時間あたりの生産量を評価することや、効率化につながる提案をすることで報奨金が支給されるといった仕組みを設けることにより、労働時間削減に対する従業員の抵抗感をなくしていったというお話がありました。
上司と部下のコミュニケーション促進の具体的手法について
  • 東京急行電鉄株式会社の下田氏から、最低年に2回、成績評価のフィードバックと目標設定の際に、上司と部下の間で仕事の内容だけでなくプライベートな内容も共有するようにしているというお話がありました。こうした取組により、働き方の柔軟化だけでなく、部下の抱えるリスクにも早めに気がつくことができるようになるとのことでした。
パネラーによる休み方改革へのアドバイス
  • 三洋製紙株式会社の小谷氏からは、中小企業では働き方改革に取り組むことは難しいと思われがちだが、中小企業ならではの強みもあるため、あきらめずに取り組んでほしいとのアドバイスがありました。
  • 東京急行電鉄株式会社の下田氏は、働き方改革は、取組を行うことはもちろん、結果を数字で示すことも重要であり、自社としても今後の課題である、と述べられました。
  • 最後に、ファシリテーターの佐藤氏より、働き方改革が成功する条件はトップのコミットメントと継続して成功事例を積み重ねていくこと、とのコメントがありました。

【第4部】法律説明

「働き方改革関連法(労働基準関係)の概要」

  • 厚生労働省 労働基準局 労働条件政策課
  • 労働条件確保改善対策室長
  • 関 百合子 氏
  • 第4部では、厚生労働省より、働き方改革関連法(労働基準関係)の概要について説明が行われました。