名古屋会場における開催状況について
(2018年度)
平成30年12月5日(水)、ウインクあいちにおいて、働き方・休み方改革シンポジウムを開催しました。愛知労働局雇用環境・均等部長 四方 智美 氏の挨拶を皮切りに、本シンポジウムが始まりました。
【第1部】基調講演
「働き方改革の時代に労働時間問題をどう考えるか」
- はじめに、働き方の実態に関する調査結果と、その改善方法について事例をもとに説明。労働時間の長さを問題視し、同時に利益を下げないことを目指すのであれば、まずは労働時間を目に見える形で整理しておくことが重要である、と述べられました。
- 次に、日本企業の働き方の実態として、労働者の3~4割が、年次有給休暇の取得日数が5日未満であること、来春、法律で有給休暇の取得が義務づけられても、すぐには実現が難しいのではないか、とコメントされました。働き方改革は、他社の事例が自社で活用できるかどうか、自発的に考えることが必要であると述べられました。
- アンケート調査結果によると、長時間労働の削減に一番効果的だったのが、ノー残業デー、強制消灯、長時間労働の社員や上司への注意、助言であったと説明され、こうしたごく簡単な方法を本気で行うこと、意思を示すことが必要であり、社内全員の意識共有が重要であると述べられました。
- そして、働き方改革の推進方法として、課題認識を若手から聞いていくこと、そのためにも若手が意見を言える環境をつくることが大切だとコメントがありました。そして、それらを集約して、まずは全社で共有し、自社でやれることをトライ&エラーしてほしい、とのコメントがありました。
【第2部】事例紹介 働き方・休み方改革の取組事例紹介
「働きやすい会社から働きがいのある会社へ」
- 創業当時から「地域情報化を通じて街の活性化と安全安心の街づくりに貢献する」というミッションを掲げてきた同社が、2013年、新経営陣の問題提起により、働き方改革をスタートした経緯から説明されました。
- 取組にあたり、男女の区別なく定年まで活躍し続けられる会社、ワークとライフを双方ともに充実させる「ワーク・ライフ・シナジー」というあるべき姿を設定し、一人ひとりの成長、チームワーク、業務の効率化の三つを施策の軸に取り組んだことをご紹介されました。
- 具体的には、育児休業取得の促進のため、年一回の「WLBセミナー」、上司・本人・総務による三者面談、思いやり休暇の活用といった施策を実施。結果、以前は多かった結婚・出産による女性社員の退職がゼロになったとご紹介がありました。
- さらに、有給休暇取得の推進施策として、休暇計画を立てることで休暇を取りやすくしていること、テレワークのスムーズな導入には、トップの強力な後押しがあったこと等の説明がありました。
- 取組の結果、2014年には41.5時間あった残業時間が約40%削減されたこと、さらなるチャレンジとして、個人間の取組の温度差の解消、部門間の壁をなくすこと、発生した問題の根本的な原因を追究する意識をもたせること等に取り組んでいること、働きがいのある会社(朝起きて会社に行くのがわくわく感じる会社)にすることを目標にしていること等を説明されました。
「働き方・休み方改革シンポジウム」
- 同社のテーマは「社員が自宅にいるのと同じくらいくつろげる職場つくり」。社員の自主性を重んじ、社員の意見を取り入れるエンパワーメント経営を行っていることをご紹介されました。まずは組織内エンゲージメントを高めるべきだというコメントがありました。
- 具体的な取組としては、各作業をモジュールとして細分化、点数化し徹底的なマニュアル化を行っていること、社員の改善提案書は、可能な限りトライするようにしていること等を説明されました。同社の有給休暇取得率は76.0%で、製造業の全国平均56.2%よりも高い数値であると述べられました。
- さらに、社内で相談できる相手を作るための「プチコミファミリー制度」を作り、離職率が5%以下になったこと、会議は、相手の言うことを理解するための話し合いの場、気づきの場としていること、社長自ら年に二回の賞与面談を実施していること等をご紹介されました。
- さらに、残業管理システムを使用し、累積残業時間から今後の残業時間の予測を確認できるようにする等、より効率的に仕事を行うための仕組みについてのご説明がありました。
- 最後に、社員は会社の仕事だけでは成長しない、会社以外の人に仕事以外のことで認められることで成長できると考えている、社会のために会社があることを社員に実感させていると述べられました。今後はIoTの活用を推進し、もっとヒューマニティーに溢れた仕事をしていきたいと述べられました。
【第3部】パネルディスカッション
-
-
- 【ファシリテーター】
- 【パネリスト】
- テレワークのコスト、メリットデメリットについて
-
- 株式会社キャッチネットワークの天野氏から、テレワークはトップダウンで進めたこと、テレワークの効果として、以前は出張後に帰社してから報告業務をしていたが、出張先で業務を終えて帰宅できるというメリットが生じたというご説明がありました。
- 組織が拡大し、経営者の目が行き届かなくなった時にどのようにマネジメントするのか
-
- 万協製薬株式会社の松浦氏から、2012年からホールディング化しており、すでに1,200人(うちタイ人650人)の社員がいるが、毎月、月初に各社に赴き、自分の考えを話すようにしている(タイにはビデオメッセージを送っている)こと、たとえ対面でもつまらない話は聞いてもらえないが、ビデオであっても良いものは見てもらえるとのご説明がありました。重要なことは、冷静な頭と批判的な精神、それを見出すチームがあること、と述べられました。
- 最後に、天野氏からは、常識の殻を破っていくことが大切であるとコメントがありました。松浦氏からは、大事なのはスーパースターではなく、スーパーチームであり、人をもっと褒めてほしいとコメントがありました。
【第4部】法律説明
「働き方改革関連法(労働基準関係)の概要」
- 第4部では、厚生労働省より、働き方改革関連法(労働基準関係)の概要について説明が行われました。