仙台会場における開催状況について
(2018年度)
平成30年11月14日(水)、TKPガーデンシティPREMIUM仙台西口において、働き方・休み方改革シンポジウムを開催しました。宮城労働局 雇用環境・均等室長 星野 健一の挨拶を皮切りに、本シンポジウムが始まりました。
【第1部】基調講演
「働き方改革と生活改革の好循環を メリハリワークで『平日のゆとり』の実現を」
- はじめに、働き方改革の目的と、「時間意識」の高い働き方に変えていくことの重要性を説明。働き方改革の目的について、単に長時間労働を削減するだけではなく、「多様な人材が活躍できる働き方の実現」と「安易な残業依存体質の解消」が目的であること、そのためには時間意識の高い働き方に変えていくことが大事であることを説明されました。
- 続いて、「時間意識」の高い働き方について、例えば顧客から急な仕事の依頼を受けた場合にすぐに残業で対応するのではなく、顧客にどの程度急ぎであるのかの確認・調整をしたり自身の仕事の段取りを組み替えたりしたりして、一歩立ち止まって時間の使い方を考えることが大事である旨、お話がありました。
- また、これまでは仕事が終わるまで時間資源を投入する仕事の仕方であったが、これからは使える時間が決まっている中で最大のアウトプットを出す仕事の仕方が必要であり、マネジメントの見直しも必要になることを説明されました。さらに、管理職に求められることとして、時間をかけた働き方だけを評価する考え方を改めることや、管理職自身がこれまで望ましいとされていた働き方を変えることが重要であると述べられました。
- その他、働き方・休み方改革を進めるにあたっては、働き方だけでなく生活改革の視点も必要であることも述べられました。
【第2部】事例紹介 働き方・休み方改革の取組事例紹介
「仕事の質を高める『働き方改革』 ~働きやすい、やりがいのある会社を目指して~」
- はじめに、同社が働き方改革の取組を始めた経緯から、具体的な取組内容・取組の成果を説明。ITサービス産業は3K職場/7K職場とされる中で、長時間労働が常態化し、人材も集まりにくくなる状況に陥っていたことへの問題意識から、「社員が心身の健康を保ち、仕事にやりがいを持ち、最高のパフォーマンスを発揮してこそ、お客様の喜びと感動につながる最高のサービスができる」という考え方の下、働き方改革の取組を開始した経緯について説明されました。
- 続いて、「スマートワーク・チャレンジ20」として、有給休暇取得日数20日(100%消化)、平均残業時間20時間/月 以下を目標値に掲げ取組を進めたとのお話がありました。具体的には、会社の本気度を示すために浮いた残業代を社員に全額還元するようにしたこと、有給休暇が取りやすい環境づくりのために全社一斉年休取得日・取得奨励日を設定し、バックアップ休暇(5日)も設定したこと、お客様の理解促進のためにお客様宛に手紙を用意して説明する取組をしたこと等のご紹介がありました。
- 最後に、取組の結果、総労働時間が減らしながらも利益成長ができていることや、社員の意識調査でもポジティブな捉え方をする人が増えてきていること等のお話がありました。さらに、成果につながったポイントとして、トップが強いリーダーシップを発揮して役員をやる気にさせ、社員が一体となって取り組むようにしたこと等を述べられました。
「“働き方を誇れる成長企業No.1”を目指して」
- はじめに、同社が働き方改革の取組を始めた経緯から、具体的な取組内容・取組の成果を説明。働き方改革に取り組み始めた背景として、業務領域が印刷業からイベント・映像・広告取扱代理・ウェブ等にまで大きく広がり、働き方も広まりが出てきたことや、遅くまで働くことが常態化し、結婚を機に離職する女性社員が多かったことを説明されました。
- 続いて、2009年頃から段階的な取組を進め、2015年からはダイバーシティビジョンを掲げ、トップダウンで明確にコミットをしたうえで取組を進めているとのお話がありました。具体的な取組として「新しい働き方委員会」を設置し、「イクメン部会」では「イクメンバッチ」で定時退社を宣言する取組をしていることや、「ブレンダ部会」では、アンケートやヒアリングを実施し、休みづらい気持ちの解消のために「A休暇」(アニバーサリーホリデー)「R休暇」(リフレッシュホリデー)を導入したこと、長時間労働削減の取組として閉館時間を設けたこと等のご紹介がありました。
- 最後に、取組の結果、残業時間の削減や有給休暇取得率の向上につながっただけでなく、女性の平均勤続年数が倍以上に伸び、女性の管理職数や管理職候補数も増えてきているとのお話がありました。さらに、今後も業務の効率化や会社としての業績向上につながるような働き方改革に取り組んでいきたいこと等を述べられました。
【第3部】パネルディスカッション
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- 【ファシリテーター】
- 【パネリスト】
- 長時間労働が常態化している業界においての顧客への説明等について
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- SCSK株式会社の小林氏から、顧客の役員等のところにお伺いして働き方改革の取組についてのご説明をしたところ、反対されることはあまりなかったこと、またダイバーシティ100選への選出やメディアに取り上げられる機会が増えたことで、顧客からの見え方も変わってきたとのお話がありました。
- ユーメディアの今野氏からは、「イクメンバッチ」で退社時間の見える化をしたことで、顧客や外部と取組の共有がしやすかったとのお話がありました。また、顧客と優先度や緊急度についてコミュニケーションを取るようにすることも重要ではないか、とのコメントがありました。
- トップのコミットメントと現場への浸透方法について
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- SCSK株式会社の小林氏から、有給休暇の取得を進め、残業も一定に抑えつつ、利益達成をしていかなければいけないため、部課長クラスからすると苦労も大きかったものの、組織目標として取組を進めていくなかで、始めて3~4年目にようやく「もう元の長時間労働を前提にした働き方には戻れない」という雰囲気になってきたとのお話がありました。
- ユーメディアの今野氏からは、元々会社として掲げてきたことと絡めて説明をしたことで、トップダウンとボトムアップの融合ができたのではないかとのお話がありました。また、働き方改革の取組を進めたことで採用面でも大きなメリットになっている、とのコメントがありました。
- 有給休暇の取得について
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- SCSK株式会社の小林氏から、有給休暇の100%取得は権利というよりも、義務との意識が強くなってきており、また一斉有休付与よりも自分の好きなタイミングで休みたいという人も増えてきたとのお話がありました。
- ユーメディアの今野氏からは、直接仕事に関係がないことでも次の仕事に活かされることもあり、有給休暇を取得することで、その循環が喜びに変わってきた社員も増えてきているのではないかとのお話がありました。
- ファシリテーターの佐藤氏より、管理職に対しても休みを取得して生活を楽しんでほしいというメッセージを出すことが大事ではないか、とのコメントがありました。
- 質疑応答
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- マネジメントの仕方がどのように変わったかとの質問に対し、SCSK株式会社の小林氏から、働き方改革を進める中で、管理職が以前よりも、残業が発生している現場の課題に踏み込んで改善をしたり、人員配置や契約を見直したりすることを行うようになり、部下とのコミュニケーションも増えている旨、説明がありました。
- 若手社員の中にも温度差がある中で取組をどう進めていったかとの質問に対し、ユーメディアの今野氏から、モデルになるメンバーのモチベーションをさらに上げることで、周囲のモチベーションも上げられるのではないか、とのお話がありました。また、部課長等の各層に、自身と同じ熱量のモチベーションを持ったメンバーを1人つくることで、施策を進めやすいように工夫してきたとのお話もありました。
- 最後に、ファシリテーターの佐藤氏より、働き方改革=残業削減だけではないこと、また、たとえ今回の法改正がなくとも、多様な人材の活躍のために働き方改革はやらなくてはいけないことであるとのコメントがありました。
【第4部】法律説明
「働き方改革関連法(労働基準関係)の概要」
- 第4部では、厚生労働省より、働き方改革関連法(労働基準関係)の概要について説明が行われました。