福岡会場における開催状況について
(2018年度)

平成30年11月7日(水)、天神クリスタルビル大ホールにおいて、働き方・休み方シンポジウムを開催しました。福岡労働局 雇用環境・均等部長 松浦 貴子のご挨拶を皮切りに、本シンポジウムが始まりました。

【第1部】基調講演

「働き方改革の時代に労働時間問題をどう考えるか」

  • 第1部
  • はじめに、働き方の実態に関する調査結果と、その改善方法について事例をもとに説明。労働時間の長さを問題視し、同時に利益を下げないことを目指すのであれば、まずは労働時間を目に見える形で整理しておくことが重要である、と述べられました。
  • 次に、日本企業の働き方の実態として、労働者の3-4割が、年次有給休暇の取得日数が5日未満であること、来春、法律で有給休暇の取得が義務づけられても、すぐには実現が難しいとコメントされました。働き方改革は、他社の事例が自社で活用できるかどうか、自発的に考えることが必要であると述べられました。
  • アンケート調査を通じて長時間労働の削減に一番効果的だったのが、ノー残業デー、強制消灯、長時間労働の社員や上司への注意、助言であったと説明され、こうしたごく簡単な方法を本気で行うこと、意思を示すことが必要であり、社内全員の意識共有が重要であると述べられました。
  • そして、働き方改革の推進方法として、課題認識を若手から聞いていくこと、そのためにも若手が意見を言える環境をつくることが大切だとコメントがありました。そして、それらを集約して、まずは全社で共有し、自社でやれることをトライ&エラーしてほしい、とのコメントがありました。

【第2部】事例紹介 働き方・休み方改革 先進企業に取組事例紹介

「KIGURUMI.BIZ式 働き方・休み方改革」

  • 第2部
  • 同社は育児中の女性が多い。いわゆる「ゆるきゃらブーム」を機に残業や休日出勤が増え、社員が疲弊する状況になった。2012年の法人化にあたり、「向こう側の笑顔(お客様、ゆるキャラのファンの人々など)」と「こちら側の笑顔(作る人)」を目標とし、働き方改革をスタートしたと、取組のきっかけを説明されました。
  • まず、無記名のアンケートやヒアリングを行い、現状の働き方や生活との両立などの不安や問題について把握することから始めた。また、トップダウンよりも皆で考えた方が上手くいきやすいと考え、職場意識改善チームを組成したことを紹介されました。
  • 取り組みは、金曜日の「ノー残業デー」から開始。小さな取組ではあるけれども、残業ができない社員が多いので、全員で業務の効率を検討したり、動線を考えた道具の配置変換などを行い、一人ひとりが定時に帰るための工夫をするようになったと述べられました。事務の中では会議の効率化にも取り組んだことも紹介されました。
  • また、年次有給休暇の取得促進策として、取得しやすい日を書き込める「有給カレンダー」を会社の掲示板に貼り申請しやすい環境を整えたこと、「一人あたり5日の育児介護有給休暇(就学前の子どもを持つ社員が対象)」を導入したことを説明されました。
  • 取り組みの結果、月一人あたりの残業時間が28.5時間(H23年)から2.9時間(H29年)に減少し、年次有給休暇の取得率は78.9%(H23年)から82.6%(H29年)に上昇するだけでなく、残業を減らしても経常利益が270%上昇するなどの成果が得られたことを説明されました。

「働きがいと生きがいの両立を目指して」

  • 計測検査株式会社 総務部
  • 部長
  • 平嶋 朱美 氏
  • 第2部
  • 同社のスローガンは「働きがいと生きがいの両立」。社会環境が変化する中、企業が永続的に生き残るためには、人材を確保・成長させ、イノベーションを起こすことが必要であること。その一環として働きやすい職場環境づくりが重要であることを述べられました。
  • 全社的に残業が多いのは、部門間のコミュニケーション不足、制度、業務、教育、スキルの見える化ができていないことが主な要因であると述べられ、制度の見える化と働きやすい職場環境づくりを行ったことを説明されました。
  • 制度の見える化については、時間単位の有給休暇、新入社員特別休暇、傷病介護積立制度、有給休暇の計画付与などの「有給休暇制度」、ささいなことでも職場改善に関する声を集める「職場改善提案制度」、インフルエンザの予防接種費用の会社負担や脳ドック検査費用の会社負担などの「健康経営」の他、出産・育児に関する「短時間勤務の柔軟な対応」、「職場限定社員制度」、「経営戦略に沿った人事制度構築」などを紹介されました。
  • さらに、総務部門では、仕事の属人化が問題だったため、業務の見える化を通じて多能工を行っていることを説明されました。例えば、3カ月ごとの「できるようになった業務のチェック」、TO DOリストの共有による「個人の業務の見える化と適正な業務配分」、資料や書類を共有しやすくする「ロッカーの見える化」、各作業の想定時間と実際にかかった時間を比較する「時間管理シート」などを紹介されました。また、営業部では、商談内容を携帯やPCで入力できるアプリを活用し、各関係者と情報共有を図っていることを説明されました。
  • 今後は、時間労働から成果労働を目指し、時間外労働を削減できるよう、1年間かけて取り組みたいこと。また、多様な働き方や考えを認め合い、切磋琢磨しながら取り組みを進め、人生100年時代にむけて、社員一人ひとりが働きがいと生きがいを実感できるような会社を目指したいと述べられました。

【第3部】パネルディスカッション

  • 第3部
    第3部
  • 【ファシリテーター】
    • 早稲田大学 商学学術院
    • 教授
    • 小倉 一哉 氏
    【パネリスト】
    • KIGURUMI.BIZ株式会社
    • 代表取締役
    • 加納 ひろみ 氏
    • 計測検査株式会社 総務部
    • 部長
    • 平嶋 朱美 氏
自社の実状を把握することからスタートする
  • ファシリテーターの小倉氏より、内側の実状を理解しないまま、取組を進めても上手くいかないので、まずは自社の働き方の状況を知ることから始めることが重要と、コメントされました。
  • また、仕事量が減らないのに残業時間を減らせないという意見もよく聞くが、それでは「思考停止」になってしまい、何も解決しない。今後、働く時間に制約がある人が増加する中、残業ありきの働き方が難しくなる。職場ごとの工夫を引き出しながら、いかに効率よく働くかということを考えてもらいたい、とアドバイスがありました。
一人ひとりがパフォーマンスを発揮できる柔軟な働き方・環境をつくる
  • KIGURUMI.BIZ株式会社の加納氏から、働く時間に制約がある社員がいる一方で、若手社員からはもっと働きたいという声があったため、ライフスタイルに応じた働き方の選択肢を設定したことを説明されました。
  • 柔軟な働き方の選択肢として、勤務時間の選択肢(7時間勤務もしくは8時間勤務)、本人の裁量による出勤・退勤時間の設定、連続2週間のリフレッシュ休暇(金属5年以上の社員が対象)、工場勤務者テレワークや副業も進めていることをコメントされました。
  • さらに、社外から見て自分がどのくらいの位置にいるのかを意識したゴール(目標)を設定する仕組みを導入し、一人ひとりの成長を促す取組を行っていることを紹介されました。
部門間で協力しながら業務手順書を作成する
  • 計測検査株式会社の平嶋氏から、「業務の見える化」における業務フロー・手順書の作成方法について説明がありました。
  • 「業務の見える化」を開始した当初、業務フローや手順書がない部署があった。手順書を作成するにあたり、部門間でどのような手順書を作成するのか情報を共有し、より良い形に合わせる方法で効率よく作成をすすめている。また、開発部門が専用のソフトを開発し、業務フロー・手順書の作成をフォローしている、と紹介されました。
休み方改革に取り組む企業へのアドバイス
  • KIGURUMI.BIZ株式会社の加納氏は、いいわけをしない、ということが大切と述べられました。会社によって課題は様々だと思うが、まずは、何ができるかを考え、半年など期間限定でトライして欲しいとコメントされました。
  • 計測検査株式会社の平嶋氏は、できないことを探すのではなく、できるという前提で考える、という精神が必要。自社においても、従業員に対して、ちょっとした事でも良いので提案を挙げるよう呼びかけ、一つ一つ改善を積み重ねているとコメントされました。

【第4部】法律説明

「働き方改革関連法(労働基準関係)の概要」

  • 厚生労働省 労働基準局 労働条件政策課
  • 課長補佐
  • 高橋 亮 氏
  • 第4部では、厚生労働省より、働き方改革関連法(労働基準関係)の概要について、説明が行われました。