大阪会場における開催状況について
(2018年度)

平成30年10月22日(月)、ハービスホール 小ホールにおいて、働き方・休み方改革シンポジウムを開催しました。大阪労働局 雇用環境・均等部長 六本 佳代 の挨拶を皮切りに、本シンポジウムが始まりました。

【第1部】基調講演

「『休み方』のデザインを通じた『働き方』の変革」

  • 第1部
  • はじめに、日本人の休み方の現状について説明。「低い水準にとどまる有給休暇取得率」「休む(休める)従業員と休まない(休めない)従業員という二極化」「休みにくい雰囲気・使いにくい休業制度」が日本人の休み方の特徴であり、「休み方」から職場の課題を捉え直すことが、効率的な働き方にもつながると述べられました。
  • 続いて、今の「休み方」を変えるためには、「①「休み方」の制度の改善」と、「②各ターゲットに合わせたアプローチ」が必要と提案されました。①の具体例としては、管理職が率先して休暇を取得すること、「休暇取得奨励日」等の設定、休暇取得へのインセンティブ付与などが挙げられました。また、②の具体例としては、より上位の役職者へのアプローチによる管理職の休暇取得推進、「取りたいけど取れない」人の計画取得、「取る必要がない」と思っている人への休暇取得の習慣付けなどが挙げられました。
  • さらに、休暇の取得は、仕事の属人化の予防や仕事そのものの見直しのほか、従業員の健康維持、(管理職不在の中で)部下が自分で考える機会の提供につながり、従業員が限られた時間の中で成果を上げる働き方を自らデザインする能力の向上、ひいては職場全体の能力の底上げにつながるとのコメントがありました。

【第2部】事例紹介 働き方・休み方改革の取組事例紹介

「仕事の質を高める『働き方改革』 ~働きやすい、やりがいのある会社を目指して~」

  • SCSK株式会社 人事グループ 人事企画部
  • 西・中部人事課長
  • 魚住 理沙 氏
  • 配布資料を見る
  • 第2部
  • IT業界では、かつては長時間労働が当たり前だったが、社員の健康を重視し、仕事の質を高めるという考え方の下、トップの強いコミットメントで働き方改革の取組が始まった経緯について説明。
  • 「有休取得日数20日(100%消化)」と「平均残業時間20時間/月以下」を目標に掲げた「スマートワーク・チャレンジ20」では、会社の本気度を示すための取組(残業代の全額還元)や、お客様や家族への理解促進を図るための取組(取引先や家族へのお手紙の送付)等を含めた様々な施策を実施した結果、月間平均残業時間は大幅削減、有給休暇取得率はほぼ100%になったとのご紹介がありました。また、取り組み前には、労働時間削減による業績の低下を懸念する声もありましたが、業績も順調とのお話がありました。
  • さらに、各部門のトップが働き方・休み方についてそれぞれ考える仕組みの構築により、組織的な取組が進み、組織風土の変革が一気に進んだこと、また、有休取得を絡めた取組にしたことで、休暇中のバックアップ体制の構築やコミュニケーションの促進にもつながったことが紹介されました。

「働き方・休み方の取組事例」

  • 株式会社シンコーメタリコン
  • 代表取締役
  • 立石 豊 氏
  • 第2部
  • 同社のモットーは「人を大切にする経営」であり、「とにかくアットホームでおせっかい」な社風のもと、社員の働きがいを高めることを目的として実施している独自の取り組みについて説明。
  • 管理職の休暇取得を主な目的として、1年に1回、7日間連続休暇制度の取得を非管理職も含めた全員に義務づけた「ドリームセブン」については、仕事の属人化が休暇取得を阻む状況を解消するため、導入前に1年間の準備期間を設け、業務の棚卸しをしたことが紹介されました。また、ドリームセブン取得の前後に、職場で報告することで、コミュニケーションが促進されるとの説明がありました。
  • それ以外にも、男性に5日間の育休取得を義務づけた「イクメンファイブ」(取得率100%)、1月に1回赤ちゃんを連れて出勤し、面談することで、復帰しやすい環境を整える「女性育児休暇・育休出勤」(取得率100%)、働くママのために勤務時間を前後にずらす「スライドワーク」、77歳の最年長社員も現役で活躍できる「定年後継続勤務」(再雇用率100%)など、様々な制度が紹介されました。

【第3部】パネルディスカッション

  • 第3部
    第3部
  • 【ファシリテーター】
    • 法政大学 キャリアデザイン学部
    • 教授
    • 坂爪 洋美 氏
    【パネリスト】
    • SCSK株式会社 人事グループ 人事企画部
    • 西・中部人事課長
    • 魚住 理沙 氏
    • 株式会社シンコーメタリコン
    • 代表取締役
    • 立石 豊 氏
経営トップの関与について
  • SCSK株式会社の魚住氏からは、取組を始めた当初は、急に高い目標を掲げたため、従業員からのネガティブな意見もあったが、経営トップが「高い目標値を掲げることで、仕事のやり方そのものを変える」という強いメッセージを発信し、かなりの覚悟を持って進めたことが、組織的な取組の推進につながったとのお話がありました。また、スピーディな経営判断により、新しい制度の導入等、できることには速やかに対応するという姿勢を徹底したことで、取組の本気度が伝わり、従業員の意識が変わっていったという説明がありました。
コミュニケーションの重要性について
  • 株式会社シンコーメタリコンの立石氏から、自社で最も大事にしているのはコミュニケーションであり、社内イベント等を通じて日頃からコミュニケーションをしっかり取ることで、お互いの性格や得意分野を知り、仕事でもうまく助け合うことができている、とのご説明がありました。また、顧客とのコミュニケーションも大事であり、「ドリームセブン」のような長い休暇取得の際には、顧客にも事前に説明しておけば、顧客との関係にも支障が出ないとのお話がありました。
パネラーによる休み方改革へのアドバイス
  • SCSK株式会社の魚住氏は、普段からコミュニケーションができていれば、「お互い様」の精神が醸成されることで、誰もが休暇を取得することが当たり前になり、ひいては、それがチームワークの強化や、仕事の属人化抑制にもつながると述べられました。
  • 株式会社シンコーメタリコンの立石氏は、とにかく平等に、全ての社員が必ず休暇を取得するというスタイルを徹底して維持することで、制度の浸透が早くなると述べられました。
  • 最後に、ファシリテーターの坂爪氏より、全員が休暇を取得することで、休暇取得の偏りや、それに伴う不平等感が是正され、また、労働時間の削減は、必ずしもコミュニケーションを悪化させるものではなく、むしろコミュニケーションを密にする可能性がある、とのコメントがありました。

【第4部】法律説明

「働き方改革関連法(労働基準関係)の概要」

  • 厚生労働省 労働基準局 労働条件政策課
  • 課長補佐
  • 高橋 亮 氏
  • 第4部では、厚生労働省より、働き方改革関連法(労働基準関係)の概要について説明が行われました。