東京会場における開催状況について
(2018年度)

平成30年10月15日(月)、一橋講堂において、働き方・休み方改革シンポジウムを開催しました。厚生労働省 大臣官房審議官(雇用環境・均等、子ども家庭、少子化対策担当) 本田 則惠のご挨拶を皮切りに、本シンポジウムが始まりました。

【第1部】基調講演

「働き方改革と生活改革の好循環を メリハリワークで『平日のゆとり』の実現を」

  • 第1部
  • はじめに、働き方改革の目的について説明。単に長時間労働を削減するだけではなく、「多様な人材が活躍できる働き方の実現」と「安易な残業依存体質の解消」が目的であること、そのためには残業のない職場でも働き方改革は不可欠である、と述べられました。
  • 続いて、働き方改革の進め方について、「時間意識」の高い働き方へ転換するため、時間をかけた働き方を評価する職場風土の変革が求められること、さらに時間資源の範囲内で仕事を最大化するには、①無駄な仕事をやめる、②優先順位の高い仕事からやる、③過剰品質を排除する、の3点が必要と提案されました。
  • また、「社員にとっての働き方改革」という視点から、「平日のゆとり」を実現することで社員の生活改革を促し、一人ひとりが豊かな生活を送れる働き方改革が重要であるとのコメントがありました。

【第2部】事例紹介 働き方・休み方改革の取組事例紹介

「仕事の質を高める『働き方改革』 ~働きやすい、やりがいのある会社を目指して~」

  • SCSK株式会社 理事 人事グループ
  • 副グループ長
  • 小林 良成 氏
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  • 第2部
  • 「夢ある未来を、共に創る」、「人を大切にします」という経営理念に則り、社員の健康を重視し仕事の質を高めるという考え方の下、トップの強いコミットメントで働き方改革の取組が開始した経緯について説明。
  • 「スマートワーク・チャレンジ20」に取り組む以前は、同社においても長時間労働が標準的な働き方であったが、会社の本気度を示すための取組(残業代の全額還元など)や、お客様や社外への理解促進を図るための取組(取引先へのお手紙の送付など)を含めた様々な施策を実施した結果、月間平均残業時間は大幅削減、有給休暇取得率はほぼ100%となったとのご紹介がありました。
  • また、取組当初は社員にはやらされ感が強く、反対意見も多く推進に苦労したが、現在はポジティブな捉え方が増え、社員満足度調査でも「今後も働き続けたい」「多様な働き方ができる」など、満足度が向上していると説明されました。

「東急電鉄流 働き方・休み方改革 ~『スマートチョイス』の推進~」

  • 東京急行電鉄株式会社 人材戦略室 労務厚生部
  • 統括部長
  • 下田 雄一郎 氏
  • 配布資料を見る
  • 第2部
  • 同社の「ワークスタイル&ワークスタイル・イノベーション」の考え方について説明。働きがいがある仕事と働きやすい環境の整備、生産性向上とイノベーションの創出を柱として、「日本一働き続けたい会社」を実現することが目指す姿であると述べられました。
  • これまでに、①勤務時間の柔軟化、②勤務場所の柔軟化、③休暇取得の風土醸成等に着手。年間を通じて自身の職務・環境に合わせたスタイルを自ら選択することにより、従来の働き方に捉われず、創造性発揮や業務の効率化を考え、従業員が主体的に働き方を選択することを目的としている、とご説明がありました。
  • 最後に、交通事業者として、従業員のオフピーク通勤を促進するためのキャンペーンを実施するなど、社会的な働き方の変革に向けた取組についてもご紹介がありました。

【第3部】パネルディスカッション

  • 第3部
  • 【ファシリテーター】
    • 中央大学大学院 戦略経営研究科
    • 教授
    • 佐藤 博樹 氏
    【パネリスト】
    • エSCSK株式会社 理事 人事グループ
    • 副グループ長
    • 小林 良成 氏
    • 東京急行電鉄株式会社 人材戦略室 労務厚生部
    • 統括部長
    • 下田 雄一郎 氏
働き方改革、特に残業削減について
  • SCSK株式会社の小林氏から、働き方改革に取り組んだ当初は、残業削減や有給休暇取得の目標を達成できるか社員も半信半疑であったこと、顧客から怒られるのではないかといった心配の声が多かったが、1年目の取組を終えたところで大きなクレームがなく利益成長が実現でき、3年目になってようやく「できるんだ」という実感がもて、取組が定着したとのお話がありました。
「場所の柔軟化」の取組について
  • 東京急行電鉄株式会社の下田氏から、モバイルワークやサテライト勤務を進めるにあたって、管理職と部下のコミュニケーションの希薄化が懸念されるが、同社では「トークwith活動」と称して最低半期に一回、考課のフィードバックにあわせて、業務の「目的」や求める「成果」を管理職と部下が共有する機会を設けている、とご紹介がありました。
パネラーによる休み方改革へのアドバイス
  • SCSK株式会社の小林氏は、社員が心から納得できるようになるには時間がかかるが、あきらめずに取組を進めてほしい、と述べられました。また、社員に対して、何のために取組を実施するのかをきちんと伝えると効果があるのではないか、とのアドバイスがありました。
  • 東京急行電鉄株式会社の下田氏は、働き方改革は、まずできるところから取組を進めている。社員が生き生きと働き続けられるため、従業員のために働き方改革を進めていくことが重要と述べられました。
  • 最後に、ファシリテーターの佐藤氏より、働き方改革に取り組んでいる企業は多いが、大事なのはその目的である。社員の豊かな生活につながるよう、働き方を変えることが大事。社員一人ひとりが自分のために必要だということがわかる形で進めてもらいたい、とのコメントがありました。

【第4部】法律説明

「働き方改革関連法(労働基準関係)の概要」

  • 厚生労働省 労働基準局 労働条件政策課
  • 労働条件企画専門官
  • 前村 充
  • 第4部では、厚生労働省より、働き方改革関連法(労働基準関係)の概要について説明が行われました。