大阪会場(2017年度)
~あなたの会社の働き方・休み方、そのままで大丈夫ですか?~
平成30年1月16日(火)、阪急うめだホールにおいて、働き方・休み方改革シンポジウムを開催しました。大阪労働局雇用環境・均等部長 六本 佳代のご挨拶を皮切りに、本シンポジウムが始まりました。
【第1部】基調講演
「残業削減から働き方改革へ ~残業依存体質の解消が鍵~」
- はじめに、残業時間削減の取組が直面する抵抗として、従業員の意欲をそぎ、能力向上の機会を取り上げるのではないか、また売上減少につながるのではという危惧がある、とのお話がありました。重要なことは「能力をのばず仕事」と「時間をやりくりするスキル」であり、残業時間を増やす必要はないこと、また、会議などを見直すなど仕事の仕方を変えることでパフォーマンスを低下させないことが必要と述べられました。
- 大事なのは残業依存体質からの脱却であると指摘され、そのためには職場を多様な人材の活躍の場にすること、仕事以外の生活を意識し、労働時間を「減らす」だけでなく「デザインする」という視点が重要だと説明されました。
- また、働き方改革は休み方改革でもあると説明。「休み方」視点から、1週間という時間をどう使うのかを考える視点を持つことを提案されました。
【第2部】事例紹介 働き方・休み方改革 先進企業による取組事例紹介
「仕事の質を高める『働き方改革』 ~働きやすい、やりがいのある会社を目指して~」
- 経営理念・行動指針に則り、「人=財産」であると考え、社員全員の成長が企業の成長につながると説明。
- しかし、IT業界、そして同社の課題として、長時間労働が常態化していたため、仕事の質を高める「働き方の改革」に着手。「残業半減運動」から始まり、働きやすい職場作りに向けた意識改革と改善活動の定着化を目指した「スマートワーク・チャレンジ20」へと取組は発展。成果として、取組前の7年前と比べて、月間平均残業時間は大幅削減、年次有給休暇も100%に近い取得率になったとのご紹介がありました。
- 最後に、成果につながった重要なポイントとして、「トップの強い旗振り」、「組織的な取組」、「「残業削減」だけでなく「有給休暇」をセットにしたこと」などを挙げられました。
「我が社の「働き方改革」」
- はじめに、働き方・休み方改革の取り組み契機についてお話がありました。同社設立当初の社員には、たまたま母子家庭の母親が多く、パート社員という立場では生活の安定が難しいため、自分たちで会社を設立した、と紹介されました。
- 設立当初から今日まで「いかに仕事を楽しんでいけるか、いかに無理なく働くことができるか」を会社全体で考えていると述べられました。働き方検討委員会を定期的に開催し、所定外労働時間削減のための手法やツール、年次有給休暇取得促進策など働き方・休み方について検討し、勤務環境の改善に向けた取り組みを推進。社員はお互い様の精神が身にしみており、主張し合うことなく譲り合っており、そのことが業務全体に助け合いの良い影響を及ぼしていると語られました。
「ドコモの働き方改革 ~ダイバーシティを価値とする企業風土~」
- 新たな付加価値を、同社自らが創造するだけでなく、パートナーとともに「協創」していく「付加価値協創企業」を目指し、ダイバーシティ経営を進めていると紹介。
- 2006年のダイバーシティ推進室発足以降、人事制度の見直しや、働きがい・職場意識の向上ための活動を展開。2017年度より中期ビジョン「beyond宣言」を策定し、その実現に向け、「自律とチャレンジを推進する働き方」が企業風土として根付くよう推進しているとのお話がありました。具体的な取組として、イノベーション創出の土台づくりに向けた、ダイバーシティ経営を推進。管理者のマインドチェンジや社員の当事者意識の醸成、アウトプットの最大化を目指し、「スライドワーク」・在宅勤務などの環境の整備や定時出社/退社を基本とする「プライオリティワーク」を通じた生産性の質の向上、健康経営への取組について紹介。こうした取組に対して、社外から様々な評価を受けたと述べられました。
【第3部】パネルディスカッション
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- 【ファシリテーター】
- 【パネリスト】
- 取り組んできて苦労したこと
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- SCSK株式会社の魚住氏からは、取組当初は現場からの反発が大きかったが、トップからのメッセージが役員層に継続して発信され、それを社内ポータルサイトを通してタイムリーに全社員へ伝えた事例を紹介されました。
- 有限会社すこやかの國澤氏からは、中途採用が多く年齢も様々であることから、お互い様で仕事を行うしかなかったこと、また採用基準は「気遣い、思いやり」として経験不問としているとのお話がありました。
- 株式会社NTTドコモの清水氏は、特に管理職の変わることへの抵抗が大きかったが、例えば、時間外の削減や在宅勤務の実施率など、分かりやすい具体的な目標を設定し、ある程度成果が上がると事例を共有することで、その小さい成功体験が取組のはずみになった、とのお話がありました。
- 成果を生み続けるポイント
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- SCSK株式会社の魚住氏より、トップダウンだけでなくボトムアップの取組を促し、目標は上から、取組内容は各部門で検討している、とのお話がありました。
- 有限会社すこやかの國澤氏は、同社の信条や利用者様への約束を記載した「すこやか心のカード」を始業時に読み合わせしていること、どう実践したかを「こころの自己評価」で確認していることを紹介されました。
- 株式会社NTTドコモの清水氏からは、取組の全国方針は本社で策定するが、支社での取組では地域のカラーを出して取り組んでいるとのお話がありました。
- 会場からの各社への質問
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- 仕事と介護の両立をどうすればいいか、との質問がありました。株式会社NTTドコモの清水氏からは、社員向けに事前準備のセミナーを開催し、知識をインプットするとともに、介護中はランチ会でネットワークづくりを行っているとのお話がありました。有限会社すこやかの國澤氏は、会社で自由に話せる雰囲気づくりが大事だとの指摘がありました。
- 在宅勤務の初期投資についての質問がありました。SCSK株式会社の魚住氏より、リモートワークはペーパーレスやオフィス削減とセットで実施しており、初期投資と比べても全体的にコスト削減につながっていると述べられました。
【その他】
- パネルディスカッション終了後、本シンポジウム事務局の三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社より、「働き方・休み方改善ポータルサイト」の概要についての説明が行われました。