福岡会場(2017年度)

~あなたの会社の働き方・休み方、そのままで大丈夫ですか?~

平成29年12月6日(水)、TKP博多駅前シティセンター ホールAにおいて、働き方・休み方改革シンポジウムを開催しました。福岡労働局雇用環境・均等部企画課長 河野 智章のご挨拶を皮切りに、本シンポジウムが始まりました。

【第1部】基調講演

「残業削減から働き方改革へ ~残業依存体質の解消が鍵~」

  • 法政大学 キャリアデザイン学部 教授
  • 坂爪 洋美 氏
  • はじめに、残業時間削減の取組が直面する抵抗として、従業員の意欲をそぎ、能力向上の機会を取り上げるのではないか、また売上減少につながるのではという危惧がある、とのお話がありました。重要なことは「能力をのばず仕事」と「時間をやりくりするスキル」であり、残業時間を増やす必要はないこと、また、会議などを見直すなど仕事の仕方を変えることでパフォーマンスを低下させないことが必要と述べられました。
  • 大事なのは残業依存体質からの脱却であると指摘され、そのためには職場を多様な人材の活躍の場にすること、仕事以外の生活を意識し、労働時間を「減らす」だけでなく「デザインする」という視点が重要だと説明されました。
  • また、働き方改革は休み方改革でもあると説明。「休み方」視点から、1週間という時間をどう使うのかを考える視点を持つことを提案されました。

【第2部】事例紹介 働き方・休み方改革 先進企業による取組事例紹介

「働きやすい職場を目指して、我が社の働き方改革30年」

  • 拓新産業株式会社
  • 代表取締役
  • 藤河 次宏 氏
  • まず、同社では、人材の確保と育成は企業の最重要課題と位置づけているとのお話がありました。働きやすい職場環境づくりに取り組んだきっかけも、大学生の新卒採用を目指したこと。大学生に中小企業に入社してもらうためには、求められる魅力ある企業になる必要があると考えたことだと述べられました。
  • 特に力を入れて実践した取組は、①完全週休二日制、②有給休暇の完全消化、③残業ゼロ、休日出勤ゼロ、④育児休業100%取得。そのために、顧客数を増やすことで顧客を選別したり、会議や営業日報を廃止するといった取組を徹底したとの説明がありました。
  • 取組を進めないことには課題が見つからない、何かをするには何かを捨てないと整理にならない、といったアドバイスの後、トップが社員の働き方を示さないといけない、と語られました。

「我が社の「働き方改革」」

  • 株式会社日豊ケアサービス
  • 事業運営管理 主任
  • 松前 孝二 氏
  • はじめに、ワーク・ライフ・バランスに取り組んだ理由について説明がありました。離職者が多く、採用しても定着率が悪いことから、職場風土の改革に取り組み始めたと述べられました。
  • 定年の引上げや正社員転換制度の導入、育児休業・介護休業の利用促進、福利厚生・人事制度の改革、社員教育・社内外教育の実施とともに、定時帰宅の促進や会議時間の短縮、有給休暇の取得促進に取り組んだと説明されました。
  • その結果、年間の離職者数は大幅に減少、また、大分県初のプラチナくるみんの認定や、女性活躍推進法に基づく「えるぼし」2段階目の認定など、外部からも評価されたと語られました。

「JTBグループのダイバーシティ推進について」

  • 株式会社JTB九州
  • 企画総務部 総務課 リーダー
  • 柳井 雅史 氏
  • 市場の多様化に対して企業組織としても多様化が必要なこと、人財の活躍が生産性向上の必須条件であることから、「多様性を企業の強みに」を共通ビジョンとして、ダイバーシティ推進に取り組んでいると紹介。
  • ダイバーシティ推進の取組を表彰する「ダイバーシティアワード」を実施し、好事例を共有したり、「ダイバーシティINDEX」により進捗状況を見える化しているとのお話がありました。
    また、「働き方に関する意識調査」を毎年実施し、社員の意識・課題の把握を行うとともに、「長時間労働風土改善マニュアル」の作成や「働き方見直し実践サイト」を通じて、長時間労働風土の改善に取り組んでいると説明。一気に変えることは難しいが、段階的に進んできていると述べられました。

【第3部】パネルディスカッション

  • 【ファシリテーター】
    • 法政大学 キャリアデザイン学部 教授
    • 坂爪 洋美 氏
    【パネリスト】
    • 拓新産業株式会社
    • 代表取締役
    • 藤河 次宏 氏
    • 株式会社日豊ケアサービス
    • 事業運営管理 主任
    • 松前 孝二 氏
    • 株式会社JTB九州
    • 企画総務部 総務課 リーダー
    • 柳井 雅史 氏
残業削減のポイント
  • 拓新産業株式会社の藤河氏より、捨てることと属人化を見直すことが重要との指摘がありました。同社では1年に1回、業務の棚卸しを実施。また、マルチタスクとして、誰かが補佐できる環境をつくっている、と紹介されました。また、慣習や常識に囚われないことが重要だとの発言がありました。
  • 株式会社日豊ケアサービスの松前氏からは、元々女性の多い職場で残業を嫌がる職員が多いため、残業は少ないとのお話がありました。また、残業を減らすために、残業を行う際は事前の許可制にしているとの紹介がありました。
  • 株式会社JTB九州の柳井氏からは、残業が恒常化していた当初は、残業を制限することによる社員からの「顧客対応をどうすればよいのか」という反発的なものもあったが、徐々に、どうすれば日中(時間内)に仕事が終わるか考えるようになり、意識付けを継続して行ったと述べられました。
会場からの各社への質問
  • マルチタスクにすると、当初は労働時間や人員が増加するのではないか、との質問がありました。拓新産業株式会社の藤河氏より、時間はかかるが計画的に進めることで問題は生じなかったとのお話がありました。
  • 気持ちや時間に余裕がないとメンタルの問題が生じないか、との質問がありました。株式会社日豊ケアサービスの松前氏は、職員同士のコミュニケーションが不足することで離職につながることがあり、主任がうまくコミュニケーションを取ることが重要と述べられました。株式会社JTB九州の柳井氏からは、相談しやすい窓口として、組合に相談窓口が設置されていると紹介されました。
  • 最後に、ファシリテーターの坂爪氏より、まずはやってみることが大事で、やってみると見えてくることがあること、女性活躍という視点からも働き方改革は大切な取組であること、職場の人間関係を良好にすることが残業削減の効果をより高める、とのコメントがありました。

【その他】

  • パネルディスカッション終了後、本シンポジウム事務局の三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社より、「働き方・休み方改善ポータルサイト」の概要についての説明が行われました。