東京会場(2017年度)
~あなたの会社の働き方・休み方、そのままで大丈夫ですか?~
平成29年10月25日(水)、有楽町朝日ホールにおいて、働き方・休み方改革シンポジウムを開催しました。厚生労働省 大臣官房審議官(雇用環境・均等、子ども家庭、少子化対策担当) 成田 裕紀のご挨拶を皮切りに、本シンポジウムが始まりました。
【第1部】基調講演
「残業削減から働き方改革へ ~残業依存体質の解消が鍵~」
- はじめに、働き方改革の目的について説明。ダイバーシティ経営の実現の基盤整備として必要であり、残業削減や有休取得増ではなく、時間意識の高い働き方への転換が目的である、と述べられました。
- 続いて、働き方改革の進め方について、「時間制約」(ワーク・ライフ社員)を前提に、時間資源の総量を所与として、その時間資源の範囲内で実現可能な仕事の付加価値の最大化を目指した仕事管理・時間管理が重要であると説明。その具体的な取組として、時間効率を高める働き方の意識を社員に持たせる「週2日定時退社」という取組を提案されました。
- また、残業削減のみでなく、「メリハリワーク」を通じて平日のゆとりを実現することが課題であるとのコメントがありました。
【第2部】事例紹介 働き方・休み方改革 先進企業による取組事例紹介
「働き方改革の取組み ーカルビーの事例ー
- 同社のワークスタイルについての考え方について説明。会社の成長のためには、個人の成長が必須であり、個人の成長には「ライフワークバランス」と「成果主義」の両輪が必要と考えていると述べられました。
- 続いて、ワークスタイルの考え方に基づき導入・実施しているユニークな制度・取組について紹介されました。オフィスに縛られない働き方を支援するため、フリーアドレス化を行い、部門を越えたコミュニケーションの促進や、タイムマネジメント、効率的な働き方を意識づけ、また、テレワークを導入。キャリア形成支援として、自己啓発制度やキャリアチャレンジ制度を導入し、自分のキャリアを自分でつかむことを啓発している、と説明されました。
「仕事の質を高める『働き方改革』 ~働きやすい、やりがいのある会社を目指して~」
- 経営理念・行動指針に則り、「人=財産」であると考え、社員全員の成長が企業の成長につながると説明。
- しかし、IT業界、そして同社の課題として、長時間労働が常態化していたため、仕事の質を高める『働き方の改革』に着手。「残業半減運動」から始まり、働きやすい職場作りに向けた意識改革と改善活動の定着化を目指した「スマートワーク・チャレンジ20」へと取組は発展。成果として、取組前の7年前と比べて、月間平均残業時間は大幅削減、年次有給休暇も100%に近い取得率になったとのご紹介がありました。
- 最後に、成果につながった重要なポイントとして、「トップの強い旗振り」、「組織的な取組」、「「残業削減」だけでなく「有給休暇」をセットにしたこと」などを挙げられました。
「ドコモの働き方改革 ~ダイバーシティを価値とする企業風土~」
- 新たな付加価値を、同社自らが創造するだけでなく、パートナーとともに「協創」していく「付加価値協創企業」を目指し、ダイバーシティ経営を進めていると紹介。
- 2006年のダイバーシティ推進室発足以降、人事制度の見直しや、働きがい・職場意識の向上ための活動を展開。2017年度より中期ビジョン「beyond宣言」を策定し、その実現に向け、「自律とチャレンジを推進する働き方」が企業風土として根付くよう推進しているとのお話がありました。具体的な取組として、イノベーション創出の土台づくりに向けた、ダイバーシティ経営を推進。管理者のマインドチェンジや社員の当事者意識の醸成、アウトプットの最大化を目指し、「スライドワーク」・在宅勤務などの環境の整備や定時出社/退社を基本とする「プライオリティワーク」を通じた生産性の質の向上、健康経営への取組について紹介。こうした取組に対して、社外から様々な評価を受けたと述べられました。
【第3部】パネルディスカッション
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- 【ファシリテーター】
- 【パネリスト】
- 健康経営について
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- カルビー株式会社の江木氏から、厳しく(成果主義)、暖かく(健康・感謝を公平に)、という方針で取り組んでおり、健康保険組合と共同で予防医療の充実や、運動、禁煙などの生活習慣改善の啓発活動を行っている、とのお話がありました。
- 現場の巻き込みについて
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- SCSK株式会社の小林氏からは、残業半減運動を始めた当初は、顧客から怒られるのではないか、契約を切られるのではないかと、社内から非難の嵐だったが、現場の努力もあり、そのような事態はまったく生じず、取組2年目の終わり頃には周囲からも評価されるようになり定着した、との発言がありました。
- 株式会社NTTドコモの本氏からは、経営者視点が有効と考え、幹部メッセージを発信するとともに、ワーキング・グループを立ち上げてきっかけづくりを行い、上からのトップメッセージと下からのボトムアップの仕掛けを行うことが有効、とのお話がありました。
- パネラーによる働き方改革へのアドバイス
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- カルビー株式会社の江木氏は、自らやることが大事であり、個人にとっては生き方改革である、と述べられました。
- SCSK株式会社の小林氏からは、働き方改革の目的は、社員からすると疑問なこともあるので、うまく伝えていくことが大切であること、また、ライン管理職が「業務と人をしっかりとマネジメントする」ことが重要とのアドバイスがありました。
- 株式会社NTTドコモの本氏は、多様な社員が増えていくため、今までの働き方ではいけない、とのお話がありました。
- 最後に、ファシリテーターの佐藤氏より、働き方改革の取組は特別なことではないこと、また管理職の意識が重要であること、働き方を変え豊かな生活を実現することが大切だ、とのコメントがありました。
【その他】
- パネルディスカッション終了後、本シンポジウム事務局の三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社より、「働き方・休み方改善ポータルサイト」の概要についての説明が行われました。