札幌会場(2016年度)
~企業と社員が一緒に取組む「働き方・休み方改革」の可能性~
平成28年11月18日(金)、会議・研修施設ACU-A(アスティ45 16F)において、働き方・休み方改革シンポジウムを開催しました。田中敏章北海道労働局長のご挨拶を皮切りに、本シンポジウムが始まりました。
【第1部】基調講演
「働き方改革の必要性 ~なぜ長時間労働からの脱却が必要なのか~」
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まずはじめに働き方・休み方改革の必要性についてお話がありました。
今、企業はグローバル競争下で質の高い仕事、付加価値の高い財・サービスの提供が求められており、社員が恒常的に仕事に追われている状況ではそれが困難であること、キャリア50年の時代に入り学び直しが必要となっていること、人材不足の中で女性や高齢者などの労働力に期待すること、残業を前提にした働き方をしていない人は会社や職場へのエンゲージメントが高いことなど述べられました。そして、今まで本格的に改革が進まなかった理由として、必要性への認識の低さと、日本的な集団意識などが挙げられました。 - 次いで、日本企業におけるマネジメントの状況、働き方改革における管理職のマネジメントの重要性、仕事以外のサポートの仕組みの重要性について述べたあと、働き方改革の一手段として、会社のイニシアティブによる連続休暇取得、半日休暇の取得促進、週2日程度の定時退社の習慣化など、具体的な対策について述べられました。
【第2部】事例紹介 働き方・休み方の改善において進んだ取組を実施している企業の事例紹介
「働き方の改革“WLB888プロジェクト“のご紹介」
- 同社が働き方の改革をはじめることになったきっかけは、労働組合からの要請で開催したワーク・ライフ・バランスに関する講演会だったとのこと。
- 同社が取り組んだ理由は、社員が健康な生活を送れるようにするためというのはもちろんのこと、優秀な人材を確保しやすくなるという会社としてのメリットもありました。業界の先駆けとなる取組として開始されました。
- 会社の本気度を示すために社内表彰の実施や評価制度の見直し、また、ノー残業デーを実質的に機能させるために時間外の電話を自動応答にするなど、さまざまな取組を行った結果、社員間のコミュニケーションが活発化した等の効果が得られたそうです。
- 最後に、「一番大変なのはやりつづけること」であるとの発言をされたのが印象的でした。
「日本特殊陶業における「働き方改革」~取り組み事例のご紹介~」
- 働き方改革には「会社視点」と「従業員視点」の両方の視点からの取組が必要との指摘がありました。
- 「会社視点」からの取組は、長期経営計画として「人“財”企業」を掲げ、その実現に向けた現状の課題を明らかにしました。具体的には、ベース業務簡素化、時間を高付加価値業務へ配分、効率性を20%アップといった目標を設定し、働き方改革推進室を設けて推進しています。
- 「従業員視点」からの取組は、労働組合の要求を基に労使間で協議を行い、社長と委員長のトップメッセージ「長時間労働の撲滅宣言」をはじめとする様々な取組を実施しました。
- まとめとして、トップダウンとボトムアップの両面で取組む、会社視点と従業員視点の両輪で進める、熱意と創意工夫をもって失敗を恐れずに改善サイクルを回し、徹底して取り組むことが重要と締めくくられました。
「従業員が活躍できる環境づくり ~ニトリグループの取り組み~」
- 同社の掲げる「住まいの豊かさを世界の人々に提供する」というロマン、ならびにビジョンとして描いた長期目標を達成するためには、人財の確保が最大の課題であること、従って、「働きやすい環境づくり」は成長戦略という認識を経営陣で共有するところから取組がスタートしました。
- 働きやすい環境づくりに向けて、始めにダイバーシティ推進委員会を設け、多様な働き方の推進を様々な制度等を導入するなどして行いました。
- この過程で、長時間労働削減の対策、有給休暇取得促進に向けた対策が行われてきました。
- 今後、働きやすい環境づくりを強力に推進していくため、生産性向上の連動が不可欠と考え、さらに対策を継続していくと締めくくられました。
【第3部】パネルディスカッション
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- 【ファシリテーター】
- 【パネリスト】
- 会場からの各社への質問
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- 参加者によりパネルディスカッションへ参加してもらうため、冒頭、会場から質問を取ったところ、①社外取引先への働きかけの方法、②在宅勤務の際の評価の仕方や就業規則への対応、③男性の育児休暇の取組と考え方について質問が出され、その3つの質問を軸に議論を進めました。
- 社外取引先への働きかけ
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- 社外の取引先への働きかけは、リーフレットを客先に担当者が持参し、一緒に実施することを提案するなど協力を求める形で実施したケース、BtoCのため直接的な働きかけは行っていないが社内体制で対応しているケースなど、それぞれの事業の運営に応じて対応していることが紹介されました。
- 在宅勤務制度導入に伴う評価のあり方について
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- 在宅勤務制度に伴い、評価方法を変更することは各社とも行っておらず、短時間勤務の枠の中で在宅勤務の際のルールを作っていくことが重要との指摘がありました。
- 男性の育児休暇の取組と考え方とまとめ
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- 各社の現状と取組について回答があった後、ファシリテーターから、短時間勤務の場合にも硬直的に例えば6時間などで仕事を終えるのではなく、在宅勤務と組み合わせることにより、状況に合わせて早く仕事に復帰できるような弾力的な仕組みの重要性についての指摘をもって締めくくられました。