Ⅱ.本マニュアルの活用方法

本マニュアルの活用方法についてまとめています。

1.はじめに、自社における休み方の実態や課題を把握

本マニュアルでは、「休み方の課題」を4つのフェーズに分け、それらに応じた取組内容を紹介しています。自社に適した年次有給休暇の取得促進策を実施するためには、まずは、休み方の状況や課題を把握することから始めましょう。
年次有給休暇の取得状況については、取得率の全社平均だけでなく、部署・職種、職位による偏りがないかについても確認してください。

【年次有給休暇の取得状況】

年次有給休暇の取得率
  • 会社全体の年次有給休暇の平均取得率
  • 部署や職種における年次有給休暇取得率の偏り
  • 職位における年次有給休暇取得率の偏りなど

【休み方の課題フェーズ】

フェーズ1.
全体的にほとんど取得できていない
  • 全社的に年次有給休暇を取得する雰囲気がなく、ほとんどの社員の取得日数が年5日未満
フェーズ2.
年5日取得できているが、まだ全社的に取得率が低い
  • 全社員が年5日以上取得できているが、世間の平均的な水準に比べると、全社的に取得率が低い
フェーズ3.
全社的な取得率に課題はないが部署・職種・職位によって取得率に偏りがある
  • 全社平均の取得率は、世間の平均的な水準と遜色ない
  • しかし、一部の部署・職種・職位(特に管理職層)の取得率が低く、属性によって偏りが生じている
フェーズ4.
全社的な取得率に課題はないがワーク・ライフ・バランスの実現にむけてさらに改善する余地がある
  • 全社平均の取得率は、世間の平均的な水準と遜色なく、部署・職種・職位による取得率の偏りもそれほど大きくない
  • しかし、社員から「希望する時季に気兼ねなく取得したい」、「まとまった休暇が取れると、仕事以外の活動の充実が図れる」などの声があり、ワーク・ライフ・バランスの実現にむけて、施策を検討する余地あり
(参考)調査産業計・従業員規模別 年次有給休暇の労働者1人あたり平均取得率(厚生労働省「平成31年就労条件総合調査」)
1,000人以上:58.6%、300~999人:49.8%、100~299人:49.4%、30~99人:47.2%

2.休み方の課題フェーズに応じた取組を選択

次に、自社の課題に応じて、どのような取組を行うべきか検討します。休み方の課題フェーズに関連する取組項目について、「推奨実施項目」と「自社の課題に応じた実施項目」に分類しました。これらを参照し、自社の状況に応じた取組項目を検討・実践していきましょう。
なお、本マニュアルでは、法定の年次有給休暇を優先的に取得する取組を解説しています。

【休み方の課題フェーズに応じた取組項目】

:推奨実施項目
:自社の課題に応じた実施項目
1.年次有給休暇取得を促進する意識啓発
取組1-③
社員に対する継続的な周知・PR
2.年次有給休暇取得を推進する体制づくり
3.年次有給休暇の計画的な取得を促す取組
取組3-①
年次有給休暇の取得状況の把握
 
4.年次有給休暇の取得に対する社員の意欲を高める取組
取組4-②
仕事の生産性を高める取組を評価
5.年次有給休暇を取得しやすい業務体制・仕事の進め方
取組5-①
業務スケジュールの見える化
取組5-③
業務の標準化の推進
取組5-④
多能工化・人材育成