日精樹脂工業株式会社
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
企業情報
企業名 |
日精樹脂工業株式会社
|
---|---|
URL | |
所在地 |
長野県埴科郡坂城町
|
社員数 |
1,284人
(時点:2023年3月) |
業種 |
製造業
|
事業内容 |
射出成形機を中心とした金型、成形支援システム、成形加工技術などの研究開発
|
働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い
・2001年ITバブル崩壊時、2009年リーマン・ショック時にリストラを経験。今後は景気の動向に流されない労働環境を目指している。
・経営計画の人事重点戦略として「働き方改革」を挙げ、さらなる時間外労働の削減と業務効率化の向上を目指している。
・『ひとりひとりのしあわせと安心のために』:社員とその家族がしあわせに安心してライフデザインを実現できる日精グループを目指し、必要な方に必要な支援を行い、社員ひとりひとりがしあわせと安心を感じる職場環境をさらに充実させることを目指している。
・管理職会や各種研修において、役員や人事部から時間外労働の削減や年次有給休暇の取得促進を周知し、改善を図ってきた。
主な取組内容
1 働き方・休み方改善に関する方針・推進体制
・トップメッセージとして、以下の内容を発信している。
・社員一人ひとりの成長や能力向上に対する積極的な支援。
・所定外労働時間の削減に向けて業務改善と課題解決に向けた取組みを全社的に推進。
・メリハリのある働き方で、社員それぞれの能力が十分発揮できる職場環境の実現に向けた取組みを継続。
2 働き方改善に関する取組内容
所定外労働時間の削減の取組
・全社目標:「残業10%削減」。
・ノー残業デーの実施:毎週水曜日、給与支給日、賞与支払日。
・営業所の事業場外みなし労働時間制の廃止及び出張の日当廃止(実労働時間管理へ転換)。
・「ヒートマップ」による個人別残業時間数の管理。
・所定外労働実施ルールの厳格化:「22時以降及び1日3時間超」の時間外労働を原則禁止。
・三六協定の特別条項限度時間の引き下げ:(1ヶ月)70時間→「45時間」に引き下げ、(1年間)690時間→「360時間」に引き下げ。
過重労働による健康障害防止の取組
・1ヶ月の時間外労働が45時間を超えた場合は「疲労度蓄積診断チェック」を実施し、疲労度の高い社員に対して産業医による面接指導を行っている。
業務効率化・生産性向上・モチベーション向上に関する取組
・国家資格「射出成形技能士」の資格取得奨励:創業の原点・精神である「射出成形加工」の継承のため、職種問わず、「射出成形技能士」の資格取得を推奨し、社員の約8割が有資格者。多くの社員が国家資格を取得することで、「成形現場を着眼点」とした製品及び成形技術の開発・提案、営業提案、サービスサポートの実施を可能にしている。
・業務改革制度:2014年4月~2017年3月まで3年間実施。業務の洗い出しを行い、業務改善意識と課題解決に向けた取り組みを定着。好事例発表会も開催し、最優秀チームにはインセンティブ支給。
・自己改革・能力向上活動:2017年4月から実施。10%の業務効率化達成に向けて、能力向上推進。通信教育に係る費用をほぼ全額会社負担により、1ランク上の資格取得を推進。
・社内研修の充実:経営方針「働き方改革により効率的な業務運営とグローバルに対応できる人材育成」の実現に向けて、専門的知識及び実践力の習得のための各種研修実施予定。講師を役員・部長職が務め、経営の考えを伝達。
・キャリアポイント面接:役員が全社員と個別面談を実施。社員の意識の把握に努めている。
テレワーク勤務制度の導入
・コロナ禍でも業務を継続するため、社員の健康を第一にテレワーク勤務制度を導入し、情報機器類を貸し出して環境を整えた。製造業のためテレワークができない職種もあるが、オンライン業務が浸透し、書類削減やプロセス見直しのきっかけとなった。
3 休み方改善に関する取組内容
年次有給休暇の取得促進等の取組
・年次有給休暇の5日間の取得義務化を契機に、計画年休(2日間)を導入した。計画年休は休む日、休まなければならない日として定着している。
・上記の他、「リフレッシュ休暇」として、年次有給休暇の連続取得を推奨する取組を行っている。
・子育てや介護等と仕事の両立を支援するために、年5日まで時間単位で年次有給休暇を取得できるようにした。制度はすぐに浸透し、必要な時間の休暇を取得することができるため、利用者は多い。
・年間所定休日を5日増加:118日→123日(2013年から実施)。
・年間所定休日123日のうち、12日間は個別に設定可能。
育児休業・介護休業制度の充実
《独自制度》
・ベビカム休暇:配偶者の出産前後に年次有給休暇の取得を推奨している。
・ファミリーサポート休暇:子が1歳になるまでの5日間、復活年休(失効年休積立制度)を使って育児休業の取得が可能。
・在宅勤務:育児・介護をする社員の在宅勤務を可能とする制度。
・家族手当:子どもが増えるのに応じて手当額が大きくなる仕組み。
・再雇用制度:育児・介護により退職する社員を再雇用する制度。
※この他に看護休暇・時間外労働の制限・短時間勤務・介護休業について、法定を上回る制度として運用している。
取組の成果・展望
1 取組の成果
労働時間の削減
・特定の社員に業務が偏らないよう、時間外労働の上限を月45時間まで引き下げた。
【所定外労働時間の推移】
<2017年度>(月平均)21.36時間
<2022年度>(月平均)15.07時間
年次有給休暇の取得促進
・計画年休の導入は年次有給休暇の取得促進に有効であった。
【年次有給休暇取得率の推移】
<2017年度>年間平均取得日数:11.4日/取得率:60.7%
<2022年度>年間平均取得日数:13.8日/取得率:75.0%
※改善した理由:年次有給休暇の取得率目標を掲げて促進した。
業務効率・生産性
・限られた時間でアウトプットを出すことが定着している。
従業員のワーク・ライフ・バランス、モチベーション
・2010年以降、妊娠した社員の育児休業取得率100%、復帰率100%は継続している。
・2022年度の男性社員の育児休業取得率は75%となり、取得し易い職場づくりを促進する。
多様な人材の活躍
○多様な働き方に関する取組
・正社員登用制度:一定の条件を満たし登用試験に合格した嘱託社員を正社員へ転換する制度。
・70歳までの雇用制度:70歳まで雇用する制度を新設。
○女性活躍推進に関する取組
・2015年9月以降、女性管理職育成のため各種研修等を開催
・キャリア面接を実施して育成、能力開発、昇格、昇進計画を作成し、キャリア形成を支援
・女性の採用を拡大して女性社員の割合を増加させるため、女性社員の活躍を社外に発信
・障害者雇用者数(2022年度):12名(法定雇用率2.32%達成)
・「くるみん」認定取得 2015年、2017年
・「プラチナくるみん」認定取得 2021年取得
・「えるぼし」2段階目 2021年取得
・長野県「社員の子育て応援宣言!」登録(2015年から継続中)
・長野県「職場いきいきアドバンスプラスカンパニー」認証取得(2021年、2023年)
採用・人材の定着
・社休日数や有休取得率は働き易さとして捉えられるため、人材の確保に有効である。
2 今後の展望
・働き方・休み方は更に推進していき、会社にとっても従業員にとっても魅力ある制度を常に検討していきたい。