兼松株式会社

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

兼松株式会社
企業名
兼松株式会社
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所在地
東京都
社員数
798人
(時点:2023年3月)
業種
卸売業(商社)
事業内容
国内外のネットワークと各事業分野で培ってきた専門性と、商取引・情報収集・市場開拓・事業開発・組成・リスクマネジメント・物流などの商社機能を有機的に結合して、多種多様な商品・サービスを提供する商社

働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い

1 働き方の現状

・2016年度に勤怠システムを刷新し、以前より厳密な管理が可能になった。
・部署による差はみられるが、傾向は一律ではない。時節によって、残業の多い部署が変わる。
・非管理職層と管理職の差はあまりない。

2 働き方の課題

・フレックスタイム制を導入しているものの、活用が十分にできていない。フレックスタイム制は課単位で導入するという運用を行っているが、マネジメントの懸念等から利用する部署が限定的である。

3 休み方の現状

・年次有給休暇の付与日数は、法定どおりである。2022年度の年次有給休暇取得率は70.4%(管理職含む)。
・特別休暇としてボランティア休暇などがある。

4 休み方の課題

・非管理職層の取得率は70%を超えている一方、管理職層の取得率が低い。年次有給休暇の取得促進に取り組む以前は、従業員から、部署や上司によって年次有給休暇がとりにくいことがあるという声があがっていた。

主な取組内容

1 働き方・休み方改善(特に休暇取得促進)に関する方針・推進体制

・2023年4月にテレワーク規程を制定し、「従業員の自律的な働き方の尊重」と「会社業績の向上」を両輪で実現することを目指し、働き方の選択肢としてテレワーク(在宅・サテライトオフィス勤務)を位置付けた。それぞれの狙いは以下の通り。

○在宅勤務
・ウェルビーイングの観点において、通勤ストレスの解消等により働きやすさを高め、企業価値や業績向上を実現することを目指す。

○サテライトオフィス勤務
・外出時の移動による時間のロスを削減、遠隔地への出張中の業務や商談等を可能とし、業務効率化の更なる推進を促す。

2 働き方改善に関する取組内容

フルフレックス制度の導入
・2019年度にフレックスタイム制度の利用単位を課から個人に変更し、2021年度にコアタイムのない「フルフレックス制度」を導入、既に社員の8割超が利用している。今後、2026年度までに95%の利用率達成を目指している。

テレワーク制度の導入
・2019年度にテレワークの試験的導入(サテライトオフィス・在宅勤務)を開始、新型コロナウィルス対応での在宅勤務規程を制定した。
・更に、2023年度には、アフターコロナでの最大週2日までの在宅勤務を可能とし、サテライトオフィス勤務を含むテレワークを正式な制度としている。

3 休み方改善に関する取組内容

「ブロンズウィーク・プラス」制度の導入
・2016年度より、年次有給休暇の取得率向上を目的に、ゴールデンウィークやシルバーウィークにつづく、第3の大型連休として、「ブロンズウィーク」を導入した。飛び石連休の中日、あるいは3連休の前後に年次有給休暇を取得することで、連続4日間の休日とすることを原則としていた。
・2020年度からは「ブロンズウィーク・プラス」として、取得候補日を限定せず、通常の週末に連続して設定可能としたことで利便性を向上させた。また、取得義務日数を2日から5日に変更し、休暇取得しやすい職場環境の整備を目指している。(制度詳細は「5」に記載)

時間単位年次有給休暇の導入
・2019年度より、個人の事情による柔軟な働き方、時間配分が出来るよう、通常勤務者を対象に年次有給休暇の時間単位取得を可能にした。
・2022年度までに有給休暇取得率は70%を超えており、2026年度までに取得率75%を目指している。

「マイウィークエンド」制度の導入
・2019年度より、個人の趣味や家族の記念日のための有給休暇取得を促す「マイウィークエンド」を導入し、特に休暇を取得しづらい管理職に、仕事とともに私生活も大事にする働き方を支援している。

出生時の育児休暇制度「ハローベビー休暇」の導入
・2022年10月より、法定の「産後パパ育休(出生時育児休業)」4週間に対し、その2倍に当たる「出生翌日から8週間までの特別有給休暇」を付与する制度を設けて積極的な育児参画を促し、2026年度までに男性の育児休業等取得率100%を目指している。

4 働き方改善に関する課題・工夫

・フレックスタイム制度の利用が課単位であり、制度を十分に活用できていなかったため、2019年度より、利用を課単位から個人単位に変更した。更に、2021年度にコアタイムのないフルフレックス制度を導入し、より柔軟な働き方を可能にしている。
・2022年度の本社移転時に徹底したペーパーレス化を行い、テレワークでの業務遂行を円滑化、2023年度より制度化したテレワーク規程の導入となった。
・2022年10月に、新たな育児休暇制度「ハローベビー休暇」(法定「産後パパ育休(出生時育児休業)」の2倍、出生翌日から8週間までの特別有給休暇を付与する制度)を導入し、育児参画をしやすくした。

5 休み方改善に関する課題・工夫

・「ブロンズウィーク・プラス」として、最低日数要件を4日から5日に増やし、かつそれ以前の候補日制を廃止したことで、通常の週末に合わせての連休設定が可能となり、取得しやすくしている。
・夏季休暇時期に「ブロンズウィーク・プラス」制度を再案内することで取得を推奨し、前年度末の「ブロンズウィーク・プラス」による休暇計画時に在籍していなかった社員にも周知徹底を図った。
・「マイウィークエンド」を導入し、特に休暇を取得しづらいと考えられる管理職に、少なくとも年間5日の利用を要請し、仕事とともに私生活も大事にする働き方を支援している。
・個人の事情による柔軟な働き方、時間配分が出来るよう、通常勤務者を対象に、年次有給休暇の時間単位取得を可能にした。
・「ブロンズウィーク」などによって、連休が確保されると、計画を立てたうえで、目的のある休暇を過ごすことがしやすくなる。休暇を充実させることができ、また、予め決まった休暇に合わせて仕事を進めることで、気兼ねなく休みをとることができる。

取組の成果・展望

1 取組の成果

年次有給休暇の取得促進
・従業員が年次有給休暇を取得しリフレッシュをすることで、新たな発想を持って仕事に取り組むことができる。また、従業員満足度の向上、心身の健康維持効果にも影響し、従業員のWell-being向上に繋がっている。
・2022年度は3年前に比べて、エンゲージメント(会社への信頼度)が5ポイント上昇した。

【年次有給休暇取得率の推移】
<2017年度>年間平均取得率:66.7%
<2022年度>年間平均取得率:70.4%

業務効率・生産性
・コロナ対応およびオフィス移転にあたり、徹底したペーパーレス化を行ったことで、従業員が就業場所に依存せず効率的に業務に取り組んでいる。
・テレワークのデメリットとして、チームで実施する業務は業務効率を上げにくいことがある。また従業員同士や上司とのコミュニケーション不足になることがあるため、2022年に移転した新オフィスでは最新の会議システム導入や、コミュニケーションスペースの活用によりテレワークとオフィス出社勤務の使い分けをするなど、改善に取り組んでいる。

従業員のワーク・ライフ・バランス、モチベーション
・フルフレックス制度の利用率は2022年度で81.8%となっており、オフピーク通勤を含むオフィス出社と、サテライトオフィス・在宅勤務の利用とを組合せて、従業員各自の業務状況や、育児や介護などの家庭環境に合わせた効率的な働き方が可能となった。また従来以上に自己啓発や学び直しの時間を取りやすくなった。

多様な人材の活躍
・女性の育児休業取得率は100%、男性も2022年度実績では88%と、育児休業等取得率が増加している。2026年度までに男性の育児休業等取得率100%を目指す。
・毎年、育児による自己都合退職は数名以内、介護による自己都合退職はゼロと、非常に低い水準となっている。
・一方、在宅勤務者や短時間勤務者との会議の設定など、チームで連携しての業務推進に工夫が必要になっており、新オフィスの会議設備、コミュニケーションツールなどを活用して、様々なバックグラウンドを持つ多様な人材間での円滑な意思疎通と業務推進を図っている。

採用・人材の定着
・採用に関しては、働き方の自由度を増したことで、より多様かつ有望な人材の採用が可能になっている。
・一方で、離職に関しては、働き方の向上が従業員満足にはつながっていると考えられるが、離職の理由は外部環境も含めて様々であり、一概には言えない。

その他
・出生時育児休業として法定の2倍の日数の特別有給休暇を導入し、主に男性の育児による休暇取得への収入面での安心材料としている。

2 今後の展望

・人的資本経営推進の一環として、今後とも、継続的に質の高い働き方、休み方に取り組んでいく方針。

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