株式会社現場サポート

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

株式会社現場サポート
企業名
株式会社現場サポート
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所在地
鹿児島県鹿児島市
社員数
75名
業種
情報通信業

働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い

社員は単なる労働者ではなく仲間(パートナー)であるとの考えに基づき、「働きがい」「生きがい」が持てる環境を提供するとともに、社員は八つの「私たちの信条」に沿いながら、「お客様へ新しいワークスタイルを提案し、生産性向上に寄与する」という事業方針を掲げています。私たちの三つの主義である現場主義、自律主義、行動主義を実践して社員からの意見に耳を傾け、より良い環境づくりに努めています。
テレワークについては、もともと社員からの要望がきっかけで2017年に導入しました。導入時に制定したテレワークガイドラインは、その後環境変化に合わせて第8版まで改定を重ねており、よりよい制度に向けて毎年のように見直しを行っています。

主な取組内容

■GS POLICYの全員配布(経営と社員のベクトル合わせ)

GS POLICY(経営計画書)では経営方針、事業方針、社員に対する方針、お客様対応の方針など、会社としての優先事項、指針を明記し判断基準を設けることで生産性を上げるとともに、会社が理想とする現場主義、自律主義、行動主義のもとチームで支え合う働き方を社員一人ひとりが意識して働けるよう、以下のとおり働き方の共有を促しています。
◎人時生産性(時間当たりの粗利)
当社では内部体制に関する方針として「時間当たりの生産性を意識します」をGS POLICYに明記、全社員へ配布しています。
◎中期経営目標として人時生産性を数値目標化
毎年、人時生産性を社員に周知・レビューし、5年後の目標値を共有しています。

■働き方などに関する社長勉強会の実施

年86回の社長勉強会(会社の方針や組織的価値観の共有のための勉強会)を通して働き方や各種方針を全社員に共有し、長時間労働の削減や時間当たりの生産性を高めることの理解を深めています。

■IT化推進による仕事の情報共有(自社開発のツールや各種ツールの整備)

人時生産性を高めるためにITツールを導入し、リモートワーク下の中でのリアルタイムな情報共有による仕事のスピードアップだけでなく、属人的なノウハウの共有を行い担当者が休暇の際のフォローがスムーズにできます。また、働く職場においては社員間でのコミュニケーションも重要であると私たちは考えています。
社員間のコミュニケーションツール現場クラウドConne(コンネ;自社開発のビジネス向けSNS)によって社員間での相談事、情報共有、業務依頼、業務の進捗管理などが行われ常に会社全体、お客様からの情報などが共有できる状態にあり、誰もが業務に集中でき、精神的にも安心できる環境を提供しています。

■残業・休日・振替出勤に関する事前申請手続きの徹底

残業・休日・振替出勤が発生する場合は所属長へ事前申請を行い、所属長の承認決裁が必要です。所属長にて働き方や仕事の進め方をチェックし、改善すべき点がある場合は指導することによって不必要な残業時間の発生を防止しています。
また、残業時間・休日出勤・振替出勤は会社で利用しているクラウドサービスによるデータベースで見える化され、全社員に共有されています。
社員の健康を維持するため、インターバル制度として、当日の勤務と次の日の勤務の間に、休息時間を11時間取ることを義務付けています。

■リフレッシュ休暇

1年に一回、連続して有給休暇を取得することを推奨しています。
リフレッシュ休暇を導入することにより、業務の標準化に努め、働き方を変えていく意識も定着しました。

■業務負荷の軽減、生産性向上に向けたプロセスの見直しを定期実施

繁忙期の業務負荷軽減のために各部署からメンバーを選出し社内プロジェクトを立ち上げます。各業務工数や問題・課題を洗い出し、工数削減案や問題を解決するための対策を考え、それに応じて業務のシステム化や業務フローの改善を定期的に行っています。
業務のダブルアサインメント、マルチジョブも実施されています。働き方改革によって休暇取得を推進するためには仕事の属人化防止が不可欠ですが、一方で、一つの仕事を複数人ができる(ダブルアサインメント)ようにすると生産性自体は低下してしまいます。そこで、分業・兼業(マルチジョブ)によって一人が様々な仕事を担当することを組み合わせて、生産性を高められるよう工夫しています。

■年齢制限なし短時間勤務制度、男性育児休暇制度の実施

短時間勤務制度に子供の年齢制限を外し、1年ごとに短時間勤務かフルタイム勤務にするか社員が選択することができるようにする等、育児休業から復帰した社員が安心して働く環境を整えています。
2018年からは特別休暇として男性の育児休暇制度(配偶者の産前産後休業中に連続5営業日の休暇)も開始し、多くの男性社員が利用しています。

■1時間単位の有給休暇制度の導入

当社ではフレックスタイム制度の導入、短時間勤務(育児・介護休業制度による)の利用もできていましたが、お子さんの突発的な発熱や私的急用などで1日、もしくは半日の有給ではなく時間単位で取得できればという社員の声で1時間単位の有給休暇制度を導入しています。

■社員エンゲージメント(幸福度合い、貢献意欲)の調査の実施(満足度調査から幸福度調査へ)

これまでは自社独自の社員満足度調査であったものを、「井の中の蛙」ではなく、全国と比較してさらに上の社員満足度向上を目指すべきとの考えで、多くの企業が参加する共通満足度調査である、エンゲージメント調査への変更を行い、社員の現状におけるエンゲージメント(幸福度)を測定し、同規模の上位企業との比較を行い、不足分を全社員で共有化し、改善に向けて取り組んでいます。

■リモートワーク環境の整備とワークスペース選択制による生産性の向上(リスク対応含む)

以前よりBCP(災害などの緊急事態における企業の事業継続計画)を検討している中で、台風時やインフルエンザ発生時等の出社しづらい状況におけるお客様対応についても検討していました。検討の結果2019年2月からインターネット回線電話の導入、VPN(仮想専用線)の見直しを7月に行いました。
2020年からは新型コロナウイルス感染拡大により、会社建物内での業務に大幅な制限がかかったため、VPN装置の増強、コミュニケーションツールの拡充などを図り、全社員に対するリモートワークの実証実験を経て、2020年7月からは社員が働く場所を[自宅]と[会社]で選ぶことができる【ワークスペース】選択制度を導入しました。
導入とあわせて、従来のテレワークガイドラインは、ワークスペースガイドラインに定め直しました。同ガイドラインは、「チーム(会社・部門・PJ等)の生産性向上」「社員のライフスタイルのバックアップ」「災害時やパンデミック時におけるお客様対応」の3点を目的として、場所にとらわれない働き方の実現を目指しています。
また、勤務形態は社員自らが決定することとしており、部長・直属上司・PJメンバー等と協議のうえ、各自報告・登録を行います。その結果、在宅勤務を選択している社員の割合は70%以上で推移しています。
さらに、テレワーク中の仕事の進め方についても、本人の裁量に任せています。テレワークだけに限りませんが、「仕事が自分事になればマイクロマネジメントは不要である」との考えに基づいて、社員と理念や情報を共有し、相互コミュニケーションを図ることを重視しています。情報共有については、部署内はもとより部署の垣根を越えて徹底的に取り組んでいます。

ワークスペースガイドラインの概要
ワークスペースガイドラインの概要
令和4年度 働き方・休み方改革推進に係る広報事業
働き方・休み方改革シンポジウム 株式会社現場サポート発表資料

取組の成果・展望

1.取組の成果

○所定外労働時間
・週労働時間60時間以上の労働者の割合0%
・月平均所定外労働時間:2022年度実績10.2時間

○年次有給休暇の取得率
・年平均有給休暇取得率/取得日数
2015年度:71%/14.3日
2016年度:90%/15.8日
2017年度:80%/14.6日
2018年度:79%/16.1日
2019年度:85%/17.7日
2020年度:72%/14.7日
2021年度:71%/15.0日

○多様な働き方への対応
・女性育児休業等取得率:100%(継続中)
・女性育児休業等復帰率:100%(継続中)
・男性育児休暇取得率:100%(継続中)

■社員のエンゲージメント(幸福度、貢献度)
○採用と離職者の推移
・内定辞退率10年間/1名
・新卒採用離職者7年間/0名

○社員のエンゲージメント(幸福度)状態の外部評価
・2020年日本でいちばん大切にしたい会社大賞 中小企業基盤整備機構理事長賞
・2022年働きがいのある会社ランキング 小企業規模部門2位
・2022年働きがいのある会社女性ランキング 小規模部門2位
・2022年働きがいのある会社若手ランキング 小規模部門1位

○その他企業活動(働き方に対する)の外部による評価
・2016年3月:ユースエール 九州第1号認定 認定基準を5年連続クリア
・2018年10月:かごしま働き方改革推進企業 第1号認定
・2019年9月:鹿児島県経営品質賞知事賞受賞

○副業の申請者の状況
・2018年から1名、2020年1名増 現在2名

〇リモートワーク(テレワーク)の実施者状況
・2017年に親の介護を理由に男性社員1名がリモートワーク開始。
・2019年に結婚で他県に転居した女性社員1名がリモートワーク実施。
・2020年に社員全員が 1 週間リモートワーク実施。
・2020年7月ワークスペース選択制度利用による随時リモートワークの実施。

2.今後の展望

会社のありたい姿を定めたVision2030において、「自律した個々の社員が、多様な働き方を実践」することを掲げています。当社では以前から「場所にとらわれずに働く」ことを目指していましたが、新型コロナウイルスによりその実現が大幅に早まりました。様々な課題もありますが、昔に戻ることなく一つ一つ課題解決に取り組んでいきたいと思います。

(R5.3)

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