シーシーアイホールディングス株式会社

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

シーシーアイホールディングス株式会社
企業名
シーシーアイホールディングス株式会社
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所在地
岐阜県関市
社員数
643名(連結)
(時点:2022年3月末)
業種
製造業

働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い

・長時間労働が常態化していたわけではなかったが、残業が全くないわけではなく、働き方改革に対する社会的機運が盛り上がる中で、当社でも残業時間の削減や、柔軟な働き方の推進に取り組む必要性を感じた。
・製造関連の部署は時期によって繁閑の波がある。技術関連の部署は年間を通じて偏りが小さく、毎年特定の時期が繁忙といったことはないが、開発が集中すると労働時間が長くなる場合がある。
・また、2015年時点の年次有給休暇の年間平均取得日数は0.6日と、全社的に取得日数はかなり少なかった。背景として、休暇を取得しづらい職場の雰囲気も一因であったと思われる。
・2004年にコアタイムなしのフレックスタイム制を導入し、その後2013年にノー残業デーを開始、2017年に年次有給休暇の時間単位取得を可能とした。
・働き方改革については社長が交代した2018年頃から、さまざまな施策に本格的に着手し始めた。社長交代時、経営基本方針の中に「働き方を変える」というメッセージが掲げられ、それに基づいて取組を進めている。
・社長からは、年始に開催する互例会の訓示で働き方改革の推進に向けたメッセージを発信しているほか、折に触れて全社にメッセージを発信している。

主な取組内容

1 推進体制・労使間の話し合いの機会の有無

・働き方改革に関するプロジェクトチーム等は設置しておらず、総務部が担当している。

2 働き方改善に関する取組内容

・2018年6月に「スマートカジュアル」を導入。導入前は、制服はないものの、事務職の女性は黒いズボンにシャツの組み合わせが定形になっていたところ、そこまで堅苦しくなく、フォーマルとカジュアルとの中間のような服装でよいとした(ただし、宝石などの装飾品は付けないというルールはあった)。しかし、それではあまり変化がなかったため、さらに、働きやすい自由な服装で出社してもよいこととした(ただし、肌の露出やサンダル履きは禁止)。その結果、全体的に雰囲気が明るくなり、それまでは話しかけにくい雰囲気であった上司にも話しかけやすくなるといった効果もみられた。
・2019年4月、短時間勤務者を対象としたフレックスタイム制を導入。育児休業明けの社員がメインで、対象者全員が利用している。子どもが熱を出した時や行事の時など、出退勤の時間をずらし柔軟に働くことが可能である。
・2019年9月に副業制度を導入。働き方改革を進め、残業時間を削減すると給与が減少してしまうため、金銭面での補填のほか、副業での経験を本業でも生かしてもらおうという趣旨である。例えば、副業でネット販売を始めた社員は、その経験を当社のホームページ更新に生かしている。会社への申請制で、実際に副業を持っている社員は、現状では10人足らずである。
・2019年11月、管理職の労働時間の管理を開始。それまで、管理職の労働時間管理は個々に任せていたが、一般社員の残業削減に取り組んだ結果、部下の仕事を引き受ける管理職の労働時間が延びてしまうという面もあり、管理職の労働時間も管理することになった。
・テレワークは新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、当初の予定を前倒しし、2020年2月に導入した。利用回数の上限は設けておらず、また、育児・介護事由に限らず、誰でも利用できる。感染から体調が回復した社員や、濃厚接触者で体調に問題のない社員は積極的にテレワークを活用することとし、社内ネットワークに接続できるノートPCを貸与し、自宅でもオフィスと同じ環境で業務を行うことを可能にした。
・会社としてテレワークを推奨し、実施率の目標を20%としているが、2020年9月の利用率(実績)は13%にとどまっている。社員からは、通勤時間や出張時間の削減ができる反面、対面で話したい、ノートPCでは画面が小さく作業がしにくいなど、メリット・デメリット両方の意見があげられている。

3 休み方改善に関する取組内容

・一般社員の年次有給休暇の年間取得日数の目標は年間12日としている。また、2020年4月にKPI管理を導入し、それまで取得目標を設定していなかった役員および部長クラスについても、年間15日の取得を目標とした。上司が休暇を取得しなければ、部下も取得しにくいという考え方に基づいている。
・年次有給休暇の年間取得日数は、KPI(重要業績評価指標)の一つとして、総務部門で取得状況を集計して毎月トップへ報告したり、定期的に役員にも共有し、必要に応じて取得日数の少ない社員へ声がけを行うなど、会社全体で取得を推奨している。
・男性の育児休業取得率も、KPIのひとつとしている。5年前までは取得率が0%であったが、過去3年間の実績では、75%にまで急上昇した。会社として推進し始めたきっかけは、「岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業」の認定取得を目指したことであり、認定要件のひとつに男性の育児休業取得率があったためである。社内で、男性にも育児休業制度があること自体を知らない社員もいるため、総務部から対象者に働きかけている。取得率が急上昇した背景には、会社が男性の取得推奨を明言したことで、「取りたいけど取っていいのかな」というためらいが払拭されたことがあると考えている。

取組の成果・展望

1 働き方の現状と取組の成果

【所定外労働時間の長さの変化】
・労働時間の推移を、管理職の労働時間管理を開始した2019年と2020年で比較すると、全体の労働時間は新型コロナウイルス感染症の拡大前から減少傾向にあったが、コロナでさらに減少した。直近では、コロナ前の働き方にやや戻りつつあるため、労働時間も増加しているように見えるが、全体の傾向としては、一般社員も管理職も減少傾向にあり、また一般社員と管理職の一人当たり労働時間の差も縮小傾向にある。

2 休み方の現状と取組の成果

【年次有給休暇の取得状況の変化】
<取組前>年間平均取得日数0.6日(2015年)
<取組後>年間平均取得日数8.7日(2019年)
<直近> 年間平均取得日数13.3日(2021年)

・年間有給休暇取得目標日数の公表や、計画有休、有給休暇取得奨励日の設定により業務の多能工化も進み、気兼ねなく取得しやすい環境になり、取得促進につながった。

3 上記以外の働き方・休み方改善による成果

・テレワークを推奨することにより、打合せや会議、訪問といった移動時間や場所の確保など、余分な作業時間が減り、業務の効率化につながった。
・また、オンライン会議の活用が進み、部内および部署間のコミュニケーションが活性化したほか、教育に関する研修等もオンラインになり、時間や場所にとらわれず参加しやすくなった。PCやシステムの普及により紙のやり取りも減少し、業務の効率化、ペーパーレス化へもつながっている。業務の進捗管理もPC上での管理に切り替わり、誰もが管理できる体制になった。
・テレワークの活用により、生活スタイルに合わせた働き方が可能である。育児休業の取得者や育児短時間勤務の利用者も増え、仕事と生活を両立することができている。
・2015年11月から毎年実施している従業員満足度調査の「総合的な満足度」についても変化が見られ、2015年は「満足」38.2%、「不満」30.2%であったところ、2019年には「満足」が60.3%と大幅に上昇し、「不満」は13.6%に低下した。満足度の向上が、社員の定着にもつながっていると考えている。
・採用活動時に、上記のようなデータを含めた働き方改革の取組全般を紹介することで、働きやすさをアピールしやすくなった。求人採用活動の応募数は年々増加傾向である。会社の方針として、年次有給休暇の取得日数の目標を年間12日としていることや、月平均時間外労働時間が既に6.3時間だが今後さらに減らしたいこと、副業制度があることなどを紹介している。これらは学生の関心も高く、内定後の辞退率が低下するなど、当社の強みになっている。退職率も維持できている。

(2019年) 採用者 29名、離職率 6.2%
(2020年) 採用者 31名、離職率 4.5%
(2021年) 採用者 47名、離職率 3.7%

4 今後の展望

・現在の課題である年次有給休暇の取得促進や、テレワーク推進に向けたペーパーレス化・業務改善等をさらに進めていく。
・間接部門の社員はテレワークを大いに活用できるよう、社内ネットワークに接続できるノートPCやサブモニターの貸与、自宅でもオフィスと同じ環境で業務を行うことが可能な環境設備の構築を検討している。
・テレワークのさらなる推進のためには、ペーパーレス化の推進や業務の進め方の見直しも必要だが、どのようなシステムを導入すればよいか悩んでいるところである。書類への押印に関しては、PDFにタッチペンで書き込みできるソフトを導入しサインで電子決裁を行うなど、できることから取組を進めている。今後さらにペーパーレス化をはかり、システムの導入や見直しを行うことを検討している。

(R5.3)

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