TIS株式会社

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

TIS株式会社
企業名
TIS株式会社
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所在地
東京都新宿区
社員数
6,059名
(時点:2022年3月31日)
業種
情報通信業

働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い

・IT業界はもともと労働時間が長い傾向にあり、当社も時間外労働の削減に取り組んできた。特に、システムエンジニアであるITプロ職のいる職場ほど労働時間が長い傾向にあるなど、部署による偏りが課題となっていた。また、管理職ほど労働時間が長いことも課題となっていた。なお、フレックスタイムは2000年から、在宅勤務は2009年から導入されており(全社員への展開は2016年)、働き方の柔軟性は以前から高い状況にあった。
・年次有給休暇の取得率は、以前から特段低いというわけではなかったが、休みを取りづらい雰囲気があり、どう変えていくかが課題となっていた。
・こうした状況の中、2013年以降、全社横断のワーキンググループとして、女性活躍に関するものや働き方に関するものが立ち上げられ、働きやすい環境を整えるために必要なことについて議論が行われてきた。ワーキンググループでの議論をふまえ、2017年に策定された3か年の中期経営計画(2018~2020年度)において、人口減少に伴う労働力確保という外部要因と、社員一人ひとりの働きがいを高めるという内部要因の両面から、会社として働き方改革に取り組む必要があるということが明確に位置づけられた。働き方改革の目的については、多様なニーズにあわせるため柔軟な選択肢を増やすこと、社員が自立的に仕事をする風土を作ることと定義した。
・その後、2019年にダイバーシティ&インクルージョン方針を策定し、多様な人材活躍、働き方改革、健康経営の3つを柱とした。

主な取組内容

1 推進体制・労使間の話し合いの機会の有無

・前述のとおり、全社横断のワーキンググループで必要な施策に関する議論が行われてきた。
・2018年に、人事担当部署が本部に格上げされたタイミングで働き方改革推進室が設置され、働き方改革の取組を中心的に推進することになった。
・ワーキンググループの活動はダイバーシティ&インクルージョン推進室に引き継がれ、今後も人材戦略に盛り込み、進めていく予定である。

2 働き方改善に関する取組内容

【テレワーク等の柔軟な働き方】
・新型コロナウイルス感染症の影響により、柔軟な働き方の活用が一気に進み、社員の自律的に働く意識、現場のマネジメントに変化が見られた。
・テレワークの推進に際しては、社員の健康やメンタル面でのリスクに対し、健保と連携した健康増進施策(セミナーやイベントの開催、健康情報の発信)、テレワーク環境で生産性を高めるノウハウの発信、1on1を活用したコミュニケーション活性化、オンラインでの部下とのコミュニケーションの工夫点や注意事項の発信等、取り組みを行っている。こうした工夫もあり、テレワークやフレックスタイムなど、多くの社員の利用が進んだ際も、リソースやマネジメントの問題が発生することなく、コロナ禍においてもスムーズな事業継続ができた。
・さらに、フルテレワーク制度を活用した遠隔地テレワーク勤務や、転勤・単身赴任制度の運用見直しも実施している。

【組織評価への反映】
・組織(部門や事業部といった部門や事業部といった実際の事業運営単位)の業績評価のKPIとして、時間外労働の削減状況や、一定時間以上残業している人の割合、年次有給休暇取得率を盛り込んでいる。
・組織の評価が高いと組織全体の賞与が増えるため、働き方改革に取り組むインセンティブとなっている。

【スマートワーク手当】
・時間外労働が減少してきたこともあり、さらに生産性を高めるため、実際の労働時間によらず、毎月20時間分の時間外手当に相当する金額を支給。
・時間外労働が20時間を越えた場合は、その分の時間外手当をプラスして支給している。

3 休み方改善に関する取組内容

【年次有給休暇取得奨励日の設定】
・連休の少ない月や年末年始などに、年次有給休暇取得奨励日を設定している。
・2022年度は、年間9日を設定。社内研修や経営会議は奨励日に重ならないようにしている。
・実際に取得できるかは業務の状況によるものの、実績をみると奨励日に取得している社員が多いようである。
・以前は、個人ごとに取得計画を作成してもらったこともあるが、とりまとめに負担がかかる一方で、業務の都合で計画通りに取得できない社員も多く、あまりうまくいかなかった。

【リフレッシュ休暇】
・年次有給休暇とは別に、年間4日、有給にて取得可能なリフレッシュ休暇を設定。
・10日以上の連続休暇取得は1990年から推奨してきたが、連続休暇の取得を促進するため、現在は、取得要件として、土日を含めて4連休以上とすることとしている(4連休のうちリフレッシュ休暇として取得するのは1日でも可)。

取組の成果・展望

1 働き方の現状と取組の成果

【所定外労働時間の長さの変化】
<取組前>(月平均)29.3時間(2015年)
<取組後>(月平均)21.7時間(2021年)

・働き方改革の取組を通じて、長く働くほど偉い、という風土が変わってきた。
・一方で、組織ごとの偏りや、管理職への偏りについては依然として解消できていない。
・今後は、法定外労働時間を平均○時間以下にするということではなく、偏りをなくすことに注力していきたいと考えている。
・数値目標についても、法定外労働時間の平均ではなく、一定時間を越える社員を0にする、という目標に変更している。

【生産性、メリハリのある働き方】
・毎年実施している社員意識調査において、「働きがいがあるか」「休暇取得を奨励されているか」「バランス良く仕事をすることを奨励されているか」といった質問を設けており、5段階評価のうち「満足している」「まずまず満足している」と回答する割合が年々上昇している。
・業績と連動し、一人当たり利益率が向上したほか、健康経営で取得しているパフォーマンス指標値についても改善がみられている。

2 休み方の現状と取組の成果

【年次有給休暇の取得状況の変化】
<取組前>66.6%(2015年)
<取組後>80.9%(2019年)
<取組後>62.5%(2021年)

・休みをとりづらいという雰囲気はなくなってきている。
・ただし、年次有給休暇の取得は個人の裁量であるはずなのに、組織目標に組み込まれることで、取得を強制されて困る、といった声も上がっていることから、組織目標にはせず、組織別の実績を公開している。

3 上記以外の働き方・休み方改善による成果

・多様な人材の活躍という観点から、育児・介護中の社員がフレックスタイム、テレワーク、時短勤務をうまく組み合わせ、休業をせずに仕事との両立できる環境が整っている。
・実際に、個人的な事情(配偶者の転勤、介護等)で通勤やフルタイム勤務が困難になった社員が、テレワーク等の働き方を選択することで、就業を継続する事例が出ている。社員の多様な働き方を前提としたマネジメント教育、定着を支援する仕組みを導入することで、離職防止対策を進めている。
・2017年以降、年に1度、社員意識調査を行っており、「総合的に働きがいの高い会社と言える」という設問に対し、肯定的な回答をした社員の比率をモニタリングしている。経年変化をみると、従業員エンゲージメント(働きがい)は右肩上がりで向上している。
・成長支援制度を整備し、業務外活動(自己啓発や就学、社会貢献、兼業)を通した知見、経験を蓄積するため一定期間の休業や時短を認めており、学習研究にあてるべき日数、教育投資が有効に活用されている。
・こうした取組を進めた結果、新卒採用サイトでの順位が上がるなど、新卒採用においてもポジティブな効果がみられている。学生向けに、働き方に関する冊子を作成するなどの取組も行っている。また、求職者のニーズに合わせた働き方の提案により、経験者採用が順調に進んでいる(遠隔地勤務を前提とした採用事例もある)。

4 今後の展望

・Afterコロナの社会において、社員がいきいきと働ける環境をどのように作っていくべきか、オフィス環境や情報インフラも含めて検討している。引き続き、テレワークにおけるメリハリのある働き方や、健康を保ち続けるための施策を推進していく。
・柔軟な働き方に加え、社員の成長機会、ワークライフバランスに配慮した独自の休暇制度、休職制度、時短勤務制度を設け、活用が進んでいる。制度を活用した事由も、ボランティア、学習、妊活、兼業、マタニティーサポート、トランスジェンダー、孫や家族にも使える看護、配偶者の転勤帯同、傷病後の後遺障害等、様々である。
・社員の価値観の多様化が進んでいることから、自律的なキャリア形成支援や、自身の価値観・方向性と事業を通した自己実現、成長を後押しする人事・報酬制度の整備を進めている。

(R5.3)

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