株式会社東邦銀行

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

株式会社東邦銀行
企業名
株式会社東邦銀行
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所在地
福島県
社員数
2,728名
(時点:2022年3月31日)
※行員・嘱託、パートナー含む
業種
金融業、保険業
事業内容
預金・貸出・為替・コンサルティング業務などの金融サービスを提供

働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い

短時間勤務制度導入当初は、子育てや介護の事情を持つ従業員を支援するための制度として、勤務時間を4時間、5時間、6時間を選択肢として運用していた。その後、2017年10月、新たな働き方の選択肢として選択的週休3日制(週4日勤務)が追加された。その後も制度の見直しは継続的に行われ、2021年4月には、さらに7時間勤務の形態も追加された。これらの制度整備の目的は、主には従業員の働き方の支援と雇用安定化であり、具体的には、家庭生活と会社生活との両立、働き方の多様性への対応、従業員のモチベーションの向上、優れた人材の定着といったことが挙げられる。

主な取組内容

短時間勤務制度(短時間勤務および選択的週休3日制)を拡充しながら運用

2021年4月時点で、週5日で、1日に4時間、5時間、6時間、7時間いずれかの短時間勤務、または週4日で1日に8時間勤務というパターンから選択できる仕組みとなっている。いずれについても、全従業員・パートが対象者で、妊娠・子の養育・介護等の事由を有することを利用の要件としている。
6時間勤務を選択した場合、ほとんどの従業員が16時前の退社となり、お客さま応対等の時間調整が難しい場合もあるが、直近で追加された7時間勤務であればその点は解消され、さらに夕方の保育園の迎えや通院も可能な時間帯のため、利用者の事情にマッチしており好評が得られている。また、勤務時間により給与等にかかる乗率が変わるため、7時間勤務の導入以後、6時間から7時間に変更の申し出もあり、利用者が増加している。
利用希望者は、利用開始1か月前に申出書を所属長へ提出し申請。週4日勤務の場合、勤務する曜日は固定しておらず、所属部署で管理・運用。週4日勤務は、家族の介護や育児のため2021年は3名、2022年は1名が利用、4~7時間勤務は、育児休業から復職した女性の約半数が、1カ月~2年程度の期間で利用している。週4勤務の利用者が減少した背景には、利用者の介護・育児の事情が解消された等ことがある。
なお休暇に関しては、年次有給休暇や各種の休業制度、フレックスタイム制などの利用により柔軟な取得が可能であるため、週4日勤務という形態を選択する者が少ない現状がある。
制度の周知には、行内イントラ内にて示達等の発信を行っている。また、育休明けの従業員を対象とした「復職支援セミナー」や介護について学ぶ「介護セミナー」等、各セミナーにおいても周知している。
勤務日数、時間の設定に応じて、各々定例給与乗率が定められている。また、住宅手当等の定例外給与や賞与に対しても、定例給与乗率が影響する。

長時間労働の是正を目的とした朝型勤務の導入

業務効率が上がる「朝型」へシフトするため、2014年4月、通常の業務開始時間よりも1時間早い7:30から業務開始を可能とし、まずは本部を対象に導入した後、2014年10月に全営業店へ展開。その後、2015年4月には再度開始時刻を繰り上げ、現在は6:30業務開始可能となった。希望者は事前に部店長に申請、許可後に利用可能となっている。
2020年下期の朝型勤務実施者数は、2015年上期比2.9倍となったことにより、19時以降の勤務実施者数は68%減少した。
その他に、原則毎週水曜日を、「とうほうEvery week・Premium Wednesday !!」と称して、早めの時間での退社を推奨している。
水曜日を基本的としているが、各職場の繁閑状況等に合わせ、週に1日は「早帰りデー」を設定する等、柔軟に実施。毎週水曜日は16時に事業所内において、早帰りを促進するアナウンスを流す等、意識醸成を図っており、多くの従業員が定時には退社している。

復職支援や休職制度など、多様な人材の活躍を支援する制度

短日勤務制度は、介護・育児休業中の従業員が、本格的に復職する前に短日数・短時間で働きはじめることができる制度で、月に10日以内、1日6時間以内の範囲で働きながら、職場復帰への不安解消や業務への順応のための期間とすることができる。
キャリアサポート休職制度は、配偶者の転勤への同行を事由とした一時的な休職に対応するために既存の休職制度を拡充する形で創設されたものであり、資格取得や留学、妊活、その他のライフイベントを事由とした休職にも対応する制度としている。
また、積立特別休暇制度では、未消化分の有給休暇を積立てすることができ、年間で120日を限度に特別休暇として取得することができる。他にも特別休暇制度として、孫の育児のための「イクまご休暇」や、町内会などの地域活動参加をするための「地域貢献休暇」等を創設している。中でも、介護、妊活、子供の通院等を理由とした「家族あんしん休暇」は利用者が多く、従業員および家族の健康面に寄り添った休暇制度である。

人材育成体系「とうほうユニバーシティ」

独自の人材育成体系である「とうほうユニバーシティ」を設立している。基礎から専門分野まで100以上用意されている講座の中から、各自職務や階層に応じてカリキュラムを選択して受講することができる。講座は、希望者による募集講座と、各講座の主管部にて人選する指名講座があり、受講の促進を図っている。
研修は、主に模擬店舗などの設備を備えた研修専用施設で実施している。コロナ禍以前は宿泊を伴う研修を実施しており、特に新入行員においては、4~6週間を研修期間として育成強化を図っていた。現在は、感染防止対策を図っているものの、長期間での実施は控えており、テレビ会議システムを併用しながら2日間程度で実施している。

取組の成果・展望

取組の成果

短時間勤務および選択的週休3日制(週4日勤務)によって、従業員の事情に合わせ柔軟な勤務が可能となることから、女性社員がキャリアを諦めることなく勤務を継続することができている。企業の立場からも、離職防止、優秀な人材の確保が可能となる。
働き方改革に関する取り組み全体の成果として、2020年下期の所定外時間数は、ピークであった2015年度上期比51%減少し、平均9.13時間となった。2021年度の所定外労働時間は、月平均9.08時間となっている。年次有給休暇の取得状況については、2017年度の年間取得日数が12.7日、取得率が71.2%であったところ、2021年度はそれぞれ12.0日、65.1%となった。これは新型コロナウイルスによる影響が大きかったためである。
また、時間外労働の減少により余力が生まれたことで、従業員の育成や福利厚生の充実化も進んだ。福利厚生の面では、2018年に事業所内保育施設「とうほう・みんなのキッズらんど」の3か所目がオープンし、女性の就業継続、復職時期の早期化にも寄与している。保育施設は外部委託で運営しており、従業員の子供や孫などを預けることが可能となっている。

今後の展望

今後も、働きやすい環境の中で、女性やシニア、ハンディキャップを持つ職員等が活躍し、持続的成長を支える組織風土の醸成に、継続して取り組む。

(R5.3)

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