SMBC日興証券株式会社

事例カテゴリ

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  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

SMBC日興証券株式会社
企業名
SMBC日興証券株式会社
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所在地
東京都
社員数
9,440人
(時点:2022年6月30日)
業種
金融業、保険業
事業内容
資産運用ニーズに応じたコンサルティングや金融商品・サービス提供
投資銀行ビジネス、金融商品ビジネス、リサーチサービス

働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い

SMBCグループでは、すべての従業員がモチベーション高く「働きがい」を感じられる職場環境を整え、組織全体の生産性を向上させるために、グループ各社で「働き方改革」に積極的に取り組んでいる。定期的に各社の労働条件についてモニタリングを実施し、グループを挙げて法令遵守、労働環境、労働時間の改善に努めている。2019年4月に施行された働き方改革関連法にも、各社で対応している。また、働き方改革の取組を着実なものにするため、有給休暇取得率の数値目標を設定している。(有給休暇取得率85% 以上/達成目標時期は2025年度)
SMBC日興証券では、2018年7月に公布された「働き方改革関連法」(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)への対応など、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革の実現に向けた人事諸制度の見直しを進めている。社員の年代ステージごとの意識変化やライフイベントに応じた各種制度を整備することで、社員のエンゲージメントを高め、自律的なキャリア形成を支援するような多様な働き方の選択肢の提供が必要との課題認識のもと、週3日・週4日勤務制度などの導入を検討した。
同社では、「経営理念の実践を通じた社会課題の解決によるSDGs達成への貢献」を経営戦略の柱に位置づけ、アイデアや想いがあるものの不安定な経営基盤や人材不足といった課題を抱えるNPO法人の支援に取り組んでいる。そして、多様な価値観を持ち、多様な働き方をする社員が活躍できる組織をめざし、社会貢献活動への社員の参加も積極的に支援している。このような取組の一環として、社員が業務時間において、証券会社ならではの知識・スキルや、社会人として培った経験に基づく支援を行える「プロボノワーク制度」を導入した。

主な取組内容

週3日・週4日勤務制度

①社員の自律的なキャリア形成支援、②年代ごとに顕在化する育児・介護ニーズや自身の健康状態などに対応できる柔軟な働き方の選択肢の提供を目的に、「週3日・週4日勤務制度」を2020年4月に導入した。その後、2022年1月により利用しやすい制度とするため、年齢要件の引き下げなどの改正を実施した。
週3日勤務の対象者は、①欠勤・休職中でない60歳以上の社員、②介護理由のある40歳以上の社員となる。60歳以上の社員に対しては特段の条件を設けておらず、副業・余暇活動に時間を充てることも可能である。40歳以上の社員については介護理由を条件に設けている。
週4日勤務の対象者は、①欠勤・休職中でない40歳以上の社員、②育児・介護理由のある入社4年目以降の社員となる。40歳以上のベテラン層社員は、セカンドライフを見据えた自律的なキャリア形成に時間を割けるようにする狙いがある。また、育児・介護理由で週4日勤務を希望する社員もいると考え、入社4年目から選択できるようにした。
基本給は、通常勤務者との公平を期すため、週3日勤務者は通常勤務時の60%の給与を、週4日勤務者は通常勤務時の80%の給与を支給する。
賞与や評価は、通常勤務者と同様の取り扱いとしている。週3日・週4日勤務者も通常勤務者と同じベースで目標が設定され、成果が評価される。

プロボノワーク制度

リーダーシップや社会課題の解決力を養うために、社会貢献活動への参画を後押しする「プロボノワーク制度」(プロボノとは、業務などで培った専門的知識やスキルを無償提供する社会貢献活動のこと)を2020年3月に導入した。経営理念を実現し、当社を取り巻く社会課題を解決することで持続可能な社会の実現に取り組むサスティナビリティ戦略、社員教育・意識改革の場の提供、多様な働き方の実現を狙いに、社員が業務時間にチームを組んで同社が選定するNPO法人などを支援できるようにした。半年間を1サイクルとし、年2回活動を実施する。社内公募により募集し、業務時間の中で取り組むプロボノワーカーと業務時間外に参加するサポーターがある。プロボノワーカーは業務時間の20%(週7.5時間)を上限にプロボノワークに従事する。
同社が専門性を発揮して支援可能なテーマを対象に、これまでに、自立支援のため貧困や生活困窮の状態にある方々に少額融資を行うマイクロファイナンス機関に対する融資事業の推進支援やコーポレート機能強化、児童養護施設出身者にキャリア教育などを行う団体に対するウェブサイトの記事作成支援などに取り組んでいる。

取組の成果・展望

取組の成果

週3日・週4日勤務制度利用者からは、「体力的・精神的な余裕からメリハリのある仕事ができるようになった」「理解を示し協力してくれる同僚・会社に感謝している」といった声が寄せられ、自律的なキャリア形成のニーズに応える体制構築だけでなく、育児・介護等の理由で通常勤務継続が困難な社員に対するセーフティネットの役割も果たしていると考えている。また、制度利用者の労働時間の削減にも貢献している。
一方で、制度利用にあたっては、周囲の理解やサポートを得ることが不可欠であり、利用者の声や制度の周知を通して、理解を得やすい環境づくりに努めている。
プロボノワーク制度は、2022年12月末までに18プロジェクトを実施、のべ155名が参加した。参加社員からは、「リーダーシップやスキル習得面で評価され、業務へのモチベーションやエンゲージメント向上につながった」といった声が寄せられた。

今後の展望

週3日・週4日勤務制度は、引き続き制度を運用する中で課題等を整理し、必要に応じて改善を図る。
制度導入から約3年が経過し、プロボノワークの社内定着が進んでいる実感を得ている。今後も、支援団体や参加社員のすそ野を広げ、社会課題解決への貢献を加速させていきたいと考えている。

(R5.3)

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