株式会社LIXIL

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

株式会社LIXIL
企業名
株式会社LIXIL
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所在地
東京都
社員数
56,106人
(時点:2022年3月末)
(連結従業員数、単体は約18,000人)
業種
製造業
事業内容
ウォーターテクノロジー事業
ハウジングテクノロジー事業

働き方・休み方改革に取り組んだ背景と狙い

当社は2011年に国内住設機器メーカー5社が統合して設立された。顧客志向を徹底し、多様なニーズに対応したイノベーションや持続可能な成長を実現していく上で、多様な人材が活躍できるインクルーシブな環境を整備する必要が急務であったことから、『働く場所の柔軟化』『働く時間の柔軟化』をキーワードに働き方改革を進めてきた。その後の新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークの浸透が急速に進んだ。さらに、より柔軟でアジャイルな組織となるための環境整備に向けて、コロナ終息後も、以前の「出社を前提とした働き方」に戻るのではなく、この間に確立した「新しい働き方」をより一層推進すべく、現在様々な取組みを実施している。

主な取組内容

通勤手当の実費化・在宅勤務補助手当の支給

在宅勤務・テレワーク制度については、当初「育児・介護との両立支援」を目的に、2017年4月に対象を育児・介護休業者に限定して試験導入を開始、その後、利用状況を確認しながら徐々に対象を広げ、2020年1月には全従業員が日数・場所の制限なく利用できることとした。しかしながら「毎日会社に出社する」という習慣・文化を変えることは容易ではなく、実際の利用は育児や介護などの特別な事情がある従業員に留まっていた。
そうした中、国内全域における新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、従業員の感染予防と健康確保の観点から、生産、物流といった現場での対応が必要とされる一部の業務を除き、幅広い職種で『原則、在宅勤務』とする方針が経営より示された。
各部門が在宅勤務を実現するための課題を洗い出し、丁寧につぶしこんでいくことで在宅勤務に対する従業員の意識が大きく変わった。さらに、「オンラインショールームの拡充」や「リモート、リアルを併用したセールス」「リモート下での受発注対応」などの新しく効率化された取組みにもつながった。
こうした状況をふまえ、コロナ終息後も在宅勤務や柔軟な働き方を続け、コロナ以前のような「出社を前提とした働き方」に戻らないよう、2021年4月には、従業員の勤務形態を「在宅型」と「通勤型」に分けた。在宅型の従業員に対しては通勤手当を廃止し、新たに在宅勤務補助手当を月4,000円支給することとした。
(勤務形態は個人の業務状況をふまえて上長が判断しており、現在全従業員の約60%が「在宅型」となっている)
在宅勤務の制度導入にあたっては、社内SNSなどのデジタルコミュニケーションツールの利用を全社で促進したが、在宅勤務におけるコミュニケーション不足を指摘する声が一定数ある。現状では、現場マネージャーの裁量に任せている部分が大きく、部署によっては、上司が1日1時間、部下の為の相談時間を確保するなどの事例もあるが、コミュニケーション方法の全社ルール化等については今後の検討課題と考える。部下とのコミュニケーション強化についてはマネージャー教育にも取り入れている。

在宅勤務・テレワーク制度導入の経緯
在宅勤務・テレワーク制度導入の経緯
令和4年度 働き方・休み方改革推進に係る広報事業 働き方・休み方改革シンポジウム
LIXIL発表資料

本社ビルの移転

当社は、多くの従業員がテレワークを行うバーチャルな職場環境において、従業員同士が実際に会うことで強いつながりを実感する場所がさらに重要になると考えている。そのため、オフィスの位置づけを『コミュニケーションやコラボレーションの場』と再定義、2022年11月に本社オフィスを大崎に移転した。従業員はオフィスと自宅で対応する業務を選別し、オフィスでは同僚と直接コミュニケーションをとることを重視し、新しいアイデアの創出や業務の効率化につなげていく。各フロアは原則固定席を持たない完全フリーアドレス制で、フロア内にはあまり仕切りを設けず開放的な空間となっている。また、コミュニケーションやコラボレーションを促進するために、ソファーやテーブル席などの複数の座席を用意するなどの環境整備を図っている。

新社屋の様子
新社屋の様子
LIXIL提供資料

管理職の人事制度改定(勤務地限定制度の廃止)

当社では勤務地限定制度を採用し、そのルール下で会社主導による人事ローテーションを行っていたが、働く場所はキャリア形成の大きな要素であることから、「自立したキャリア意識の醸成」を目的に同制度を廃止。これまで従業員やその家族にとって特に大きな影響があった「転居を伴う異動」について、従来以上に従業員の意思に配慮した運用を行う事とした。

<テレワークに関する取組の変遷>
2020年度
・出社の判断基準となる全社共通のガイドラインを制定。
・出社が必要な業務の従業員は、マネージャーによる指名制で出社。
2021年度
・勤務形態を「在宅型」と「通勤型」に区分し、在宅型については固定の通勤手当を廃止し、在宅勤務補助手当を支給。
2022年度
・本社ビルを移転し、オフィスの役割を「従業員のコミュニケーションとコラボレーションの場」と再定義、コミュニケーションがとりやすいオフィス環境を整備。
・管理職の転居を伴う異動については、これまで以上に本人意思を配慮する制度へ改定。
出社率
7.3%(2023年1月時点・本社ビルのみ)

副業の正式導入

2020年10月より1年間、副業の試験導入を経て2021年10月より正式に導入した。
目的は『働き方や雇用の柔軟化による自立したキャリア意識の醸成』で、現在約200名の従業員が制度を活用している。
会社としては従業員の健康保持および労働時間管理の観点から、副業先での予定勤務時間について制限をもって運用を図っている。同様に部長以上の上位職者については機密保持の観点で、副業審査会での承認も条件としている。

取組の成果・展望

主にテレワークが定着している間接部門の月あたり残業時間をみると、2019年度が23.4時間であったところ、2020年度は16.3時間、2021年度は14時間であり、テレワークによる残業削減の効果が出ていると思われる。また、通勤時間がなくなったことで、その分の時間を自分の余暇や家族の時間に使っているという、好意的な従業員の声が増えている。プライベートの時間が充実することで、ひいては会社に対するエンゲージメントの向上につながるのではと期待している。
『働く場所の柔軟化・働く時間の柔軟化』の実現、定着に向けて、現状はまだ各種の制約を排した状態であり、今後は『生産性や効率性の追求』にリンクできるよう活動を前進させていきたい。

(R5.3)

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