株式会社オーザック

事例カテゴリ

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  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制
  • ワークエンゲージメント

企業情報

株式会社オーザック
企業名
株式会社オーザック
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所在地
広島県
社員数
39名(役員4名含む。事務職15名、工場・検査業務24名。女性7名。)
業種
製造業
労働時間・休暇制度
■労働時間関連
・労働時間制度:勤務時間は8:00~17:10(休憩70分)
■休暇関連
・年間所定休日数:今年度125日。完全週休2日+夏季・冬季休暇
・地域活動休暇、いくまご休暇(孫の育児)など(いずれも有給)、男性の育休は5日間有給

働き方・休み方改善の取組をはじめた背景や課題

1 働き方の状況

【所定外労働時間の長さ、部署や時季等による偏りの有無】
・所定外労働時間短縮の取組を始めた2010年頃は、残業時間は月5、6時間ほどであった。

2 働き方に関する課題

・残業時間は人による偏りもあり、減らしたいという思いはあった。

3 休み方の状況

・計画的な年休取得を促しているが、あまり取得が進んでいない状況であった。

4 休み方に関する課題

・年休は計画的に取るよう従業員にお願いしているが、計画的に取得するのが難しいという声があった。事業年度は4月のスタートだが、官公庁の仕事が多く、忙しくなるのは9月からであり、年度当初に立てる計画では実際の取得が難しかった。

働き方・休み方改善の取組経緯・取組内容

1 働き方・休み方改善の取組経緯(きっかけ、当初の目的や計画)

・平成3~5年頃より、仕事と家庭の両立支援の取組を始めた。
・当時は10名程度で、平均年齢54歳ほどの会社だった。
・特に女性が、両立が難しいという理由で結婚・出産を機に辞めていた。せっかく積み上げたキャリアが無駄になると考え、育児との両立を支援する制度を発案した。
・しかし、当時は役員4名中、女性が一人しかおらず、賛成してもらえなかった。バブル崩壊後の苦しい時期で、男性の役員は今の時期に取り組むことではないという意識や、女性社員が離職してもまた新しい人を採用した方がコストを抑えられるという考えもあったようだ。
・ただ、中小企業のグループで両立支援に関する勉強を続け、3年かけて説得した。結果、「全社員の幸せと自己規範の育成」という経営理念に立ち戻った。
・当時は2代目社長が後を継いだ時期だったが、就業規則や会社のルールもほとんどなく、従業員は不平不満ばかり感じていた。会議では、給与体系が納得いかない、有休を取得すると皆勤手当がなくなるなど、不平不満が多く出る状況であった、
・まずはルールを整えないといけないと感じた。社員満足を目標に、仕組みや制度の整備を進めた。制度等は2010年ころには整ったが、ほぼ30年の時間を要した。
・15年前の当社60周年の際、ある社員が会議の場で、会社の将来が見えないと発言したことがあった。そこで全員で同じ方向を目指すことができるよう、経営計画をもとに、各部署ごとの計画、個人の計画を作成した。中期経営計画では5年後の平均年収もわかるなど、数字が見えることがポイントとなり、働き方・休み方改革の取組が推進された。

2 推進体制・労使間の話し合いの機会の有無

・社内で職場改善委員会を立ち上げ、自分たちで考える体制で進めた。職場改善委員会は、毎年メンバーを変えることとした。
・各社員が時間削減や経費削減のアイデアを表計算ソフトに入力、委員会で月単位で対策を考え、成果を出すところまで取り組み、その結果を毎月集計して提案の多かった社員を表彰している。

3 働き方改善に関する取組内容

・所定外労働時間短縮の取組は2010年位から進めてきた。
・週1日のノー残業デイの実施や、会議の見直しを行い、2ヶ月に1回に減らした会議もある。
・また24時間稼働の機械を導入した。海外進出を検討したこともあるが、どう試算してもデメリットが大きかった。そこで、従業員がいない16時間をいかに有効に使うかを考え、同じものを作るのであればずっと動くロボットを5年ほど前に導入した。一番数の多い製品を、就業時間の最後にセッティングしている。
・20年ほど前に導入した生産管理システムも、3年ほど前に新しいものに変更した。繁忙状況を見える化できたことで、従業員がお互いに助け合えることもできるようになった。また、社員2名で行っていた経理業務は、パート1名でできるようになった。
・その他、10年前には半導体部門を廃止した。本社とは別の事業所で行っていたが、完全下請けで労働時間が長いという課題があった。ほとんどの作業を元受けの工場で行っており、退社が2、3時になることもあった。従業員のためにならず、金額的にも労働時間的な理由からも、廃止することとした。

4 休み方改善に関する取組内容

・年休取得促進の取組も2010年位から進めたが、当初はなかなか効果が現れず、働き方改革の取組を進めたときから、徐々に効果が現れた。
・まず、生産性を上げるために、従業員にその思いをいかに落とし込んでいくか、という社員の意識改革にかなり力を入れた。
・週休2日制の導入や、育休の取得等、休みが増えることで仕事をする時間が減ることに対して、それを補うために生産性を上げる努力が必要だ、と言うだけでは取組が進まない。
・大きなターニングポイントは、週休2日制を導入したときである。週休2日制の導入により、業務時間の減少を補うためには生産性を上げる努力が必要だが、と口で言うだけでは取組が進まない。そこで、1年間だけ週休2日制を試行、稼働率が前年対比下がった場合には元に戻すという方針を社長が示した。試行の結果、稼働率は目標未達に終わり、当初の予定通り元の労働時間に戻すことを社長が示唆したが、このことが社員の奮起を促した。社員自ら稼働率向上に向けた計画を考え、社長を説得し、再度試行することとなった。1年後、目標をはるかに上回る結果となった。社員自らが考えた計画であったことが行動を促し、目標達成につながった。
・稼働率向上には、特に多能工化を進めたことが有効であった。多能工化は社員が自主的に進めている。各部署で、OJTにより、毎年の機械の習得計画などを考えて進めている。
・自分たちが考えた計画でないと、従業員は取り組まない。上から言うことは、やらされ感があり、取り組まないのではないか。
・現在、1人で2種類以上の機械を扱える従業員は11名ほどとなった。

働き方・休み方改善による成果

1 働き方の現状と取組の成果

【所定外労働時間の長さの変化】
<取組前>(月平均)8時間(2007年)
<取組後>(月平均)1.6時間(2019年)
・数値目標の設定はしていない。

2 休み方の現状と取組の成果

【年次有給休暇の取得状況の変化】
<取組前>1日(2007年)
<取組後>9.5日(2019年)
・数値目標の設定はしていない。
・お互いに気持ちよく休暇を取得できるような風土をつくり、年休が取得しやすくなっている。

3 上記以外の働き方・休み方改善による成果

【時間制約社員の確保・定着(離職率の変化など)】
・定着率が向上した。また育休からの復帰率は100%である。
・年休が取りにくい、育休から復帰しにくいといった不安を感じないよう、仕組みや制度を作るだけでなく風土を作らないといけない。気持ちよく制度を使わせてあげる風土を作らないといけない、と話したら従業員はしっかり聞いてくれた。研修制度を作り、年休取得も気持ちよく声掛けしてくれるようになった。

【その他】
・社員満足度は上がっているのではないか。不平不満があると、生産性を上げようということも考えないだろう。会社のために、と常に考える従業員になり、指示を待たずに自分たちで仕事を作ってくれている。
・5S活動を2年前から強化しているが、外部に研修に行き、勉強したことを社内に取り入れていくことも行っている。

働き方・休み方の現在の課題・働き方・休み方改善に関する今後の展望

1 現在の課題

・3年前から、結婚を機に住まいが遠方になった生産管理部の女性従業員が、在宅勤務を行っている。
・コロナ禍では在宅ワークが必要となり、在宅とオフィスの勤務を半々で行った。アンケートを取ったところ、資料がすぐに取り出せないなど、いろいろと課題が出てきている。

2 今後の取組予定

・11月から本格的に在宅勤務のトライアルを行っている。2名の営業の従業員が、週に1回利用する計画である。
・今後は生産管理部(女性5名)でもトライアルを行っていきたい。
・在宅勤務の導入についてアンケートを取ったところ、工場から反対の意見が出ると考えていたが、賛成の意見が多く、トライアルを進めやすくなった。
・また、工場の機械化もさらに進めていきたいと考えている。

(R3.3)

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