株式会社トレンディ茨城
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
- ワークエンゲージメント
企業情報
企業名 |
株式会社トレンディ茨城
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所在地 |
茨城県
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社員数 |
36名(うち、パート社員4名)
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業種 |
運輸業、郵便業
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労働時間・休暇制度 |
■労働時間関連
・労働時間制度: 1年単位の変形労働時間制を正社員に適用。 【総務・経理・営業】8時半~17時15分 【物流】3交代制 (始業時刻は4時~、5時~、11時~のいずれかで、8時間勤務) ■休暇関連 ・年間所定休日数:107日 ・半日単位での年次有給休暇の取得が可能。 |
働き方・休み方改善の取組をはじめた背景や課題
1 働き方の状況
・取組を開始する以前から、長時間労働はほとんどなかった。運輸業だが、乳製品・清涼飲料の配送、学校給食の配送等、近距離への配送のみを行っており、長時間労働につながる遠距離への配送は行っていないためである。
2 働き方に関する課題
・上記の状況のため、労働時間について特に課題はなかった。
・一方で、社員同士のコミュニケーション、情報共有が十分に行われていない点が課題だった。
・配送ルートが人によって異なるなど、業務が標準化されていなかった。特定のルートを担当する社員に負担が偏る傾向があったほか、新人教育などの際にも、人によって異なる指示がされるなどの課題があった。
3 休み方の状況
・年次有給休暇の取得率は5%未満であった。
・部署による偏りはなく、全社的に見て年次有給休暇の取得率は低かった。
4 休み方に関する課題
・年次有給休暇の取得率の低さの他、そもそも休暇を取得しづらい雰囲気があった。
働き方・休み方改善の取組経緯・取組内容
1 働き方・休み方改善の取組経緯(きっかけ、当初の目的や計画)
・2015年頃にインフルエンザが流行した際、複数の社員が罹患し、業務対応が困難になった。それまではワクチン接種などの呼びかけも行ってこなかったが、事業継続、生産性の向上、社員や家族の健康を守るという観点から、会社として健康経営に取り組む必要を感じた。
・2017年に健康経営優良法人の認定を受けた。これをきっかけとして茨城県からオファーがあり、県が実施していた働き方改革の事業において、モデル企業として取組を行うことになった。会社としても、運輸業は長時間労働で休みが取りづらいという世間一般のイメージがあるため、働き方改善に取り組むことでそうしたイメージを払しょくし、職場環境の改善や採用面への効果を得たいと考えた。
・モデル事業においては、基本的な方針は会社側で策定し、外部のコンサルティング会社よりアドバイスを受けながら、働き方改善に取り組んだ。
2 推進体制・労使間の話し合いの機会の有無
・総務部門を中心に取組を行った。
3 働き方改善に関する取組内容
【チーム制の採用】
・社員間の情報共有をしやすくするために、2017年から2018年頃にかけて、物流部門でチーム制を採用することとした。具体的には、従来の部課長、一般社員といった組織体制は維持しつつ、業務目的(車両管理、倉庫管理、育成管理、認証更新(Gマーク、グリーン経営等))に応じた4名程度のチームを編成し、各チームにリーダーを配置することとした。
・物流部門以外は人数が少ないため、チーム制をとっていないが、十分にコミュニケーションは取れている。
【業務の標準化、ICT化】
・配送ルートについては、動画でマニュアルを作成することで業務の標準化を図った。それまでは「仕事は見て覚えるもの」という発想だったが、考え方を変え、教育・研修の場を提供していこうとした。
・動画マニュアルを作成する際は、物流部門の社員同士で配送ルートについて話し合ってもらい、一本化してもらうようにした。それまでは社員同士で業務の進め方について話し合う機会はなかったが、いざ実施してみると、非常に活発な議論が行われた。
・クラウド型のドライブレコーダー兼運輸日報システムを導入した。この入力方法などについても、動画マニュアルを作成し、誰が見ても扱えるように体制を整えた。
4 休み方改善に関する取組内容
・総務から、各チームのリーダーに対して、積極的に年次有給休暇を取得するように声掛けを行った。事務所で立ち話をした際など、日ごろから声を掛け、特にリーダー層が積極的に休暇を取得するように促した。
・年2回(4月、10月または11月)行われる個人面談の際に、チームリーダーから部下に対して、年次有給休暇の取得希望時期を聴取するようにした。それによって、「本当は休暇を取りたいと考えていた」といった部下の本音を聞けるようになり、年次有給休暇の取得希望時期を踏まえたシフトを組めるようになった。
・また、シフトを組む担当者は、社員の年次有給休暇の取得状況を確認したうえで、業務がそれほど忙しくないようであれば積極的に休むように働きかけを行った。
働き方・休み方改善による成果
1 働き方の現状と取組の成果
【所定外労働時間の長さの変化】
<取組前>(月平均)0.2時間(2017年)
<取組後>(月平均)0.3時間(2019年)
※配送ルートの増加により移動距離が増えたため微増している。
【チーム制の採用による成果】
・少人数で構成されるチームができたことによって、チーム内でのコミュニケーションが活発化し、情報共有がしやすくなったと共に、風通しの良い職場の雰囲気もできた。また、リーダーとなった社員は、部下を持つことで責任感が増した。
・部下に対する個人面談もチームリーダーが担うようになった。それまで物流部門の部課長が面談を行っていた際は、一人が多くの社員の面談を行う必要があり、フィードバックも十分に行えていなかったが、チームリーダーが面談を行うようになったことで、社員一人ひとりに対して十分なフィードバックを行えるようになった。
【業務の標準化、ICT化による成果】
・動画マニュアルによって配送ルートが標準化されたことで、ふだん担当していない配送ルートでの配送を行えるようになるなど、社員が担える業務の幅が広がった。これにより、特定のルートを担当する社員に負担が偏る、といったこともなくなり、生産性向上にもつながっている。
・完成した動画マニュアルは、新人教育にとっても役立っている。新人にとって分かりやすいだけでなく、教える側の負担軽減にもつながった。
・クラウド型のドライブレコーダー兼運輸日報システムにより、業務日報の入力時間が短縮された。
【柔軟な働き方(時間・場所)】
・緊急事態宣言中にテレワークを導入したが、現在は実施していない。特に必要性が生じていないためである。
2 休み方の現状と取組の成果
【年次有給休暇の取得状況の変化】
<取組前>16.4%(2017年)
<取組後>80.4%(2019年)
・年次有給休暇の取得率が大幅に向上した。休暇を取得しやすい雰囲気にもなったと感じる。チームリーダーからの日常的な声掛けや、個人面談で取得希望時期を聴取したことに加え、チームの人数が少ないためにコミュニケーションを取りやすく、年次有給休暇の取得希望等も伝えやすくなった効果である。
・社員から、休暇を取得できて嬉しいといった声もあがるようになった。社員満足度調査を過去2年間実施しているが、結果は向上している。社員の間で休暇を取得したいという思いはあったが、なかなかそれを口にできずにいたのだと考えられる。
3 上記以外の働き方・休み方改善による成果
【多様な人材の確保・定着(採用の状況、離職率の変化など)】
・離職者が大幅に減少した。働き方改善に取り組む以前は離職率が高く、年間数名は離職するような状況だったが、チーム制に切り替えて以降は、離職者は出ていない。
・採用は、これまでほぼ中途採用だったが、3年前から高校生の新卒採用を始め、2021年度に1名採用を予定している。新卒採用を始めたのは、会社の平均年齢がやや高くなってきたからである。新卒採用が可能となったのも、働き方改善の効果があったのではないかと考える。
働き方・休み方の現在の課題・働き方・休み方改善に関する今後の展望
1 現在の課題
・職場環境は大幅に改善し、風通しの良い職場環境になってきたため、目立った課題はない。
・新型コロナウイルスの影響で、社員同士のコミュニケーションを促すようなイベントができないことは課題である。
2 今後の取組予定
・特別休暇を新設し、年次有給休暇を使い切った社員に対して付与することを検討している。また、連続休暇の取得を推奨していきたい。
・社員から職場環境の改善に関して積極的な提案が挙がるように、働きかけを行いたい。