株式会社米五

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

株式会社米五
企業名
株式会社米五
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所在地
福井県
社員数
正社員12名(男性5名、女性7名)、パート12名(全員女性)、役員3名(全員男性)
業種
製造業
労働時間・休暇制度
■労働時間関連
・労働時間制度
【製造部門、事務部門】
・勤務時間は8時~17時(休憩時間12~13時、1日8時間勤務)。
・1年単位の変形労働時間制を導入。業務量の多い12月は勤務日数が25日、勤務時間が200時間であり、業務量の少ない5月は勤務日数が18日、勤務時間が144時間となる。
【飲食・サービス部門】
・勤務時間は9時~18時。
・土日も営業しており土日休みではない。シフト制を導入。
・店舗の2階がレストランとなっている。
■休暇関連
・年間所定休日数:117日
・年次有給休暇の半日取得が可能。パートは1時間単位での取得も可能。
・誕生日休暇あり。誕生日前後で取得可能。

働き方・休み方改善の取組をはじめた背景や課題

1 働き方の状況

【所定外労働時間の長さ、部署や時季等による偏りの有無】
・元々、残業時間は多くなかった。平均で4時間程度であった。
・2年前に飲食業を開始し、店舗もリニューアルした。本業が製造業のため不慣れなこともあり、開始した当初は作業がうまくいかず残業が多くなってしまった。
・また飲食・サービス部門の終業時間が遅いため、釣られるように事務所の社員も会社に残り、残業してしまうようになった。
・例えば、以前、店舗は19時まで営業しており、17時が終業時刻の事務所の社員も「19時までに仕事が終わればいいか」という意識になっていた。7、8年ほど前に、店舗の営業時間を18時にしたところ、事務部門の社員も1時間早く帰るようになった。みんながいるから何となく残業している、ということがあったのではないか。
・売上的には夏が繁忙期である。以前は、繁閑により売上で2倍ほどの違いがあった。
・今はかなり平準化してきており、繁閑による売上の差は1.5倍くらいとなった。

2 働き方に関する課題

・元々、あまり残業は多くなかったが、新規事業を始めたところ残業が増え、人件費も残業手当だけで大幅に増加した。

3 休み方の状況

【年次有給休暇取得状況、部署や時季等による偏りの有無】
・社員はあまり休暇を取得していなかった。休み方改善に取り組む以前の平均の年次有給休暇取得日数は年に3、4日程度である。
・何もない時に休暇を取得することは少なく、病気で入院した際や、結婚で休暇を取得する際に取得する場合が多かった。

【連続休暇の取得状況、休暇の質】
・旅行に行く際に、GWの合間の平日やお盆にあわせて取得するといった利用が多かった。

4 休み方に関する課題

・以前から、もっと休暇を取得したいといった声は社員から聞かれない。目的なく休暇を取得するのであれば、働きたい、という社員が多いように思う。

働き方・休み方改善の取組経緯・取組内容

1 働き方・休み方改善の取組経緯(きっかけ、当初の目的や計画)

・新規事業を始めたころに残業が増加したことや、働き方改革という世の中の流れを受けて、働き方・休み方改善に取り組む必要があると感じていた。

2 推進体制・労使間の話し合いの機会の有無

・社長と人事関係の社員を中心に、働き方・休み方改善に取り組んだ。
・残業時間の削減によって残業代が減ることに対して、社員から不満の声などは特にあがらなかった。将来どのように成長していくのか、ということを示していくことが大切と考えており、そうした会社の姿勢もあって、社員も目先の残業代にこだわらなかったのではないか。

3 働き方改善に関する取組内容

・社員が自身の残業時間を認識していないことがあった。残業時間を見える化しないといけないと考え、10日ごとに残業時間をタイムカードから集計してグラフを作成し、社員全員が参加する毎月の社内会議で公表するようにした。
・また一部の社員の残業が多くなった時期があったが、業務のやり方を見直したり、必要があればパートを補充したりした。社員が業務に慣れたこともあり、月の残業時間は4分の1ほどに減った。

4 休み方改善に関する取組内容

・年次有給休暇取得の年5日取得に向けて、年に数日の一斉休暇日を設け、お盆休みに付けたり、正月休みに付けることで、休暇取得を促進した。
・また残業時間と同じく、年次有給休暇の取得状況も見える化を図った。
・年次有給休暇は1月に付与する。年末までに失効となる日数も周知している。
・休暇取得については取得予定日の1週間位前までに報告してもらっている。仕事の裁量性が高いので、自分で休めるように仕事の段取りを行うことができる。
・また、ある仕事が特定の社員しかできないと休めなくなってしまうため、複数の仕事をできるように多能工化を進めている。入社後、配属までの間に他の業務を経験するが、そこで学んだことを定着させることを目指している。
・多能工化にあたっては、主に類似の部門内で、1週間に1度、仕事を交換する方法をとっている。対象者は入社数年以内の若手が多い。現在は、飲食・サービス部門では店舗販売の担当(入社2年目)とカフェ調理の担当(入社1年目)の間、製造部門ではみその仕込み担当と商品梱包担当の間で、仕事の交換を行っている。仕事の交換は、互いの業務を補完できるようになるまで、継続的に行っている。

働き方・休み方改善による成果

1 働き方の現状と取組の成果

【所定外労働時間の長さの変化】
・前年の同時期に比べ、全社員の残業時間が減少した。前年同期比45.2%の削減となっている。
・特に残業時間の多かった社員は6割程度の削減となっている。以前は月の残業時間が40時間超となっている社員が3名いたが、今はそうした社員もいない。

【生産性、メリハリのある働き方】
・所定時間内に業務を終えられる社員が優秀だということを日頃から伝えており、残業の少ない社員を評価するようにしている。年に2回の社員との面談の際も、同じ成果を出すなら残業をしないようにと伝えている。

2 休み方の現状と取組の成果

【年次有給休暇の取得状況の変化】
・現在の年次有給休暇取得日数は平均で年10日位である。
・結婚などでまとめて休暇を取得する社員がいたり、退職にあたって年次有給休暇を消化する社員がいたりしたときは、平均値が高くなる傾向にある。

【連続休暇の取得状況、休暇の質】
・男性社員が1週間ほどの育児休業を取得した実績がある。

3 上記以外の働き方・休み方改善による成果

・以前から、もっと休暇を取得したいといった声は社員からあまり聞かれないが、残業が少なくなったり、年次有給休暇の取得が促進されたりしたことで、職場の雰囲気が変化してきたことを感じているようだ。
・社員が楽しく生き生きと働いていることが大切だと考えている。楽しく働けていれば、多少の残業が発生しても苦には思わないが、楽しく働けていなければ、1時間の残業でも嫌だと感じるだろう。
・製造業であり、職人肌の気質があった。若い社員が増えてきたが、ベテラン社員の背中を見せても育たず、背中の見方から教えなければならない。社員が成長できるように、キャリア教育に取り組んでおり、常に学び続けることを推奨している。
・社内での勉強会を実施したり、外部のセミナーの受講を促したりしている。必要な場合は東京まで行くことなども認めており、交通費等は会社が支給している。また、このほかに、勤続5年以上の社員を対象に年間5万円を勉強代として支給している。社員の中にはこうした機会を利用し、店舗のPOPについて学んでいる者や、働きながら大学院に通い海外展開の課題などについて勉強している者がいる(大学院の学費も、会社が支給)。

働き方・休み方の現在の課題・働き方・休み方改善に関する今後の展望

1 現在の課題

・社員からは残業時間の長さなどへの不満はあまり聞かれない。ダラダラ残業をするような意識はなくなってきたと思うが、そのことが評価につながっていない点は課題である。
・社員に分かりやすく評価内容を公開できるといい。

【ニューノーマルへの対応について】
・接客や製造の仕事が多いので、テレワークは実施していない。
・飲食部門は、来年(2021年)、カレンダー上の休暇を増やすことを検討している。新型コロナウイルス感染症対策の経験から、GW明けの時期は週3日ほどの休みを設定できるのではないかと考えている。
・また会社の営業日を減らすことも検討している。2ヶ月ほどを週休3日とし、忙しい12月は週休1日とするなど、メリハリをつけた営業日数とすることができると考えている。

2 今後の取組予定

・休暇取得の促進に向けて、パートナーや子どもの誕生日にあわせた休暇制度も検討したい。
・定年は65歳で、継続雇用で本人が望めば70歳まで働くことができる。また、70歳を超えても、パートとして勤務している社員もいる。今後は定年を自分で決められる制度も検討したい。それにあわせて人事評価も見直すことが必要となる。
・最大3年の範囲で当社に戻ってくることを保証して、一旦会社を辞め、学んだり、他社で経験を積んだりできるようにすることも検討したい。旧態依然とした働き方を変えていきたい。

(R3.3)

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