テクノス三原株式会社

事例カテゴリ

  • 年休取得促進
  • 計画的付与制度
  • 時間単位年休
  • 特別休暇

企業情報

テクノス三原株式会社
企業名
テクノス三原株式会社
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所在地
広島県三原市
社員数
127名(2019年4月1日時点)
業種
専門サービス業(非破壊検査、構造物調査、消防設備点検等)
労働時間・休暇制度
■労働時間関連
・所定労働時間:8時~17時(休憩:12時~13時)
■休暇関連
・年間所定休日数:119日(2019年度)
・半日単位での年次有給休暇の取得が可能
・特別休暇制度あり

働き方・休み方の現状と課題

1 働き方の現状(平均所定外労働時間、部署や職位、時季等による偏りの有無等)

・2017年度の平均所定外労働時間は29.3時間、2018年度は18.9時間であった。
・働き方改革に取り組む以前は、特定の資格を有する専門職や技術職の労働時間が長くなる傾向にあった。また、船舶の非破壊検査という業務の性質上、寄港中に検査を行うなど、顧客からの要請に応じて労働時間が長くなりやすかった。
・働き方改革に取り組んでからは、多能工化やチームでの業務対応を行うようになったことで、仕事の属人化が解消され、労働時間は短縮されてきている。

2 働き方に関する課題(労働時間の長さ、時間や場所の柔軟化、育児・介護等との両立者の働き方等)

・2018年7月より働き方改革に取り組んでいる。当初は、多能工化の推進、働き方改革によって削減された残業時間分の給与を還元すること、全社員が5日間の連続休暇(土日を含む)を取得することから取り組んだ。
・働き方改革に取り組んだきっかけは、社長が「人口オーナス期」という考え方を知ったことである。投下した労働時間に応じて利益が得られるというモデルから転換する必要性を認識し、中小企業として採用・育成の問題に対応していくうえでも、自社の働き方を見直す必要性があるとの課題意識を持った。
・多能工化の推進のため、個人の力量や、事業所ごとの業務量の把握、スキル教育などを行った。具体的には、技術職一人ひとりが検査スキルの強化項目を設定する、業務マニュアルの見直しを通じて作業効率化を図る、実務を通じて継承を図っていた専門技術について文書化し、教育・引継ぎに活用できるようにするなどの取組を行った。また、「業務内容評価表」によって作業別の習熟度を把握し、技術習得を促すだけでなく、人事考課表や個別面談を通じた意識改革を促すことにも留意した。
・前年と比べて削減された残業時間については、生産性向上の指標と捉えている。残業時間が減ることで、社員の給与が減らないようにするため、全社員対象に特別手当や賞与で還元した。なお、残業時間を削減した個人ごとに還元するのではなく、全社員に一定額を還元する形式とし、全社的に取組を進めるようにした。
・人材育成を進めるため、管理職の評価項目として、部下の昇格者の割合を設けている。
・時間あたりの生産性(限界利益÷(総工数×8時間))は昨年対比115.5%に改善した。

3 休み方の現状(平均年次有給休暇取得率(日数)、部署や職位、時季等による偏りの有無等)

・2017年度の平均年次有給休暇取得率は45.8%、2018年度は68.3%であった。
・上記の通り、働き方改革に取り組む以前は、特定の社員に業務負荷が偏ることや、顧客対応に伴う休日出勤が多くみられた。取組開始後は、連続休暇取得等を推進したことで、年次有給休暇の取得率は向上している。
・特別休暇として慶弔休暇を取得できる。また、子の看護休暇については、子が小学校4年生になるまで、一人あたり年間7日まで取得することができる。

4 休み方に関する課題(休暇取得日数、連続休暇取得状況、希望する時季での休暇取得の状況等)

・2018年度は、年次有給休暇が残っている社員全員が、5日間の連続休暇(土日を含む)を取得することができた。

休暇取得促進に係る取組

1 働き方・休み方改善(特に休暇取得促進)に関する方針・推進体制

・働き方・休み方改革を推進するにあたり、社長が社員全員に対して、取組を通じて達成したい目標を発信した。社長が本気で取り組むのだという姿勢を示したことが、取組を進めるうえで有効だった。なお、実現に向けての具体的な取組は、各部門やチームで主体的に検討することとなっている。
・「働き方改革実行委員会」を設置し、年度ごとの取組目標を定めている。毎月の定例会議にはグループ長も参加し、成果実績の報告や結果の分析を行った。他部門の取組や進捗状況を把握することで、自部門の反省につなげることもできた。
・また、職場単位の小規模な改善活動のため、部門横断的な「横串委員会」を設置している。職場環境の整備や部門間の問題の共有、情報伝達等を行っている。
・さらに、2019年度より「改善チーム」を設置。改善してほしい事案の吸い上げや、社内において問題がないかの協議・検討を行っている。

2 導入している休暇関連の制度及び取組内容

・5日間の連続休暇(土日を含む)取得を規則としたうえで、取組にあたった。具体的には、部門やチームで「連続休暇取得予定表」を作成し、人員の調整を図っている。
・さらに、社員に対しては年次有給休暇の取得状況を毎月通知し、休暇取得を促している。
・取組以前は、「休暇を取得しづらい」風土があった。そこで、連続休暇中に「面白い過ごし方」をした人を表彰するようにし、風土改善に取り組んだ。

3 休暇取得促進に係る課題(取組を進める上での失敗談など)及び改善に向けた工夫

・ベテラン層の中には、働き方・休み方改革に理解を示さない社員もいた。個別に丁寧な説明をするだけでなく、削減された残業時間分の給与を還元する、連続休暇の取得を促すといった取組をしたことで、会社側が本気で取り組んでいるのだと伝わり、徐々に理解を広めていくことができた。

4 社員の休暇の質を高める取組(休暇の事前計画、休暇中の連絡ルール等、安心して休むための工夫、休み方のアドバイス、自己啓発・家族との時間の確保等)

・上記の「連続休暇取得予定表」を作成することで、部門やチーム内で業務を調整できるようにしている。

休暇取得促進による効果(職場における変化や、社員満足度への貢献等)

・従業員満足度が向上した。
・社員の主体性が増した。権限委譲を進めたことも奏功している。なお、権限委譲によって社員が委縮しないようにするため、責任の所在は社員に求めないようにしている。

働き方・休み方改善(特に休暇取得促進)に関する今後の展望

・介護や病気などの事情を経ても、職場復帰できるような態勢を整えたいと考えている。最終的には、定年退職時に「この会社で働いてよかった」と思えるような職場としていきたい。
・ITの活用等、作業効率化をいっそう推進していく。業務プロセスを見直すことが優先であり、その中で人間が労力をかけなくても良いものがあれば、ITの活用等で対応していくことになる。
・土日を含めて9日間の連続休暇を取得できるよう、取組を進めていく予定である。

(R2.3)

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