東亞合成株式会社
事例カテゴリ
- 年休取得促進
- 計画的付与制度
- 時間単位年休
- 特別休暇
企業情報
企業名 |
東亞合成株式会社
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所在地 |
東京都港区
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社員数 |
1,242名(連結2,473名)
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業種 |
製造業
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労働時間・休暇制度 |
■労働時間関連
①常昼勤務 ・所定労働時間は1日7時間30分 (本店・支店9時~17時15分、工場8時~16時15分、休憩時間は12時~12時45分) ・一部製造部門を除き、フレックスタイム制を採用。清算期間は1か月。 (営業部門コアタイム:10時~14時45分その他部門コアタイム:12時45分~14時45分) ②2交替勤務 ・所定労働時間は1日10時間 ③3交替勤務 ・所定労働時間は1日7時間 ■休暇関連 ・常昼勤務の年間所定休日:123日(完全週休二日) ・2交替勤務者の年間所定休日:165日 ・3交替勤務者の年間所定休日:99日 ・時間単位の年次有給休暇制度なし ・特別休暇制度あり |
働き方・休み方の現状と課題
1 働き方の現状(平均所定外労働時間、部署や職位、時季等による偏りの有無等)
・常昼勤務者について、2018年度の平均所定外労働時間は年間およそ90時間であった。もともと残業時間は長くない。
・工場の操業に関わる技術職は、トラブル対応などが発生した場合、労働時間が長くなる傾向にある。
・時季による繁閑はある。顧客の状況の他、工場の定期修理により、1か月間工場の操業を休止し、修理対応にあたるため、労働時間が長くなる。また、休暇も取得しづらくなる。
2 働き方に関する課題(労働時間の長さ、時間や場所の柔軟化、育児・介護等との両立者の働き方等)
・2011年にノー残業デー(毎週水曜日)を導入し、2014年には対象日を週3日(毎週月・水・金曜日)に拡大した。また、2014年には常昼勤務者の昼休みを15分短縮した。その後、2015年には常昼勤務者の所定労働時間を15分短縮した。したがって、2014年以前より、休憩時間を含む就業時間は30分間短くなっている。
・2011年のノー残業デー実施当初は、一定の強制性をもって帰宅をうながすような状況であった。労使が協働で声掛けなどを行った。2014年に昼休みを15分短縮するにあたっては社内でも議論があったが、トップの方針に基づいて実施された。2015年の所定労働時間15分短縮についても、経営的には大きなコストを伴うものであったが、トップの方針に基づいて実施された。
・工場勤務者を含め、従業員の勤怠管理にはICカードシステムを活用している。就業時間だけではなく、在社時間を把握するようにしている。
・全社、事業所単位だけでなく、部署単位での労働時間の状況も確認し、場合によっては上長を通じて声掛けをしている。部署単位で在社が長くなっている場合もあれば、個人単位の理由である場合もあるため、きめ細やかに確認し、「気付きを与える」ことを目的としている。年次有給休暇の取得についても同様である。
・労働時間の短縮という目的のもと、RPA(Robotics Process Automation)の導入や設備投資を行っている。
・在宅勤務制度は、育児・介護等の要件を満たす場合に利用可能。1日単位で週2日まで在宅での勤務が可能であり、育児事由の場合は、子が小学校3年生以下まで対象である。
・子の看護休暇は小学校6年生まで年間10日以内、介護休暇は年間10日以内まで取得可能。
・シフト勤務者は、年度初めに年間の勤務カレンダーを作成し、月ごとに細かな調整を行っている。
3 休み方の現状(平均年次有給休暇取得率(日数)、部署や職位、時季等による偏りの有無等)
・2018年度の平均年次有給休暇取得率は、単体で91.0%、連結で88.8%であった。また、2017年度はそれぞれ95.7%、89.6%、2016年度はそれぞれ94.0%、88.2%、2015年度はそれぞれ98.1%、93.4%であった。
・管理職の取得率がやや低いものの、非管理職と比べて大きな差はない。
4 休み方に関する課題(休暇取得日数、連続休暇取得状況、希望する時季での休暇取得の状況等)
・年次有給休暇の計画的付与を実施している。夏季休暇や年末年始の休日に引き続いて付与しており、夏季3日、年末1日を目安に設定している。1週間以上の連続した休日・休暇を実現し従業員の心身のリフレッシュを図るため10年以上前に開始した。
・ごく一部、業務の状況によって計画的付与日に休暇を取得できない場合がある。その場合は、別日での取得できるよう調整する。
・2019年は、夏季休日、計画年休を合わせて8月に9連休、年末年始に10連休取得できている。
・計画年休を設定していることもあり、年次有給休暇の年5日取得は問題なく達成できている。
休暇取得促進に係る取組
1 働き方・休み方改善(特に休暇取得促進)に関する方針・推進体制
・本社の人事部門が旗振り役となり、各事業所の人事部門、職制を通じて、各種の伝達を行っている。
・CSRとして年次有給休暇の取得率100%を目標に掲げたことで、会社として休暇取得促進に取り組む姿勢を明確に発信することができた。
2 導入している休暇関連の制度及び取組内容
・半日単位の年次有給休暇を取得可能。
・失効年次有給休暇の積立制度(保存年休)がある。1年の繰入れ上限は5日、保有上限は40日であり、私傷病・子の看護・ボランティア活動等を目的として取得ができる。私傷病事由の場合でも、特段の条件は設けていない。
・特別休暇として、忌服休暇、結婚休暇、配偶者出産休暇、赴任休暇等を取得可能。
・年次有給休暇の取得を促すため、部署単位で、年度の初めに取得計画を作成するように取り組んでいる。2015年度は全社的に義務化していたが、定期的な年次有給休暇の取得が定着した現在は部署単位での実施となっている。
・勤怠システム上で、上長は部下の年次有給休暇の取得日数・取得率を確認でき、取得率が低い従業員に対して注意喚起することができる。また、2019年には5月と10月の二回にわたり、人事部が各部署の管理職を介して、取得率が低い従業員への周知を行った。
・年間で5回、取得率が一定に達しない従業員とその上司に対して、アラートを発している。
・毎月の安全衛生委員会の中で、各事業所の人事部門の担当者が年休取得率を確認し、取得率が低い場合には取組の方策を検討している。
・新入社員研修の中で、休暇取得の重要性を周知している。勤務制度について約1日かけて説明する中で、休暇取得に際しては、部署の人と調整する必要があることや、休んだ日に自己啓発につながるような過ごし方をすることも必要であることを伝えている。2015年度から実施しており、若手社員の休暇取得率は高い。なお、新入社員研修は本社採用、工場採用それぞれで実施している。
3 休暇取得促進に係る課題(取組を進める上での失敗談など)及び改善に向けた工夫
・休暇を取得できないという状況はない。ただし、計画的に取得しないことで、年末にまとめて休暇を取得する場合がみられる。来年度以降、休暇取得の事前計画を徹底するよう、周知を図ることを検討している。
4 社員の休暇の質を高める取組(休暇の事前計画、休暇中の連絡ルール等、安心して休むための工夫、休み方のアドバイス、自己啓発・家族との時間の確保等)
・休暇の取得計画を策定している。
休暇取得促進による効果(職場における変化や、社員満足度への貢献等)
・従業員が計画的に業務を進めるようになった。個人、部署それぞれにおいて、自己研鑽や業務効率化の方策について考えるようになった。
・上長がいると早く帰れない、休暇を取得しづらい、といった風土がなくなってきた。むしろ、長時間労働が良くない、といった風土に変わってきている。
・2019年に従業員を対象にアンケートを取った結果、休みやすい職場環境であると認識されていることが分かった。
働き方・休み方改善(特に休暇取得促進)に関する今後の展望
・2015年度の取組開始当初と比べ、休暇取得率が低下しているため、新たな施策を行うことを検討している。システムの改修を実施し、年次有給休暇の年間取得予定を自由に入力し上司や同僚と共有できる仕組みを導入した。
・労働生産性のKPI管理を強化していく。現在は従業員の在社時間の把握のみであるが、今後は、各種業績指標との関係をみていきたい。