株式会社お佛壇のやまき
事例カテゴリ
- 年休取得促進
- 計画的付与制度
- 時間単位年休
- 特別休暇
企業情報
企業名 |
株式会社お佛壇のやまき
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所在地 |
静岡県静岡市
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社員数 |
37名(全員が正社員)
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業種 |
仏壇・墓石等の販売
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労働時間・休暇制度 |
■労働時間関連
・労働時間制度:通常の時間管理(9時~18時) ・所定労働時間:8時間 ・店舗が土曜・日曜も営業しているため、いずれか1日だけ出勤するコースと、両方出勤するコースのどちらかを自由に選択することができる。 ■休暇関連 ・年間所定休日数:107日 ・プレミアムフライデー制度、時限的な年休の追加付与制度、連続休暇の取得推奨あり |
働き方・休み方の現状と課題
1 働き方の現状(平均所定外労働時間、部署や職位、時季等による偏りの有無等)
・所定外労働時間は、昨年度実績で月平均5.25時間(管理監督者を含む)。
・店舗の営業時間は9時から18時で、18時になれば、職員はすぐに業務を終えている。
・時間外労働を徹底的になくすと、残業代が減るため、固定給の中に1日1時間の残業代を組み込んでいる。残業して後から手当を付けるのではなく、先に1時間分残業代を組み込むと、残業の有無にかかわらず手当が付くことになるので、退社が早くなり、トータルとしての就業時間が短くなる。この制度は、残業削減に大きく寄与した。
2 働き方に関する課題(労働時間の長さ、時間や場所の柔軟化、育児・介護等との両立者の働き方等)
・特にない。
3 休み方の現状(平均年次有給休暇取得率(日数)、部署や職位、時季等による偏りの有無等)
・平均年次有給休暇取得率は100%である。
4 休み方に関する課題(休暇取得日数、連続休暇取得状況、希望する時季での休暇取得の状況等)
・特にない。
休暇取得促進に係る取組
1 働き方・休み方改善(特に休暇取得促進)に関する方針・推進体制
・当社では、「家族といる時間を最大化させることが、売上を、ひいては顧客満足度を向上させる」という考え方に基づき、制度や方針を決めている。
・上記の考え方に至るきっかけとなったのは、売上向上の方策を検討していた時期に、ある1人の従業員が、優れた実績を上げていることに気づいたことである。販売の仕方は他の社員と変わらないが、退社時間が早く、年休も全て消化していることがわかった。それは、効率的に実績を上げていることの裏付けと言えた。
・ただし、それだけでは断言できないため、24時間行動分析を行ったところ、他の社員と全く異なる点が浮き彫りになった。それは、家族との時間を大事にしており、年休も参観や地域行事のために取得しているという点であった。従業員家族を全員招いて開催しているパーティーで、社員の子どもから直接話を聞いたが、やはり「家庭的な親だ」という答えが返ってきた。
・そこで、「家族といる時間を最大化させることが、売上を、ひいては顧客満足度を向上させる」という仮説を立て、社員が会社にいる時間を徹底的に短縮するため、午前中までの勤務で退社できる「プレミアムフライデー」の制度を始めた。プレミアムフライデーには、お小遣いとして、また静岡経済の活性化への貢献も視野に入れて、子どもと遊ぶ、家族で映画を見に行く、単身の社員は飲みに行く、ゴルフ練習場に行くなど、自由に使える手当てを支給している。
・社員の多能職化にも取り組んでいる。多能職化は、「休みたい時に休めない」という課題があったことからスタートした。「家族といる時間を最大化することが顧客満足につながる」という仮説を立てたが、団塊の世代であった男性の営業社員は、そこに違和感を持って退職していった。残った女性社員も、それまでレジ担当、設計担当と職種が分かれていたため、1店舗に3~4人という環境で休暇を取得する社員がいると、不在の職種の仕事をカバーできない状況であった。
・そのため、どの職種の社員が休暇を取得しても、レジ、設計、営業、経理の全ての職種を全員でカバーできるよう、多能職化を進めた。また、多能職化前に各業務を担当していた社員がそれぞれ集まり、誰が見ても仕事の内容がわかるマニュアルを作成した。
・さらに、社員の多能職化に対応して、売上管理やレジ、勤怠管理などのシステムも、当社の業務内容に合わせたものを、カスタムメイドで開発している(開発は外注している)。
2 導入している休暇関連の制度及び取組内容
・店舗は土曜・日曜が書き入れ時だが、土日に休暇を取りたい社員もいる。一方で、土日のうちどちらかだけ家にいればいいという社員も多いため、いずれか1日は出勤するコースと、土日の両方出勤するコースの2つを作り、どちらでも自由に選択できるようにした。
・当社は12月末を年度末としており、11月末までに年休を100%取得すれば、時限的に、12月に年間付与日数の10%分の年休を追加付与する制度を設けている。過去に年休取得率が100%に満たない時期があったため、背景を調べたところ、ほとんどの社員が11月末までに年休を1日程度残していた。「風邪をひいた時のために残しておく」ことがその理由だが、実際に風邪をひくことは少ないし、年末は忙しいので、結局休めず、100%にならなかった。そのため、この制度を設けたところ、年休取得率が100%になった。
・半期に1度の長期休暇取得を推奨している。また、長期休暇のうちの1日でも家族と一緒に行動する場合は、手当を支給している。手当が出るなら、休暇を取得しないと権利を放棄することになるため、取得が進み、また周囲からも休暇取得を促す雰囲気づくりをしている。
3 休暇取得促進に係る課題(取組を進める上での失敗談など)及び改善に向けた工夫
・現在の社員の男女比は5:5だが、もともとはメーカーであったため、先の仮説を立てる前の男女比は8:2であった。男性が多かった頃は、営業担当も多くが男性であったが、仮説を立て、早く帰ることをアナウンスし、就業規則にも「残業が多く年休を9割以上消化しない場合は、翌年の人事査定をマイナスにする」という事項を盛り込んだところ、「営業のポリシーに合わない」や「早く帰ってもやることがない」という理由で、男性社員が一気に退職してしまった。
・一方、女性社員はその方針を支持し、非常に活躍してくれた。「私たちも営業はするが、18時には帰らせてください」というスタンスで、寺や顧客の営業に対応してもらっていたところ、気が付いたら、男女比が3:7と、女性のほうが多くなっていた。静岡県知事から男女共同参画の社会づくりに関する知事褒章を授与されたのも、その頃である。
・18時には必ず退社するという方向に舵を切ったことで、社内の仕組みも大きく変化した。
・退職者の退職理由を聞くことが、制度変更やシステム導入等のきっかけになることが多い。退職時には比較的率直に話してもらえるため、何を変えれば就業を継続できたかを尋ねて、その内容を参考にしている。
・経理・総務の担当者が1人しかいないため、制度はシンプルで管理がしやすくなる方向で変更している。
4 社員の休暇の質を高める取組(休暇の事前計画、休暇中の連絡ルール等、安心して休むための工夫、休み方のアドバイス、自己啓発・家族との時間の確保等)
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休暇取得促進による効果(職場における変化や、社員満足度への貢献等)
・多能職化を進めた結果、全員が休暇を取得しやすくなった。また、仕事の垣根をなくしたことで、1人がこなせる仕事の幅が広がり、顧客の要望にも素早く対応できるようになったため、取組開始の翌年には売上が40%向上した。
・NHKのニュース等のメディアに取り上げられることで、顧客も増加した。
働き方・休み方改善(特に休暇取得促進)に関する今後の展望
・長く働ける仕組みは、ダイバーシティの観点からも必要だが、特に当社の場合、顧客に高齢者が多く、年齢を重ねた社員のほうが話が合いやすい。また、仏事に関しては地域性が強く、地域によって仏事も仏具も全く異なるため、高齢の社員が退職してしまうと、その知識の蓄積が一気に抜けてしまうことになる。若手を同じレベルに育成するまでには時間がかかるため、できるだけ長く働けるような制度を作っていく必要がある。