ボッシュ株式会社

事例カテゴリ

  • 年休取得促進
  • 計画的付与制度
  • 時間単位年休
  • 特別休暇

企業情報

企業名
ボッシュ株式会社
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所在地
東京都渋谷区
社員数
6,100名(連結)5,300名(単体)
業種
製造業
労働時間・休暇制度
■労働時間関連
・労働時間制度:製造部門は通常の時間管理(8時~17時)。生産の変動に応じ、交替勤務を実施。間接部門はフレックスタイム制を導入。コアタイムは事業所によって異なる(本社は10時30分~15時15分)。
・所定労働時間:8時間
■休暇関連
・年間所定休日数:121日
・年末年始、GW、お盆の年3回、7~9日程度の長期休日を設定

働き方・休み方の現状と課題

1 働き方の現状(平均所定外労働時間、部署や職位、時季等による偏りの有無等)

・基本的に顧客からの受注に応じて生産量が変動し、それに応じてシフトを組み立てている。
・2018年の年間実労働時間(全社)は、所定内平均1,773時間、所定外平均171時間、トータル1,944時間。1ヵ月あたりの所定外平均は14時間程度。業界平均と比較すると、大幅に下回っている。

2 働き方に関する課題(労働時間の長さ、時間や場所の柔軟化、育児・介護等との両立者の働き方等)

・間接部門では、研究・開発部門での残業が相対的にやや多い傾向があるが、世間的な水準からみるとそこまで多くはない。
・所定外労働時間が月40時間を超えないような管理を厳格に行っている。ただ、季節的な変動により例外はありうる。担当している車の開発がピークの時期等は忙しくなる。
・管理職は、時間管理の対象外であるが、勤怠システムで労働時間は把握しており、1ヵ月の残業時間が70時間を超えると産業医の面談を実施している。
・また、法定時間外労働の上限規制を受けて、管理職についても残業時間の管理を厳格化しており、月70時間超となった社員を毎月抽出し、上長の取締役もしくは事業部長にフィードバックしている。業務の繁閑によりやむを得ないこともあるが、慢性的な長時間労働を防ぐため、繰り返されると、トップマネジメントから直接改善を求められる。

3 休み方の現状(平均年次有給休暇取得率(日数)、部署や職位、時季等による偏りの有無等)

・2018年度の年次有給休暇取得率は、非管理職で98.2%、管理職で78.9%。
・非管理職の年次有給休暇の付与日数の平均は19.5日、使用日数の平均は19.2日。
・年末年始、GW、お盆の年3回の連続休暇は、自動車業界全体の慣例として休みにしている会社が多く、生産ラインが停止するので、会社の所定休日としている。年次有給休暇と合わせて、2週間程度の休暇を取得することもできる。
・一方で、祝日は出勤日となることがある。

4 休み方に関する課題(休暇取得日数、連続休暇取得状況、希望する時季での休暇取得の状況等)

・非管理職の年次有給休暇取得率はほぼ100%であり、仕事を管理しながら、年次有給休暇を取得するという認識は、社員に共有されている。
・管理職の取得率は年々上昇してきているが、さらに上げていくことが今後の課題である。

休暇取得促進に係る取組

1 働き方・休み方改善(特に休暇取得促進)に関する方針・推進体制

・労働組合との間で、労働時間の短縮に関する「労使時短検討委員会」を設けている。年に2~3回程度協議を行っており、全社の年次有給休暇の取得目標や進捗状況、36協定の項目等を確認している。
・また、各職場では「職場労使協議会」を毎月開催している。労働組合の代表と管理職が集まり、所属員の残業や年次有給休暇取得状況について、確認を行っている。
・「職場労使協議会」では、年次有給休暇の取得状況をチェックしており、9月時点で10日未満、12月時点で15日未満の社員に対しては年度後半の取得計画を確認し、取得促進に向けた働きかけを行っている。

2 導入している休暇関連の制度及び取組内容

・年次有給休暇の他に、子の看護休暇や介護休暇を有給で取得できるようにしている。
・年次有給休暇は半日単位での取得も可能である。フレックスタイム制や短時間勤務制度があるため、時間単位の年次有給休暇は導入していない。
・年次有給休暇のうち、年間5日間を連続して取得できる「リフレッシュ休暇」を1995年から導入している。2日・3日に分割して取得することや、他の休暇とあわせて5日以上連続して取得することも可能である。年度当初に、取得時期の希望を上司に申請し、各職場で調整のうえ、全員の取得時期を確定している。

3 休暇取得促進に係る課題(取組を進める上での失敗談など)及び改善に向けた工夫

・1980年代に自動車業界で総実労働時間短縮の動きが盛り上がったことを契機として、1983年の一斉退社日の設定、1984年の休暇取得目標の設定等を初めとして、約30年にわたって労働時間短縮や年次有給休暇の取得促進に向けた取組を進めてきた。
・年次有給休暇の取得目標は、1984年にまず最低取得6日からスタートし、1990年に最低取得12日、2012年に取得率100%(対新規付与日数分)と、長い期間をかけて徐々に目標を上げてきた。
・数値目標の設定にあたっては、年次有給休暇取得に際して生じている課題の把握と解消もあわせて行っている。目標達成のために年次有給休暇を取得した結果、職場に過度な負担が生じないよう、まずは現実的な目標を定めて、徐々に目標を上げていくことが重要だと考えている。
・年次有給休暇の取得促進に取り組み始めた当初は、社員から「なぜ、休暇を取得しなくてはいけないのか」といった反発の声もあった。
・しかし、休暇を取得することにより自分の生活を充実させ、リフレッシュすることで、社員が健康で長く活躍できることを重視している旨を伝え、「休み上手は仕事上手」というスローガンを掲げ、粘り強く取組を実施してきた。上司や労働組合の担当者等から、休みを取る必要性について繰り返し説明を行い、少しずつ年次有給休暇を取得することが当たり前という職場風土を醸成していった。

4 社員の休暇の質を高める取組(休暇の事前計画、休暇中の連絡ルール等、安心して休むための工夫、休み方のアドバイス、自己啓発・家族との時間の確保等)

・製造ラインでは年次有給休暇の取得や急な病欠により欠員が出た場合、代替要員を補充しなければならない。そのため、年度当初に、各職場内で監督者がまず個々人の長期休暇の取得希望を聞いたうえで、調整をしている。
・製造ラインの人員計画を立てる際は、一定の年次有給休暇取得を見込んだ出勤率を基準に作成している。100%の出勤率を想定して計画を立てると、休暇取得者が出た際に現場が回らなくなってしまうからだ。
・一方で、病気等による突発的な欠員は避けられないため、現場では年次有給休暇中の社員の代理となる、「テクニカル・オペレーター」として原則、工数の8%に相当する人数を配置している。
・一つのラインの中でもさまざまな工程があるが、そのいずれも対応できる多能工の人が「テクニカル・オペレーター」となる。「テクニカル・オペレーター」が年次有給休暇を取得する場合は、上位の監督者が代理で入ることとしている。
・間接部門は、プロジェクト単位で業務を進めていくため、各自が計画を立て、プロジェクト間に休みをとっている。
・なお、社長・副社長といった上役が休む際には、あらかじめ代理承認者を決めている。

休暇取得促進による効果(職場における変化や、社員満足度への貢献等)

・休みたいときに休めるため、従業員の満足度は高く、離職率は約1%にとどまっている。
・年次有給休暇取得率は、同業他社と比較しても高い水準であり、国や業界団体からワーク・ライフ・バランスに関する多数の賞を受賞している。採用活動において大きなアピール要素となっている。

働き方・休み方改善(特に休暇取得促進)に関する今後の展望

・休暇の制度だけでなく、多様な働き方の制度も整えていく必要があると考えている。例えば、介護をしている方は休暇だけではニーズを満たせない。病気の治療との両立についても同様である。在宅勤務はすでに導入しており、一定の上限を設けて利用できるようにしている。
・今後、女性の採用や管理職登用をさらに増やしていきたいと考えている。そのために、長時間労働・休日出勤といった管理職像を変えていきたい。

(R2.3)

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