大同生命保険株式会社
事例カテゴリ
- 年休取得促進
- 計画的付与制度
- 時間単位年休
- 特別休暇
企業情報
企業名 |
大同生命保険株式会社
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所在地 |
(東京本社)東京都中央区
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社員数 |
6,803名(内務職員3,089名、営業職員3,714名)
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業種 |
金融業,保険業
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労働時間・休暇制度 |
■労働時間関連
・労働時間制度:事務担当はフレックスタイム制。営業担当は事業場外みなし制度を適用。 ・所定労働時間:7時間/日(9:00~17:00、休憩1時間が原則)。 ・在宅勤務は本社組織に所属する内務職員のうち、自らの裁量で業務遂行が可能な者として、所属長が認めた職員。 ■休暇関連 ・年間休日数:カレンダー通り(土日祝日が休日)。 ・職員は1年間を通じ、20日の年次有給休暇を受けることができる。 ・職員は休暇年度中に年次特別休暇を受けることができる。 ・休暇年度初日現在の勤続年数が10年、15年、20年、25年、30年および35年の内務職員は、リフレッシュ休暇を受けることができる。 ・年次有給休暇、年次特別休暇、ボランティア休暇、看護休暇および介護休暇については、半日単位で半日休暇を受けることができる。 |
働き方・休み方の現状と課題
1 働き方の現状(平均所定外労働時間、部署や職位、時季等による偏りの有無等)
・2008年度頃から、ワーク・ライフ・バランスの取組を進めており、当時から比べると残業時間は縮減(取組詳細は後述)。
・事務担当の所定外労働時間はフレックスタイム制のため、月の総労働時間(総枠)を超えた部分が該当する。
・部署や時期によって労働時間の偏りはある。例えば決算期には決算関連の部署が繁忙になる。
・なお、管理職、特に係長・課長層および営業担当の労働時間が長めである。営業担当の労働時間が長くなる背景として、どうしてもお客さまや・代理店の都合に左右される部分がある。
2 働き方に関する課題(労働時間の長さ、時間や場所の柔軟化、育児・介護等との両立者の働き方等)
・特に中間管理職層に業務が集中しがちになっている。しかし、中間管理職層でも、労働時間縮減の取組を進める前よりは、労働時間は縮減している。
3 休み方の現状(平均年次有給休暇取得率(日数)、部署や職位、時季等による偏りの有無等)
・2017年度の内務職員(事務担当+営業担当)の年次有給休暇取得日数は平均で12.6日であった。
4 休み方に関する課題(休暇取得日数、連続休暇取得状況、希望する時季での休暇取得の状況等)
・営業担当は事務担当と比べると、休暇が取得しにくい状況。お客さまや代理店とのアポイント等が突然入ることが一因。
・管理職はスタッフと比べると、年次有給休暇の取得日数が少ない。
休暇取得促進に係る取組
1 働き方・休み方改善(特に休暇取得促進)に関する方針・推進体制
・2008年頃からワーク・ライフ・バランス関連の取組を推進している。当時、全社的な内部管理態勢の強化に取組んでいたことから、労働時間の増加傾向が継続したことがきっかけ。
・ワーク・ライフ・バランス関連の取組を始めたのが業界でも早かったこともあり、ワーク・ライフ・バランスを推進している会社というイメージがついたと感じる。
・上記にともない取組も加速。取組が加速することで、外部からワーク・ライフ・バランスに関する賞をいただくこともあり、それを励みにさらに取組が加速するといった好循環が生まれた。
・また、ワーク・ライフ・バランスの取組を採用の場面でアピールできていることも大きい。
・働き方・休み方改善の取組は人事主体で進めている。これまでも労働時間の縮減や在宅勤務制度の利用促進、有給休暇の取得促進等の取組を実施。
・年次有給休暇は、取得日数の目標を年14日として掲げ、5営業日を含む7日間の連続休暇を計画的に取得する制度のほか、毎月1日以上の休暇取得を奨励する「プラスワン休暇」制度等を通じて、取得促進を図っている。
・政府目標では、2020年までに年次有給休暇取得率を70%とすることが掲げられている。これを踏まえ、年次有給休暇の取得日数について、一般的な付与日数20日の7割にあたる14日を目標として設定している。
・労働時間の縮減の取組としては、パソコンの自動シャットダウン時刻を定め、19時退社を目標とし原則19時30分には全職員が退社する「チャレンジ19」に取り組んでいる。スタッフは19時、管理職・営業担当は19時半にパソコンが自動シャットダウンされるよう設定している。
・パソコンの自動シャットダウンを開始した当初は、22時にシャットダウンすることとしていたが、21時、20時と段階的に短くしていき、2017年度からスタッフは19時、管理職・営業担当は19時半とした。上司の許可があれば延長はできる仕組みになっている。
・日々のパソコンのログオフ時間を所属長に公開し、36協定違反を絶対に出さないことを徹底している。また、毎月20日、25日には、当該月に45時間超になりそうな人がいないか、全社員のデータを人事でチェックし、接近している人がいた場合には、上司に連絡をして、45時間を超えさせないように依頼している。人事では、本人が入力した時間とパソコンのログイン時間の乖離がないかもチェックしている。
・このほか、「早帰りデー」や「ゆう活」にも取り組んでいる。
・労働時間の縮減の取組とあわせて、業務効率化の取組も実施している。業務効率化には、個人でできることと、組織としてできることの両方がある。組織としてできる取組を進めるため、会社レベルで「わくわく業務削減」というワーキング・グループを作った。まず全職場から効率化できそうな業務をすべてあげてもらい、それらをワーキング・グループで精査して、各職場で対策を実施する流れで進めた。
・ワーキング・グループは、本社の中でも業務改善の判断ができそうな者を集めて組成した。元々、選抜研修に参加した社員からの提言で、ワーキング・グループを組成。メンバーは、課長・係長層の10名程度。
・業務改善の具体的な例としては、ペーパーレスの取組、会議時間の短縮(原則45分)ルールの設定等を実施。RPAやAIの活用を検討する取組も進めている。特に保険加入・支払査定業務のうち、定型的な業務にはAI等を導入する余地があるのではないかと考えている。
・2013年には営業担当の端末をタブレット端末に切り替えた。お客様の負担軽減のために、タブレット上で保険の加入手続きができることが主目的であったが、営業担当もタブレットを使用することで、社内でしかできなかった報告・書類作成等の業務が社外でもできるようになった。
・在宅勤務は、在宅勤務用のパソコンを借りて持ち帰る仕組みで運用している。特に事由は限定していないが、実際の利用者は育児・介護をしている者が多い。出張時に直帰をして在宅勤務をすることもある。
・サテライトオフィスを1か所、神戸に導入した。東京等でも導入できないか、検討中。
2 導入している休暇関連の制度及び取組内容
・原則8・9月に、5営業日を含む7日間の連続休暇を計画的に取得する制度を導入している。
・これに加え、今年度より「下期連続休暇」の制度も導入した。8・9月だけでなく下期も休んでもらおうという意図で、下期に2営業日連続での年次有給休暇を取得することをルールとしている。これらの連続休暇が取得できなかった場合は、上司の評価に反映する仕組みとしている。
・また、「プラスワン休暇」として、内務職員を対象に、「月に1日」年次有給休暇の取得を人事から呼びかけている。義務化はしていないが、取得強化のため、毎月、年次有給休暇の取得状況を人事から送付している。
3 休暇取得促進に係る課題(取組を進める上での失敗談など)及び改善に向けた工夫
・「会社は労働時間を減らせと言うが、仕事もあるしどうしたらいいか」という声を聞くことはある。このため、業務効率化や業務自体を減らすことを同時並行で実施している。
・若い世代の中には、ワーク・ライフ・バランスを拡大解釈して「とにかく休むことが正義」だと思っている者もいる。若い世代は、休むことや19時にパソコンがシャットダウンされることが当たり前になっている。一方で、管理職の中には、昔ながらの働き方の価値観がまだ残っている者もおり、世代間のワーク・ライフ・バランスの捉え方や意識のギャップは課題である。
4 社員の休暇の質を高める取組(休暇の事前計画、休暇中の連絡ルール等、安心して休むための工夫、休み方のアドバイス、自己啓発・家族との時間の確保等)
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休暇取得促進による効果(職場における変化や、社員満足度への貢献等)
・働き方・休み方改善の取組を進める前は、長時間労働も当然という雰囲気があったが、取組を始めてから、「無理だと思っていたことも意外とできる」という意識に変わっていった。
・採用において、大同生命に入社した理由を聞くと、「ワーク・ライフ・バランスが充実しているから」と答える者も多い。今の若い世代は自身の労働環境・働きやすさに対する関心が高く、ワーク・ライフ・バランスが整っていないと、人材が集まらないと考えている。
・職員満足度調査の結果をみると、2008年度から比べ、職員満足度が上がっている。また、会社へのロイヤリティも高く、やりがいが下がっているようなことはない。限られた時間で何とか成果を出していこう、と考える人が多い。
・比較的労働時間が長めであった営業部門においても、考え方が変わってきており、営業現場での労働環境を良くしないと人材が集まらないという危機感を持っている。このため、自主的に業務が落ち着く時期には、部門としてパソコンのシャットダウン時間を早める取組もしている。
働き方・休み方改善(特に休暇取得促進)に関する今後の展望
・労働時間の縮減については、全体としてはできてきている。偏りがある部署・人にアプローチし、取り残される人がいないようにすることが今後の課題。
・組織的に労働時間が長くなりがちな部署については、所属長と話をして個別の対策をとっていくことも必要かと考えている。
・近年、結婚・出産で退職する女性もほとんどいない。短時間勤務や在宅勤務は導入しており、短時間勤務で営業の仕事をしている者もいる。周囲の負担等の調整等は今後の課題でもある。