A社(2017年度)
(1)企業概要
社名 |
A社(2017年度)
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業種/事業概要 |
事業会社の経営管理、事業会社に対するコンサルティング、不動産の賃貸・管理
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従業員規模 |
45名(2017年3月31日現在)
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本社所在地 |
三重県
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労働時間制度 |
・労働時間制度:通常の労働時間制(8:00~17:00)
・標準所定労働時間:8時間 ・年間所定休日数:118日 |
(2)働き方・休み方改善に関するこれまでの取組と指標活用のきっかけ
1)これまでの取組
今期より、副社長直轄のPJにより働き方改革に取り組んでいる。①間接部門、②直接部門、③情報システムの区分で、執行役員がリーダーとして、中核事業会社も包含し、推進している。副社長への進捗報告会は週1回ペースで実施している。
2)「働き方・休み方改善指標」活用のきっかけ
全社的に生産性向上に取組んでいる。上期は業務繁忙につきなかなか進めることができなかったが、来期に向けて具体的にどのように忙しい社員を巻き込みながら進めていくべきか手探りの状況である。第三者視点でアドバイスをもらいたいと考え、応募した。
(3)働き方・休み方に関する現状・課題意識
1)課題認識
グループ全体として生産性向上を軸に働き方改革に取り組んでいる。上期PJは議論に終始する場面もあり、実務への落とし込みは不十分。下期はメンバーを一部変更し、具体的推進へと繋げていく体制とした。事業会社の生産が繁忙期のため、現場実務に落とし込みづらい懸案もあるが働き方改革は待ったなしである認識は高い。
2)仕事特性と働き方・休み方の現状・課題
①組織体制
・2017年4月より副社長直轄のPJとして生産性向上をテーマに取組んでいる。①間接部門、②直接部門、③情報システムの3区分にわけて、総勢14名の体制となっている。
・上期は業務繁忙につきPJの進捗が芳しくなかったが、下期に入り課題の洗い出し、対策立案を検討し始めたところである。
②働き方
・今期より勤怠管理システムを導入した。労務管理を徹底し月20時間、40時間など時間外労働が多い社員には都度、上司と本人にアラームが行くようにしている。
・グループ本社、事業会社及び主力工場が同一敷地内の為、勤務開始は8時スタートであり、朝方勤務の社員が多いのが特徴。
・週1回、部署毎に「定時退社の日」を決めて実行している。
・各時間管理推進や勤怠管理システム導入の効果も一部見受けられ従業員の時間意識が高まりつつあるが業務効率効果を定量化出来ていない為、そのしわ寄せとして管理職に負荷がかかっている可能性を懸念している。
・労働組合とも協働し生産性向上推進を行っていく。
③休み方
・有休取得を推奨する独自の制度がある。更に連続休暇や取得率を高めていく方策を検討していきたい。一部所属では月1回は有休を取得していこうと推奨日を決めて推進している例もある。
④マネジメント
【トップの意識】
・生産性向上については、トップから方針が出されている。
・業務効率化については積極的に改善しようとしている
【社員の意識】
・生産性向上の意識は高まりつつあるが、制度面との連動が課題。
⑤その他
【採用・離職】
・新卒は定期採用している。高卒は地元が多く、大卒・院卒は全国採用を実施している。今後の採用活動について危機感を持って対応を進めている。
・離職率は新卒3年目で2割以下と低い。
(4)「働き方・休み方改善指標」診断結果
- 働き方・休み方に関するアウトプット指標
- <レーダーチャート>8つの指標得点詳細
- 「働き方・休み方改善指標」による診断結果は以下のとおり。
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【働き方】
週労働時間60時間以上の雇用者の割合は6.25%であった。
→全国の雇用者の平均値である8.1%(社員規模30人~99人のカテゴリ)はクリアしているが、国の定める目標値5.0%は満たしていない。
レーダーチャートの項目では、以下の項目が低め。
・項目3<改善促進の制度化>指標
・項目4<改善促進のルール化>指標
・項目5<意識改善>指標
・項目7<仕事の進め方改善>指標 -
【休み方】
直近の年次有給休暇取得率は全社員平均26.25%であった。
→主要産業の平均値である43.7%(社員規模33人~99人のカテゴリ)及び、国の定める目標値70.0%をともにクリアしていない。
レーダーチャートの項目では、以下の項目が低め。
・項目1<方針・目標の明確化>指標
・項目2<改善推進の体制づくり>指標
・項目3<改善促進の制度化>指標
・項目4<改善促進のルール化>指標
・項目5<意識改善>指標
・項目6<情報提供・相談>指標
・項目7<仕事の進め方改善>指標
・項目8<実態把握・管理>指標 -
↓↓
-
<全体傾向>
【働き方】
・週60時間以上の労働者の割合は国の定める目標値はやや下回るが、全国の雇用者平均は上回る水準となった。全体として長時間労働が常態化している状況ではないものの、一部の部署・社員の長時間労働が課題となっていると推察される。
・<意識改善>指標については0%である。また<改善促進の制度化>、<改善推進のルール化>、<仕事の進め方改善>の3指標も50%以下であり、制度面と意識面の両面から長時間労働改善を検討する余地がある。
【休み方】
・直近の年次有給休暇取得率は26.25%であり、全国の雇用者平均値および国の定める目標値を下回っている。
・制度面と意識面の両面から、会社全体で「有給休暇が取得できる環境づくり」につながる業務体制の検討が今後の課題である。 -
※システムが新しくなった関係もあり、週60時間以上の雇用者、有給取得率は2016年分のみ抽出。
(5)課題の整理と改善提案
働き方・休み方に関する課題の整理と改善提案は以下のとおり。
指標項目 |
現状と課題 |
対策案 |
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Vision(ビジョン)
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項目1
方針・目標の明確化 |
(休み方)
年次有給休暇の取得の重要性を企業として(あるいは組織として)浸透しきれていない。 |
1 経営トップによるメッセージの発信
・社内または社内外にCSR報告書、採用パンフレット、イントラネット等を通じ、定期的、継続的に発信する ・経営トップのメッセージを社内各層に浸透させる ・経営トップ自身が、休暇時の有意義な過ごし方を発信する 2 経営や人事の方針として年次有給休暇の取得促進を明文化 ・ポスター、社内報、イントラネット等により、経営や人事の方針を各部署に掲出し、常に意識させる ・経営や人事の方針を社員の行動指針に織り込む ・単年度、中長期における経営計画等に年次有給休暇取得促進に取り組むことを数値目標を含めて明記する 3 全社・部署・個人等での年次有給休暇取得日数、取得率等に関する数値目標の設定 ・「全社統一目標」に加え、業務の実態を踏まえた「部署単位」「個人単位」での数値目標を設定する。設定に当たっては、労働時間等設定改善委員会を活用する等、組織的な検討を前提とする ・取組の進み具合に合わせて目標値を適時更新する。設定にあたっては、労働時間等設定改善委員会を活用する等、組織的な検討を行う |
System(システム)
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項目2
改善・推進の体制づくり |
(休み方)
年次有給休暇の取得を促進するための制度と推進組織を強化する必要性を感じる。 |
4 年次有給休暇の取得促進に向けた社内体制の明確化
・年次有給休暇取得率を経営会議の報告事項に位置付ける ・衛生委員会の協議事項とする ・労働時間等設定改善委員会を設置する ・ワーキンググループ、タスクフォース等、経営直轄のプロジェクトチームを設置する 5 年次有給休暇取得促進に関する労使の話し合いの機会の設定 ・部署・階層横断のワーキンググループを設置する ・各社員から経営層への直接的な提案制度を設ける等、コミュニケーション機会の拡充を図る ・労働組合がある場合は労使協議会等の議題として話し合う |
項目3
改善促進の制度化 |
(働き方)
効率的かつ効果的な働き方を行う仕組みが整っていない |
6 労働時間・就労場所を柔軟にする制度(フレックスタイム制、朝型の働き方、短時間勤務制度、テレワーク制度、在宅勤務制度等)の導入
・柔軟な労働時間(フレックスタイム制、朝型の働き方等)を導入する ・フレックスタイム制度をさらに柔軟な労働時間制度として運用するため、コアタイムを撤廃する ・週に1回程度、テレワークの導入等により、終日在宅勤務の機会を設ける ・左記各種制度の適用事由を拡大する 7 業務繁閑に応じて営業時間を設定 ・「1年単位の変形労働時間制」を採用することにより対象期間等における労働時間について柔軟に運用する ・フレックスタイム制の適用職種を検討する等、業務繁閑に対応可能な労働時間制度の導入を行う 8 ノー残業デー、ノー残業ウィーク等、定時退社期間を設定 ・ノー残業デー、ノー残業ウィーク等、全社、職場単位等での一斉定時退社日(期間)を設ける ・ノー残業デーに定時退社ができなかった場合等について、振替日設定を行う等、必ず長時間労働を抑制できる仕組みを整える ・社員各自に仕事の繁閑や個人の事情に合わせたノー残業デーを設定することにより、定時退社を促す ・長時間労働抑制のための特定の施策が浸透したら、その取組の拡充を検討する 9 勤務間インターバル制度を導入 ・勤務終了時から次の勤務を開始するまでの間に、一定時間の非拘束時間(インターバル休息)を確保するよう努めるとの条項を会社と労働組合との間の労働協約で定める |
(休み方)
改善のための仕組みが十分整っていない |
10 業務の繁閑に応じた休業日の設定
・閑散期に企業全体・部署毎に休暇を設定する ・部署毎の休暇設定が困難な場合は、当該部署メンバーが輪番で休暇を取得する ・各部署の担当毎に、プロジェクトとプロジェクトの間に休暇を設定する 11 誕生日・記念日等の決まった日や申告した日を年次有給休暇とする等の休暇制度の設定 12 ゴールデンウィークや夏季・冬季等、機会を捉えた年次有給休暇の計画的付与制度の導入 13 時間単位での年次有給休暇制度の導入 14 5営業日以上の連続休暇制度の導入 |
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項目4
改善促進のルール化 |
(働き方)
長時間労働を抑制することにインセンティブが働く仕組みが十分でない |
15 残業の多い部下を持つ管理職への指導、改善促進
・長時間労働の抑制に向け、残業理由を毎週精査し、意識の低い管理職に対して指導・ヒアリングを実施する ・さまざまな機会で、管理職に説明を実施し、繰り返し啓発を行うことにより、定時退社に対する理解を促す ・特定の社員に業務が集中しないように業務配分を見直す ・定時退社等について、率先垂範するよう、管理職を指導する 16 部下の長時間労働の抑制を管理職の人事考課に盛り込む ・管理職の評価指標に部下の労働時間等を盛り込み、実際の労働時間の推移と比較し、人事考課に反映させる ・部署単位で残業時間の縮減率を算出し、賞与時等の評価に反映させる ・管理職のマネジメントに対して、部下が評価する仕組みを検討する。(回答者が特定されないよう配慮する) 17 残業を行う際の手続きを厳格化 ・残業を行う場合は事前申請を義務付け、管理職が残業の必要性・緊急度を精査し、不要・不急な残業を削減する ・業務命令が行われない状態での残業を防ぐため、残業を行う際の手続きを厳格化し、実績報告を徹底する。残業が必要な場合は事前申請を義務付ける |
(休み方)
年次有給休暇の取得を促進することにインセンティブが働く仕組みが十分でない |
18 部下の年次有給休暇取得状況を管理職の人事考課に盛り込む
・管理職の評価指標に部下の年次有給休暇取得率等を盛り込み、実際の取得状況の推移と比較し、人事考課に反映させる ・管理職のマネジメントに対して、部下が評価する仕組みを検討する。(回答者が特定されないよう配慮する) 19 管理職に部下の年次有給休暇の取得状況の把握・管理を義務づける ・役員会議等で年次有給休暇取得率の現状把握と取得促進方策の検討を徹底する ・組織評価の指標として、所属員の年次有給取得率の平均値等を盛り込む |
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Action(アクション)
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項目5
意識改善 |
(働き方)
社員に対して長時間労働を抑制する意識を高める取組が十分実施できていない |
20 長時間労働の抑制に関する社員向けや管理職向けの教育・研修を実施
・労働時間管理を適切に行うことと高い生産性を両立するための管理職研修を行う ・管理職への昇進・昇格に長時間労働の抑制に関する教育・研修の受講を要件とする ・一般社員に対して、仕事の進め方の効率に関する教育・研修を行う 21 長時間労働抑制のための周知・啓発 ・長時間労働の抑制に関する成功事例を社内報に掲載して、関心を高める ・イントラネットに専用ページを設けて、自社の取組内容や他社を含めた成功事例を閲覧しやすいようにする ・長時間の就労ができる社員が評価されるというイメージを払拭するための職場風土改革を目指した各種情報発信を行う ・働き方に応じた社内制度の有効活用を図るため、人事関連施策を整理し、イントラネット等のアクセスが容易な場所に掲出する 22 退勤時刻の終業呼びかけ、強制消灯 ・帰宅を促すアナウンスや音楽を流す ・退勤時間に消灯する等、帰宅を促す ・経営層も参加する労使による巡視を実施し、管理職の帰宅も促す |
(休み方)
年次有給休暇を適切に取得する意識を高める取組が十分実施できていない |
23 年次有給休暇取得促進のための周知・啓発
・家族と過ごしたり、趣味に興じたり、自己啓発した事例を社内で集め、広く周知することで休暇取得の雰囲気を醸成する ・年度(年間)計画策定時に、夏季・冬季における連続した年次有給休暇取得美の設定を行い、社内に周知する |
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項目6
情報提供・相談 |
(休み方)
休み方の改善につながる情報提供や相談を十分実施できていない |
24 各自の年次有給休暇残日数の社員への通知
・給与明細に記載する、メールによる個別配信の実施など四半期等定期的に通知する ・期末、四半期等定期的に取得状況を通知する ・本人・管理職に対して年次有給休暇が時効により執行する一定期間前に通知する 25 制度の利用促進のための情報提供 ・年次有給休暇の取得と個人の評価は関係がないことを社員に説明するほか人事評価マニュアル等の規定に明記する ・年次有給休暇取得がもたらす生活や健康、仕事等各方面でのメリットについて情報提供する ・上記内容をイントラネット、回覧、ポスター等による周知、職制による周知等の方法により社員の認知度を向上させる 26 年次有給休暇取得率の低い社員に対する個別の休暇取得奨励 ・人事部等からのメールなどによる個別奨励を実施する |
項目7
仕事の進め方改善 |
(働き方)
職場において長時間労働の抑制につながる効率的な仕事の進め方が十分に実施できていない |
27 長時間労働の抑制を目的とした業務プロセスの見直し
・会議は所定時間内に設定する(残業前提の会議時間を設定しない) ・会議セッティング時に会議の「ゴール」を明確にすることをルール化する ・会議の出席者数、時間数、資料の量などについて、見直しの機会を設ける ・各部署、社員ごとに短期・中長期における業務の優先順位の把握を適宜行う ・残業が発生した原因の分析を行う |
(休み方)
職場において年次有給休暇などを取得しやすい業務改善が十分に実施できていない |
28 休暇・休業時の業務フォローアップ体制の構築(顧客・取引先情報の共有等)
29 年次有給休暇の取得促進を目的とした業務プロセスの見直し 30 業務計画、要員計画、業務内容の見直し 31 長時間労働の抑制を目的とした取引先との関係見直し |
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Check(チェック)
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項目8
実態把握・管理 |
(休み方)
休暇に関する実態を常に把握できていない |
32 社員の休暇取得に関する意識や意欲の定期的な把握
・社員意識調査によって健康度や満足度、年次有給休暇の取得に対する意識を調査する ・社員向け改善指標を全社員に配布・集計し、課題を把握する 33 管理職による年次有給休暇の取得日数の管理 ・特に取得の進まない部署等の取得率の向上に向けた取組に活かすために部署、個人等の取得状況を細かく把握する ・年次有給休暇管理簿等により取得率が著しく低い社員を把握し、個別ヒアリング等を通じ、その要因を分析する |
(6)初回訪問時の提案と検討内容
初回訪問時における提案と検討内容は以下のとおり
1)推進体制
①トップのコミットメント:
生産性向上については、経営トップによる明確なメッセージが発信されておりPJ活動を実施している。
②会社全体の推進体制:
2017年4月より副社長直轄のPJとして生産性向上をテーマに取組んでいる。①間接部門、②直接部門、③情報システムの3区分にわけて、総勢14名の体制となっている
2)今回のモデル取組における推進体制
①対象部署の設定*取組の実施範囲
総務人事部(16名)で短期トライアルを実施したのち、全社への展開を検討する。
②対象部署におけるプロジェクトリーダーの設定
総務人事部の副部長をリーダーとする。
③コアメンバーの設定
総務人事部の部長、副部長、課長、主任をコアメンバーとする。
3)中長期的な取組
① 経営トップによるメッセージの発信
② 経営や人事の方針として年次有給休暇の取得促進を明文化
③ 全社・部署・個人等での年次有給休暇取得日数、取得率等に関する数値目標の設定
④ 年次有給休暇の取得促進に向けた社内体制の明確化
⑤ 年次有給休暇取得促進に関する労使の話し合いの機会の設定
⑥ 労働時間・就労場所を柔軟にする制度(フレックスタイム制、朝型の働き方、短時間勤務制度、テレワーク制度、在宅勤務制度等)の導入
⑦ 業務繁閑に応じて営業時間を設定
⑧ ノー残業デー、ノー残業ウィーク等、定時退社期間を設定
⑨ 勤務間インターバル制度を導入
⑩ 業務の繁閑に応じた休業日の設定
⑪ 誕生日・記念日等の決まった日や申告した日を年次有給休暇とする等の休暇制度の設定
⑫ ゴールデンウィークや夏季・冬季等、機会を捉えた年次有給休暇の計画的付与制度の導入
⑬ 時間単位での年次有給休暇制度の導入
⑭ 5営業日以上の連続休暇制度の導入
⑮ 残業の多い部下を持つ管理職への指導、改善促進
⑯ 部下の長時間労働の抑制を管理職の人事考課に盛り込む
⑰ 残業を行う際の手続きを厳格化
⑱ 部下の年次有給休暇取得状況を管理職の人事考課に盛り込む
⑲ 管理職に部下の年次有給休暇の取得状況の把握・管理を義務づける
⑳ 長時間労働の抑制に関する社員向けや管理職向けの教育・研修を実施
21 長時間労働抑制のための周知・啓発
22 退勤時刻の終業呼びかけ、強制消灯
23 年次有給休暇取得促進のための周知・啓発
24 各自の年次有給休暇残日数の社員への通知
25 制度の利用促進のための情報提供
26 年次有給休暇取得率の低い社員に対する個別の休暇取得奨励
27 長時間労働の抑制を目的とした業務プロセスの見直し
28 休暇・休業時の業務フォローアップ体制の構築(顧客・取引先情報の共有等)
29 年次有給休暇の取得促進を目的とした業務プロセスの見直し
30 業務計画、要員計画、業務内容の見直し
31 長時間労働の抑制を目的とした取引先との関係見直し
32 社員の休暇取得に関する意識や意欲の定期的な把握
33 管理職による年次有給休暇の取得日数の管理
検討経緯
①生産性向上については、経営トップによる明確なメッセージが発信されておりPJ活動を実施している。
②③⑯強制的に推進していくことは、社風と合わない。制度化し、風土として根付かせていきたい。
⑥テレワーク、在宅勤務制度の導入を検討する。
⑧ノー残業デーは実施している(良いネーミングを検討しているところ)。
⑨開発部門では、生産ラインが終了してから試作品工程確認等を行うため、インターバル制度は検討していきたい。
⑫⑭年6日の有休取得の促進に取組んでいる。
⑬時間単位での有休取得は検討したことがなかった。フレックスタイム制がないため一部社員にとっては有効かもしれない。
⑮管理職への教育等は実施していきたい。
27・28管理職が部下の仕事を把握できていないと非効率な作業が放置されてしまうことを懸念している。一方で非常に忙しい管理職や社員に、業務のプロセスの見直しを実施させるのが困難でもある。現在、自部署ではチーム制を取り、チーム内でのスケジュール管理や業務内容共有を行うことでチーム・個人のPDCAを回し効率化へと繋げる施策を取っている。特に振り返りを大切にしている。
4)短期的な取組(職場の働き方改革トライアル)
中長期的な取組と併せて、1-2か月で実施できる「職場の働き方改革トライアル」として、在宅勤務トライアル、会議効率化トライアル、退社時間計画トライアル実施を提案。
(7)改善提案の活用
改善提案の検討の結果、今後実施・検討することとなった取組は以下の通り。
1) 主な取組(推進体制)
①会社全体の推進体制
2017年4月より副社長直轄のPJとして生産性向上をテーマに取組んでいる。①間接部門、②直接部門、③情報システムの3区分にわけて、総勢14名の体制となっている。
下期に入り副社長と週1回のミーティングを実施しており、取組を加速している。
2)主な取組(中期的施策)
① テレワーク、在宅勤務制度の導入を検討する。
② インターバル制度の導入を検討する。
③ 時間単位での有休取得の導入を検討する。
④ 管理職への教育の導入を検討する。
⑤ 業務プロセスの見直しを継続して検討する。
3) 短期的な取組(退社時間計画トライアル)
短期的施策として、「退社時間計画トライアル」を実施した。
①推進体制
・対象部署:総務人事部(16名)
・対象部署におけるプロジェクトリーダー:総務人事部 副部長
・コアメンバー:総務人事部の部長、副部長、課長、主任
②取組内容
・トライアルの実施にあたり、チーム制を導入
・業務区分により、1チーム4-5人の体制とし、週1回、30分程度、チームでPDCAミーティングを実施
・ミーティングでは、Things to doリストを各人が作ったものを共有し、スケジュール・先週の振返り・今週のTODOをPDCAサイクルのツールとして活用
・トライアルの実施にあたり、効果や課題をより詳細に検証するため、「事前アンケート」を実施
③実施期間
・2017年12月~1月
④効果
・始めたばかりなので、トータルの残業時間は変わっていないが、平準化は進んでいる
・事前アンケートを実施したことで、チームメンバー間の意識の違いがより明確になった。今後の活動に活かしたい(事後アンケートも実施する予定。)
(8)「働き方・休み方改善指標」活用の効果(結果)
-
対策案の提案状況
働き方 | 休み方 | ||
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1.Vision | ①方針・目標の明確化 | ||
2.System | ①改善推進の体制づくり | ||
②改善推進の制度化 | |||
③改善推進のルール化 | |||
3.Action | ①意識改善 | ||
②情報提供・相談 | |||
③仕事の進め方 | |||
4.Check | ①実態把握・管理 |
提案内容の概要
中長期的な取組
- 経営トップによるメッセージの発信
- 経営や人事の方針として年次有給休暇の取得促進を明文化
- 全社・部署・個人等での年次有給休暇取得日数、取得率等に関する数値目標の設定
- 年次有給休暇の取得促進に向けた社内体制の明確化
- 年次有給休暇取得促進に関する労使の話し合いの機会の設定
- 労働時間・就労場所を柔軟にする制度(フレックスタイム制、朝型の働き方、短時間勤務制度、テレワーク制度、在宅勤務制度等)の導入
- 業務繁閑に応じて営業時間を設定
- ノー残業デー、ノー残業ウィーク等、定時退社期間を設定
- 勤務間インターバル制度を導入
- 業務の繁閑に応じた休業日の設定
- 誕生日・記念日等の決まった日や申告した日を年次有給休暇とする等の休暇制度の設定
- ゴールデンウィークや夏季・冬季等、機会を捉えた年次有給休暇の計画的付与制度の導入
- 時間単位での年次有給休暇制度の導入
- 5営業日以上の連続休暇制度の導入
- 残業の多い部下を持つ管理職への指導、改善促進
- 部下の長時間労働の抑制を管理職の人事考課に盛り込む
- 残業を行う際の手続きを厳格化
- 部下の年次有給休暇取得状況を管理職の人事考課に盛り込む
- 管理職に部下の年次有給休暇の取得状況の把握・管理を義務づける
- 長時間労働の抑制に関する社員向けや管理職向けの教育・研修を実施
- 長時間労働抑制のための周知・啓発
- 退勤時刻の終業呼びかけ、強制消灯
- 年次有給休暇取得促進のための周知・啓発
- 各自の年次有給休暇残日数の社員への通知
- 制度の利用促進のための情報提供
- 年次有給休暇取得率の低い社員に対する個別の休暇取得奨励
- 長時間労働の抑制を目的とした業務プロセスの見直し
- 休暇・休業時の業務フォローアップ体制の構築(顧客・取引先情報の共有等)
- 年次有給休暇の取得促進を目的とした業務プロセスの見直し
- 業務計画、要員計画、業務内容の見直し
- 長時間労働の抑制を目的とした取引先との関係見直し
- 社員の休暇取得に関する意識や意欲の定期的な把握
- 管理職による年次有給休暇の取得日数の管理
短期的な取組
- 退社時間計画トライアル