大阪厚生信用金庫

(1)企業概要

社名
大阪厚生信用金庫
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業種/事業概要
金融業
従業員規模
約500人
本社所在地
大阪府
労働時間制度
1ヶ月単位の変形労働時間制を採用している。
(原則)8:45~17:20(月初営業日、及び月末最終営業日を除く25日以降)
(通常日)8:45~17:00(適用日数は一番多い)
(繁忙日)8:45~18:00(月末最終営業日)
休憩:交代制で1時間。

(2)働き方・休み方改善に関するこれまでの取組と指標活用のきっかけ

1)これまでの取組
以下の取組を実施している。
・経営トップが業務効率化についてメッセージを発信。年始挨拶、会議時等、折をみて管理職や全従業員に発信を行っている。
・毎週水曜日はノー残業デーを実施している。
・人事部長から残業が多い課員を抱える上長に口頭等で注意している。会議でも課の残業時間を一覧化して、管理職に提供している。また、残業時間(月間20時間以上)が多い課員をリストアップし、改善を促している。
・残業時間は前月分について集計したものを確認して、押印する仕組みを採用している。
・年次有給休暇の残日数は給与明細で通知している。
・職員の意向の把握は重視している。3年毎に全職員対象の調査を実施。ES調査に近い。直接的に年休について聞く項目はない。

2)「働き方・休み方改善指標」活用のきっかけ
平均残業時間は5時間程度であるが、部署毎の格差、個人の格差がある。さまざまな休暇制度により有給休暇所得率は50%を超えるが更に促進したい。育児介護休業による時短や休暇取得(子供の都合等による)とそれ以外の職員との意識格差や不公平感がある。これら解決に向けて、単なる方法論ではなく、働くことへの意欲や満足度があがる取り組み、改善提案を期待している。

(3)働き方・休み方の現状・背景

1)人事部の課題認識
長時間労働については、ICカードによる勤怠管理システムを導入して5年以上の取組によって削減が進んだと自負しており、全社的な問題意識を感じていない。一方で年次有給休暇については、未だ取組が半ばだと考えている。特に、会社から取得を勧奨している日数を超えて休暇を取得することに対しての共通した納得感や自らの業務が溜まってしまうことへの恐れ、他職員への負担増加などにより、制度休暇以外に休暇を積極的に取るという職員は少ない。

2)仕事特性と働き方・休み方の現状
①組織体制
正規雇用職員(部店長除く)は約450名であり、2016年8月末現在の男女比は男性237名、女性198名である。正規職員は全職員総合職である。本店含め23店舗と本部で、一店舗当たり10名~20名程度勤務している。
職制は本部においては、部長⇒副部長・次長⇒課長⇒課員の順であり、営業店においては、店長⇒課長⇒課員の順である。主任までを含めると、役職者の方が多い構成となっているが、管理監督者(次長以上)に限ると、その割合は下がる。課長は非管理監督者であり、女性も多い。
非正規雇用は大きく分けて三種類であり、パートタイマー、嘱託社員、派遣社員である。パートタイマーと嘱託社員が合わせて60名程度、派遣会社からの派遣が40名程度である。非正規雇用の労働時間は雇用形態による。
派遣社員は9:00~17:00、パートタイマーは9:00~17:00、または10:00~16:00までの二種類である。嘱託社員については、A嘱託は職員と同じ労働時間で勤務し、B嘱託はパートタイマーとほぼ同じ勤務体系である。

②働き方
36協定については、労働組合と締結しており、月45時間、年間360時間となっている。特別条項は月70時間、1年に6回までとなっている。
営業店の業務は大きく事務、融資、営業の三分野に分かれる。業務間の異動はあるが、営業に女性は配属していない。男性は営業・融資が大半で、女性は事務か融資担当である。窓口業務は事務課の所掌である。営業と融資の業務範囲は、新規案件の獲得から、顧客(営業先)への提案資料作成までは営業が担当する。営業の情報を元に社内稟議用の資料を作成するのが融資担当である。営業店の作成した資料が本部の融資部に回付され、確認の後、稟議に付される。
営業店においては、事務課は定時に帰ることが定着しており、融資課も殆ど残業はない。残業が発生する場合、その殆どは営業である。ただし、営業状況や案件に応じて、融資課は負荷が増すことがある。
本部については、経理証券部と人事部、管理部、融資部で残業が多い。年で平均すると月30時間を切るが、繁忙月は月50時間程度の残業が発生する。経理証券部や人事部、管理部では月によって繁閑の差が激しく、融資部は定常的に一人平均月10時間程度の残業を行っている。傾向としては、特に決算の時期が忙しい。決算は9月と3月の二回であり、決算処理を実施する4月が最も忙しく、60時間程度の残業が生じる。次が10月である。以前はベテランの担当者が担当していたが、昨年度から経験が浅い者を交えて指導しながら業務を行っているため、特に時間がかかる状態になっている。本部は仕事が属人化して、一部の人に偏ってしまう傾向があるため、担当者交代の場合に苦労する。
残業は上司命令があって初めてできるものになっている。上司の指示があって初めて残ることを徹底しており、事前申請制度はない。基本的に上長は部下の業務を把握していることが前提となっており、業務負荷が高い場合には先に上長に報告し、その上で上長が残業の実施を判断する仕組みで運用している。
時間管理を行うIDカードはPCの起動にも必要なため、PCの終了時刻と出退勤時刻を管理して、逆転がないか確認している。基本は出退勤の時刻でタイムカードにより労働時間管理を行っている。
仕事の進め方は一括化と機械化を進めている。営業店は既に進んでいる。残った業務は残す必要がある業務である上、業務拡大に伴って、特に本部において人手が足りていない側面もある。

③休み方
会社休日は暦通りである。年末年始は12月31日から1月3日までの4日間に留まる。年次有給休暇については、夏5営業日の連続休暇、冬2営業日の連続休暇、メモリアル休暇(独身者は誕生月、既婚者は結婚記念日等)、ファミリー休暇の4種を設定し、取得を勧奨している。冬2営業日については、年始の休暇が他業種より短いこともあり、冬期休暇としてまとめて取得する従業員がいる。
全体的に、夏5営業日の連続休暇はコンプライアンス上の要請もあって強制的に取得させているが、その他の制度有給休暇は任意であるので、取得していない職員もいると思うが、現状では把握していない。
任意の年次有給休暇の取得については、所属部署の雰囲気が影響している可能性もあるし、仕事の量でなく意識の問題の可能性もある。

④マネジメント
新卒採用は毎年50名程度採用している。退職者とのバランスでは社員数は増加傾向にある。特に、近年は毎年一店舗ずつ営業店を拡大しており、会社全体は拡大傾向にある。新人の殆どは営業店配属からキャリアをスタートする。
一昔前は信用金庫のライバルは信用金庫であったが、近年は銀行などの他業種がライバルになってきている。競合他社との関係では、融資は金利競争が激しいが、金利に頼らない競争力を付けるため、事業方針を提案営業重視に切り替えて業務の選択と集中を進め、営業課員は融資に集中するようにしている。不動産案件に強い営業を育成しており、この分野では他の信用金庫に対して先んじており、近年は大きく業績が伸びた。不動産案件については、アパートローンを開拓していたが、現在は老人ホームや介護施設高齢者向けマンション対応も強化している。新規顧客は増えているが、業績的にも新規顧客を増やす必要がある。新規開拓の場合は、営業が足で稼ぐ必要があると共に、提案資料の作成は営業の業務になっており、時間がかかる場合もある。
ICカードによる勤怠管理システムの導入時に厳しく早帰りを徹底したことにより、業務効率化とそれに伴う早帰りの意識は徹底されている。少数精鋭が基本方針となっており、それが効率化の源泉となっている。その結果、特に本部は専門化が進み仕事の属人化が進んでいる傾向がある。
残業については業務効率化が人事考課項目に入っており、その評価の際に残業時間を考慮している。有給休暇の取得は人事考課には入っていない。夏季5営業日の連続休暇の取得について通達は出し、報告の提出を求めている。
人事評価は目標管理制度によって行っている。目標の設定は業績なども含むが、店の業務効率化と個人の業務効率化を測る仕組みになっており、自分だけが効率化を測れば良い、というものではない。

⑤その他
課長会議が3ヶ月に一回開催され、この時に管理職研修をつけることもある。マネジメント研修を実施することもある。マネジメントの手法はある程度は個人の価値観に拠っている部分がある。
遅刻早退は労働時間管理に影響しないため(減給などは行わない)、通院時などに活用されている。

(4)働き方・休み方に関する課題

1)働き方
本部については、経理証券部と人事部、管理部、融資部で残業が多い。経理証券部や人事部、管理部では月によって繁閑の差が激しく、融資部は定常的に一人平均月10時間程度の残業を行っている。
昨年度から経験が浅い者を交えて指導しながら業務を行っているため、特に時間がかかる状態になっている。本部は仕事が属人化して、一部の人に偏ってしまう傾向があるため、担当者交代の場合に苦労する。

2)休み方
育児介護休業による時短や休暇取得(子供の都合等による)とそれ以外の職員との意識格差や不公平感がある。
夏5営業日の連続休暇はコンプライアンス上の要請もあって強制的に取得させているが、その他の制度有給休暇は任意であるので、取得していない職員もいると思うが、現状では把握していない。
任意の年次有給休暇の取得については、所属部署の雰囲気が影響している可能性もあるし、仕事の量でなく意識の問題の可能性もある。
有給休暇の取得は人事考課には入っていない。

3)働き方・休み方共通
本部は専門化が進み仕事の属人化が進んでいる傾向がある。
マネジメントの手法はある程度は個人の価値観に拠っている部分がある。
仕事の進め方は一括化と機械化を進めている。営業店は既に進んでいる。残った業務は残す必要がある業務である上、業務拡大に伴って、特に本部において人手が足りていない側面もある。
職員の意向の把握は重視している。3年毎に全職員対象の調査を実施。ES調査に近い。直接的に年休につい聞く項目はない。

(5)「働き方・休み方改善指標」診断結果

働き方・休み方に関するアウトプット指標
働き方・休み方に関するアウトプット指標
働き方・休み方に関するアウトプット指標
「働き方・休み方改善指標」による診断結果は以下のとおり。
【労働時間】
週労働時間60時間以上の雇用者の割合は0%であった。
→貴社の週労働時間60時間以上の雇用者の割合は、全国の雇用者の平均値である8.2%(従業員規模100人~999人のカテゴリ)及び、国の定める目標値5.0%ともにクリアしている。
(36協定で定める労働時間の延長の限度基準である1ヶ月45時間を超える従業員は1.7%いる(注1)。)
(注1) 繁忙月
【年次有給休暇取得率】
年次有給休暇取得率は全従業員平均62.9%であった。
→主要産業の平均値である46.0%(従業員規模100人~999人のカテゴリ)を上回っているが、国の定める目標値70.0%には達していない。
貴社の長時間労働の社員の割合は目標値以上だが、繁忙月には1ヶ月45時間を超える社員がわずかにいることから働き方の改善にも留意が必要。一方、年次有給休暇の取得率は主要産業の平均値を上回っているものの国の目標値70%に達していないことから、休み方の改善が求められる。
※「1ヶ月あたりの残業時間が80時間を超える社員の割合」を「週労働時間60時間以上の雇用者の割合」と見なした。
働き方
休み方

(6)課題の整理と改善提案

働き方・休み方に関する課題の整理と改善提案は以下のとおり。

指標項目
現状と課題
対策案
Vision(ビジョン)
項目1
方針・目標の明確化
本部については、経理証券部と人事部、管理部、融資部で残業が多い。経理証券部や人事部、管理部では月によって繁閑の差が激しく、融資部は定常的に一人平均月10時間程度の残業を行っている。
本部の残業が多い部署について残業削減目標を設定
 本部の経理証券部、融資部など残業の比較的多い部署について、前年度実績値に対する削減目標を部署の置かれた状況を踏まえつつ削減率などで設定する。併せて年次有給休暇取得に関する目標値も設定する。その目標を達成するための方法については、項目7仕事の進め方改善に提案する項目の対策について検討し、部署の状況にあうものを実施する。
System(システム)
項目2
改善・推進の体制づくり
職員の意向の把握は重視している。3年毎に全職員対象の調査を実施。ES調査に近い。直接的に年休につい聞く項目はない。
働き方・休み方改革に向けた労働組合と協力推進体制の整備
長時間労働の抑制及び年次有給休暇取得促進に関して、労働組合と定期的な意見交換の場を設けて、取組の推進に協力してあたる体制を構築する。あわせて、会社としての従業員意識調査等とは別に、労働組合としての従業員の意見の収集を期待し、多面的な情報をもとに、意見交換の場での会社にも従業員にも望ましい働き方・休み方を検討し、その姿に向けて取組を推進する。
項目3
改善促進の制度化
夏5営業日の連続休暇はコンプライアンス上の要請もあって強制的に取得させているが、その他の制度有給休暇は任意であるので、取得していない職員もいると思うが、現状では把握していない。
時間単位での年次有給休暇取得制度による年次有給休暇取得促進
年次有給休暇が取得出来ていない人がいる中で、少しでも休暇を取りやすくするために、1日フルに休めなくても良いので、どうしても必要な時間だけ年次有給休暇取得を可能にすることにより、年次有給休暇取得を促進することも考えられる。
年次有給休暇は日単位で取得することが原則ではあるが、労働者が有効に休暇を活用できるようにするため、半日又は時間単位での取得の制度を設け、取得しやすくすることも考えられる。
なお、時間単位の年次有給休暇取得制度導入にあたっては、使用者と労働組合(又は従業員代表)との間で労使協定を結ぶ必要がある。この協定では、次の事項を定めることが必要。
・対象労働者の範囲
・時間単位年休の日数
(年5日以内。前年度からの繰り越し分がある場合は、繰り越し分を含めて5日以内)
・時間単位年休1日の時間数
(1日の年次有給休暇が何時間分の時間単位年休に相当するか。1時間に満たない端数は1時間単位に繰り上げる。)
・1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
(2時間単位、4時間単位等の整数の時間単位で。ただし、1日の所定労働時間数と同じ、又はこれを上回ることはできない)
項目4
改善促進のルール化
有給休暇の取得は人事考課には入っていない。
夏5営業日の連続休暇はコンプライアンス上の要請もあって強制的に取得させているが、その他の制度有給休暇は任意であるので、取得していない職員もいると思うが、現状では把握していない。(再掲)
管理職の人事評価項目へのワーク・ライフ・バランスに関する項目の追加
残業については既に業務効率化が人事考課項目に入っており、その評価の際に残業時間を考慮している。また、人事評価の目標管理制度における目標の設定は業績なども含むが、店の業務効率化と個人の業務効率化の両者を測る仕組みになっている。
適正な労働時間の管理、年次有給休暇の取得促進は、社員の労働生産性を高め、質の向上、優秀な人材の確保その他さまざまな効果が期待できることから、現在の評価方法を拡充して、年次有給休暇取得(必要に応じて夏・冬の連続休暇、メモリアル休暇、ファミリー休暇などの取得も別に組み込む)、育児介護休業の取得も含めて、効率的な業務遂行の指標としての実際の労働投入時間を業績とともに織り込んだ評価方法を検討する。
育児介護休業による時短や休暇取得(子供の都合等による)とそれ以外の職員との意識格差や不公平感がある。
評価・処遇の仕組みの再確認・検討と周知徹底
評価方法については、効率的に業績をあげることを評価していること、具体的には業績に対する貢献の総量とそのために投じた労働時間から評価していることを社員全員に周知し、納得性を高めることによって不公平感を解消する。
なお、評価・処遇の仕組みそのものについて、不公平感をもたれる要因が無いか今一度確認を行い、あくまでも、業績に対する貢献を効率的に行ったことを評価するという観点から、例えば育児介護による時短や休暇取得とその際の業務を代わりに負担する人の業務量・負担感とのバランスを考慮した評価・処遇になっていない場合は評価・処遇の仕組みの再検討を行う。他方、そのバランスを考慮した評価・処遇の仕組みになっている場合は次項目5意識改善の「一般社員向けの意識改善に向けた研修」を通じて、ライフサイクル上の様々な状況に応じた働き方を許容する必要性にたいする理解を深める。
本部については、経理証券部と人事部、管理部、融資部で残業が多い。経理証券部や人事部、管理部では月によって繁閑の差が激しく、融資部は定常的に一人平均月10時間程度の残業を行っている。(再掲)
本部におけるフレックスタイム制度等の柔軟な労働時間制度の活用
 年間や月間のイベント周期が決まっている部署などでは、変形労働時間制の活用やフレックスタイム制度の活用により、労働時間の調整は行いやすい。既に全社で1ヶ月単位の変形労働時間制を導入している。しかし本部においては、この1ヶ月単位の繁閑とはやや異なる繁閑を示しているところもある。加えて、業務を従業員が主体的に進める余地もあることから、フレックスタイム制度により月のうち業務が落ち着く期間の労働時間を調整して、ひと月の労働時間をある程度の時間数に納めることもできる(部署内での定期ミーティングなど、必要あればコアタイムを設けておく)。
Action(アクション)
項目5
意識改善
任意の年次有給休暇の取得については、所属部署の雰囲気が影響している可能性もあるし、仕事の量でなく意識の問題の可能性もある。
マネジメントの手法はある程度は個人の価値観に拠っている部分がある。
管理職層に対するマネジメント力向上等を目的とした実習型研修
管理職層に対して、所定外労働削減や年次有給休暇取得促進に向けた取組の推進、自身及び部下のワーク・ライフ・バランス、創造的な業務遂行の意義などについて講義を行い、特に部下の休暇取得促進に対する必要性と配慮すべき点について理解を深める。
次に、研修を通じて、部下の労働時間管理は業務遂行と共にマネジメントの基本的な要素であることの認識を深めさせる。併せて、業務の効率化に向けた研修を行い、定時に仕事を終えることを前提とした仕事の割り振り・時間管理、休暇取得時の業務の遂行管理について習得させ、マネジメント力の向上を図る。(マネジメントの手法自体には個性があるものの、その目指すべきところについては一つで、その目的に寄与できるようマネジメント力の向上を図る。)
その後、具体的な職場における所定外労働削減、年次有給休暇取得促進に向けての取組について、グループワークなどによる実際に即した対策を討議し、知恵を出し合って取組内容を策定する実習型の研修を行う。
育児介護休業による時短や休暇取得(子供の都合等による)とそれ以外の職員との意識格差や不公平感がある。(再掲)
一般社員向けの意識改善に向けた研修
一般社員向けの研修内容については、仕事は所定内で終えるのが基本であり、効率的に仕事を遂行して早く退社し、又は年次有給休暇を有効に活用することを通じて、家族と過ごす時間を大事にし、自己啓発や休養、趣味なども含めて、人間性を高めるために使うことを推奨する研修を実施し、社員の意識改善を図る。
その際、ライフサイクル上の様々な状況に応じた働き方を許容する必要性に対する理解を深めるため、例えば、将来に向けて勉強したいとか、さらには、誰でも親の介護に直面する可能性があり、休暇を取って親を病院や施設に連れて行く必要があることなど意識してもらい、ライフステージに応じた多様な働き方に関する理解を深める。
また、研修の実施に当たっては、ワーク・ライフ・バランスのとれた働き方は、仕事の質の向上にもつながることを実感できるようなものとし、その実例についても紹介することを通じて、残業・年次有給休暇に対する意識の変革を図る。
項目7
仕事の進め方改善
本部は専門化が進み仕事の属人化が進んでいる傾向がある。
本部については、経理証券部と人事部、管理部、融資部で残業が多い。経理証券部や人事部、管理部では月によって繁閑の差が激しく、融資部は定常的に一人平均月10時間程度の残業を行っている。(再掲)
業務の組織的遂行体制の構築
本部の業務が専門化して仕事が属人化する傾向があることは、社員の残業増や年次有給休暇取得の障害になるということと共に、組織としてリスクを含んでいる。例えば、ある社員がインフルエンザにかかり、1週間出社出来ない場合は1週間その人の担当する業務が停滞することになる。これを回避するためには主担当、副担当など複数メンバーによる担当制やチームでの業務遂行体制を整備することも有効と考えられる。そのため、専門性についても、複数ないし広めに専門性を養う必要がある。
なお、定常的に存在する残業を削減するためには、次項以下の「業務の仕分けとパートタイマーや派遣社員など活用による社員の業務負荷軽減」「正社員の確保・増員の検討」を検討する必要がある。
仕事の進め方は一括化と機械化を進めている。営業店は既に進んでいる。残った業務は残す必要がある業務である上、業務拡大に伴って、特に本部において人手が足りていない側面もある。
業務の仕分けとパートタイマーや派遣社員など活用による社員の業務負荷軽減
 業務の一括化と機械化を進めることにより、営業店での業務効率化は進んできたが、それに伴って本部での業務負荷が大きくなっている。残った業務は残す必要がある業務と言うことであり、かつ、業務拡大に伴って人手が足りていない側面があるということから、次項の正社員の確保・増員を検討する必要もあるが、その前に、業務を再度仕分けし、時間的な余裕があるものか、社員が行わなければならないものか、パートタイマーや派遣社員に分担してもらえるか検討を行い、分担してもらえるものがある場合、必要に応じてパートタイマーや派遣社員を増員する。
特に、業務を仕分けする際には、業務のアウトプットを出さなければならないタイミング・緊急度と他の人に替わってもらえる代替性から仕分けを行うことにより前項「業務の組織的遂行体制の構築」と組みあわせて実施できるよう工夫する。
正社員の確保・増員の検討
 業務の仕分けとパートタイマーや派遣社員増員による社員の負担軽減を行っても、なお業務負荷が軽減されない場合は、やはり人手が足りていないと言うことから、正社員の確保・採用を検討する。
昨年度から経験が浅い者を交えて指導しながら業務を行っているため、特に時間がかかる状態になっている。本部は仕事が属人化して、一部の人に偏ってしまう傾向があるため、担当者交代の場合に苦労する。
人材育成時の業務負荷軽減
 本部の仕事は多くが専門性の高い業務の傾向があると思われるが、経験の浅い人材を指導・育成をしながら業務を遂行する状況が発生している。これによって業務遂行に時間がかかってしまうことは一時的に避けられないことである。とはいえ、個人に任せきりにしてしまうのではなく、何らかの組織的なサポートが必要と思われる。
 具体的には、前出「業務の組織的遂行体制の構築」と併せて、個々人の業務をサポートし合う体制を活用する。また、指導・育成に伴う業務負荷が軽減された時点で、年次有給休暇を取得することを推奨するなど、リフレッシュを図る。
Check(チェック)
項目8
実態把握・管理
職員の意向の把握は重視している。3年毎に全職員対象の調査を実施。ES調査に近い。直接的に年休につい聞く項目はない。(再掲)
社員意識調査実施項目の拡充・分析
社員の意向の把握を重視し、調査を実施していることから、これを拡充し、残業、仕事の満足度・やりがい、モラール、評価、処遇などに加えて年次有給休暇取得についても含め、これらを総合的に分析することで、働き方・休み方改善のみならず、様々な施策を検討する際の資料とすることができる。
上記の社員意識調査以外にも、長時間労働や年次有給休暇の取得が低調な部署、個人に対して、ヒアリング等の方法により実態を把握し、分析することで、改善の取組の実効性を高める。

(7)改善提案の活用

提案の活用、取組状況に関しては以下のとおり。

1)本部の残業が多い部署について残業削減目標を設定
  実施に向けて検討。部署毎の前年比削減目標を明示し、PDCAで進捗状況を管理する。

2)働き方・休み方改革に向けた労働組合と協力推進体制の整備
  実施に向けて検討。組合と共同で就労環境についてアンケート調査を実施する。

3)管理職の人事評価項目へのワーク・ライフ・バランスに関する項目の追加
  すぐに実施は難しいが、検討したい。評価項目を検討する。

4)評価・処遇の仕組みの再確認・検討と周知徹底
  すぐに実施は難しいが、検討したい。評価項目を検討後、周知徹底を図る。

5)本部におけるフレックスタイム制度等の柔軟な労働時間制度の活用
  すぐに実施は難しいが、検討したい。繁忙時間が通常とずれる部署にはフレックスタイム制を導入する。

6)管理職層に対するマネジメント力向上等を目的とした実習型研修
  実施に向けて検討。管理職昇格研修や階層別研修でワーク・ライフ・バランス研修を実施する。

7)一般社員向けの意識改善に向けた研修
  実施に向けて検討。新入庫者(新入社員)研修、主任昇格者研修でワーク・ライフ・バランス研修を実施する。

8)業務の組織的遂行体制の構築
  すぐに実施は難しいが、検討したい。本部の業務分担表を作成し、多能化をすすめ、その進捗状況を見える化する。

9)業務の仕分けとパートタイマーや派遣社員など活用による社員の業務負荷軽減
  すぐに実施は難しいが、検討したい。本部の業務分担表を作成し、多能化をすすめ、その進捗状況を見える化することにより、補助業務についてはパート・派遣職員を活用する。

10)正社員の確保・増員の検討
  取り組み始めた。直近3ヶ年は毎年50名程度の正職員を採用しており、今後も同様のペースで増員する。

11)社員意識調査実施項目の拡充・分析
  すぐに実施は難しいが、検討したい。労働組合員には組合共同調査で把握し、全体としては3年毎に実施の意識調査で実態を把握する。

(8)「働き方・休み方改善指標」活用の効果(結果)

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(平成28年度事業)

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