N社(2016年度)

(1)企業概要

社名
N社(2016年度)
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業種/事業概要
教育,学習支援業
従業員規模
1,000人以上
本社所在地
東京都
労働時間制度
1ヶ月単位の変形労働時間制を採用(標準所定労働時間は1日7.5時間)
教室勤務の標準的な勤務時間は13:30~22:00
コーポレートは10:00~18:30(一部部署:11:00~19:30)休憩時間60分

(2)働き方・休み方改善に関するこれまでの取組と指標活用のきっかけ

1)これまでの取組
以下の取り組みを実施している。
・永年勤続休暇制度
・短時間正社員
・限定正社員

2)「働き方・休み方改善指標」活用のきっかけ
現在、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進に関し、重点的に取り組んでいきたいと考えており、同業や同規模他社の事例等を含む、自社に合う取組等について情報を得たい。

(3)働き方・休み方の現状・背景

1)人事部の課題認識
特定の部門(学習塾部門)の業務量が多くなっているが、業務の特性上、別の従業員が業務を代替することが難しい状況である。塾部門は常に人材不足で休みを取りにくい。また従業員は、長時間労働ができなければ評価されないと感じているようである。

2)仕事特性と働き方・休み方の現状
①組織体制
従業員数は正社員約1,400人(男性が約7割)に加え、アルバイトが約1万人在籍している。その他、契約社員、嘱託社員がいる(計約50人)。契約社員、嘱託社員は主に指導業務を中心に行っている。派遣社員は150~160人で教室勤務が多い。
正社員1,400人のうち約1,200人が教室勤務で、残り200人が間接部門勤務である。
学習塾における体制としては、1店舗当たりの生徒数は約150人、社員は2~3人、アルバイトは20~30人である。アルバイトは学生から既卒の者まで多様である。社員1人当たり生徒60~70人、アルバイト1人当たり生徒10人程度となっており、個別指導が増えればさらに教師が必要となる。
職位は、一般職員、教室長、課長、部長、本部長である。
管理監督者は課長以上で、課長は4~5店舗の管理監督を行う。課長が教室長を兼務する場合もある。教室長は係長レベルで、管理監督者ではない。
主たる業務は、学習塾関連(教育サービス)である。拠点数は増加しているが少子化の中、一拠点あたりの生徒数は減少傾向にある。

グループ指導よりも個人指導が増えているためその分教師が必要であり、採用増が求められている。正社員は増加しており(昨年度比100人増)、アルバイト数は年300人程度増えている。ただし退職者もあるため純粋に人員が増加しているわけではない。
業界的に従業員の入・退職者は多い方であると考える(年間の退職者数は約70~80人)。退職者は、夜遅くまでの勤務や祝日休みでない働き方に限界を感じ、異業種に移る割合が高いと考えている。

②働き方

教室職員は、授業も行い、新しい生徒獲得のための営業や掃除の仕事も行う。また、生徒面談の実施、週末に企画があればイベント運営や集客も行う等、仕事は授業以外にも多い。
通常業務以外の仕事として、上司からの業績数字の集計指示や問い合わせ対応等がある。レスポンスにはスピードが求められるため、突発的に業務が発生すると授業以外の通常業務は、別の時間で行うことになる。
教室長と一般社員では授業の数が異なるが、授業数ゼロの者はいない。教室長はアルバイトの教育も行う。シフトは教室長が作成する。
営業は電話による営業活動等が多い(授業開始前の13時から17時に行う)。17時以降に担当授業が始まる。
単純に、仕事量が多いことが残業の理由である。
教室社員は、授業開始前、開始後と業務が多く休憩時間が確保しづらい。
教室長が主に対応する仕事には、顧客見込みである保護者からの問い合わせ対応やイレギュラー案件の対応等もある。教室長の授業数は1日当たり1~2コマである。
大きな教室では、事務担当者は配置されている場合もある。その他、パート従業員は雑務や定型的案件への対応はできるがイレギュラー案件の対応はできない。イレギュラー案件には、課長が所定休日でも出勤して対応することが多い。社員数が少ない教室ではイレギュラー案件の対応は大変である。
入試前が繁忙のピークである。
最も遅い授業が終わるのが22時頃である。最終退室の任務は正社員以外にも与えている。

③休み方
シフト体制で、月に平均8日の休みが設定されている(繁忙期の2月のみ7日)。年末年始休暇、お盆休暇、ゴールデンウィーク休暇がある。本社も同様である。間接部門は、日曜日はおおむね所定休日である。
年次有給休暇の取得は低調で、取得が5日未満の従業員も多い 。
休暇が、比較的に取りやすい教室と取りづらい教室がある。
シフト上は休みであるにもかかわらず出勤していたなど、休日出勤の事前連絡がないこともある。
年に1回実施する意識調査(記名有)で「休めていない」と回答する従業員がいる。
週に1回は授業のない曜日を設定できるが、週2回授業のない日をつくるのは難しい。所定の休日は平日1日と土日どちらかである。土日にはテストやイベントを設定している。週1日は全日休みを確保出来ているが、もう一日分の休日は半日と半日を組み合わせて1日休みとしているケースはある。月に8日休みにできている社員と、できていない社員が存在する。
大学がない地域等ではアルバイトが確保しづらく、このような地域では社員が休日返上で勤務することがある。短時間社員で優先的にシフトを組む等の取組は行っているが、問題は解決できていない。
学生アルバイトは、基本的に勤務する曜日が決まっている。
誕生日や記念日を休暇にする制度はない。

④マネジメント
勤怠は自己申告であり、就業時間の管理上、労働時間の実態を適切に管理できているとはいえない。
労働時間は、本人が、一定期間分まとめて入力することが多い(PCは一人1台の支給はない)。原則、一つ上の職位の者が承認する。
人事として、時間管理の徹底を積極的にできていない。
体育会系の組織風土がマネジメント層の一部で見られる。この風土の労働環境への影響は大きいと考えている。夜遅くまで頑張るような働き方が当たり前であった社員が部長クラスになっている。古い成功体験も含めて、管理職(特に部長)の意識改革が必要である。
評価は、目標管理制度を採用している。本人が半期毎に目標を設定し(数値目標も一部あり)、教室評価、個人評価と合わせて評価を行う。評価は4月および9月に行う。
教師・講師を含めた人材確保も問題となっている。顧客ニーズに対して、教える要員をどこまで確保できるか。不足しているから他の社員が代理で出勤することになる。
1教室あたりの部屋数が減っている。部屋数が少ない=講座のラインアップが減る。増やすためには講座の開講日を増やす必要がある(=休みの日が設定できない)。また、個別指導を希望する生徒へは、曜日・時間など柔軟に対応しなければ新しい生徒を確保できない。(日曜日は半日開講の教室が多い)。
トップによる働き方・休み方に関するメッセージはない。
働き方・休み方改善を検討する、特別な労使協議の場は設けられていない。

⑤その他
社員の勤務地の変更を伴う異動はある。職位が上がるほど異動は多くなるが、ドラスティックな異動は少ない。
限定正社員を2016年から実験的に採用している(勤務日数、時間、勤務地の組み合わせが限定されている社員)。職務限定の正社員も制度上は可能であるが現在はまだいない。
社員の仕事に関する相談窓口(人事部)を設けている。相談窓口では、ハラスメントや人間関係の相談も受け付ける。
業務サポート部があり、現場が働きやすいようにするための改善提案を受け付け、本社で調整・検討を行っている(2014年開始、組織化は2016年)。
社員に対するES調査は毎年11月に記名式で実施しており、少しずつ浸透してきている。

(4)働き方・休み方に関する課題

1)働き方
仕事量が単純に多いことが教室の残業の理由である。
労働時間の実態を適切に管理できているとはいえない。労働時間は、本人がまとめて入力することが多い。
夜遅くまで頑張るような働き方が当たり前であった社員が部長クラスになっている。古い成功体験も含めて、管理職(特に部長)の意識改革が必要である。

2)休み方
シフト上は休みであるにもかかわらず出勤していたなどの連絡がないこともある。
年に一回実施する意識調査(記名有)で「休めていない」と回答する従業員がいる。
大学がない地域等ではアルバイトが確保しづらく、このような地域では社員が休日返上で勤務することがある。
誕生日や記念日を休暇にする制度はない。

3)働き方・休み方共通
トップによる働き方・休み方に関するメッセージはない。
働き方・休み方改善を検討する、特別な労使協議の場は設けられていない。
業務の特性上、別の従業員が業務を代替することが難しい。
教室職員は、授業も行い、新しい生徒獲得のための営業や掃除の仕事も行う。また、生徒面談の実施等、仕事は授業以外にも多い。週末に企画があれば、イベント運営や集客の仕事もある。
社員に対するES調査は毎年11月に記名式で実施しており、少しずつ浸透してきている。

(5)「働き方・休み方改善指標」診断結果

働き方・休み方に関するアウトプット指標
働き方・休み方に関するアウトプット指標
働き方・休み方に関するアウトプット指標
「働き方・休み方改善指標」による診断結果は以下のとおり。
【労働時間】
週労働時間60時間以上の雇用者の割合は0.2%であった。
→貴社の週労働時間60時間以上の雇用者の割合は、全国の雇用者の平均値である7.5%(従業員規模1,000人以上のカテゴリ)及び、国の定める目標値5.0%ともにクリアしている。
(36協定で定める労働時間の延長の限度基準である1ヶ月45時間を超える従業員は7.0%(注1)いる。)
(注1) 繁忙月
【年次有給休暇取得率】
年次有給休暇取得率は全従業員平均16.1%であった。
→主要産業の平均値である52.2%(従業員規模1,000人以上のカテゴリ)及び、国の定める目標値70.0%には達していない。
貴社の長時間労働の社員の割合は国の目標値以上であり、36協定で定める労働時間の延長に関する国の限度基準である1ヶ月45時間の労働者もいない。しかし、業務多忙が原因で休憩時間がとりづらいなどの課題もあり、貴社は、働き方の改善が休み方の改善と密接に関係するため、働き方の改善の検討が必要である。年次有給休暇の取得率は目標値に達していないことから、休み方の改善が求められる。
※「1ヶ月あたりの残業時間が80時間を超える社員の割合」を「週労働時間60時間以上の雇用者の割合」と見なした。
働き方
休み方

(6)課題の整理と改善提案

働き方・休み方に関する課題の整理と改善提案は以下のとおり。

指標項目
現状と課題
対策案
Vision(ビジョン)
項目1
方針・目標の明確化
トップによる働き方・休み方に関するメッセージはない。
トップの意識改革及び一般事業主行動計画の検討詳細事例の公表
ウェブサイトには、「両立支援のひろば(厚生労働省管理)」ホームページにて公表している一般事業主行動計画を掲載している。これは会社としての方針であり、トップメッセージである。その内容には、ワーク・ライフ・バランスの推進が掲げられている。勤続年数についても、女性の勤続年数を延長するための施策を打ち出している。
そこで、一つ一つの内容をみると、制度に関する記述が多く(導入が取組内容になっている)、具体的に改善が進められる取組は少ない(管理職のマネジメント研修のみ)。しかしながら、この、管理職の働き方に関するマネジメント研修は、組織風土・意識を転換するための非常に重要な取組の一つである(後段にて提案あり)。
そこで、この働き方に関する研修の取組状況や実施後の管理職の意識の状況、その後の現場の声を、一般事業主行動計画の実施状況としてウェブサイトに掲載することをトップに対して提案する。また、トップは、自社の現状である、「採用数は一定程度あるものの退職者も多い」中で、経験を積んだ優秀な人材が流出することを食い止めるために働き方・休み方の改革推進は重要であることへの理解を深めることが求められる。重要視する売り上げ(生徒数の増加)と同様に、働き方・休み方の改革推進が、企業の持続的な成長には非常に重要であることへの理解を深めていただけるよう、間接部門においては、他の同規模企業等のトップの働き方休み方についてのメッセージ等の情報を収集して、人材確保の難しい現在で如何に人材流出を食い止めることが重要か、働きやすい職場への変革が与える会社への影響などを収集して、トップの意識を変革していく必要がある。
ただし、意識改革研修は、現状「単に仕事が多いから残業している」状況を放ったままで行っては、現場の混乱を招くだけである。仕事の棚卸、業務量の調整等(後段にて提案)の他の取組の検討と並行して行うことが必要となる。
System(システム)
項目2
改善・推進の体制づくり
働き方・休み方改善を検討する、特別な労使協議の場は設けられていない。
働き方・休み方改革に向けて従業員代表等との協力推進体制の整備
業務サポート部、働き方についての相談窓口である人事部など、相談できる窓口があり一次的に課題を収集することができる状況にあるのであるから、長時間労働の抑制及び年次有給休暇取得促進に関して、それらの課題について従業員代表など現場の従業員と定期的な意見交換の場を設けて、取組推進の体制を構築する。
例としては、既存の安全衛生委員会におけるテーマの一つとして検討する他、働き方・休み方に特化して協議する場として労働時間等設定改善委員会を設置するなど、今後の方針、改善を進めるフローの検討等具体的な話し合いを労使で進める場を設ける。
項目3
改善促進の制度化
誕生日や記念日を休暇にする制度はない。
「記念日休暇」、「誕生日休暇」等のメモリアル休暇の設定
年次有給休暇を取得しにくい状況を改善し、社員一人一人が年次有給休暇の取得を増やすことが出来るよう、記念日や誕生日等に年次有給休暇の取得を促すメモリアル休暇制度を設ける。誕生日休暇は、その性格上全ての社員に権利を提供できるため、他の休暇に先駆けてスムースな導入がしやすい。誕生月が繁忙である場合などは、前後の月への休暇の振替を前もって行うルールを設けておく等柔軟な対応を行い、業務への影響を最小限に抑える。
なお、チームでシフトを組んで仕事をすることに伴う業務への影響を抑えるため、後述項目5意識改善の「管理職層に対するマネジメント力向上等を目的とした実習型研修」、等を併せて実施し、シフトを組む際のメモリアル休暇など計画的年休取得予定の反映を徹底すること等、マネジメントのあり方の改善と組みあわせることが重要である。
年次有給休暇の時間単位付与は行っていない。
年次有給休暇の時間単位付与の検討
年次有給休暇を取得しにくい状況を改善し、社員一人一人が年次有給休暇の取得を増やすことが出来るよう、時間単位での年次有給休暇の付与制度を設ける。
後述の棚卸や業務の再分配により、教室社員の業務の圧縮、効率化等が出来れば、授業前(17時より前)の勤務時間について、年次有給休暇の時間単位取得ができる可能性は高い。現状、16%程度の年次有給休暇取得率であるから、前述の誕生日休暇及びこの時間単位の付与により、少しずつでも年次有給休暇の取得率の底上げを図る。
項目4
改善促進のルール化
労働時間の実態を適切に管理できているとはいえない。労働時間は、本人がまとめて入力することが多い。

シフト上は休みであるにもかかわらず出勤していたなどの連絡がないこともある。
管理職の人事評価に部下の労働時間・年次有給休暇取得の状況を評価項目に入れる
部下の労働時間管理の徹底を図ることが求められる。
現状は、会社が適切な労働時間の管理が出来ていない。通常、各現場における労働者の労働時間等の管理は、管理監督者が適切に把握すべきである。そこで、管理監督者(課長以上)に対して、日々の労働時間(勤怠)の適切な管理を徹底するため、労働時間及び年次有給休暇取得状況のマネジメント状況を人事評価項目に設定し、自らの意識を改善し、また教室長に対して現場における労働時間管理の徹底を、責任をもって指導・指示する。
ただし、例えば、会社から与えられる目標の数値が厳しく、仕事量が過多となるような状況において、現場の教室長にのみ部下の働き方・休み方の改善の責務を押し付けるようでは、現場は今以上に働きづらく、ストレスを抱えることになるため、後述する通り仕事の棚卸等と並行して進めることが重要となる。
Action(アクション)
項目5
意識改善
夜遅くまで頑張るような働き方が当たり前であった社員が部長クラスになっている。古い成功体験も含めて、管理職(特に部長)の意識改革が必要である。

年に一回実施する意識調査(記名有)で「休めていない」と回答する従業員がいる。
管理職層に対するマネジメント力向上等を目的とした実習型研修
管理職層に対して、所定外労働削減や年次有給休暇取得促進に向けた取組の推進、自身及び部下のワーク・ライフ・バランス、創造的な業務遂行の意義などについて講義・座学を行う。
次に、研修を通じて、部下の労働時間管理は業務遂行と共にマネジメントの基本的な要素であることの認識を深めさせる。併せて、業務の効率化に向けた研修を行い、定時に仕事を終えることを前提とした仕事の割り振り・時間管理について習得させ、マネジメント力の向上を図る。
その後、具体的な職場における所定外労働削減に向けての取組について、グループワークなどによる実際に即した対策を討議し、取組内容を策定する実習型の研修を行う。
なお、成果を挙げつつ残業削減を始めとするワーク・ライフ・バランスを達成出来ている教室等の情報を共有するため、要因の分析とその優良事例の共有として、働き方・休み方改善の優良事例を研修の中で参考事例として取りあげることも検討する。
労働時間の実態を適切に管理できているとはいえない。労働時間は、本人がまとめて入力することが多い(再掲)。

シフト上は休みであるにもかかわらず出勤していたなどの連絡がないこともある(再掲)。
一般社員向けの働き方等改善研修
まずは、左記の問題を正す必要がある。労働時間等の管理が会社に課された義務(つまり、会社の理念・目的達成に共感して共に働く者に課された義務でもある)であることを徹底させる。できれば電磁的な記録方法(タイムカード等)による日々の勤怠管理が望ましいが、それを導入するまでにおいても、所定労働日の出勤退勤時刻の毎日の管理、所定・法定休日に出勤する際には適切な手順を踏み行うことなどを徹底する必要がある。必要と考えるならば、一般社員の評価項目として導入しても良い(服務規律順守の一環として)。
その他、一般社員向けの研修内容については、仕事は所定内で終えるのが基本であり、効率的に仕事を遂行して早く退社し、又は年次有給休暇を有効に活用することを通じて、家族と過ごす時間を大事にし、自己啓発や休養、趣味なども含めて、人間性を高めるために使うことを推奨する研修を実施し、社員の意識改善を図る。研修の実施に当たっては、ワーク・ライフ・バランスのとれた働き方は、仕事の質の向上につながることを実感できるようなものとし、その実例についても紹介することを通じて、残業・年次有給休暇に対する意識の変革を図る。
ただし例えば、会社から与えられる目標の数値が厳しく、仕事量が過多となるような状況において、働き方・休み方の改善推進を提唱するのみでは、現場は今以上に働きづらく、ストレスを抱えることになるため、後述する通り、仕事の棚卸等と並行して進めることが重要となる。
項目7
仕事の進め方改善
仕事量が単純に多いことが教室の残業の理由である。

年に一回実施する意識調査(記名有)で「休めていない」と回答する従業員がいる。
(再掲)

大学がない地域等ではアルバイトが確保しづらく、このような地域では社員が休日返上で勤務することがある。

教室職員は、授業も行い、新しい生徒獲得のための営業や掃除の仕事も行う。また、生徒面談の実施等、仕事は授業以外にも多い。週末に企画があれば、イベント運営や集客の仕事もある。
業務の棚卸・業務の再分配を検討する
社員が日々、長時間にわたり高いパフォーマンスを維持しながら職務を遂行することは、身体的・精神的に非常に負担がかかる。
そこで、業務の棚卸しを行い正社員が遂行するべき業務の職務分析を行う。
分析された職務は、まずシステム化の他、業務効率化が可能な作業等が見つかった場合、システム化であれば、導入の検討を行い、その他、非効率な作業・手続きがあれば効率化に向けた作業手順・方法の検討などを行う。また、社員の能力の底上げを行い、作業・責務等に費やす時間の削減を行うことも、効率化のひとつの方法である。
上記の取組については、全社的な取組の前段としてモデル事業所を選定し、トライアルで仕事の棚卸と仕事の重要度の再確認、再分配を実施して、成功事例について水平展開することも検討する。
棚卸の結果から、業務量の偏りを発見し、能力と業務量のバランスを図ることや、本人の意向等を確認して業務の負荷を設定するなどにより、所定外労働の平準化を行う。
業務の特性上、別の従業員が業務を代替することが難しい。

教室職員は、授業も行い、営業や掃除の仕事も行う。また、生徒面談の実施等、仕事は授業以外にも多い。週末に企画があれば、イベント運営や集客の仕事もある。
要員計画・教室展開計画等の見直し
上述の棚卸に並行して、大学の集まる地域(アルバイト)や正社員求人による人材確保が比較的に図りやすい地域では、棚卸の結果を分析し、必要に応じて社員・アルバイト従業員等の要員計画の見直しを行い、正社員が休憩時間を確保できない状況や、所定の休日に出勤することをなくす為の施策を検討する。
例えば、上述棚卸によって、正社員が行うことが必須ではない業務が見つかった場合、(営業を例にとれば)会社の事業概要、教室や会社に対する知識を教育研修で備えさせて、講師としてのアルバイター以外にも、電話で営業を行う業務や、清掃作業のみの専属のアルバイターを雇用することも有効である。
また、清掃業務などの単純作業は、外部の清掃会社への外注などを利用することでコスト削減に繋がる場合もある(社員の労働時間に対する固定費との比較検討)。
大学の少ない地域などで周辺地域での人材確保が容易ではない場合には、比較的確保しやすい地域で採用した正社員の異動によって対応することもできる(例えば、一定の期間を定めてローテーションさせることもできる)。
また、教室数の拡大、講座開校日を増やすなどについては、業務の棚卸の結果を適切に分析したうえで要員計画も併せて検討することが重要である。人材が定着しなければ、教師・講師として生徒に信頼されるスクールとしての成長が鈍化してしまう恐れがある。
Check(チェック)
項目8
実態把握・管理
社員に対するES調査は毎年11月に記名式で実施しており、少しずつ浸透してきている。
社員意識調査の実施・分析
意見を出しやすいよう無記名で、項目を定めて、モラール、働きがい、働き方、休み方、評価、処遇について社員の意識を定期的に把握し、分析することで、働き方・休み方改善のための施策を検討する際の資料とする。
上記の社員意識調査以外にも、長時間労働や年次有給休暇の取得が低調な部署、個人に対して、ヒアリング等の方法により実態を把握し、分析することで、改善の取組の実効性を高める。

(7)改善提案の活用

社内での検討を行うがすぐの実施は難しい状況。少しずつ改善を進めたい。

(8)「働き方・休み方改善指標」活用の効果(結果)

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(平成28年度事業)

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