H社(2016年度)

(1)企業概要

社名
H社(2016年度)
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業種/事業概要
情報通信業
従業員規模
約8,500人
本社所在地
東京都
労働時間制度
始業終業時間
(営業) 9:30-17:45(7時間15分)火・水休み
(本社) 9:30-17:45(7時間15分)土・日休み
(カスタマーセンター及び技術)シフト勤務(7時間15分)シフト休み
(制作)9:30-17:45(7時間15分)シフト休み
休憩時間 12:00-13:00(60分)
一部の部署、職種において、フレックスタイム制(コアタイムは11:00‐15:00)、1ヶ月の変形労働時間制、裁量労働制などを適用

(2)働き方・休み方改善に関するこれまでの取組と指標活用のきっかけ

1)これまでの取組
以下の取り組みを実施している。
・人事担当部門からの夏季休暇の取得促進の呼びかけ(毎年5月頃より)
・社内イントラネットにおいてワーク・ライフ・バランスに関する情報を発信
・時間外労働の実績を報告(月次)
・ノー残業デーを推進

2)「働き方・休み方改善指標」活用のきっかけ
営業部門では、毎月の顧客獲得目標がチーム別、個人別で定められているほか、ウィークリー、デイリーでも定められている。そのため、年次有給休暇を取得することで、チーム及び個人の獲得実績が下がることを懸念し、なかなか有休取得が浸透しない傾向にあると感じている。
長期休暇だけではなく、日頃から年次有給休暇を取得できる環境を醸成したく、施策等をアドバイスいただきたい。

(3)働き方・休み方の現状・背景

1)人事部の課題認識
毎年7月~9月の期間に、連続5日間の夏季休暇の取得促進を図っているが、人事担当部門が取得を促進しなければ取得がされにくい状況にある。また、年末年始やゴールデンウィーク等の長期休暇以外での有給取得がなかなか浸透しない点が課題だと感じている。なお、残業時間についても課題はある。

2)仕事特性と働き方・休み方の現状
①組織体制
設立以来、M&Aにより事業拡大してきた歴史があり、様々な組織文化が混ざり合って、一つの大きな組織を構成している。
組織の構成要素としては、営業部門である「営業拠点」とそれ以外(本社、技術部門やカスタマーセンター等)に大きく分かれる。営業拠点は売り上げを担う中心となる部署であり、全国各地に拠点がある。なお、営業部門は、加入者支援、営業電話対応の他、顧客訪問を行う。
ラインは部長、マネジャー、アシスタントマネジャー、チームリーダー。アシスタントマネジャー以上が管理職。

※診断・改善の対象は同社の営業部門である「営業拠点」とし、以下営業拠点を中心に記載する。

②働き方
毎月定められている拠点の顧客獲得目標を達成するために、各チームや個人にアポイントメント数、成約率などの獲得目標が付与される。アポイントメント数や成約率等によるインセンティブは個人単位だが、拠点全体の目標を達成するためチーム単位にも割り振られ、この部分の達成がチームリーダーの評価につながる。さらに月間獲得目標を日単位、週単位に落とし込むことで進捗を追いやすくする等の工夫を行っている。しかし、これらの目標に追われている側面があり、目標と実績に乖離があると、それを解消しようと業務量を増やすことで残業が発生し、有給休暇の取得を抑えようとする。
チームリーダーやマネジャーは社内報告のための書類作成や定例会議への参加の頻度が高く、業務負荷が大きいため、残業も多い。
なお、長時間労働の抑制に関する労使の話し合いの機会は特に定期的には設定していない。

③休み方
有給休暇を取得した場合でも月間の目標値は変わらないため、日単位の目標が上がってしまうことから、有給休暇取得が困難な状況にある。
夏季休暇(7~9月で連続5日間取得)は顧客獲得目標を調整する等の考慮がされているが、それ以外(ゴールデンウィークや年末年始)はカレンダーに沿った出勤日数によって目標が設定されており、個々人の年次有給休暇の取得予定を前提にしていないため、月々の達成見込みがなければ有給休暇取得が難しい。
ダイバーシティやワーク・ライフ・バランスについて、社内イントラネットや社内報による社長からの発信はあるものの、具体的な行動指針としては出ていない。営業拠点ごとの組織文化には多少違いがある。業績を上げつつ、休暇取得に問題のない組織もある。
2~4月は繁忙期だが、7~9月は比較的、業務に余裕があるので、この期間に5日間連続して夏季休暇を取得することを推奨している。有給休暇の取得率が高い拠点は、顧客獲得目標が達成できていることが直接有給休暇に取得につながっており、リフレッシュすることで、生産性や成績の向上等につなげるという休暇取得の本来の主旨とは異なる現状となっている可能性が高い。
なお、年次有給休暇取得促進に関する労使の話し合いの機会は特に定期的には設定していない。

④マネジメント
36協定は、最大延長時間を月45時間、年間360時間、特別条項により月80時間、年間600時間で締結している。
各営業拠点の目標設定は営業部門で行っている。拠点の顧客獲得目標を各拠点の部長が各チームに割り振り、チームリーダーがその達成の責務を負う。獲得目標を達成しつつ年次有給休暇取得の計画を立てる役割は営業部長、マネジャー、チームリーダーが担うことが考えられるが、各メンバーが年次有給休暇を取得する前提で目標設定や計画作成がなされているわけではない。
労働時間はPCの勤怠システムで管理している。原則として上長による事前承認で時間外勤務を行うことになっている。
そのほか監査的な観点で、タイムカードを設けている事務所や各拠点のセキュリティカードの入退室記録データと勤怠システムデータを人事部門で比較し、乖離がないかどうかをチェックしている。

⑤その他
ここ10数年間、企業規模を大きくしてきたとともに、とくに、数年前に大規模な合併があったため、お互いの拠点の人事を交流させるなど、企業文化の融合を進めている過程にあるが、現時点ではまだ各営業拠点の組織風土に違いがある。その結果、現場レベルでは労働時間や休暇に関する考え方において、管理職と非管理職との間にずれが生じてしまっているケースも見られる。

(4)働き方・休み方に関する課題

1)働き方
チームリーダーやマネジャーは社内報告のための書類作成や定例会議への参加の頻度が高く、業務負荷が大きいため、残業も多い。

2)休み方
夏季休暇(7~9月で連続5日間取得)は獲得目標を調整する等の考慮がされているが、それ以外(ゴールデンウィークや年末年始)はカレンダーに沿った出勤日数によって設定されており、月々の達成見込みがなければ有給休暇取得が難しい。個々人の有給休暇の取得予定を踏まえた目標設定にはなっていない。
有給休暇の取得率も高く、獲得目標も達成できている拠点は、獲得目標が達成できているから有給休暇も取得しやすいという、理想(休暇を取得しリフレッシュすることで、生産性や成績も上がる)とは逆のサイクルとなっている可能性が高い。
ダイバーシティやワーク・ライフ・バランスについて、社内イントラネットや社内報による社長からの発信はあるものの、具体的な行動指針としては出ていない。営業拠点ごとの組織文化には多少違いがある。業績を上げつつ、休暇取得に問題のない組織もある。
2~4月は繁忙期で忙しいが、7~9月は比較的、業務に余裕があるので、この期間に5日間連続して夏季休暇を取得することを同社としては推奨している。

3)働き方・休み方共通
各営業拠点の組織風土に違いがある。その結果、現場レベルでは労働時間や休暇に関する考え方において、管理職と非管理職との間にずれが生じてしまっているケースも見られる。
毎月定められている拠点の顧客獲得目標を達成するために、各チームや個人にアポイントメント数、成約率などの獲得目標が付与される。アポイントメント数や成約率等によるインセンティブは個人単位だが、拠点全体の目標を達成するためチーム単位にも割り振られ、この部分の達成がチームリーダーの評価につながる。さらに月間獲得目標を日単位、週単位に落とし込むことで進捗を追いやすくする等の工夫を行っている。しかし、これらの目標に追われている側面があり、目標と実績に乖離があると、それを解消しようと業務量を増やすことで残業が発生し、有給休暇の取得を抑えようとする。
長時間労働の抑制及び年次有給休暇取得促進に関する労使の話し合いの機会は特に定期的には設定していない。

(5)「働き方・休み方改善指標」診断結果

働き方・休み方に関するアウトプット指標
働き方・休み方に関するアウトプット指標
働き方・休み方に関するアウトプット指標
「働き方・休み方改善指標」による診断結果は以下のとおり。
【労働時間】
週労働時間60時間以上の雇用者の割合は0.15%であった。
→貴社の週労働時間60時間以上の雇用者の割合は、全国の雇用者の平均値である7.5%(従業員規模1,000人以上のカテゴリ)及び、国の定める目標値5.0%ともにクリアしている。
(36協定で定める労働時間の延長の限度基準である1ヶ月45時間を超える従業員は17.6%(注1)いる。)
(注1) 繁忙月
【年次有給休暇取得率】
年次有給休暇取得率は全従業員平均62.7%であった。
→主要産業の平均値である52.5%(従業員規模1,000人以上のカテゴリ)はクリアしているものの、国の定める目標値70.0%には達していない。
貴社の長時間労働の社員の割合は目標値以上だが、36協定で定める労働時間の延長に関する国の限度基準である1ヶ月45時間を超える社員が存在しているため、働き方の改善が求められる。一方、年次有給休暇の取得率は目標値に達していないことから、休み方の改善も求められる。
※「1ヶ月あたりの残業時間が80時間を超える社員の割合」を「週労働時間60時間以上の雇用者の割合」と見なした。
働き方
休み方

(6)課題の整理と改善提案

働き方・休み方に関する課題の整理と改善提案は以下のとおり。

指標項目
現状と課題
対策案
Vision(ビジョン)
項目1
方針・目標の明確化
各営業拠点の組織風土に違いがある。その結果、現場レベルでは労働時間や休暇に関する考え方において、管理職と非管理職との間にずれが生じてしまっているケースも見られる。
トップによる所定外労働削減・年次有給休暇取得促進を徹底する方針について発信
合併に伴う企業規模の拡大に伴い、組織風土に違いがある中で、労働時間や休暇に関する考え方も含めて、可能な限り融合を図りつつ、組織として全社で一元的な所定外労働削減、年次有給休暇取得促進の取組を行うためには、これらを経営課題の一つとして位置づけ、営業推進、業務遂行の効率化との関係を整理し、その取組の方針について、経営トップの全社に向けた発信が不可欠である。
発信の媒体は社内イントラネットや社内報など様々な媒体を活用し、全社員に届くよう工夫する。
System(システム)
項目2
改善・推進の体制づくり
長時間労働の抑制及び年次有給休暇取得促進に関する労使の話し合いの機会は特に定期的には設定していない。
働き方・休み方改革に向けた労働組合と協力推進体制の整備
長時間労働の抑制及び年次有給休暇取得促進に関して、労働組合と定期的な意見交換の場を設けて、取組の推進に協力してあたる体制を構築する。あわせて、会社としての従業員意識調査等とは別に、労働組合としての従業員の意見の収集を期待し、意見交換の場での会社にも従業員にも望ましい働き方・休み方を検討し、その姿に向けて取組を推進する。
項目3
改善促進の制度化
2~4月は繁忙期で忙しいが、7~9月は比較的、業務に余裕があるので、この期間に5日間連続して夏季休暇を取得することを同社としては推奨している。
夏季5日間の連続休暇の取得義務化と閑散期などを中心に年次有給休暇の計画的付与制度導入
7~9月の閑散期に5日間の連続休暇を取得することを推奨しているが浸透していない面もある。そこで、項目7の仕事の進め方改善の「業務の組織的遂行体制の構築」、「営業目標設定方法の変更」、項目4改善促進のルール化の「管理職の人事評価に部下の労働時間・年次有給休暇取得の状況を評価項目に入れる」の提案内容と組みあわせて、取得を義務化することによって浸透を図る。
あわせて、閑散期を中心に、繁忙期以外の時期の年次有給休暇の計画的付与制度を活用し、飛び石連休の間の出勤日を休暇日として連続休暇とする等、年次有給休暇の取得しやすい環境を作る。
項目4
改善促進のルール化
毎月定められている拠点の顧客獲得目標を達成するために、各チームや個人にアポイントメント数、成約率などの獲得目標が付与される。アポイントメント数や成約率等によるインセンティブは個人単位だが、拠点全体の目標を達成するためチーム単位にも割り振られ、この部分の達成がチームリーダーの評価につながる。さらに月間獲得目標を日単位、週単位に落とし込むことで進捗を追いやすくする等工夫を行っている。しかし、これらの目標に追われている側面があり、目標と実績に乖離があると、それを解消しようと業務量を増やすことで残業が発生し、有給休暇の取得を抑えようとする。
管理職の人事評価に部下の労働時間・年次有給休暇取得の状況を評価項目に入れる
企業の発展のためには、人材確保・人材育成を長期的視点でとらえることが重要である。
このため、部下の労働時間及び年次有給休暇取得の状況、7~9月の閑散期における5日間の連続休暇取得状況などを項目に設定し、管理職の意識改善を促す。
なお、チームリーダーは自分のチームメンバーが休む際などにフォローを行い、加えて目標管理と達成の責任を負っているため、負荷が大きく、サポートが必要と考えられることから、マネジャー以上にはチームリーダーのサポートのあり方も含めて評価を行う。

評価の単位をチーム単位で行う
現在、営業成績を評価するにあたって、前月の成約件数等に応じて当該月の給与の業績部分が決まる仕組みとなっているが、その評価の単位をチームで行い、個人まで落とさない。これによって、項目7仕事の進め方改善「業務の組織的遂行体制の構築」と整合的になり、業務の組織的遂行を定着させることが可能となる。
Action(アクション)
項目5
意識改善
各営業拠点の組織風土に違いがある。その結果、現場レベルでは労働時間や休暇に関する考え方において、管理職と非管理職との間にずれが生じてしまっているケースも見られる。(再掲)
管理職層に対するマネジメント力向上等を目的とした実習型研修
旧組織からの組織風土の違いを融合していく中で、望ましい会社のあり方に向けて、その一つとして働き方・休み方に関する考え方、意識の統一を図ることも必要と考えられる。
人事本部主導により各営業拠点で企業理念を推進する取組を行っているので、その一環として位置づけた管理職研修を行う。
管理職層に対して、所定外労働削減や年次有給休暇取得促進に向けた取組の推進、自身及び部下のワーク・ライフ・バランス、創造的な業務遂行の意義などについて講義を行う。
次に、研修を通じて、部下の労働時間管理は業務遂行と共にマネジメントの基本的な要素であることの認識を深めさせる。併せて、業務の効率化に向けた研修を行い、定時に仕事を終えることを前提とした仕事の割り振り・時間管理について習得させ、マネジメント力の向上を図る。
その後、具体的な職場における所定外労働削減に向けての取組について、グループワークなどによる実際に即した対策を討議し、取組内容を策定する実習型の研修を行う。
なお、自社の働き方・休み方改善の好事例を事前に収集した上で、研修の中で参考事例として取りあげることも検討する。
一般社員向けの意識改善に向けた研修
旧組織からの組織風土の違いを融合していく中で、望ましい会社のあり方に向けて、その一つとして働き方・休み方に関する考え方、意識の統一を図ることも必要と考えられる。人事本部主導により各営業拠点で企業理念を推進する取組を行っているので、その一環として位置づけ、一般社員に対しても研修を行う。
内容については、仕事は所定内で終えるのが基本であり、効率的に仕事を遂行して早く退社し、又は年次有給休暇を有効に活用することを通じて、家族と過ごす時間を大事にし、自己啓発や休養、趣味なども含めて、人間性を高めるために使うことを推奨する研修を実施し、社員の意識改善を図る。研修の実施に当たっては、ワーク・ライフ・バランスのとれた働き方は、仕事の質の向上につながることを実感できるようなものとし、その実例についても紹介することを通じて、残業に対する意識の変革を図る。
項目6
情報提供・相談
有給休暇の取得率も高く、獲得目標も達成できている拠点は、獲得目標が達成できているから有給休暇も取得しやすいという、理想(休暇を取得しリフレッシュすることで、生産性や成績も上がる)とは逆のサイクルとなっている可能性が高い。
成果を挙げつつワーク・ライフ・バランスを達成出来ている要因の分析とその優良事例の共有
営業拠点によってワーク・ライフ・バランスの取組を進めている組織、休みが取れていて営業成績の成果も出ている組織がある。これらは何らかのあるきっかけから取組が進み、その営業成績の成果とワーク・ライフ・バランスの進展が相互に効果を持ったと考えられることから、そのうまく行っている要因を分析し、明らかにする。
その好事例を社内のイントラネットなどを通じて社内で共有する。あわせて項目5意識改善における「管理職層に対するマネジメント力向上等を目的とした実習型研修」、「一般社員向けの意識改善に向けた研修」において教材として活用する。
項目7
仕事の進め方改善
チームリーダーやマネジャーは社内報告のための書類作成や定例会議への参加の頻度が高く、業務負荷が大きいため、残業も多い。
社内報告資料内容の簡素化及び枚数上限設定
社内報告のための資料などの内容について必要性の再検討を行い、簡素化・標準化を検討する。検討にあたっては、社内横断的に各部署から構成される委員会又は検討ワーキングなどを作り、各部署から資料の簡素化に対する意見を収集し、簡素化の案を取りまとめる。その際、資料枚数の上限を設定し、その範囲内で作成するルールを定める。

会議の効率化と必要性の検討
会議の効率化に関しては、出席している会議に完全に集中する(メールや電話は禁止等)、貴重な時間を最大限有効に活用するように会議を実施(明確な意思決定、会議に必要な人のみが出席等)等の取組を行う。また、会議の必要性に関しても検討し、連絡・周知の目的であれば他の手段に代替することなど検討する。
毎月定められている拠点の顧客獲得目標を達成するために、各チームや個人にアポイントメント数、成約率などの獲得目標が付与される。アポイントメント数や成約率等によるインセンティブは個人単位だが、拠点全体の目標を達成するためチーム単位にも割り振られ、この部分の達成がチームリーダーの評価につながる。さらに月間獲得目標を日単位、週単位に落とし込むことで進捗を追いやすくする等の工夫を行っている。しかし、これらの目標に追われている側面があり、目標と実績に乖離があると、それを解消しようと業務量を増やすことで残業が発生し、有給休暇の取得を抑えようとする。(再掲)
個々人の有給休暇の取得予定を踏まえた目標設定にはなっていない。
営業目標設定方法の変更
現状、営業目標の設定が週単位、日単位まで落とされており、弾力的な働き方・休み方の実現を妨げている。月間で締めて前月の成約件数等に応じて当該月の給与の業績部分が決まるということから、月間目標を明確に公式の目標と位置づけ、週単位の目標は無くし、日単位の目標は、あくまで目安として運用する。これによって、次項の「業務の組織的遂行体制の構築」とあわせて、月間目標を達成しつつ休暇取得可能とするための業務の遂行方法、日単位の目標と実績との乖離を活用しつつ業務遂行管理の方法を工夫する必要がある。
また、月間の目標に関しても、繁忙期と閑散期で差を付けて設定するなど検討を行う。
業務の組織的遂行体制の構築
 担当制を採用しており、一人ひとりの社員は別々の顧客に対応しており、担当者が休暇を取得した場合、チームリーダーがフォローすることになっており、他の同僚社員に任せることはほとんどない。しかし、個々の顧客を社員一人で抱え込む状況は、その社員が不在になれば担当業務が停滞する、又はチームリーダーに負荷がかかるなど、会社組織としてリスクを含んでおり、また、業務の抱え込みそのものが働き方・休み方の改善に向けた課題とも考えらえる。
そのため、業務を組織的に遂行する体制を整備する。
 例えば、業務について主担当、副担当等複数で担当することとし、主担当が休んだ場合は副担当がバックアップする等組織的に対応する体制を構築する。
あわせて、人事評価において組織的な業績を評価の対象とするよう検討する。
成約率を高める手法の検討・共有
成約率を高める手法開発、顧客の選別の仕方を経験則ではなく、形式知として伝えて行くことも必要。そのため、効率の良い営業活動を行っている事例を収集し、その要因を分析して社内で共有する。

(7)改善提案の活用

提案の活用、取組状況に関しては以下のとおり。

1)トップによる所定外労働削減・年次有給休暇取得促進を徹底する方針について発信
   実施に向けて検討。ダイバーシティの推進という括りで、トップメッセージを発信予定。

2)夏季5日間の連続休暇の取得義務化と閑散期などを中心に年次有給休暇の計画的付与制度導入
   すぐに実施は難しいが検討したい。夏季休暇以外にも、有給休暇を取得しやすい仕組みづくりを検討中。

3)管理職の人事評価に部下の労働時間・年次有給休暇取得の状況を評価項目に入れる
   すぐに実施は難しいが検討したい。

4)評価の単位をチーム単位で行う
   すぐに実施は難しいが検討したい。

5)管理職層に対するマネジメント力向上等を目的とした実習型研修
   すぐに実施は難しいが検討したい。

6)一般社員向けの意識改善に向けた研修
   すぐに実施は難しいが検討したい。

7)成果を挙げつつワーク・ライフ・バランスを達成出来ている要因の分析とその優良事例の共有
   以前からの取り組みを継続。社内イントラを使用し、各拠点のワーク・ライフ・バランスを継続的に紹介。

8)社内報告資料内容の簡素化及び枚数上限設定
   実施に向けて検討。「働き方改革プロジェクト」の一環として、会議の運営や紙資料の配布について見直し検討中。

9)会議の効率化と必要性の検討
   実施に向けて検討。「働き方改革プロジェクト」の一環として、会議の運営や紙資料の配布について見直し検討中。

10)営業目標設定方法の変更
   すぐに実施は難しいが検討したい。ただし、他部署との密な連携が必要となると考えている。

11)業務の組織的遂行体制の構築
   実施に向けて検討。「働き方改革プロジェクト」の一環として検討中。

12)成約率を高める手法の検討・共有
   ロープレやミーティングを通して、TLとトレーナーを中心に日々実施。今後とも継続して行う。

(8)「働き方・休み方改善指標」活用の効果(結果)

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(平成28年度事業)

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