株式会社マンダム

(1)企業概要

社名
株式会社マンダム
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業種/事業概要
製造業
従業員規模
約1,000人
本社所在地
大阪府
労働時間制度
工場8:30~17:05(休憩は12:15~13:00の45分、7時間50分勤務)
その他9:00~17:35(休憩は12:15~13:00の45分、7時間50分勤務)
工場はシフト生産を採用しており、需要によってシフト体制を採用する。
シフト:7:00~15:35、13:00~21:35の二交代制で、オペレーターは1時間スライドする。

(2)働き方・休み方改善に関するこれまでの取組と指標活用のきっかけ

1)これまでの取組
以下の取組を実施している。
・トップから課単位で設定した目標を達成するよう長時間労働抑制のメッセージを発信。
・リフレッシュ休暇の取得について、当社独自の年次有給休暇取得強化月間に通達。
・取締役会では所定外労働時間の報告を行っている。
・月100時間以上の長時間労働者は所定外労働時間に応じて産業医の面談を設定しており、受診を義務づけている。それ以外の労働者の受診は本人の希望による。
・年次有給休暇の取得日数はシステム上で閲覧可能であることに加え、給与明細にて通知。
・労使協定により、8月13~16日、12月29~1月4日の営業日について、年次有給休暇の計画的付与を実施。連続休暇としてリフレッシュ休暇の年2回取得を推奨。
・休暇の計画がたてやすいよう、出勤日カレンダーを配布。

2)「働き方・休み方改善指標」活用のきっかけ
長時間労働の抑制や、年次有給休暇取得促進の啓発活動は開始したものの、推進部門として所定外労働や休み方の考え方や方法をまとめきれておらず、部門に対し実のある手をどのように打ったらいいのか思案している。モデル企業として採択されれば、早く、的確に推進していけるのではないかと期待している。

(3)働き方・休み方の現状・背景

1)人事部の課題認識
長時間労働削減は労務管理課の担当、年次有給休暇取得はダイバーシティ担当部署の所管で取組を実施している。中間層の中に、「残業する人が頑張っている人」とみる傾向が残っている。合わせて考課者訓練を受けていないケースもあり、現在の社風や人事部が定める考課基準と実際の評価にずれが生じている。
年次有給休暇については、経営トップ層が取得促進に関して、長時間労働の削減と比較して興味が薄く、休暇取得日数を法定化する法案が出ないと話題にも出しにくい。昨年度の取得率の目標は7割だったが、達成できなかった。
マネジャーによって所定外労働が少ない、年次有給休暇がとりやすい等の傾向はみられるが、休暇の取得しやすさと業績との関連は不明である。部署による偏り、管理職による偏りが生じているので、是正する必要性を感じている。

2)仕事特性と働き方・休み方の現状
①組織体制
社員数は合計1,029名(契約社員含む、2016年4月現在)で、うち男性544名、女性485名である。契約社員の契約期間は一年更新または半年更新の二パターン、パートタイマーは半年契約であり、本社・製造現場・営業現場で勤務する。正社員の男女比は男性79%、女性21%、非正規社員を含む全社では男性53%、女性47%である。
職制は役員、部長、課長であり、課長以上は管理監督者である。グループの規模によっては、一次評価者の補助として、グループリーダーを設置しており、グループリーダーは管理職補佐に該当する。10人程度の課の場合、グループリーダーが2名在籍している。
部門体制は常務6名が領域ごとに所掌している。領域はマーケティング関連、技術生産関連、営業関連、人事・リソース関連、海外事業関連、経営企画関連である。
工場のラインはフルタイムのパートタイマーと派遣社員が担当しているが、工場は拡大傾向にあり、人手不足感が強い。特に機械・電機系の人材の不足感が強い。

②働き方
部門毎の実績を見ると、財務部門の労働時間が多かったが、これは、新規の会計システム導入と運用によるものであり、システムの安定的な運用が可能になれば労働時間は減る。一部担当者に負荷が集中しているが、既に減少傾向に入っている。
技術生産関連は工場と一部研究所の勤務者に長時間労働が多い。正社員のオペレーターの所定外労働が多い。これは、機械の立ち上げと切り替えで作業が発生するためである。機械は自動化が進んでいるが、部材提供等の部分で人手が必要になっている。生産ラインを担当している従業員の大半は有期契約社員である。
技術生産は新製品の開発に合わせて、忙しい時期がある。特に研究所は全社で一か所であるが、各所からの処方のリクエストが定常的に発生しており、一年間を通じて忙しい状態が続いている。
製造の現場では、年明けから夏に向けて季節商材について生産を強化する。そのため、営業は夏が繁忙期である。会社の売上拡大傾向に合わせて、開発・製造は忙しくなっている。現在は冬物商品を強化中である。
マーケティングは年二回の新製品発売に合わせ、業務が繁忙になる。年間を平均すると、1ヶ月あたりの所定外労働時間が45時間を超える人はいない。
毎週水曜日にノー残業デーを設定している。現在は、退社時刻前に定時退社促進の放送を流している。一時は19時に電気を消灯していたが、現在は行っていない。所定外労働については、ウェブ上で事前申請を行っている。工場・研究所は緊急時においては、口頭で申請し、上長である課長が承認するなど、場合によってはウェブでの入力が事後になることもある。時間外労働に対して柔軟な対応が可能な人に、業務が集中することはある。
テレワークについては、在宅勤務制度の対象者拡大を検討中であり、トライアルを昨年度に実施した。導入当初は育児介護、私傷病、妊産婦等の様々な事情がある社員に対して適用することを想定しているが、最終的には対象社員を拡大する予定である。

③休み方
営業はエリアないしストア等の単位で担当者が決まっているが、一日単位で業務を遂行しているわけではなく、代理店経由での販売でもあるため、一日休んだ程度では問題はそれほど生じない。イベントや販売促進の関係で土日出勤が発生する現場も多く、小売店改装のための支援で出勤することがある。その際に発生した振替休日を消化するところで終わってしまい、営業日に年次有給休暇を取得するインセンティブが発生しない。
グループ会社のなかに、国内で美容・サロン向け商品を販売する会社があるが、サロンに休日出勤・閉店時間後に商談が発生する等が恒常的にあるため、年次有給休暇がとりにくい。
全社的に休暇取得により、仕事が停滞することを嫌がる風潮がある。昨年度の「カエルキャンペーン」の実施時にも、現場からは「業務をやりくりしなければ振替休日を取得できない状態で有休を取得できるはずがない」との意見が多かった。

④マネジメント
労働時間管理は、管理職以外の社員については本人による勤怠管理システムへの入力と入退管理カードシステムで把握しており、システム上の時間の乖離について突合を実施し、乖離の理由を把握している。管理職は入退管理カードシステムからのデータ情報だけで、実態との乖離把握は実施していない。勤怠管理システムの時間と入退時間に1日に60分以上差が出ると、アラートが出る仕組みを採用している。
所定外労働時間が個人のシステムで表示され、上長は課員の状況を個人毎に把握でき、状況に応じてアラートを発信できるシステムになっているが、前提として、上長が積極的にシステムを閲覧する必要がある。そのため、評価等に項目をいれないと、積極的に行われない実態がある。
人事評価は目標管理制度とコンピテンシー評価の混合で実施しているが、長時間労働は「頑張っている」との評価に繋がりやすい。本来、時間内に業務を終える従業員を評価するべきではあるが、そのようになっていない。
アウトプットに過剰な品質を求める傾向もある。会議に時間制限なく、そもそもの開催回数も多い。過去には景気変動に合わせて、会議の削減・社内資料の削減が定期的に行われてきた。決して議論上手な会社ではない。
仕事が属人化している傾向がある。中間管理職のプレイングマネジャー化はあるが、以前よりは減少している。

⑤その他
真面目な社員が多い。社長は、ワーク・ライフ・バランスは個人の裁量で実現すべきと考えており、早帰りにも寛容である。
フレックスタイム制度も一部導入しているが、対象者を育児・介護実施者に限定しているため、実際に活用しているのはそれぞれ数人ずつである。育児をしている社員については子が小学校3年生を終了するまでの期間に選択することができる短時間勤務制度も導入しており、年45名程度が利用している。

(4)働き方・休み方に関する課題

1)働き方
中間層の中に、「残業する人が頑張っている人」とみる傾向が残っている。
所定外労働については、ウェブ上で事前申請を行っている。工場・研究所は緊急時においては、口頭で申請し、上長である課長が承認するなど、場合によってはウェブ入力が事後になることもある。
所定外労働時間が個人のシステムで表示され、上長は課員の状況を個人毎に把握でき、状況に応じてアラートを発信できるシステムになっているが、前提として、上長が積極的にシステムを閲覧する必要がある。

2)休み方
イベントや販売促進の関係で土日出勤が発生する現場も多く、小売店改装のための支援で出勤することがある。その際に発生した振替休日を消化するところで終わってしまい、営業日に年次有給休暇を取得するインセンティブが発生しない。
全社的に休暇取得により、仕事が停滞することを嫌がる風潮がある。昨年度の「カエルキャンペーン」の実施時にも、現場からは「業務をやりくりしなければ振替休日を取得できない状態で有休を取得できるはずがない」との意見が多かった。
グループ会社のなかに、国内で美容・サロン向け商品を販売する会社があるが、サロンに休日出勤・閉店時間後に商談が発生する等が恒常的にあるため、年次有給休暇がとりにくい。

3)働き方・休み方共通
社長は、ワーク・ライフ・バランスは個人の裁量で実現すべきと考えており、早帰りにも寛容である。
考課者訓練を受けていないケースもあり、現在の社風や人事部が定める考課基準と実際の評価にずれが生じている。
マネジャーによって所定外労働が少ない、年次有給休暇がとりやすい等の傾向はみられるが、休暇の取得しやすさと業績との関連は不明である。部署による偏り、管理職による偏りが生じているので、是正する必要性を感じている。
人事評価は目標管理制度とコンピテンシー評価の混合で実施しているが、長時間労働は「頑張っている」との評価に繋がりやすい。本来、時間内に業務を終える従業員を評価するべきではあるが、そのようになっていない。
アウトプットに過剰な品質を求める傾向もある。会議に時間制限なく、そもそもの開催回数も多い。過去には景気変動に合わせて、会議の削減・社内資料の削減が定期的に行われてきた。
ターゲットを絞ってのアンケートを実施しているが、一斉でのES調査などは実施していない。
仕事が属人化している傾向がある。真面目な社員が多い。
テレワークについては、在宅勤務制度の対象者拡大を検討中であり、トライアルを昨年度に実施した。導入当初は育児介護、私傷病、妊産婦等の様々な事情がある社員に対して適用することを想定しているが、最終的には対象社員を拡大する予定である。

(5)「働き方・休み方改善指標」診断結果

働き方・休み方に関するアウトプット指標
働き方・休み方に関するアウトプット指標
働き方・休み方に関するアウトプット指標
「働き方・休み方改善指標」による診断結果は以下のとおり。
【労働時間】
週労働時間60時間以上の雇用者の割合は0%であった。
→貴社の週労働時間60時間以上の雇用者の割合は、全国の雇用者の平均値である7.5%(従業員規模1,000人以上のカテゴリ)及び、国の定める目標値5.0%ともにクリアしている。
(36協定で定める労働時間の延長の限度基準である1ヶ月45時間を超える従業員は5.2%(注1)いる。)
(注1) 繁忙月
【年次有給休暇取得率】
年次有給休暇取得率は全従業員平均44.0%であった。
→主要産業の平均値である52.2%(従業員規模1,000人以上のカテゴリ)及び、国の定める目標値70.0%には達していない。
貴社の長時間労働の社員の割合は目標値以上だが、36協定で定める労働時間の延長に関する国の限度基準である1ヶ月45時間を超える社員が存在しているため、働き方の改善が求められる。一方、年次有給休暇の取得率は平均値を下回り、かつ目標値に達していないことから、休み方の改善も求められる。
※「1ヶ月あたりの残業時間が80時間を超える社員の割合」を「週労働時間60時間以上の雇用者の割合」と見なした。
働き方
休み方

(6)課題の整理と改善提案

働き方・休み方に関する課題の整理と改善提案は以下のとおり。

指標項目
現状と課題
対策案
Vision(ビジョン)
項目1
方針・目標の明確化
社長は、ワーク・ライフ・バランスは個人の裁量で実現すべきと考えており、早帰りにも寛容である。
トップによる所定外労働削減・年次有給休暇取得促進を徹底する方針について発信
組織として全社で所定外労働削減、年次有給休暇取得促進の取組を行うためには、これらを経営課題の一つとして位置づけ、その取組の方針について、経営トップの全社に向けた発信が不可欠である。
内容としては、社長の「ワーク・ライフ・バランスは個人の裁量で実現すべき」との考えを踏まえ、限られた時間で如何に効率よく仕事を進めるか、限られた人員で如何に生産性を上げるか、そのための業務の効率化、仕事の進め方の改革が必要であること、所定外労働削減、年次有給休暇取得促進が社員皆の「生活と仕事」の質の向上につながること、などの方向性を示すものとし、個々人の工夫を会社として支援する姿勢・方向性を示すものとする。(なお、具体的な支援方法については、別途、項目7「仕事の進め方改善」の項目を踏まえて検討を行う。)
発信の媒体は社内イントラネット、SNSを活用したコミュニケーションシステムや社員全員に配布される紙媒体の週刊社内報「MPニュース」など既に活用されている様々な媒体を活用し、全社員に届くよう工夫する。
System(システム)
項目2
改善・推進の体制づくり
社長は、ワーク・ライフ・バランスは個人の裁量で実現すべきと考えており、早帰りにも寛容である。(再掲)
マネジャーによって所定外労働が少ない、年次有給休暇がとりやすい等の傾向はみられるが、休暇の取得しやすさと業績との関連は不明である。部署による偏り、管理職による偏りが生じているので、是正する必要性を感じている。
所定外労働時間及び年次有給休暇の部門別の取得状況の共有と事業部門長による改善推進責任体制の構築
所定外労働や年次有給休暇取得状況は、人材の確保・育成という長期的視点からすると業績と共に重要な経営課題であることから、取締役会での所定外労働時間の報告に加えて年次有給休暇取得状況も報告することとする。その際、事業部門及び部レベルでデータを整理して報告することとし、効率的に業務遂行を行い、所定外労働を削減し、年次有給休暇を取得しつつ業績をあげることが重要であると言う視点で資料を整理して報告する。
これによって、事業部門担当役員、部長に所定外労働削減や年次有給休暇取得と業績の両面から効率的に業務を遂行する必要性を認識してもらい、必要に応じて責任を持って対策を検討・実施してもらう体制をつくる。
さらに、そのデータをもとに、所定外労働削減及び年次有給休暇の取得対策を安全衛生委員会等における審議事項とすることにより、所定外労働及び年次有給休暇取得率の部署間の差を埋めるような意識の摺合せを行う。
働き方改革(業務効率化、所定外労働削減、年次有給休暇取得促進など)に関する課題と改善について社員から直接的な意見収集の仕組み構築
業務効率化、所定外労働削減、年次有給休暇取得促進に関する課題と改善の提案について直接的に経営層(具体的には管理部門担当常務宛)に提案できる仕組みをつくる。提案は前項提案「所定外労働時間及び年次有給休暇の部門別の取得状況の共有と事業部門長による改善推進責任体制の構築」において事業部門担当役員、部長に検討材料として提供し、効果があると判断されれば取り組んでもらうこととする。
項目3
改善促進の制度化
所定外労働については、ウェブ上で事前申請を行っている。工場・研究所は緊急時においては、口頭で申請し、上長である課長が承認するなど、場合によってはウェブ入力が事後になることもある。
所定外労働の必要性のチェックと所定外労働事前許可申請ルールの徹底
 所定外労働の申請にあたって、上司はその必要性について十分チェックした上で許可することを徹底する。
所定外労働の事前許可申請ルールの徹底のため、事後申請になってしまった場合の理由を報告させ、また、報告内容の分析及び再発防止対策の実施を部署の長に義務付ける。
イベントや販売促進の関係で土日出勤が発生する現場も多く、小売店改装のための支援で出勤することがある。その際に発生した振替休日を消化するところで終わってしまい、営業日に年次有給休暇を取得するインセンティブが発生しない。
グループ会社のなかに、国内で美容・サロン向け商品を販売する会社があるが、サロンに休日出勤・閉店時間後に商談が発生する等が恒常的にあるため、年次有給休暇がとりにくい。
「記念日休暇」、「誕生日休暇」等のメモリアル休暇の設定
年次有給休暇を取得しにくい状況を改善し、社員一人一人が1日でも2日でも年次有給休暇の取得を増やすことが出来るよう、記念日や誕生日等に年次有給休暇の取得を促すメモリアル休暇制度を設ける。誕生日休暇は、その性格上全ての社員に権利を提供できるため、他の休暇に先駆けてスムースな導入がしやすい。誕生月が繁忙である場合などは、前後の月への休暇の振替を前もって行うルールを設けておく等柔軟な対応を行い、業務への影響を最小限に抑える。
項目4
改善促進のルール化
人事評価は目標管理制度とコンピテンシー評価の混合で実施しているが、長時間労働は「頑張っている」との評価に繋がりやすい。本来、時間内に業務を終える従業員を評価するべきではあるが、そのようになっていない。
管理職の人事考課に部下の労働時間・年次有給休暇取得の状況を評価項目に入れる
企業の発展のためには、人材確保・人材育成を長期的視点でとらえることが重要である。
このため、効率よく仕事を進め、リフレッシュして、自己啓発することが出来る働き方を重視し、それが可能となる働き方を実現できるマネジメントを評価する。このため、部下の労働時間及び年次有給休暇取得の状況、連続休暇としてのリフレッシュ休暇取得状況、メモリアル休暇(前項目3参照)取得状況などを項目に設定し、管理職の意識改善を促す。
Action(アクション)
項目5
意識改善
中間層の中に、「残業する人が頑張っている人」とみる傾向が残っている。
考課者訓練を受けていないケースもあり、現在の社風や人事部が定める考課基準と実際の評価にずれが生じている。
管理職層に対するマネジメント力向上等を目的とした実習型研修及び考課者訓練実施
管理職層に対して、所定外労働削減や年次有給休暇取得促進に向けた取組の推進、自身及び部下のワーク・ライフ・バランス、創造的な業務遂行の意義などについて講義を行う。
次に、研修を通じて、部下の労働時間管理は業務遂行と共にマネジメントの基本的な要素であることの認識を深めさせる。併せて、業務の効率化に向けた研修を行い、定時に仕事を終えることを前提とした仕事の割り振り・時間管理について習得させ、マネジメント力の向上を図る。
その後、具体的な職場における所定外労働削減に向けての取組について、グループワークなどによる実際に即した対策を討議し、取組内容を策定する実習型の研修を行う。
なお、自社の働き方・休み方改善の好事例を事前に収集した上で、研修の中で参考事例として取りあげることも検討する。
あわせて、人事評価の評価基準を定着させるため、実際の評価が評価基準と一致するよう考課者訓練の内容も含める。
真面目な社員が多い。
イベントや販売促進の関係で土日出勤が発生する現場も多く、小売店改装のための支援で出勤することがある。その際に発生した振替休日を消化するところで終わってしまい、営業日に年次有給休暇を取得するインセンティブが発生しない。(再掲)。
一般社員向けの意識改善に向けた研修
真面目な社員が多い中、年次有給休暇を取得してリフレッシュすると共に、消費財メーカーとして、生活者として過ごす時間を経験し、生活者の視点をもつことの重要性を理解してもらう。
内容については、仕事は所定内で終えるのが基本であり、効率的に仕事を遂行して早く退社し、又は年次有給休暇を有効に活用することを通じて、家族と過ごす時間を大事にし、自己啓発や休養、趣味なども含めて、人間性を高め、生活者としての視点から自分の仕事を見つめ直すために使うことを推奨する研修を実施し、社員の意識改善を図る。研修の実施に当たっては、ワーク・ライフ・バランスのとれた働き方は、仕事の質の向上につながることを実感できるようなものとし、その実例についても紹介することを通じて、年次有給休暇取得や所定外労働削減に向けた意識の変革を図る。
項目6
情報提供・相談
所定外労働時間が個人のシステムで表示され、上長は課員の状況を個人毎に把握でき、状況に応じてアラートを発信できるシステムになっているが、前提として、上長が積極的にシステムを閲覧する必要がある。
(現在は課長と部長に対して部下の所定外労働時間が45時間を超えた人が居る場合は、その情報をメールで配信している。)
課長への部下の労働時間集計データの配信方法の工夫
課長は部下の労働時間をシステム上見ることが出来る状態にある。そのうえ、現在は課長と部長に対して、毎月、部下の所定外労働時間が45時間を超えた人が居る場合は、その超えそうな人毎に情報をメールで配信している。また毎月、前月の所定外労働実績時間数についても部毎に集計して配信している。これらの情報を部下の労働時間管理に効率的に使ってもらうため、月のなかばで集計した時間数について所定外労働の多い人、このペースで所定外労働が続いた場合の月末45時間を超えそうな人の情報など、すぐに解る形に集計してメール等で配信・提供し、それをもって部下の労働時間管理等にさらに有効に活用してもらうための方法を検討する。
マネジャーによって所定外労働が少ない、年次有給休暇がとりやすい等の傾向はみられるが、休暇の取得しやすさと業績との関連は不明である。部署による偏り、管理職による偏りが生じているので、是正する必要性を感じている。(再掲)
成果を挙げつつワーク・ライフ・バランスを達成出来ている組織の要因の分析とその優良事例の共有
マネジャーによってワーク・ライフ・バランスの取組を進めている組織、年次有給休暇が取れていて業績も上がっている組織がある。これらは何らかのあるきっかけから取組が進み、その業績とワーク・ライフ・バランスの進展が相互に効果を持ったと考えられることから、そのうまく行っている要因を分析し、明らかにする。
その好事例を社内のイントラネットなどを通じて社内で共有する。あわせて項目5意識改善における「管理職層に対するマネジメント力向上等を目的とした実習型研修」、「一般社員向けの意識改善に向けた研修」において教材として活用する。
イベントや販売促進の関係で土日出勤が発生する現場も多く、小売店改装のための支援で出勤することがある。その際に発生した振替休日を消化するところで終わってしまい、営業日に年次有給休暇を取得するインセンティブが発生しない。(再掲)
年次有給休暇取得による有意義なoffの活動を行うことに関する情報提供
 振替休日は本来休日である土日の出勤の替わりであることを改めて認識してもらい、別途、年次有給休暇を取得することによって自己啓発や休養、趣味なども含めて、人間性を高めるために使うことを推奨する。あわせて、そのoffの活動の際の社員のいきいきした姿、その活動によって得られるものなど社員の活動情報を、既に行っている会社以外の活動報告を充実して、紙媒体の週刊社内報「MPニュース」などを通じて提供する。
項目7
仕事の進め方改善
全社的に休暇取得により、仕事が停滞することを嫌がる風潮がある。昨年度の「カエルキャンペーン」の実施時にも、現場からは「業務をやりくりしなければ振替休日を取得できない状態で有休を取得できるはずがない」との意見が多かった。
業務の棚卸・遂行方法の見直しを行う
休むと仕事が停滞するという状況について、これを改善するためには業務の棚卸・遂行方法の見直しが必要と考えられる。仕事の遂行のスパンが1日、1 週間など長短様々あると思われ、また、重要度も様々であると想定されることから、重要度と時間的優先度の視点から改めて業務の棚卸を行い、重要かつ優先的に行うべき業務から廃止可能な業務まで整理を行い、不要な業務を廃止することで、業務負荷の軽減を図る。その上で、重要度と時期的優先度を考え合わせて、業務処理の優先度を決めることを通じて、年次有給休暇を取得しても仕事が停滞しない状況をつくる。
テレワークについては、在宅勤務制度の対象者拡大を検討中であり、トライアルを昨年度に実施した。導入当初は育児介護、私傷病、妊産婦等の様々な事情がある社員に対して適用することを想定しているが、最終的には対象社員を拡大する予定である。
テレワーク、在宅勤務の導入検討
在宅勤務制度やテレワークは、働き方の選択肢を増やすことにつながり、効率的な業務遂行にも資するものであることから、積極的に導入を推進する。
前項の業務の棚卸・遂行方法の見直しを踏まえ、会社内でなくても実施可能な業務、一人で実施可能な業務など識別する。これをもとに昨年度、トライアルで実施した在宅勤務制度を可能な限り拡大する方向で検討を行う。
アウトプットに過剰な品質を求める傾向もある。会議に時間制限なく、そもそもの開催回数も多い。過去には景気変動に合わせて、会議の削減・社内資料の削減が定期的に行われてきた。
社内報告資料内容の簡素化及び枚数上限設定
社内報告のための資料などの内容について必要性の再検討を行い、簡素化・標準化を検討する。検討にあたっては、社内横断的に各部署から構成される委員会又は検討ワーキングなどを作り、各部署から資料の簡素化に対する意見を収集し、簡素化の案を取りまとめる。その際、資料枚数の上限を設定し、その範囲内で作成するルールを定める。
会議の効率化と必要性の検討
会議の効率化に関しては、出席している会議に完全に集中する(メールや電話は禁止等)、貴重な時間を最大限有効に活用するように会議を実施(明確な意思決定、会議に必要な人のみが出席等)等の取組を行う。また、会議の必要性に関しても検討し、連絡・周知の目的であれば他の手段に代替することなど検討する。
仕事が属人化している傾向がある。
業務の組織的遂行体制の構築
 仕事が属人化していることは、例えば、その社員が不在になれば業務が停滞するなど、会社組織としてリスクを含んでおり、また、働き方・休み方の改善に向けた課題とも考えらえる。このリスクを回避するため、業務を組織的に遂行する体制を整備するとともに、効率的・効果的な仕事の進め方について社内で共有する。
 業務の組織的遂行に関しては、業務範囲を他のメンバーとダブらせるなど、協力しあう体制を検討する。
 効率的・効果的な仕事の進め方について社内で共有については、SNSを活用したコミュニケーションシステムなども活用する。
Check(チェック)
項目8
実態把握・管理
ターゲットを絞ってのアンケートを実施しているが、一斉でのES調査などは実施していない。
社員意識調査の実施・分析
特定の目的のための社員アンケートは実施しているものの、一斉かつ定期的な社員意識調査は実施していない。モラール、働き方、休み方、評価、処遇について社員の意識を定期的に把握し、分析することで、働き方・休み方改善のための施策を検討する際の資料とすることができる。
上記の社員意識調査以外にも、長時間労働や年次有給休暇の取得が低調な部署、個人に対して、ヒアリング等の方法により実態を把握し、分析することで、改善の取組の実効性を高める。

(7)改善提案の活用

提案の活用、取組状況に関しては以下のとおり。

1)トップによる所定外労働削減・年次有給休暇取得促進を徹底する方針について発信
  所定外労働削減に関して取り組み始めた。所定外労働時間削減(4月~3月)の取組は役員から通達し、経過及び成果確認後、改めてトップによる情報発信を検討。期首に方針発表(通達・社内報などの手段も検討)。年次有給休暇取得促進に関してはすぐに実施は難しいが検討したい。

2)所定外労働時間及び年次有給休暇の部門別の取得状況の共有と事業部門長による改善推進責任体制の構築
  取り組み始めた。2016年4月度より所定外労働時間削減について取組を行っている。その中で、人事部と経営企画部が主体となり推進、各部門目標として前年比40%の所定外労働時間削減とする、経過を役員会議にて報告。その結果、2016年度所定外労働時間に対して上半期削減経過(4月~9月)40%削減目標に対して20%削減。大幅削減であるが目標未達成。

3)働き方改革(業務効率化、所定外労働削減、年次有給休暇取得促進など)に関する課題と改善について社員から直接的な意見収集の仕組み構築
  取り組み始めた。働き方改革の取組意向についてアンケート調査の実施。内容は、在宅勤務、テレワーク、フレックス勤務、スライド勤務等に対する課題、要望など情報収集を行い、時間単位生産性を高め、より成果をあげながら働くために働く場所や時間の融通性を高めることが有効であるとの回答を得た。

4)所定外労働の必要性のチェックと所定外労働事前許可申請ルールの徹底
  取り組み始めた。所定外労働事前許可/申請ルールを部門ごとに徹底。就業夕礼時に申請者は目的と退社予定時間を公表。公表後に所定手続きにより事前申請。その結果、所定外労働の事前確認ルール定着、所定外労働時間の削減(前年比較)。

5)「記念日休暇」、「誕生日休暇」等のメモリアル休暇の設定
  取り組み始めた。プラスワン休暇の推奨による年次有給休暇消化促進を図る。厚労省作成のプラスワン休暇カレンダー活用した強化策を実施(休暇促進の通達及び休暇ポスター掲示による啓発促進活動)。

6)管理職の人事評価に部下の労働時間・年次有給休暇取得の状況を評価項目に入れる
  実施に向けて検討。来期の管理職評価制度2017年度(4月~3月)に反映。人事評価に部下の労働時間管理、有給休暇消化を反映する方向で制度変更。

7)管理職層に対するマネジメント力向上等を目的とした実習型研修及び評価者訓練実施
  実施に向けて検討。管理職が部下との目標設定、評価、管理に対し人事部も参画支援し、取り組みチェックを行う。

8)課長への部下の労働時間集計データの配信方法の工夫
  取り組み始めた。月次で本人と所属長単位(課長)に勤務状況(所定外労働時間含む)が確認できる仕組としている。また、過重労働予防策として月間の所定外労働時間範囲を超えた場合に自動的に所属長に対し警告配信できる仕組を導入。現状、上半期実績前年比較20%削減。

9)成果を挙げつつワーク・ライフ・バランスを達成出来ている組織の要因の分析とその優良事例の共有
  すぐに実施は難しいが、検討したい。部門毎の年間集計が終了時に、共有化について検討。

10)業務の棚卸・遂行方法の見直しを行う
  すぐに実施は難しいが、検討したい。所定外労働時間削減への取り組み、途中経過時点ではあるが、部門の成果(サクセス・アンサクセス)への内容集約作業(業務棚卸し作業)を実施。最終分析から、今後の施策方針を検討予定。

11)テレワーク、在宅勤務の導入
  取り組み始めた。現在、介護・育児勤務者などを対象にテスト導入中。4月度より一部条件はあるものの在宅勤務制度を本格導入。更に全従業員対象として拡大する予定。

12)会議の効率化と必要性の検討
  実施に向けて検討。経営企画部門から会議の実態調査中(部署毎の会議内容/重複状況)。


13)社員意識調査の実施・分析
  実施に向けて検討。職場環境、働き方など意見収集について自己申告制度が存在。自己申告制度を活用することにより社員満足度、職場環境、働き方意識等の実態把握・分析を検討。

(8)「働き方・休み方改善指標」活用の効果(結果)

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(平成28年度事業)

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