E社(2015年度)

(1)企業概要

社名
E社(2015年度)
PDF
業種/事業概要
運送業/外航海運業
従業員規模
500名程度
本社所在地
東京都
労働時間制度
フレックスタイム制度(コアタイム10:30から15:30)
フレキシブルタイム 5:00から22:00
標準始業終業時刻 9:00から17:00(休憩時間60分)標準所定労働時間7時間00分

(2)働き方・休み方改善に関するこれまでの取組と指標活用のきっかけ

1)これまでの取組
ノー残業デー(毎週水曜日)を奨励しているがフレックスタイム制度を活用しているため、義務・強制の取組ではない(18:30までの退社を奨励)。
部署別の所定外労働時間及び年次有給休暇取得実績の社内公表。
部署別に自ら年次有給休暇の取得目標値を設定。
今年度より、育児・介護を行う社員を対象に在宅勤務制度を導入。
働き方を考慮した、スーパーフレックス(コアタイム無し)の選択。

2)「働き方・休み方改善指標」活用のきっかけ
第三者の指摘・アドバイスにより、社員が自主的・積極的に効率的な働き方・休み方を意識し実行するための施策のヒントが得られることに期待している。

(3)働き方・休み方の現状・背景

1)人事部の課題認識
これからは、人事部主導の施策に加えて、各部署において自主的に今以上の業務効率化・働き方の改善に取り組むことが必要と考えている。
非管理職層の所定外労働が多い。
特に管理職層の年次有給休暇取得率が低い。

2)仕事特性と働き方・休み方の現状
①組織体制
部の下に課があり、課が組織の最小単位である。
担当執行役員→部長→副部長→課長。
人事異動は部門を超えて行うため、例えば、人事部から営業部門に異動することもある。人材が不足する場合等に兼務を行うこともある。
社員の区分には総合職と一般職があり、現在男女とも一般職採用は行っていない。総合職の女性は、30代以下は3割程度、40代以上は5%程度。全社員のうち女性は3割程度である。

【事業の状況】
海運事業(貨物輸送)が主軸である。輸送に使用する船は半分以上が傭船※である。国内外問わず顧客を抱える。また、国内外の売上の比率は部門により異なる。
傭船は一定期間での契約もあれば、一航海だけの契約もある。輸送の注文に対して、必要となる船を適切に調達することも営業の業務の一つである。
海運業界は、国内市場は縮小傾向にあり、海外市場に事業を拡大しなければならないが、海外は国内と比べて、さらに競争が厳しい。
海運業は、国内外経済(景気)に左右されやすい。中国経済が今より盛況のころ、船の需要も高く造船も盛況であったが、現状はその反動で船が余っている。余った船を無くしたい、より船の稼働率を高めたいとの意識により過当競争となり、自社で所有する船の貨物の運搬価格も下げざるを得ない状況にある。
船で働く社員(「海技者」という)もいるが、働き方が特殊であるため、本診断の対象は本社勤務の社員とする。
※傭船:船上で働く船員の雇い入れを含めて輸送船を借り入れるもの。

②働き方
国内外の担当の違い等により、働き方・休み方に違いがある。時差の関係で、例えば、大西洋の航路船担当であると働き方が夜寄りとなり、退社が遅くなりがちである。同様に海外現地スタッフへの対応が必要となる担当者は夜寄りの働き方になり、退社が遅くなりがちである。
部署自ら業務量の平準化(担当隻数振り分けの際の調整など)や見える化を行うことができるようにしたいが、具体的な取組は一部にとどまっている。
帰宅しても「したいこと・すべきこと」が無い等の理由で、必要以上に労働時間が長くなる社員がいる可能性があると人事では考えているが、実態把握はできていない。

【繁忙期】
例えば、経理部、人事部、総務部の繁忙期は以下の通り。各部署とも、繁忙期には36協定の特別条項の最大延長時間の付近まで所定外労働が発生する場合もある。各部署個人ベースでは、所定外労働が特別条項の最大延長時間近くまでに及ぶものもいるが、部署や職務別に社員平均を取ると、多くても40時間~50時間台である。
(経理)決算期・四半期決算時期・予算策定期
(人事)労使交渉時期・採用期・人事異動計画期
(総務)株主総会前の時期等
夏期に年間で最大の人事異動があり、年間の人事異動全体の7割がこの時期に集中している。その為、異動に伴う引き継ぎ等を行う引き継ぎの時期は全部署で忙しい。
このように、繁忙期は特定できているが、その期間に限定した非正規社員の増員等による対応は行っていない。

③休み方
土曜、日曜、祝祭日、メーデー、及び年末年始が所定休日である。また、夏季休暇・冬季休暇(年末年始)がある。夏季休暇は夏季の一定の期間に特別休暇(有給)として7日付与する(取得は連続で無くて良い)。
冬季休暇は、冬季の一定の期間に5日取得を奨励しており、年次有給休暇以外の特別休暇を付与しているわけではないものの、年次有給休暇の取得による休暇取得を推進している。
H24.4からH25.3 の年次有給休暇平均取得日数は7.2日、夏季休暇の平均取得日数は5.6日である。
年次有給休暇は、年代に関係なく積極的に取得する者、取得しない者が存在する。
取得が低調な原因は、業務多忙の他、個人の意識によるものもあれば、所属部署の考え方が原因である可能性もあると考えている。
人事部としては、上司の年次有給休暇に対する意識が部下の年次有給休暇の取得実績に影響を与えているかもしれないと考えている。部署別に定める年次有給休暇の取得目標も、所属する部署によって目標日数が異なる。目標水準が高い部署は、上長も率先して取得する・推奨することが考えられるため、部署全体としても取得もしやすい環境にあると考えられる。
   
④マネジメント
【トップの意識・組織風土】
数年前にトップが所定外労働の削減に関するメッセージを発信し、併せて、人事部が所定外労働時間削減のための具体的な取組について検討を行った。
全社的に、上司が帰らないから帰ることができないような風土ではないと考えている。しかし、個人的に帰りにくいと感じている社員はいるかもしれず、また、若手社員などで、業務の成果が期待値・目標値に達していない場合等に、頑張りを労働時間で見せたいという考えはあるかもしれないと人事では考えているが、実態は把握できていない。

【労働時間についての制度等】
部署への入退室に社員カードキーによる錠の解除が必要となっており、社員各自の始業・終業時刻の自己申告システムに記録された入退室時刻により労働時間管理を行っている。人事部は両方の記録を月ごとに突き合わせて、乖離の有無をチェックする。乖離の時間が月間合計20時間以上認められた場合は、該当社員の上長に報告して理由及び改善検討の説明を求め、また、自己申告が誤りであった等の場合には修正申告を求めている。20時間以上のズレを確認した場合、当該月の日々の時間の乖離も確認する。
管理職は、イントラネットを活用して、所定外労働時間数や年次有給休暇取得実績のグループ別、個人別のリストを確認できる。また部長、副部長などには部下全員の労働時間等の状況をメールで送付し、状況把握を促している。
所定外労働を行う場合は、特段手続きは必要なく、上長が黙示的に指示した前提で行われている。
全ての部署でフレックスタイム制を採用しており、全社員が対象である。
ノー残業デーがあるが、フレックスタイム制度を活用しているため、推奨に留まり強制するルールでは無い為、あまり機能していない。
四半期ごとに、全社一斉定刻退社日があり、よほどの理由が無い限り標準所定終業時間である17時に退社するルールとしている。当日やむを得ない理由がある場合、部署単位で必ず別日に振り替えて定時退社を行うことで、ほぼ適切に運用できている。

【休暇についての制度等】
今年度から、部署別に自ら年次有給休暇の取得目標値を設定する取組を始めた。今年度の年次有給休暇の取得目標は最低5日と定めており、部署ごとに取得目標を立てる。目標の設定状況については、最高で12日であり、最低基準の5日の部署は3割程度ある。
月一回の年次有給休暇の取得の奨励を、上司が部下に自主的に助言する部署もある。
夏季休暇の取得ができていない部署(部署単位で抽出)に対しては、副部長に通知し、通知を受けた副部長は現状を確認し対策を人事部に報告する。昨年度は、報告を受けた人事部は、その後の取得状況をチェックしていたが、今年度は現状行っていない。
記念日等に年次有給休暇の取得を促す制度はない。
年次有給休暇制度利用促進のための情報提供、制度利用事例の提供等は行っていない。
年次有給休暇の取得の低調な社員に対する、個別の取得奨励などは行っていない。

【採用・定着等】
新卒を25名程度採用している。
中途採用を行っているが、募集・採用人数は少ない。
自発的離職者は、新卒3年以内離職で1名程度と少ないため、特定の年齢層が多いなどの社員の特定人口層の偏りはない。

【教育・研修】
働き方・休み方に特化した研修ではないが、階層別研修として新任管理職に対して労務管理の話の中で、労働時間管理や年次有給休暇取得推進について教育を行っている。しかし、管理職層の年次有給休暇取得率は低調である。

【評価・人事考課】
目標管理制度により、業績評価・能力評価・プロセス評価(プロセス評価は非管理職層のみ)を行う。年度初めに目標を立て、年度末に評価する。
年次有給休暇の取得状況に関連する評価は行われていないが、今後法令によって、事業主に、従業員に対する年次有給休暇の取得日数を一定日数(例えば5日)確保することが義務付けられた場合、定められた取得日数を評価に組み込むことは可能と考える。

⑤その他
安全衛生委員会において長時間労働の抑制等についても議論している。
効果的・効率的な仕事の振り分け方や業務の工夫等の、好事例の把握及び共有はできていない。
在宅勤務制度を今年度から導入している。社外からイントラネット、メールにもアクセスができる。現在は対象者を育児・介護従事者に限定しており、現在の対象者以外の社員への制度拡大については未定である。
各部署における人材の過不足は人事部が分析し、新規の人材確保(増員)を決定する。
働き方・休み方に関する社員意識調査は行っていない。

(4)働き方・休み方に関する課題

1)働き方
人事異動は部門を超えて行うため、例えば、人事部から営業部門に異動することもある。人材が不足する場合等に兼務を行うこともある。
時差の関係で、例えば、大西洋の航路船担当であると働き方が夜寄りとなり、退社が遅くなりがちである。同様に海外現地スタッフへの対応が必要となる担当者は夜寄りの働き方になり、退社が遅くなりがちである。
繁忙期は特定できているが、その期間に限定した非正規社員の増員等による対応は行っていない。
所定外労働を行う場合は、特段手続きは必要なく、上長が黙示的に指示した前提で行われている。

2)休み方
記念日等に年次有給休暇の取得を促す制度はない。
年次有給休暇制度利用促進のための情報提供、制度利用事例の提供等は行っていない。
年次有給休暇の取得の低調な社員に対する、個別の取得奨励などは行っていない。
年次有給休暇の取得状況に関連する評価は行われていない。
働き方・休み方に特化した研修ではないが、階層別研修として新任管理職に対して労務管理の話の中で、労働時間管理や年次有給休暇取得推進について教育を行っている。しかし、管理職層の年次有給休暇取得率は低調である。

3)働き方・休み方共通
部署自ら業務量の平準化(担当隻数振り分けの際の調整など)や見える化を行うことができるようにしたいが、具体的な取組は一部にとどまっている。
効果的・効率的な仕事の振り分け方や業務の工夫等の、好事例の把握及び共有はできていない。
働き方・休み方に関する社員意識調査は行っていない。

(5)「働き方・休み方改善指標」診断結果

働き方・休み方に関するアウトプット指標
働き方・休み方に関するアウトプット指標
働き方・休み方に関するアウトプット指標
「働き方・休み方改善指標」による診断結果は以下のとおり。
【労働時間】
週労働時間60時間以上の雇用者の割合は8.9%であった。

→貴社の週労働時間60時間以上の雇用者の割合は、全国の雇用者の平均値である8.7%(社員規模100人~999人のカテゴリ)及び、国の定める目標値5.0%をともに下回っている。
(36協定で定める労働時間の延長の限度基準である1か月45時間を超える社員は46.8%(注1)いる。)
(注1)繁忙期における値。
【年次有給休暇取得率】
年次有給休暇取得率は全社員平均37.1%であった。

→主要産業の平均値である43.4%(社員規模100人~999人のカテゴリ)及び、国の定める目標値70.0%をともに下回っている。
貴社の長時間労働の社員の割合は主要産業の平均値に到達していない為、働き方の改善が求められる。また、年次有給休暇の取得率も、主要産業の平均値に到達しておらず、休み方の改善が求められる。
※「1ヶ月あたりの残業時間が80時間を超える社員の割合」を「週労働時間60時間以上の雇用者の割合」と見なした。
働き方
休み方

(6)課題の整理と改善提案

働き方・休み方に関する課題の整理と改善提案は以下のとおり。

指標項目
現状と課題
対策案
System(システム)
項目2
改善・推進の体制づくり
効果的・効率的な仕事の振り分け方や業務の工夫等の、好事例の把握及び共有はできていない。
働き方・休み方改善の推進に向けた社内体制(ルール)の構築
労働時間や年次有給休暇取得の状況が優れている部署等の働き方・休み方の実態を抽出し、安全衛生委員会でも情報共有を行い、全社的に展開するための方策検討を協議事項とするなど、働き方・休み方の改善推進について労使で検討するための社内体制の推進を行う。
推進のための検討組織・委員会は、多様な社員を構成員とすることで、推進するためのルール等に対するやらされ感を軽減して、主体的に取組に参加する意識を醸成することができる。
また、「項目4」の研修の場において好事例部署による、事例発表の機会を設けるなど、好事例を全社に展開できるフローを検討する。
項目3
改善促進の制度化
記念日等に年次有給休暇の取得を促す制度はない。
「記念日休暇」、「誕生日休暇」等のメモリアル休暇の設定
記念日や誕生日等に年次有給休暇の取得を促すメモリアル休暇制度を設ける。誕生日休暇は、その性格上全ての社員に権利を提供できるため、他の休暇に先駆けてスムースな導入がしやすい。
項目4
改善促進のルール化
時差の関係で、例えば、大西洋の航路船担当であると働き方が夜寄りとなり、退社が遅くなりがちである。また、海外現地スタッフへの対応が必要となる担当者は夜寄りの働き方になり、退社が遅くなりがちである。
柔軟なフレックスタイム制の運用効果等のチェック
働き方によっては、スーパーフレックスを活用しているにもかかわらず、「夜寄りの働き方社員」の退社が遅い等の課題を抱える。例えば、夜寄りの業務を遂行することが分かっている社員に対して、昼間(例えば午前中)から必ず遂行する必要があるような業務が割り振られていないか。担当している業務が過多になっていないかなどをチェックする。
年次有給休暇の取得状況に関連する評価は行われていない。
管理職の人事評価項目に休暇取得目標達成度に関する項目を設定する
年次有給休暇の取得促進は、社員の労働生産性を高め、質の向上、優秀な人材の確保その他さまざまな効果が期待できる。人事評価への組み込みが可能という点を踏まえ、現在の部下の労働時間管理に対する評価に加えて、部署ごとに設定した年次有給休暇の取得目標の達成度を評価項目に組み込み、目標達成に対する意識を高める。
Action(アクション)
項目5
意識改善
働き方・休み方に特化した研修ではないが、階層別研修として新任管理職に対して労務管理の話の中で、労働時間管理や年次有給休暇取得推進について教育を行っている。しかし、管理職層の年次有給休暇取得率は低調である。
管理職向け「働き方・休み方教育・研修」による意識の醸成を行う
年次有給休暇の取得促進のためには、管理職本人の意識改革を行うことが必須である。そこで、管理職本人の休み方改善を推進するための研修を行う。
また、働き方・休み方に課題のある部下の長時間労働の抑制及び年次有給休暇取得を促進するため、部下の働き方・休み方マネジメント教育・研修を行う。
今年度の取組である年次有給休暇の取得目標の設定と関連付けるため、それぞれの目標達成を後押しする研修の準備を進めることが望まれる。
それぞれの研修は、集合研修に限らず、個別研修やe-ラーニング等でも可能である。
一般社員向けの働き方・休み方についての教育・研修を行う
一般社員に比べて、管理職に多いとされる年次有給休暇の取得状況が管理職で低調な傾向にあるが、一部の一般社員にもその傾向が存在することがヒアリングによって明らかにされている。そこで、一般社員についても、上司からの指示に従って休暇を取得するのみにとどまらないように、休養の重要性、長時間労働と健康・仕事効率の関係などを従業員に認知してもらう。
フレックスタイム制であるため、フレックスタイムの開始期間の初旬には、一般社員の労働時間の認識が低い可能性もある。当該期間における総労働時間に対する認識を深め、「帰ってもやることが無い」等の理由から会社に残ってしまうような社員を無くすための対策としても、意識改革研修を有効に活用する。また、帰りにくい風土はないとしながらも、「帰りにくい」と考える社員がいる可能性がある点も踏まえ、「項目8」の意識調査と並行して、意識改革研修においても、「帰りにくい」意識を改革できるように研修を行う。
さらに、若年層などが、「会社に十分な貢献ができていない分、労働時間で頑張りを見せる」と考えてしまうような意識も、研修により改善を図る。
また、上記の教育・研修の実施に当たっては、全従業員の受講を義務とする教育・研修とする(集合研修に限らず、e-ラーニング等でも可能)。
また、座学による研修の他、ワークショップ形式による、課題解決型の研修も有効である。
所定外労働を行う場合は、特段手続きは必要なく、上長が黙示的に指示した前提で行われている。
清算期間における総労働時間を超える労働時間の適正な管理
フレックスタイム制の場合、清算期間中の総所定労働時間を超えた部分について所定外労働となり、通常の労働時間制度とは異なり、日々の所定外労働時間数を確認することはできず、清算期間の後半になって所定外労働時間の状況が分かり、その時点で労働時間の抑制に努めても効果的な対策を講じることができない側面がある。
そこで、半月(または法定の総枠171.4時間の半分)、10日(または法定の総枠171.4時間の1/3)等期間や労働時間数で区切り、労働時間の状況について本人や上司に対して情報提供を行い、所定外労働・長時間労働の抑制を図る。
項目6
情報提供・相談
年次有給休暇の取得の低調な社員に対する、個別の取得奨励などは行っていない。

休暇制度利用促進のための情報提供、制度利用事例の提供等は行っていない。
年次有給休暇取得率の低い上司自身及び取得率の低い部下を持つ上司に対して、一定期間ごとにメール配信を行う
一定期間ごとに、年次有給休暇の取得目標値を下回る場合、人事からトップの代理として、上司自身、取得の低調な部下の上司に対して、定期的にメール等で注意喚起を行うことを検討する。「項目4」の評価も関連づけられている場合、上司本人にとっても情報提供によって注意喚起がなされれば、本人及び部署双方への効果が期待できる。
年次有給休暇取得率の低い一般社員に対して、一定期間ごとにメール配信を行う
一般社員に比べて、管理職に多いとされる年次有給休暇の取得状況が管理職で低調な傾向にあるが、一部の一般社員にもその傾向が存在することがヒアリングによって明らかにされている。そこで、一般社員にも一定期間ごとに、年次有給休暇の取得目標値を下回る場合、人事からトップの代理として、定期的にメール等で注意喚起を行うことを検討する。
項目7
仕事の進め方改善
部署自ら業務量の平準化(担当隻数振り分けの際の調整など)や見える化を行うことができるようにしたいが、具体的な取組は一部にとどまっている。

繁忙期は特定できているが、その期間に限定した非正規社員の増員等による対応は行っていない。

人事異動は部門を超えて行うため、例えば、人事部から営業部門に異動することもある。人材が不足する場合等に兼務を行うこともある。
業務の棚卸・業務の再分配を行う
試験的に、特定の部署で業務の棚卸を行い、部署内の仕事の平準化を試みる。業務の棚卸の結果、正社員の業務のうち事務作業等のルーティン業務について代替社員の活用を検討する。
人事異動の集中する時期には、全部署で多忙とのことであるが、棚卸によってマニュアル化できる業務が見つかれば、これまでよりスムースな引継ぎ業務が可能となり、労働時間の削減が期待される。
部署兼務は、業務量の増加につながる。また、両方の業務を同時に管理し遂行することは、やりがいを感じる社員もいるかもしれないが、大きなストレスに繋がってしまうリスクもある。この点においても、代替社員の活用を検討し、代替社員に任せる業務、正社員が行う業務を明確にできれば、業務の効率化、働き方改革の推進につながる。
Check(チェック)
項目8
実態把握・管理
働き方・休み方に関する社員意識調査は行っていない。
定期的に社員意識調査の実施する
定期的に社員意識調査を実施し、社員の働き方・休み方に対する意識等を定期的に把握・分析するとともに、必要に応じて、当該分析結果を安全衛生委員会の議事として取り上げるなど、労使双方で議論ができる場にて情報を共有し、働き方・休み方改善に向けた対策について検討を行う。

(7)改善提案の活用

提案の活用、取組状況に関しては以下のとおり。
1)「記念日休暇」、「誕生日休暇」等のメモリアル休暇の設定
年休取得促進のための一案として検討したい。
2)管理職向け「働き方・休み方教育・研修」による意識の醸成を行う
現在実施している研修の内容の見直しを必要に応じて行いたい。
3)業務の棚卸・業務の再分配を行う
試験的な実施について、可否を検討したい。

(8)「働き方・休み方改善指標」活用の効果(結果)

2016年9月に専務を委員長とする「働き方改革委員会」を設立し、10%の生産性向上を目標に掲げた。具体的には、決裁書の電子化と手続きの簡素化、次世代リーダーの育成と組織の活性化を目的とした新たな人事制度のトライアル、終日在宅勤務のトライアルなどをスタートした。また、「働き方改革委員会」によるメルマガを発信し、他社の取組事例や効率的な会議の進め方などを紹介し、意識の醸成を図った。取組自体がスタートしたばかりであり、これからの効果に期待したい。

(平成27年度事業)

事例を評価する