あかつき社会保険労務士法人
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
- ワークエンゲージメント
企業情報
| 企業名 |
あかつき社会保険労務士法人
|
|---|---|
| 所在地 |
広島県
|
| 社員数 |
9名
|
| 業種 |
サービス業(他に分類されないもの)
|
取組事例
| 取組の目的 |
「誰かのために働くことが、自分らしく生きるための手段であってほしい。」という理念のもと、当法人では、育児や介護などのライフイベントを理由にキャリアを諦めない働き方を目指してきました。しかし、過去にはお客様から求められたこと全てに応えようとした結果、働く人に負担がかかりすぎてしまい、2021年に離職が相次ぎました。
この経験から、テレワークやフレックスといった制度の導入だけでなく、働きやすさとやりがいのバランスが取れた幸せな組織を目指して、業務フローの見直しに着手しました。 |
|---|---|
| 取組の概要 |
・業務フローの見直し(属人化の解消・チーム制への移行)
以前は「1企業1名担当制」で、スタッフ全員が企業ごとに幅広い業務を抱える属人化した体制でした。この仕組みでは、担当者の裁量によって企業対応の幅やサービス内容が異なり、提供品質にバラつきが生じていました。また、特定の担当者に業務が集中しやすく、負担を抱え込みやすいほか、担当交代時に業務範囲や対応方針の認識に差があり、新任者が対応に戸惑うケースもありました。こうした課題を解消するため、2022年より業務をタスク単位で可視化し、複数名で1つの顧問先を担当する「チーム制」に変更しました。チーム内で進捗を共有し、各メンバーが互いの業務内容や担当状況を把握し、負担が偏らないよう調整できる体制を整えています。 ・残業時間の削減 業務フローの見直しに合わせ、提供サービスの範囲を整理しました。採用支援などの人事領域のサービスを終了し、コア業務である労務相談・手続き・給与計算といった労務領域に重点を置くことで、業務量の標準化と集中化を図りました。また、顧客対応・手続き・給与計算にそれぞれ専門担当を設け、処理工程の標準化と効率化を進めています。 ・有休取得推進:チーム制により、業務を誰でも引き継げる体制を整備し、業務進捗を共有する仕組みを作りました。これにより、計画的な休暇取得を後押ししています。また、代表自身が率先して休暇を取得することで、スタッフが休みやすい雰囲気をつくるほか、長期休暇をまとめて取得することを推奨しています。 ・柔軟な働き方:テレワーク・フルフレックス・週30時間勤務の短時間正社員制度を導入し、家庭の事情や急な予定変更にも対応できる柔軟な働き方の仕組みを整えています。学校行事や家族の体調不良など、家庭の都合に合わせて在宅勤務へ切り替えたり、日中の中抜け勤務を認めたりと、スタッフが自らの裁量で働き方を選択できる環境を整備しました。制度運用にあたっては、課題や改善点が見つかった際に全員で意見を出し合い、最終的な方針はリーダーが判断する「衆議独裁」の形を採用しています。このプロセスにより、全員が納得感を持って制度運用を進められる体制を維持しています。 |
| 現状とこれまでの取組の効果 |
今回の取組は、単に働きやすい制度を整えることだけを目的としたものではありません。業務フローを見直し、各分野に専門担当を配置することで、労務相談・手続き・給与計算の各領域における専門性を高め、プロフェッショナル集団としての組織づくりを目指しました。スタッフ一人ひとりが専門分野を深めながら、互いに支え合う体制を構築したことで、働きやすさとサービス品質の両方を向上させることができました。
①残業時間の大幅な削減 業務フローの見直しと分業制の導入により、2021年には月45時間を超える残業が発生することもありましたが、2025年現在ではほとんど発生しない状態となっています。サービス範囲を整理し、コア業務への集中を進めたことで、スタッフ一人ひとりが計画的に業務を進められるようになっています。 ②有給休暇の取得促進 チーム制により業務を共有できるようになったことで、担当者の不在時にも業務が滞ることがなくなり、いつでも有給休暇を取得できる環境が整いました。有給休暇取得率は、チーム制導入前の2019年度には34%でしたが、制度整備と文化浸透により2022年度には84%まで上昇しました。現在は50%台後半で推移していますが、2024年度には9名中3名のスタッフが同時に育児休業で業務から離れるなど、ライフイベントに合わせて休業制度が柔軟に活用されています。 数字の向上だけを目的とせず、安心してキャリアを継続できる職場づくりを進めています。 ③チーム文化の醸成と心理的安全性の向上 チーム制の導入により、担当制(個人事業主の集まりのような組織)の頃に見られた「自分の担当以外は関係ない」という空気がなくなりました。スタッフ同士が自然に声を掛け合い、業務負担が偏らないよう支え合う文化が生まれ、組織全体に一体感と安心感が広がっています。 ④柔軟な働き方の実現 フレックスタイム制やテレワークを活用し、現在では、学校行事や家庭の予定に合わせて勤務を調整することが自然な習慣として定着しています。スタッフが自分の裁量で勤務時間や働く場所を選べるようになり、仕事と家庭の両立がしやすい環境が整っています。 ⑤サービス品質と生産性の向上 業務を手続・給与計算・顧問対応などの分野に分け、専門担当を設けたことで、処理スピードと正確性が向上しました。チーム内で知識やノウハウを共有し、業務の標準化が進んだ結果、ミスの削減と全体の生産性向上につながり、サービス品質も安定しています。 これらの取組を通じて、各分野の専門担当が切磋琢磨しながら成長できる環境を整えました。働きやすさだけでなく、一人ひとりがプロフェッショナルとしてのスキルを磨き、顧客により高品質なサービスを提供できる組織へと進化しています。 |
(R7.11)